漆黒の暁・鮫島事件

机を叩く音と怒号が３畳ほどの部屋で縺れ合う。
ベージュの壁に全てのねじれた感情が吸い込まれた。
男達はさんざん自我と正論の入り混じった言葉を存分に吐き、煙草を咥え、また押し黙ることを数時間、繰り返している。
煙が換気口に吸われるのを視ていた管理官が席を立ち、言った。
「鮫島の身柄を確保するしかない。絶対の保秘」

2はもらった！

=兵庫県警尼崎西署=
イタリア人の被疑者が薬物所持の被疑事実で緊急逮捕されたということで、本部総務部教養課から指定されている民間の通訳員・吉田は自宅からタクシーで尼崎西署に赴いた。
庁舎の正面玄関前で車を降り、生活安全課に入った。一番奥の取調室にイタリア人はいた。
近くにいた主任の巡査部長が被疑者を一瞥し、「日本語が話せないらしいですわ」と言った。
日本語が理解できない素振り、つまり擬態をする外国人被疑者も多い。
吉田は法務省刑事局の編纂したマニュアル通り、被疑事実及び弁護士選任の可能なこと、さらに国際条約により領事に連絡が出来ることを一通りイタリア語で説明する。
弁録調書をこれから作成する旨伝えると、それまで異国での逮捕に落胆し、首を振って溜息ばかりついていた緘黙の外国人が呟いた。
「SAMEJIMA…」

と、見せかけて

【まとめ】
1967年、小泉事件発生。父の鮫島純也防衛長官がもみ消す。
2000年、週刊誌がその事を嗅ぎ付ける。しかし、信憑性は低い
2001年、総理に就任。前年の記事が噂を呼ぶ。
小泉は公安に命令して事件を再度もみ消す。その為に公安は
2つの｢鮫島事件」という都市伝説を作り、真相を葬る。
やがて、2004年。YAHOO掲示板に小泉事件が書き込まれる。
小泉と敵対している民主党がそれを見つけて木村愛二を送り出す。
小泉は念には念を入れて裁判を大沙汰にしないようにする。
マスコミは２ちゃんねるが嫌いなので摩り替えて２ちゃんねる批判をしようとする。
やがて、小泉事件は都市伝説となり、鮫島事件という得体の知れないものが残りながら
現在に至る。　　　　　　　　　　　　　　　　　　（FIN)

小泉事件ってなんですか？

　ある公安調査官はこう言った。
　「そもそも、サッチョウ（警察庁）の外事の連中が背後関係の確認という名目の元で、鮫島を野放しにして来たんだ」
　彼は淡々と語るが、悔しさが滲み出ていた。
　
　

　長官が撃たれた。
　同時通報で管内全域に発せられた無線は、瞬く間に全警察官の耳朶の奥から脳裏に響いた。
　事実が大きければ、大きいほど、人は咄嗟の行動に悩む。
　第一報では被害者は警察官、としか伝えなかった無線が、今、確実に長官だと連呼している。
　管内全域における緊急配備の恐慌、そして何をするでもなく、現場に駆けつける茶坊主のキャリア達。
　「総監は官邸に報告へ行ってます」
　警視庁の大会議室では副総監が呻いた。
　そして「鮫島の所在を確認しろ、公安で特命を組め」と、公安部長に怒号した。
　
　

鮫島事件ってなんだ？
http://etc3.2ch.net/test/read.cgi/entrance/1105031891/l50

　名スレッド！

　鮫島事件　概要
　主に関西方面で発生した事件。
　薬物事犯、外事事犯等、警察関係者にも最初は全く別の案件と思われていた。
　だが、在日米大使館から齎された1つの高度な情報により、それぞれが別個の事件ではなく、鮫島という非公然活動家に繋がる大規模な外事事件、公安事件ということが判明。
　警察庁は全国の警察から鮫島事件に関する情報を収集し、捜査を警察庁警備局主導で行うことを決めた。
　公安警察主導の捜査が全国規模で行われる中、インターネットの掲示板で鮫島がテロルの謀議を行っていることが判明。
　鮫島の主要シンパが京都府内に多くいたため、京都府警にインターネットに関する捜査部署、専務捜査員を集中させる。
　殆どが生活安全課によって設置されているハイテク捜査課において、主に公安関係者で設置された特異なハイテク捜査課が京都府警に出来た背景がここにある。
　捜査密行主義以上の厳格な秘密保持体制で進められる鮫島への捜査だが、99年、刑事部関係者がその手法に反発していたのと同時期に、インターネット上で暴露される。
　（つづく）