53 :
名無しさん?:
一年に一回ほど、この少年と会う機会がある。
少年は年齢で言うと17歳。僕の6つ下だ。
「大学院って大変なんだよね」
話題が枯れて、少年-神山宗太は僕が通ってる大学院の話題を切りだした。
「大変だけど自分のしたい研究ができるし、結構やりがいはあるよ。」
「御堂さんらしいよねw」
僕が親しみにくいせいか、それとも年齢が一回り離れているからなのか
彼は僕のことをさん付けで呼ぶ。
好物のお餅のお菓子を食べながら、少年は微笑みを浮かべて僕のほうを見ている。
もろに視線が合い、あわてて僕のほうから少し目をそらしてしまった。
神山君と僕が知り合ったのはだいぶ前のことになる。
神山君の親は彼が小さいころ離婚して、彼自身はいわゆる施設に預けられていた。
たまたま宗太君のいた施設を訪問する機会があり、その時彼と知り合ったのだ。
第一印象は、おとなしめで中性的な少年といった感じだった。
実際、彼は内気であまり自分を表現することが得意ではなく、打ち解けるのに多少の時間がかかった。
しかし僕が色々と身の上を話しているうちに、彼も徐々に自分のことを話してくれるようになった。
連絡先を交換し合い、それから一年に一回ぐらいのペースで会うようになった。