アニメスレPART6と6分の1

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198名無しさん?
185の「生き別れた」は、むしろ「死に別れた」ですね。
もう絶対に没交渉な訳ですから。ああなんだか物憂い気分です。

 さて、恋文のシーンは物語の総仕上げとして必要欠くべからざる意味的な役割を持って
いましたですよ。そもそも実際に恋文を手渡しするにしてはちぐはぐな印象だったでしょう。
まず相手が特定されていませんからね。事の勢いというなら恋文を渡される殿方に「コタケ」を
立たせればまさしく勢いらしくなるのに、人物はシルエットで特定できない。佇まいから見ると
「ヤダ」とも思えますが、それにしては身長がでかい。それなら「ハセベ」かと言うと、髪型が
違う。結局、成長期らしい怒涛の発育と思春期の洒落っ気に流されているが、シルエットの主は
やはり「コタケ」だという人もいるかもしれませんが、それならそれでシルエットに誤魔化さず直接に
描写すればいいはずでしょう。既に付き合ってもおかしくない布石は過去の話でうってる訳です。
なのにあえてシルエットにするなら理由はただ一つ、あそこは特に誰かである必要などないからです。
意味的な役割から言えば先々代の女王様でも水木しげるでもレーニンの保存死体でも大きな支障では
ありません。
199名無しさん?:04/08/26 22:20 ID:jr1MlqTM
 そしてもう一つちぐはぐに見せる原因はどれみの微笑みです。浜辺に駆けつけたどれみは沈みかけた
太陽を挟んだ絵的立ち位置で待ち人と相対する。夕日の逆光でどれみの表情は見えない。続いて
立ち位置対称のシンメトリーを破壊するどれみの踏み出す一歩。そして切実な顔で恋文を差し出し
「これ、受け取ってください!」 ここまでは筋が通っています。次の瞬間なぜどれみが微笑むか?
 たしかに僕の26インチテレビデオのスピーカー片方は死んでいますが、しかしこの時どれみは正面を
向いている訳で、つまりもし殿方がなんらかの返答をしていたとしても、それを片方のスピーカーから
だけ響かせると音響的に不自然ではないですか? よしんば不自然でないにしても、ちょっとぐらいは
聞こえるでしょうしね。まあともかく、つまりこの段階で殿方からの返答はなかった訳ですが、しかし
どれみは微笑む。外的な要因に微笑むのでないなら、内的な動機によって微笑みは理由付けられて
いるでしょう。と言うとそれは、自称「美少女」の自身過剰な勝利宣言か、あるいは緊張からの錯乱か?
そのどちらでもありません。あの時どれみを捉えた感情はある種の感謝と満足に近いものです。どれみは
「好きな人に告白する勇気が欲しいから」魔女になり、事の成り行きで人間に戻ったがなによりその
願いは変わっていなかった。そしてついに告白が果たされる。「返答はまだだが、ともあれ魔女を経験して
得たものは有った」という心境が、あのように状況にそぐわないタイミングで微笑んだ内的な動機でしょう。

 そして、そう考えると続いての「ありがとう♥」は、メタ的意図だと思い違いをして恐らくテレビの
画面に威勢よく快諾を叫んでしまったオタクへの返事ではなく、いわば魔女になった経験やその間に出会う
人々との経験へ向けての、そして製作側から視聴者への思いも控えめに込めての「ありがとう♥」
一見オタクサービスと見せかけて、実はそもそもオタクなど歯牙にもかけていない事が分かるのでした。
 それが、あのシーンの意味的な役割です。