55 :
名無しさん?:
「神山君は将来何になりたいの?」
僕もつい君付けで呼んでしまう。
「僕はお菓子とか作る人がいいな。
僕、このお餅みたいなお菓子が大好きなんだw
ああいうのを自分で作ってみたくって・・・」
照れながら自分の夢を語る神山君。あまり饒舌に語ることがない彼の意外な一面だ。
天金堂の餅菓子・・・確かに彼はいっつもそのお菓子を食べているイメージがある。
一年前に会ったときも確か今と同じ餅菓子を食べていた。
「今度ダースで買ってあげよっか?」
「え?いいの?でも・・・」
「もちろん。他にも何かしてほしいことがあったら頼ってくれよ。
俺、けっこう人のために何かするの好きなほうだからさ」
なんでこんなことを言い出したのか、自分でも不思議だ。
彼と近いうちにまた会いたかったのかもしれない。
お菓子を買うという口実を作って・・・。
今日は七月七日。天では織姫と彦星が再会の喜びを分かち合ってることだろう。
一年ぶりの再会。普段の息苦しい生活を忘れることができる。
僕によくなついてくれる純粋なこの少年と話すことが、一年に一日だけ許された楽しみなのかもしれない。