どんな物語なんだよ
全く糞スレだな
そうでもないよ
4 :
故・ ◆vOaN3.1tLE :03/10/24 07:36 ID:Sj3gVv0T
3分レス無し、か
5 :
2:03/10/24 07:40 ID:???
悪かった
良スレ。これからに期待
馬鹿
ちょっとまて
そして誰もいなくなった。
-完-
11 :
名無しさん?:03/10/24 10:48 ID:cVCmZnTz
知ってる、ダイソーのだろ
あれ結構便利なんだよな
こいつのせいで、スレ止まったわ
キルビルみたぜーーー!
〜次章予告〜
悲恋
〜ご期待下さい〜
15 :
256兄さん ◆mM256OOOO6 :03/10/26 15:51 ID:8pJe2Kgv
続きはまだかな?
16 :
1:03/10/26 19:33 ID:???
どうしてこんな良スレにレスが付かないんだ
お前らどうかしてるよ
17 名前:名無しさん? :03/10/26 19:34 ID:???
全て
>>1に人を惹きつける能力が皆無なため
18 :
ちきん(@´ー`)っ ◆2r/NotDQNQ :03/10/26 19:43 ID:yJINmbNC
両面テープは住友派
積水のはベタつきすぎる
そしてこんばんわ
19 :
悲恋:03/10/27 07:13 ID:???
とあるコンビニの、陳列棚での物語です。
両面テープくんは、隣に並んでいたセロハンテープちゃんのことが
好きでした。セロハンテープちゃんも、両面テープくんのことが
まんざらでもなかったようでした。二人はいつも仲良くおしゃべりを
していました。もちろん私たちには聞こえない声で、こっそりお話
するのです。
20 :
悲恋:03/10/27 07:25 ID:???
日々目まぐるしく回転するコンビニの中で、その一角は
比較的おだやかな雰囲気でした。大好きなセロハンテープ
ちゃんや、大勢の愉快な仲間たちに囲まれて、両面テープ
くんは楽しく毎日を過ごしていました。
21 :
悲恋:03/10/27 07:35 ID:???
ある日の夕方、コンビニにあわてて飛び込んできたサラリーマンが
おりました。彼は迷うことなく真っ直ぐに、両面テープくんたちの
並んだ棚に駆け寄って、セロハンテープちゃんを掴み上げました。
あっ!と両面テープくんが叫んだときにはもう遅く、サラリーマン
はセロハンテープちゃんを掴んだまま、急いでレジの方へと去って
いきました。
22 :
悲恋:03/10/27 07:41 ID:???
セロハンテープちゃんは必死に、サラリーマンの手の中で両面
テープくんを呼びました。
「助けて!両面テープくん!助けて!」
しかし、悲しいことにサラリーマンの歩みは速く、すぐにセロハン
テープちゃんの声が届かなくなってしまいました。それでも必死に
セロハンテープちゃんは名前を呼びました。
「両面テープくん!両面テープくん!」
23 :
悲恋:03/10/27 07:51 ID:???
セロハンテープちゃんは赤い光を当てられて、ビニール袋に
放り込まれました。サラリーマンはお釣りをもらうと、その
ビニール袋を掴んで走るように出口に向かいます。揺れる袋
の中で、セロハンテープちゃんは力いっぱい大きな声で叫び
ました。
「両面テープくん!助けて!!」
突然のことに呆然としていた両面テープくんの耳に、精いっ
ぱい叫んだセロハンテープちゃんの声が確かに届きました。
お互いの思う気持ちが奇跡を呼んだのでしょうか。両面テー
プくんは、我に返って言いました。
「必ず助けてあげるよ、セロハンテープちゃん!」
つづく?
続けろyo
age
あげあげ
29 :
名無しさん?:03/11/01 18:06 ID:aNJWGKA7
気になるじゃねーか
30 :
名無しさん?:03/11/01 18:10 ID:ezvrV/2z
頼む続けてくれ、気になってしょうがねー。
なんかツボにハマッてワロタけどなんか(・∀・)イイ!
なんか気に入りました。
つづき書かないなら適当につづき書いてみてもいい?
----------------------------------------------------------
両面テープくんは何とかコンビニを脱出しようとしました。
しかし、両面テープをコンビニでわざわざ買う人などなかなか現れません。
1週間が経ちました。
まだ両面テープくんは脱出できずにいました。
「もうだめかな…」
あきらめかけたその時、ついに両面テープくんが空中へと浮かんだのです。
彼を掴んだのは、偶然にもあのサラリーマンと同じ会社のOLでした。
----------------------------------------------------------
っていう展開はお決まりのパターンですかね?
だめ?
運良くセロハンテープちゃんと同じ会社に潜り込めた両面テープくん。
セロハンテープちゃんがまだ使い切られていないかとても心配です。
おっ、続いた…
両面テープくんは総務課のある机の上に着地。
しかし、まわりにセロハンテープちゃんの姿はありません。
「どこにいるんだ?絶対探してやるぞ!」
その時です。どこからかセロハンテープちゃんの声が聞こえてきます。
「両面テープくん!助けて!!」
「どこだ?どこにいるんだい?」
「え〜と、えいぎょうだ……きゃっ!」
どうやら、セロハンテープちゃんの身に何かが起こったようです。
とりあえず、「営業第○課」だということはわかった両面テープ君。
急がなければなりません。
イイ
さて、どう続けようか…
と、その時。
再び両面テープくんはOLに掴まれてしまいました。
「ちょっと行ってくるわ。」
向かった先は営業第2課。
「もしかしたらここにセロハンテープちゃんはいるかもしれない!」
両面テープくんは必至であたりを見回します。
しかし…
セロハンテープちゃんの姿はどこにも見当たりません。
そうこうしているうちに、両面テープくんはOLに少しはがされ、7割ほどに痩せ細ってしまいました。
「まずい…。早く探さないとセロハンテープちゃんだけでなく、僕まで…」
用事を終えたらしいOLに掴まれ、再び別の場所へ向かう両面テープくん。
この会社には営業課は3つあります。
つまり、第1課か第3課のどちらかにいるのです。
「次こそ…」
しかし、そんな両面テープくんの願いも虚しく、OLは経理課へと向かってしまうのです。
なぜかこの会社では両面テープの需要があるらしく、ここでも両面テープくんは少し使われてしまいます。
残りは5割ほどになってしまいました。
松井秀樹
「早く…しないと…」
両面テープくんは痩せ細り、だんだん体力もなくなってきたようでした。
またOLに運ばれ、今度は第3営業課へ。
ここにもセロハンテープちゃんはいませんでした。
残りは3割ほどになってしまいます。
ありゃ? ×第3営業課 → ○営業第3課
そして、最後に向かったのは営業第1課でした。
ここにセロハンテープちゃんはいるに違いません。
ドアを開けるOL…
ガチャッ
いました!目の前の机に乗っているのは紛れもなくセロハンテープちゃん。
しかし、セロハンテープちゃんも両面テープくん同様、すっかり痩せ細っていました。
「セロハンテープちゃん!」
「あっ…両面…テープ…くん…」
感動の再会でした。
しかし、次の瞬間でした。
OLはセロハンテープちゃんを手に取り…
41 :
ズーン(○▽・) ◆FACc3h6kMg :03/11/01 23:22 ID:IDPc3Ll9
ガキの頃ってさ、
何かと何かを張り合わせる時ってセロテープグルリが普通でさ、
道具箱に両面テープいれてる奴がすげぇ斬新でさ、
そいつの人格とか全部すっ飛ばしてさ、
そいつというと両面テープが前面に出てさ、
両面テープ持ってること以外の個性忘れ去られてさ、
話し始めはやっぱ両面テープ持ってるってすげーよなってなってさ、
つまり両面テープってガキにはそんぐらい
神のアイテムだったんだよ
思いっきり地面に叩きつけたのです。
セロハンテープちゃんは粉々になりました
残り少ないセロハンテープちゃんの体をそぎ取ってしまいました。
「きゃっ!」
「セロハンテープちゃん!」
残るのは芯のみ。
セロハンテープちゃんはごみ箱へ。
両面テープくんも同じ運命をたどりました。
そして次の日、ごみ収集車に乗せられて、2人はごみ焼却場へと向かいました。
芯だけになった2人は…
-おわり-
う〜ん、くさすぎる?
ありゃりゃ、かぶった。
バッドエンドかよw
適当に書いてったら自然にバッドエンドになったというw
OL「ふースッキリしたわ。課長のセクハラのせいでストレスたまりまくりよ」
「なんでや・・・なんでこんなことになってしもたんやうわーん」
両面テープ君は泣きました。涙がかれるほど泣きました。すると・・・
「泣かんといて、両面テープ君」
セロハンテープちゃんの声が両面テープ君のすぐそばで聞こえました。
いえ、その声はたしかに両面テープ君の心のなかで響いていたのです。
両面テープ君はとてもびっくりしました。
「どういうことやねん」
49 :
ズーン(○▽・) ◆FACc3h6kMg :03/11/01 23:36 ID:IDPc3Ll9
ありえなかったんだよな。
両面はれるっていう発想が。考えもつかなかった。
両面テープって名前は知ってたけど、
手に入れようなんて…
前提的に「使う」っていう選択肢が無かった。
今思えば何故一文具にそこまで恐れを抱いていたのか分からん。
とにかく両面テープは
アンタッチャブルでありパンドラの箱でありエデンの知恵の実だった。
「使ってはいけないもの」じゃないんだ。根本的に「使えないもの」だった。
戦士が杖を装備する事は出来ない…
そんな理不尽な障壁がおれと…いや当時の俺達には感じられ、
それになんの疑問も抱かなかった。
お前らもガキの頃両面テープって盲目的に使わなかっただろ。
そんくらい両面テープってのは
ガキにとっては神のアイテムだったんだよな…。
両面テープを使った瞬間が、
俺にとって神が死んだ瞬間だったのかもしれん。
両面テープの存在を知らずにセロテープを丸めてはっつけてた小1の頃
存在は知ってるけど図工の時間にもってくるのを忘れてしまい、みんなと一緒に
セロテープを丸めて悔しがった小3あたりの頃
持ってくればヒーローに慣れたのに・・・
「わたしら、やっと一つになれたんやで…」
両面テープ君は、もう両面テープ君ではなくなっていました。
なぜなら片方の粘着面には、セロハンテープちゃんの魂がのりうつっていたのです。
「僕・・・両面テープでよかった」
その後二人は短い期間でしたが一瞬一瞬をともに感じながら過ごしました。
おわり
52 :
HITMAN ◆I2OeyByqWI :03/11/01 23:44 ID:IKTv66f5
セロハンテープじゃねーのかYO!!!!!!
HITMAN様をなめんなあああああああああああああああ
>>51 こちらはハッピーエンド…なのかなぁ?
てかなんで関西弁w
俺は両面テープ、名前は両面テープくん。今日もひたすら両面に物を貼り付ける。
たまに片面の紙が上手く剥がれなくてイライラされるけど根はイイ奴さ。
そんな俺も女子中学生の机に入ってはや一ヶ月。なかなか悪くない生活だ。
「さぁ今日は何に使われるんだろう・・・ん・・・・?」
↓以下続く
55 :
ズーン(○▽・) ◆FACc3h6kMg :03/11/01 23:49 ID:IDPc3Ll9
神を殺し、大人になりつつある俺は思う。
もしガキが生まれたら、最初に触れさせる接着道具は
両面テープにしようと。
思えば、俺が上記のような精神状態になったのは
両面テープを常備していなかった家庭の事情にある。
もし物心ついた瞬間から両面テープに触れていて、
一面テープに触れたことが無かったら――――
おそらく機能的に優れたものが水準になることで
ガキの頃の俺とは違い、優越感を植え付ける事が
出来るはずだ。そして自信とエリート意識を持った
アクティブなガキに仕上がるはずだ。
この発育過程は、両面テープに宿っていた神が
ガキに乗り移ったともいえる。
空っぽで邪気が無い赤ん坊なら神を活かすことが出来る。
神はよみがえる。一度は俺が殺した神を、
俺のガキが復活させるのだ。
俺のガキはキリストだ。そしてやがて世界は俺のガキ色に
染まるだろう。その時俺の地位は神の父として固定されているはずだ。
両面テープ。それは神界と人間界を繋ぐ回境トンネルだったのだ――。
完
リーマンとOLの粘着プレイキボン
両面テープはトンネルだったのか。
う〜ん、奥が深い…
60 :
ズーン(○▽・) ◆FACc3h6kMg :03/11/02 00:22 ID:KqpVb26V
〜両面テープ物語〜
房総半島の南西35キロ地点。この場所に小さな―――といっても
ハワイ島程度の大きさの島がある。
島の名は「特別重要種保護観察施設第十一地点」。
通称ニブルヘイム。
地図には無記名の絶海の弧島だ。
7月12日 ニブルヘイム 保護観察施設
「IDを言え。」
「011090011。」
識別コンピュータにその数字を叩きこんで山本はアイスコーヒーを飲んだ。
暑い部屋だった。冷房が壊れているのだ。
もっとも、その犯人は目の前にいる少年だった。
「照合出ました。名前はセロ、バンド一族第二子の第一子です。」
「っち!バンドの血族で厄介ごとおこしたのはてめえが始めてだぜ!!」
毒づく山本を見返してセロはにやりと笑った。
「ベルトの一族は?」
「あ?」
「この反乱の目的はなんだと思う?あんたたちの快適な環境を潰すのも
目的の一つではあるけどね…クス」
「お…おい、まさか…」
めんどいから終了
62 :
ズーン(○▽・) ◆FACc3h6kMg :03/11/02 00:29 ID:KqpVb26V
俺的には
>>60の量を3回くらい繰り返して
ようやく両面テープが絡んでくる壮大なストーリーを
考えていたのだ
ぶっちゃけ面白そうだ。
64 :
ズーン(○▽・) ◆FACc3h6kMg :03/11/02 00:35 ID:KqpVb26V
よーし第二部いっちゃうぞ
両面テープくんはテープと言えば自分のことだと信じていました。
そこで魔法の鏡に聞いてみます。
「鏡よ鏡。この世でテープと言えば何のことだい?」
「はい、ご主人様。
Googleの検索結果では、
両面テープ:52700件
ガムテープ:49000件
セロテープ:37000件
よって、テープと言えば両面テープのことでございます。」
両面テープくんはホクホク顔です。
しかし、それから何日かして…
「鏡よ鏡。この世でテープと言えば何のことだい?」
「はい、ご主人様。
Googleの検索結果では、
カセットテープ:83400件
両面テープ:52700件
よって、テープと言えばカセットテープのことでございます。」
この日から壮絶な戦いが始まった。
67 :
ズーン(○▽・) ◆FACc3h6kMg :03/11/02 01:01 ID:KqpVb26V
7月12日 東京 内閣幹事局
「テーパーが監察域を脱しただと!?」
総理は思わず吸っていた煙草を取り落としそうになった。
その場にいるのは防衛庁長官である香川と
内閣総理大臣である白川の二人だけだった。
「何故そんなことになるのだ?あの島のセキュリティは
完璧だったはずだ。国連からも技術者が派遣され
特別な磁気発信体を体内に設置しなければ
出入りすら不可能じゃなかったのか!」
「観察員の一人が腹を引き裂かれて殺害されたようで…」
「武装だって陸軍並にさせていた筈だ。」
「確かに学術上、ニブルに結集させた火力でテーパーを
押さえ込むことは可能とされていました。
それに出生から徹底的な精神教育もされていたはずで
反抗心を出すはずは無いシステムだったのですが…
どうも彼らの中に新しい進化を遂げた個体が現れ始めたようなのです。
それまでのシステムで計算できない、新しい種が…」
「糞…ニブルでの対応はどうなっている」
「国連法に基づいて有事警戒態勢5を取っています。また、
捕らえた少年を催眠審問にかけて反乱の目的を聞き出そうとしています。」
「脱走した個体については?」
「島のPC‐3――哨戒機です――が対潜要領で捜索を続けていますが、
なにぶん固体が小さく人間は反射し難いものですから…。」
「ソナーは使えないのか?」
「島の近辺を重点的に捜索しています」
「本州との距離は数10キロだったな。やむをえん。」
三時間後、海上保安庁の巡視船が東京沿岸に操作網を張った。
乗組員には遭難者の救助という説明が為されていた―――――。
68 :
ズーン(○▽・) ◆FACc3h6kMg :03/11/02 01:03 ID:KqpVb26V
めんどくさすぎ
もう先読めただろ
ど、どうなるの?
>>60>>67 すごいな ここからどう両面テープが絡んでくるのやら
続投キボン
期待age
それはそれとして、、
セロハンテープって美味しいな
http://ex.2ch.net/test/read.cgi/entrance/1067679744/ 1 :名無しさん? :03/11/01 18:42 ID:???
あと感熱紙も美味い
2 :千取 eAc1Acf209.osk.mesh.ad.jp ◆ciHAAHH/dg :03/11/01 18:42 ID:MdnXTu0A
ガムテープ
3 :名無しさん? :03/11/01 18:42 ID:???
まずい
4 :名無しさん? :03/11/01 18:45 ID:OnqkZmJF
ふつう
5 :名無しさん? :03/11/01 18:45 ID:???
昔はよく輪ゴムを噛んでた
今はたまにしか噛まない
6 :名無しさん? :03/11/01 18:45 ID:???
銀紙には負けるだろうが!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
7 :名無しさん? :03/11/01 18:46 ID:???
あれ噛むとキーンてなるから嫌い
8 :名無しさん? :03/11/01 18:46 ID:Yz6vZyLc
割り箸
11 :名無しさん? :03/11/01 18:53 ID:???
網戸ってうまくなかった?
気になる。
そう、気になる、のだ。
>>18 さすが雑務専門高卒公務員だけあるな
ゲラ
ズーンだ。お前のこと好きです。
7月14日 東京湾台場南西六キロ地点海上 巡視船「あかしま」
時計は6:40分を指していた。
今だ夕凪も感ぜられないほど日は高い。
「もうすぐ丸3日が過ぎるな…」
あかしま機関部職員、宮本は14日付けの任務報告書に
チェックを入れながら同僚の熊崎を振り返った。
「また新しい情報が打診されたらしいぞ。遭難者の髪の色や体格、
身体的特徴なんかだったらしい。船長がぼやいてた」
「救助で個人の特定なんて意味ねーだろ。指名手配だな、まるで。」
「何か有るんだろうな。捜索範囲は東京湾全域で出動した巡視船が
六隻、沿岸は東海から鹿島まで巡視艇が出てるそうだ。
何かを警戒してるんだ。末端の俺達にすら隠蔽工作も満足に行なえない
余裕のない状況でな」
「は…太平洋から何か攻めてくるっていうのか?ありえないよ。
案外抜き打ち大規模演習だったりしてな」
「なんにせよ税金のムだ遣いだぜ」
機関室に笑いが漏れた。だが宮本も熊崎も、言い知れない不安を覚えていた。
そのころ、20分後の着任に備え目を醒まそうと、
肥後航海士は甲板に上っていた。
おかの熱気も、海上ではうすらぐ。風は心地よかった。自然と手すりに体を預けた。
その瞬間、肥後は目の端に何かを捉えた。
振り帰ると、甲板を横切って細長く平べったいものが
海から伸びて数メートル先の手すりに巻きついていた。
「テープ…?」
7月14日 東京湾台場南12キロ地点 巡視船「まなご」
「1900時定時連絡、まなごからあかしまへ」
「まなご」通信士、大隈はいつもどおり各船へ回線を開いていた。
しかし、あかしまからの応答は無かった。大隈は首をかしげて再度呼びかけたが、
やはり応答は無い。
妙だな…。電波を妨害するような要因は無いはずだ。
やむをえず、同命令出動中の巡視船「いさな」に通信を開き、あかしまからの
回線がつながったかを聴いてみた。合同して出動している巡視船は定時に
相互連絡を取り合っている。あかしまへ回線を開いているのはまなごだけではないのだ。
数分後、出動中のあかしま以外の巡視船五隻全てがあかしまとの
連絡が取れない事が明らかになった。五隻の巡視船は緊急態勢を取り、
もっとも近くを航行していた「とよみ」が1830時の時点でのあかしま航行地点へと向った。
あかしま機関部員たちが抱いた不安は、出動中の船員全てが共有していた。
「まさか―――」
大隈は寒気を感じた。
そしてすぐ、船長の指示で丘への回線を開いた。
連絡は横浜第三管区海上保安本部から超規定連絡網をたどり、
国土交通省ではなく防衛庁へ上げられた。それは二日前に
極秘に設定された、内閣総理大臣へと続く臨時ラインだった。
7月15日10:20AM 都内 小山市
「昨日14日、遭難した少年を捜索していた海上保安庁の巡視船あかしまが
機関部事故により大破しました。同庁の巡視船が出動し救助を行ないましたが
乗組員38名のうち重軽傷者28名、死者6名という惨事になりました。
なお、遭難中の少年は未だ見つかっておりません。」
伊勢電気店の店頭に並んだテレビの前に、2人の小学生が溜まっていた。
「なんかさあ、変じゃねー?」
ゆうきは隣のまなみに話しかけた。
「そうだねー。今日はセン公にもサツにもみつかんないね」
「そうじゃなくて、このニュース」
「なに、ゆうってニュースなんかみんの?あたしわかんないよー」
「あたしだってそんなわかんねーけどさ、遭難者の少年だって。
悪いことしたんじゃねーんだから名前とか出さねーかな普通」
「見られただけとかで、だれかわかってないんじゃないの」
「家族の証言があるだろに。全員遭難したってんならなんでそいつらは
報道されないわけ?」
「きっと遭難した子ってあたしらみたいな不幸な子なんだよー。
脱走して行き場がないとかさ」
「孤児、か、犯罪者、か…か。気が合いそうだね」
そういってゆうきは煙草をふかした。十二歳とは思えないほど
その手付きは板についていた。
「あ、坂木さんだ」
まなみは初老の警官が近づいてくるのを見つけた。
「さて逃げるか。あのじじいまた心不全起こしたりしねーだろーな」
二人は見つからないように裏露地に駆けて行った。
83 :
ズーン(○▽・):03/11/11 00:27 ID:kR+pvg5x
保守age
スゲー!!
テープキターー!
みんながんばれー
ヨクヤッタ!!
終わりってことはないよな
91 :
ズーン(○▽・):03/11/14 07:22 ID:hAK/O3wq
あげ
7月15日0:20AM 東京 首相官邸
一
「緊急事態だ」
白川首相は開口1番そう言い放った。
場に集まったのは防衛庁長官香川、警察庁長官徳島、警視庁警視総監粟田、
外務大臣高原、それに緊急召集された自衛隊幕僚監部の代表者達の8名だった。
警察庁の徳島は緊張を感じた。
「あかしまの甲板員の証言から同船を撃沈させたのは間違いなくテーパーです。
第11観察島からの追加報告で、脱島者の名はリョウ=ベルト男11歳。
茶色の髪と目で、やや痩せ型体系。島での素行不良は確認されていませんが
陽動に従事したセロという少年は明らかなクーデターを計画していました。
彼が陽動に徹してでも脱島をリョウに任せたのはその戦闘力差が要因のようです。
実際の戦闘力については詳しい事は分かっていませんが、平均的テーパーの能力以上の
未知の部分があるかもしれないようです。少なくともセロ少年はそう思っていました」
香川は説明した。
二
「仮に、東京に戒厳令に準じた非難勧告を出すとする。出来るか?」
白川は薄々答えのわかる質問を幕僚に尋ねた。
シビリアンコントロール統制下のこの国において、軍関係者は能動発言の出来ない
不文律が首相官邸にはある。話をふられた幕僚のひとりが答えた。
「憲法解釈上の問題ですが、警察法に準じて緊急事態を布告し警察庁を
指示することは出来ます。ことが公になっていない以上
非難勧告を出すには武力攻撃事態法により基本計画の整備が必要になります。
つまりは基本計画の作成理由如何によるということですね」
「件の巡視艇を理由としてテロリズムをでっちあげれないか」
「それは危険ですね」
外相高原が発言した。
「テロリズムの反抗声名等を理由に首都に非難勧告を出せば
大混乱が予想されます。世界の本物のテロリスト達にも
日本という国のデリケートさを誤解されて標的にされる可能性もあるし、
国家以外の組織の動きが活発化することは確実です。野党はおろか与党からも
反乱が起こるだろうし政局の壊滅は確実ですよ。」
「物量も問題です」
警視総監が口を開く。
「沿岸から都心程度まで非難させるとして、約一千万人の大移動です。
警察力のフル行使はもちろん、自衛隊や米軍に協力してもらっても
これだけの人数を収容する場所、食料、その他生活物資の配給で
膨大な労力がかかります。」
「だろうな…。やはり犠牲は避けられないのか…」
三
「あかしまの沈没地点が台場南西6キロ地点、そこから第11観察島までの
距離がおよそ80キロ。それをわずか二日で到達したのだからもう上陸してるのは
確実ですが、テーパーは未だなんの事件も起こしていません。
かなり目立つはずですから事件を起こす前に検挙するのが
一番でしょうね。
といっても街に火気をばら撒くわけにはいきません。
第一警察の装備では 犬死ですし自衛隊は出動できません。
やはりTMT(テーパー対策班)に 出動を要請するのが
手順でしょう」
最後は香川だった。白川はゆっくりとうなづいた。
「…わかった。合衆国に連絡する。徳島さんは地方に警備強化を打診してくれ。
理由は極秘でな。アワさんはマニュアルにそって一般人に被害が出ないよう
都内を固める。少年のビジュアルは末端まで知らせていい。
高原さんと香川くんはアメリかとの引き続き調整を頼む。
幕僚諸君はいつでも出動できるよう態勢を整えておいてくれ。」
「はい…」
官邸の面々は難しい顔でうなづいた。
ハァ・・・
あ…強制IDになってる
ズンさんこんにちは。
ドラゴンボールスレではお世話になりました
ウザ
7月15日9:05 都内 小山市JR小山市駅前交番
あどけない顔をした、10歳ぐらいの少年だった。
「この子を見つけたら、すぐ上に報告しろって?」
木曜日、いつもどおり定時に出勤した坂木巡査部長は同じく昼番の萩本巡査と
手配書を覗きこんだ。
肌の色も髪の色もやや日本人ばなれしているように思える。
夜勤明けの杉並巡査長は書類に書いてある少年の特徴をそらんじて、
あくび混じりに言った。
「ようするに書類に書かれてること以外なーんも連絡無しっす。
一応本庁からの打診だし、坂木さんがわかりやすいようにプリントしといたんすよ」
「ばかやろ。俺だってメールを開けて中身を見るぐらい出来るわ。
ま、紙にあったほうが見やすいのは確かだがな。ああご苦労さん」
軽口を叩いて杉並は自宅へと帰って行った。
「わけ有り、だな…」
「家出ですかね?」
「いやぁそんなたまじゃねえよ。案外どっかの国の王子様とか」
「それならやっぱり家出人じゃないですか」
「あ…そうか」
朝の庶務をたるそうにやりながら、二人は写真の少年について話した。
「ちょっとパトロール自分行きますよ部長。
まだ体よくないでしょ」
「おいおい、俺から特効薬を取り上げる気かよ。
自分のことは自分で一番分かってるからよ。じゃあな」
敬礼して、坂木はパトロールに出ていった。52歳。半年前心不全で
病院に運ばれたばかりだった。
あ
そして春がやってきました
春はテープ達が恋を育む季節です
両面テープくんとたセロハンテープちゃんの魂は星となり、
天国で2人で幸せに暮らしています。
103 :
名無しさん?:03/11/16 16:08 ID:T2T+3d7c
お わ り 。
いい最終回だった
. __
| l | l Eヨ 幺夂. |┌┐| 十゛ 十
ヽ 丶 耳又 ホ = |└┘| |こ つ |こ
105 :
名無しさん?:03/11/16 21:19 ID:iIoRVqYi
最終同?
今全部読んだ。
続きが気になるっす。
気になるーーーーっーーすーーーーーーーー
107 :
名無しさん?:03/11/17 22:48 ID:FROFJEVa
あげ
108 :
名無しさん?:03/11/18 19:18 ID:wymhS234
〜 両面テープ物語 ・ 外伝 〜
7月15日 都内 小山市
一
「お前ら」
「げっ」
銭湯の裏手に回りこんで近道するつもりが、見事に先回りされてしまった。
「糞っ見つかってたのかよ」
「にげんなよ〜俺を走らせたら今度こそ死んじまうぞ」
「たちわりーな糞じじい!!てめーなんかどーなろうが知ったこっちゃねーつの」
ゆうきは毒づいているが、逃げることはしなかった。まなみは笑った。
この坂木という男は、自分たちを憎んでいない数少ない大人の一人だった。
「またサボってやがって。学校行きたいとは思わねーのか」
「そんなこと行ってるやつらも思ってねーよ」
「…まあいい。午後からでもいいからちゃんと行けよ!!
…そうだお前ら、こんな子供を見たことあるか」
色の黒い、幼い顔立ちの少年だった。
二
「だれ」
「さあな」
「家出人?こいつも気が合いそうね。顔がきっぽいのがあれだけど」
「この子見つけたら坂木さんに教えたらいいの?」
「ん…?いや別にそう言うことでもないんだけど…」
「何いってんのまな!!チクリなんかつまんねーじゃん!」
「あほ!!やっぱ見つけたら教えろ!じゃあな!学校いけよ!!
それからてめ―――また煙草吸ってやがるな!!とんでもねえガキだ。
没収するから出せ」
「没収されると分かってて出すアホが…って何すんだまな!」
「やっぱ健康に悪いかんね〜」
まなみはゆうきのポシェットから煙草を抜きとって坂木にわたした。
坂木はもう1度学校に行けと言って街へ消えていった。
「あんたってジジイ趣味?」
「まさか」
少女達はなんとなく、小山第三小学校に足を向けて歩いて行った。
7月16日未明 東京羽田 東京国際空港
…お出でなすったな。
防衛庁職員の湯沢はことの重大さを感じていた。
国連レベルの組織だと言われたが、それ以上の説明は無かった。
やっこさんは通常の旅客機でアメリカからやってくる。湯沢はそれを
出迎えるため何人かの職員とともに羽田に来ていた。
それにしてもどういうことだろう。今日…いやすでに昨日だが、
昼飯を食ってオフィスに戻ったところで今回のことを頼まれた。
いわく、今日夜半国連から派遣される重要人物が羽田に着く。
出迎えて、市が谷に送って行ってくれ―――それだけだった。
非常識な状態だった。
午前2時38分、湯沢は彼らと対面した。
筋肉質な男と、背の高い男、小太りの男の三人。
それに部下らしき体格のいい男数人というグループだった。英語で会話する。
「日本の防衛庁情報本部総務部一課長の湯沢です。お疲れ様です。」
「ありがとう。わけあって所属は言えないが、証明書を持っているので
信用してください。わたしのことはマスキングと呼んでください。おい…」
小太りの男が会釈して、他の二人を促した。
「カセットといいます」
「マジックです。よろしく」
筋肉質な男と、背の高い男がそれぞれ挨拶した。
「さっそくですが当該施設へご案内願います」
「車を用意してあります。どうぞ」
10分後、湯沢と何人かの職員、そして得体の知れない男たちを乗せて
車は羽田を出発した。
112 :
ズーン(○▽・):03/11/19 06:01 ID:0lNlZ9v7
保守保守
権威主義ですか・・・
誤爆スマソ
115 :
名無しさん?:03/11/19 07:41 ID:CBq/Lq7u
>ズーン 考えるの大変だろうけど待ってる人も少なからずいるから
(たとえばオレとか)続き書いてね。
読んでます
読んでるよ。
楽しみにしてる一つ。
ほ
そろそろ再開シマス
待ってました!!!!!!!!
7月16日未明 市ヶ谷 防衛庁情報本部
CI棟の入り口で、湯沢はマスキングらと別れた。
代わってCIから出てきたのは湯沢が見たことのない細い男だった。
「情報本部電波部の城之崎です。ご苦労様でした」
「あとはよろしくお願いします」
城之崎はマスキングらに軽く挨拶し、建物へ案内して行った。
「妙な人達でしたネェ」
連れ添った職員の一人が後ろ姿が見えなくなってから口を開いた。
「外国人なんてあんなものじゃないのか。それより今の男、
―――今の男も所属を言わなかったぞ。本当にうちの職員なのか」
「城之崎さんでしょう。電波部第1課の人ですよ。健康診断で
見たことあるな」
「どこか悪そうだな。細いし」
時計は4時を過ぎていた。不安は疲労にかき消されていた。
「さて帰るか。今日のことは手当て出るんだろうな」
「極秘に出るそうですよ」
湯沢の頭に、また不安がよぎった。
7月16日未明 市ヶ谷 情報本部CI棟地下
情報本部は最先端の技術を使い、主に社会・共産勢力の動向を
監視する防衛庁所属の情報機関である。
電波部はその核とも言える情報収拾をコミント(communication intelligence)
――――――すなわち盗聴を用いて行なう役目を担っている。
機関の性質上、66年の前身機関発足から83年に至るまでその存在が
表沙汰にならなかった極秘機関だが、
現在は正式な組織として防衛庁の傘下に入り、
課に別れてロシア、中国、北朝鮮等の動向を探っている。
城之崎はエレベーターの電子ロックを外し、
地下七階へマスキングらを招き入れた。
公開が危ぶまれる危機に際して動く、
「極秘緊急事態情報センター」セクションがそこにあった。
「お疲れ様でした。少し休まれますか」
「いえ,ログインの後にしましょう。
セッティングは済んでいますか」
「もちろんです。それでは…」
城之崎は、声を鋭くした。
「現時刻、午前4時12分を持って
国際連合安全保障会議第S‐27回会議の決定に基づき、
日本国極秘緊急情報センターの全設備をあなた方に提供いたします!!」
マスキングの部下らしき男はメインコンピュータを操作し、国防省から送られ
既にセットアップされていたプログラムを起動した。
「mas.ver5.0」
124 :
ズーン(○▽・):03/11/23 17:58 ID:PKZZIsSa
age
125 :
ズーン(○▽・):03/11/23 17:59 ID:PKZZIsSa
あ…ID直ってる
乙
次回も楽しみにしておきます。
127 :
ズーン(○▽・):03/11/26 07:10 ID:0KRILLDU
7月16日未明 市ヶ谷 情報本部地下七階
「ログイン、完了」
「接続しました」
「よし…準備オーケーだ」
マスキングはつぶやいた。カセット、マジックもうなづいた。
「発見されれば、出動する。体を休ませておこう」
そういって三人の男は仮眠室に入った。
かれらに付き添っていた5人の男達は
センターの担当位置についた。
128 :
ズーン(○▽・):03/11/26 07:12 ID:0KRILLDU
7月16日早朝 横川市 六浜港
その少年はフェリーを見ていた。
浅黒く、幼い少年だった。
船は、なかなか港に戻らなかった。ふと陸が見えたからそこに上陸した。
それが3時間ほど前だろうか。
それから少し眠った。以前いた所よりは気温は低かったが、
過ごしやすい気温だった。やはりこの季節を選んだのは正解だった。
船には食料があった。空腹を満たすには十分な量。
ふだん回されるものと大した違いはなかった。
だが今はない。
少年は少し先を見据えて目を細めた。
そしてゆっくりと右手を開いてその方向に伸ばした。
次の瞬間、その手から目にもとまらぬスピードで細長く薄っぺらいものが放たれ
水中に没し、1秒とたたぬうちに少年の手にもどった。
その手には小ぶりな魚が握られていた。
「まっずー…」
1つ誤算があった。沿岸魚の脂が乗る季節では無かった。
うざい
少年萌えw
読んだ
その島はランプラネット研究所の最後の施設だった。
ランプラネット研究所は第二次大戦以前から発足していた
アメリカ最高の研究所である。
原子爆弾の開発やボーイング社のシンクタンク、学術研究、玩具まで
その活動は高い評価を得ていたが、80年代を迎えて徐々に分散し、
衰退していった。現在は消滅したとされているが、
アメリカ政府から「次世代兵器」開発能力に高い期待を持たれ、
その研究実験場として秘密裏にこの島を与えられている。
7月16日 ハワイ諸島南南東25キロ ランプラネット研究所島
彼女は遺伝学の権威として入所し、現在生体兵器(造語:兵器として使用できる生物)
開発の第一人者として研究と実験を重ねていた。
「初陣ね」
「初めての戦闘が日本か…どうだい気分は」
「故郷はもっと西だからね。どうってこともないわ」
研究が完成したのは二ヶ月前だった。エクナム博士が理論を提唱してから
23年、何度も実験が繰り返され、何人もの優秀な研究者がさじを投げ、
その度に新たな頭脳がこの難関に挑戦しつづけて――――――
彼女がその主任について二年と半年、彼らはようやく合衆国の戦力として
数えられるに足る完成度を持ったのである。
今回、名義的にTMTを名のれたのは、5週間前の実験で彼らを圧倒したからである。
無人島での演習の結果、彼らは極めて安全かつ確実に10倍の兵力差を
ひっくり返した。捕獲されるまで鳥肌が立つ暇も無かった――――そう隊員の一人が
悔しそうにもらしていたのがゆかいだった。
「何を笑ってるんだ、ミヤコ?」
「ん?…いい仕事、したなってね―――――」
彼女の名は長岡 京。大学を卒業し、渡米して遺伝子研究所でクローンの研究に
たずさわってから8年。ランプラネットですら鬼才と称される頭脳は、
かつてない充足感に満たされていた。
7月16日 神奈川県横川市 六浜港
一
「あかしま」の事故から二度目の朝を迎える。
熊崎はめいっていた。
宮本をはじめとして、機関部でも5人が重傷を負い、若いのが二人死んだ。
昨日の通夜はまったくいたたまれなかった。
今日は昼から合同葬儀が行なわれる。熊崎は警察の審問が終わってから
ずっと遺族の老婆を励ましていたが、北海道から親類が来たとかで、
邪魔にならぬよう散歩に出たところだった。
しばらく寝ていないが、船を見ていれば少しは気が休まる。
一つ気にかかることがあった。テレビのニュース。
事故の要因が機関部の故障とされていたこと。あの直前、計器に異常は
見られなかったはずだ。怒りが沸く心境ではなかったが、納得はいかなかった。
警察の審問内容にも食い違う。
熊崎は、事故の要因を掴み所の無い黒い霧のように感じた。
そういえばあの遭難者は見つかったのだろうか――――。
事故以来、その話もトンと聞かない。
わからないことだらけだ。また頭を使っている自分に気づく。
あんまり丈夫じゃないんだ。これ以上働かせても仕方ない。
熊崎は背伸びした。
ふとこげた臭いが鼻を突いた。事故以来、嫌いな臭いだった。
目をめぐらすと煙が上がっている。
そのふもとには子供がいた。
あれだったりしてな。
熊崎はぼんやり近づいて行った。
136 :
ズーン(○▽・):03/11/29 20:37 ID:d9wo/mh4
保守
137 :
名無しさん?:03/11/29 20:55 ID:mbRi8Fp3
コーナンの両面テープ最強伝説
ここまで読んだ。
二
「火遊びしちゃ駄目だァ」
熊崎は声をかけた。ゆっくりと振り返ったそのかおは、
海で育ったらしき焼けた肌をしていた。見慣れた色だった。
「魚を焼いてるのか」
少年は何も言わない。目にはすこしおびえが入っているように見えた。
「それが朝飯か?とうちゃんやかあちゃんはどうしたんだ?」
「…」
「このへん、夏の魚はまずくないか」
「…」
「夏休みはまだだよなぁ」
少年は魚を口にした。
「まずいだろ?」
「うん」
「お…喋ったね」
「東京へはどう行けばいい?」
「東京か…。電車なら横川線で小山まで出て
特急に乗って一時間くらいかな」
「電車はどうやったら乗れるの?」
「んん?駅で切符買って、のりゃ良いんだよ。
東京に親戚でもいるのか?」
「駅はどこにあるの?」
「…まあ帰り道だし、つれてってやってもいいが…」
「行く。つれてって」
「いいぜ。火はちゃんと始末しろよ」
三
朝の駅は人でごったがえしていた。上り線ならなおさらだ。
「金持ってねーのか」
熊崎は少年を顧みた。
「あ―――…全部使っちゃったよ」
「しょうがねーなぁ…
もういい、乗りかかった船だ。おごってやるよ。
東京か…横川線で小山までいって、根岸線に乗り換えだ。
わかるか?まあわかんなきゃ途中で人にききゃあいい。
だいたい2時間ぐらいだろ。
駄賃だ。東京じゃ金がかかるからな」
そういって熊崎は少年に一万円札を渡した。
「ありがとう」
後になって考えると、どうして見知らぬ子供にそこまでしてやったのか
わからない。事故からの心労で調子が狂っていたのか。
普段の自分から考えると、この日のことは全く異常と言うほかない。
ともかく、ヤニのたまった目で少年を見ていると、ふと助けてやろうと
言う気になった。なにか神聖とも言える魅力を感じた。
横川市は自衛隊陸軍基地や米軍の駐屯地がある街である。
かつては軍港として栄え、現在もその特色が生きている。
熊崎が少年を駅に連れて行き、切符をかわせ電車に乗せるまで、
彼は何人もの軍人や警察に目撃された。
そしてその一人が気づいた。見送ったところで熊崎は連行された。
連絡は上に上げられ、指示が飛ぶまで約7分。その間、
少年が乗った横川線小山市行き快速特急は満員の乗客を乗せて
六浜から発車していた。
7月16日 JR横川線
「だめです、人が多すぎて…アナウンスは使えないんですか!」
急遽連絡を受けて田浦駅ホームに向った田浦駐在所の巡査は
無線に叫んだ。
「だめだと言われている。肉眼では発見が困難か?」
「無理です、時間を考えて下さいよ、なんで放送しちゃいけないんですか」
「…わからんのだ!とにかく…」
「もう発車します、発見は無理です!」
乗客を詰め込んで、電車は駅を発車した。
「だいたい無理に決まってるじゃねーか、ラッシュん時に子供一人
足で見つけるなんてよ!」
徹夜明けの巡査はホームの鉄柱を蹴飛ばした。
その次の鎌倉駅でも似たような光景が繰り返され、
結局その子供は発見されなかった。
その間約20分、少年発見の報告は市ヶ谷にも届いていた。
7月16日 東京 警視庁
アナウンスは使えない…
そんなことをして「彼」を下手に刺激すると
最悪当の電車の乗客全員の命に関わる。確実に保護する方法を見つけねば…
警視総監の粟田は他の仕事をそっちのけにして今回の指揮を取っていた。
「神奈川県警から連絡です!少年を駅に連れて行った男からの聴取で
少年が東京に向っていることが判りました」
粟田は秘書からの伝令を聞いてわずかに考え込み、
「乗ったのは六浜からだったな、東京に行こうと思ったら
どこで乗り返ればいいんだっけ?」
「横川線は小山で東海道本線と根岸線にわかれます。ので、
そこで乗り換えですね。少年の乗った7時47分発の快速特急は
8時37分に小山市に到着します」
「よし、そこに人員を集める。都内でこっちの権限も完全に行き渡るしな。
所轄から人員をさけ!どの仕事より最優先だ、必要最小限の人間を残して
全所員をJR小山市の横川線ホームから根岸線ホーム、連絡通路、ついでに
駅の全出口に配置しろ。絶対に逃すな、見つけたらこっちに情報を上げて
追跡しろ。」
そういって粟田はピンの刺された地図を見まわし、指を指した。
「よし、えーとここだな、小山署。ここに捜索本部を設置するぞ。
ここの所長ならよく知ってる。うまくやってくれるはずだ、さっき言ったことを
通知してくれ。とにかく少年の発見が最優先だと念を押しておけ、
目的は機密扱いでいい。あと、何分だ?」
「約30分です」
「時間が無い。急げ!」
7月16日 東京 小山市
「今日から夏休み―――――!!!」
「いや、まだ月曜あるって!」
めずらしく早起きしたゆうきとまなみは伊勢電気店の前で待ち合わせていた。
「ま、いいじゃん、どうせ今日はサボるんだしね。さあいこいこ!」
今日は海に行くことにしていた。ここ数日の暑さでゆうきが決めたのだ。
「市民プールじゃ朝は怪しまれるし、ガッコじゃたるいしね。
ま、海が一番だな、泳ぐにゃ」
「そうだね」
別に依存は無かった。特に金もかからないし、今日なら海水浴の客も
少ないだろう。海が比較的近いと言えるこの街では、何度と無く
気まぐれに横川の海水浴場に行くこともあった。
「また横川だよね」
「この辺泳げる海ってそこぐらいっしょ」
二人はすたすたとサンダルを鳴らして駅へ向った。
今日も暑かった。
7月16日 ハワイ沖 ランプラネット研究島
「見つかったらしいぞ!」
「ほんとか」
「ミヤコ!」
「ええわかってる、どう、日本のコンピュータは」
市ヶ谷 防衛庁情報本部
「覚醒します。感度良好!すごいですね、そっちの処理度なんて
問題にならない性能ですよ。博士も里帰りがてら来日すれば良かったのに」
「こっちでしか出来ない分析もあるからね。リアルタイムでやりたいのはこっちなの。
どんなかんじ?」
「まだ正確な位置は判明していないようですが、カナガワで目撃されたそうです。
あと数十分で発見できると言ってきましたがね」
「なら信用して起こしましょう。知覚情報はたえず送信してよ」
「メモリ、大丈夫ですか」
「国防省からふんだくっといたでしょ。一月前にね」
「そうでした。では起こします。そちらも準備してくださいよ」
5分後、仮眠室で三人の男が目覚めた。
城之崎の部下がコーヒーを持っていったが、だれも飲まなかった。
小太りの男は軽く会釈して、城之崎の説明を聞いていた。
まるで表情を変えることなく説明を聞いているのかも分からない彼らに、
城之崎は初めて恐怖を覚えた。
ひとつ断わっておくことがあるわけだが、
作中に出てくる東海道本線や根岸線、田浦駅、鎌倉駅などは
実在する名前を使ってます。
横川市は横須賀市のぱくりですが(六浜は久里浜のぱくりね)
小山市というのは全くの架空の都市です。
位置的には川崎市の北東部分と思ってもらえればいいです。
で、この辺に住む人はここらへんの描写がかなり無茶苦茶に感じると
思うわけですが(田浦に快速特急が止まるとかそもそもJRに
快速特急なんかあったっけとか神奈川側の東京は区ばっかりだろとか)
地名が一緒のちょっと似てる世界程度に思って読み飛ばしてくれ。
ついでだからいっとくが
ランプラネット研究所はほんとはランドスター研究所です。
原爆のことかいちゃったら特定されすぎてぱくりにもならんというのに
気づかんかった。
面白くなってきた!
ageとく
ここまで読んだ。
よかった。
久しぶりに来てみたらまだ続いてた。
ズーン(○▽・)サソ乙。
よくこんなに書けるなぁ。
今回勢いがあってよかった
小山市ってほんとにあるよー、と無粋なつっこみをしてみる
んが(・∀・)イイネイイネー
面白いYO
153 :
ズーン(○▽・):03/12/04 00:21 ID:5D6ox5Jy
ほ
ホッシュホッシュ
ほっほーう
ほ
ほほーい