79 :
名無しさん?:
「申し訳ありません、お父様、僕が大人げありませんでした。
ついカっとなってしまって・・・」
俺は涙ぐんだ。
もちろん演技だが
「わかればよいのだ。お前は磯野式古流拳法の才能は
確かに無い。しかしお前も私の息子なのだ。それを忘れるな。
では食事をしなさい」
俺は親父のそばを離れ、自分の席についた。
家族が全員揃ったので、親父が家族に向けて話し出した。
「わかっているとは思うが、あと10日後になった。
なんの事だかは分かるな?タラオ」
親父は孫のタラオがお気に入りだ。食事の時はいつも
タラオに話かけている。
「ハイ、オジジサマ。イソノサイ(磯野祭)デ、ゴザレ」
タラオは当たり前の事のように答えた。
80 :
名無しさん?:02/05/13 17:12 ID:FU4cLm3w
「そうだ。皆完璧に準備をしておくように」
親父はこれだけが言いたかったらしく、話が終わると
ライオンのようにシャケをかじりはじめた。
食事を終え、俺は学校へ行くしたくを急いだ。
もちろん学校へ行く気などないのだが・・・
「お兄ちゃん、早くしないと、置いていくわよ!」
ワカメが発狂した。
殺意を覚えたが、実行するにはまだ早かったので、
自分を押し殺して返事をした。
「スマン、今行く・・・」
俺はワカメと一緒に玄関をでた。
さっき親父は俺に「磯野式古流拳法の才能が無い」などと言っていたが、それは違う。
俺に「学ぶ気がなかった」だけなのだ。
まあ、後でわかることだろうから、今はこの辺にしておく。
家を出て50メートルくらい歩いただろうか?
もういいだろう
81 :
名無しさん?:02/05/13 17:13 ID:FU4cLm3w
「おい!ワカメ」
隣で必死に「キックザカンクルー、キックザカンクルー」
と叫んでいるワカメに声をかけた。
「なに?おにい・・・・・グハっ・・・」
声をかけると同時に、俺はワカメの腹に素早くパンチを入れていた。
ワカメは不意打ちだったので、簡単に気絶した。
不意打ちでもないと、こうも上手くはいかなかっただろう。
俺はワカメを担いで、近くの川まで走った。
そしてとりあえずワカメを縄で縛り、川に投げた。
これで少し時間が稼げる。
俺は休む間もなく走った。
行く先はもちろん学校じゃない。
5分くらいで目的地に着いた。巨大な洋風の屋敷だ。
82 :
名無しさん?:02/05/13 17:13 ID:FU4cLm3w
「イササカ先生!!イササカ先生!カツオです!
カツオ・イソノです!開けてください!」
無言のまま何の反応もない。
俺は続けて呼びかけた。
「先生!時間がありません!磯野祭がせまっています。
今日で僕も満11歳です!奥義を伝授していただきたく
参りました。お願いします!イササカ流暗黒武術の
奥義を!!!!」
ギギーーーっ
出迎える者も無く、ただ扉だけが開いた・・・・
続く