・
2
やった!タクロー様が2げっとだ!!お前等俺様のCD買え!クソヲタ共が!
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄
/´⌒`v´ ̄ ̄`⌒\
/;;;;;!!ijl|;;| ;!!ijl| ;;!!ijl|;;ヽ
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/;;;;;!!ijl|;;/'_ \ ヽ;;;;;!!ijl|;;;;;;;!!ijl|;;!!ゝ
/;;;;;!!ijl|;;/<●> Vヽ、;;;;;!!ijl|;;;;;;;!!iヽ>
丿;;;;;!!ijl|;;|  ̄/ / | \;!!ijl|;|;;;;ijl|;;~
丿;;;;;!!ijl|;;l|  ̄ | | |;;;;!!ijl|;;ヽゝ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〜ノ( |!ijl|;| / / | \ |;;;;;!!ijl|;;!jl|;;ゞ |
ノノ;;;! |l 'ー、,‐` /;;;;;!!ijl|;;;ijl|;ゝ < ドンウォリドンウォリー
|;|;|| ー―^v^ー、_ |;;;;;!!ijl|;;/ |
|l;jl|\ \ ̄ ̄丿 /;;;;;!!ijl|;;ゝ \_________
|;;!!ijl|;;\ `ー‐´ /;;;!!ijl|;;| ̄
丿;;;!!ijl|;;jl|\ /;;;;;!!ijl|;;ゝ
 ̄丿;;;;;!!ijl|;;|\___/|;;;;;!!ijl|;;ゞ
V))v((v;| |))V))Vゞ
>>3 大体お前気に入らねえええええええ!!!!!
>>4 誰の力も借りねえ!!消えてくれええええええ!!!!!!
>>5 雪が見たいならシベリアに行けええええええ!!!!!!
3
…
・・・
豆板行けよ
・・・・・・・・
クルックー
クルックー
クルックー
ポッポー
・・・・・・・・・・
((゚))
パックマン
クダラナイネ
・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・
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(・●・)
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ё
( )( )
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(ё)
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(ё)<よろしく!
( )( )
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よろしく
(ё)<はじめてのAAどう?
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27 :
名無しさん?:02/05/07 14:38 ID:Z3i8//0o
GWが開けたらゴミ沢山、処分処分と/
______ _________/
∨
------------- 、____ ウワァァン ヽゝ バカ
/  ̄ ̄ ̄.// ̄ ̄|| |___/\ヽ(`Д´)ノ ヽ(`Д´)ノ
イッテヨシ!.∧//∧ ∧.|| | \ .\(
>>1 )ヽ(`Д´)ノ (
>>1)
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>>1 ) / ヽ ノ
.||_ ___|_| ̄ ̄ ∪.|.| |___\ \ / ヽヽ(`Д´)ノ ノ
.lO|--- |O゜.|______ |.|_|ニニニニニニl.|ヽ(`Д´)ノ(
>>1) ゴルァ
|_∈口∋ ̄_l______l⌒ l.|_____| l⌒l_|| (
>>1) /ヽヽ(`Д´)ノ
──`--'───`ー'─── `--' `ー' ┐ /ヽヽ(`Д´)ノ(
>>1 )
│ヽ(`Д´)ノ(
>>1 ) /ヽ ノ
│ (
>>1) /ヽヽ(`Д´)ノ
│ ミ / ヽヽ(`Д´)ノ )ジャブーン
│ ;: (
>>1 )’/ ヽ〃、、..
ボシャーン ミ ミ\ヽ(`Д´)ノ /ミ
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(ё)<手つけたほうがいいか
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(ё)
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(`Д´)<しね
ヽ( )( ) ノ
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@ノハ@
( ё )
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@ノハ@
( ё )
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現在、ラウンジはいつ閉鎖になってもおかしくない状況です。
人は何故糞スレを建てるのか
若き日々は過ちの積み重ねで出来ているのさ
36 :
1:02/05/09 16:25 ID:???
5年前の話である。
2年前から付き合っている修司に
結婚を申し込まれ、紗江子は快く承諾した。
37 :
2:02/05/09 16:25 ID:???
結婚指輪はさほど高価なものではなかったが
修司の愛が感じられそれだけで紗江子は十分であった。
結婚式も2人ともお金がなかったため派手に
大勢の人を呼んで豪華な料理を出し
高いウェディングケーキにナイフをいれたり
することはできなかったが、2人の仲のいい親友
そして今まで愛を持って育ててくれた両親
が出席して華々しくはないものもいい結婚式だった。
その後親に援助してもらって新婚旅行は
常夏の島、ハワイへ行った。
いっぱい写真をとり世話になった両親、親友
へのお土産もどっさり買い込み、
自分たちの思い出にワインなどを買った。
楽しい旅行であった。
それは平凡な日常とはかけ離れた日々であった。
38 :
3:02/05/09 16:26 ID:???
旅行から帰ってくるとさっそく
安い1LDKのアパートを借り新婚生活が始まった。
最初のうちは互いの知らない部分が見れて
新鮮で毎日が楽しかった。
しかし、互いのいやな部分が見えてくる。
付き合っていたときは見えなかった互いのいやな部分が。
それでも互いに、修司は仕事をがんばり紗江子は家事頑張った。
紗江子は結婚前ほとんど家事をしなかったが
この3ヶ月でだいぶ家事にも慣れてきた。
しかし、生理がこない。ちょっと遅れているのかと思ったが
生理がこないのである。念のため妊娠検査薬を買う。
使ってみると2本線。妊娠していたのである。
家事にも慣れてきてようやく自分の時間が取り戻せそうだったのに。
子供が生まれると子供の世話で3年間は自分の時間がないだろう。
39 :
4:02/05/09 16:35 ID:???
子供が生まれた。
生まれてみると3つ後だった。
修司の希望で子供の名前は「博史」「恵太」「桂子」に決まった。
名前から察するとおり男の子2、女の子1である。
子供が生まれたせいで前より生活が苦しくなる。
ましてや3つ子。アパートを売り払い安い団地へ引っ越した。
3人もいれば鳴き声も大きい。
隣近所から苦情が殺到し、近所付き合いもままならない。
紗江子はこんな生活にはもう懲り懲りしていた。
そして3つ隣の部屋の主人、草川さんと不倫をはじめたのである。
40 :
5:02/05/09 16:41 ID:???
不倫の日々はつらいものであった。
今となっては愛などないが、
やはり昔愛した主人に後ろめたいものである。
そして自分の生んだ子供にも申し訳ないと思った。
しかし草川さんを愛してしまったのである。
主人のいない時間、そして子供たちが保育園に
いっている時間を見計らって草川さんと
会い、そして愛し合った。
41 :
6:02/05/09 16:54 ID:???
当然そんな日々は続くはずもなかった。
永遠など存在しない。紗江子はそう思った。
旦那に離婚され、団地にいられなくなった草川さんも引越しし、
もちろん自分たちも引っ越した。
自分たちといってももう離婚しているが。
子供たちは旦那とだんなの両親に引き取られ、
紗江子は1人になってしまった。
再就職の口もみつからず、嫌々ながら
風俗で働いた。
あの新婚旅行などの幸せな日々。
結婚前の平穏な日常。
そして子供たち。
それらはもう帰ってこない。永遠に。
紗江子は性欲に溺れ、物欲に溺れ堕落していった。
快感を求まるためならなんでもした。
露出。SM。
思いつく限りのことをした。
一時の欲におぼれて。
終焉。
42 :
2-1:02/05/09 16:58 ID:???
第一幕
忠太は朝から不機嫌だった。今日は月曜日、また憂鬱な一週間が始まる。
忠太の通う小学校には、留吉と言うくまねずみをリーダーとした、いわゆる
番長グループが存在するのだが、その留吉が事ある毎に忠太をいじめるのだ。
「おめぇよぉ。普通『ねずみ』っつったら、ねずみ色なのが相場なんだよ!
なんだ?おめぇのその毛並みは。オレンジ色のねずみなんて、見た事無いぜ!」
留吉が忠太をいじめる時の、お決まりの口上である。
そう、忠太の毛色はオレンジ色。普通のねずみとはかけ離れた色であった。
それが、いじめっ子達の格好の餌食となる所以であった。
何故、忠太だけが「オレンジ色」の毛を持っているのか。それは、忠太が
人間の祭りの出店から脱走した「カラーねずみ」だからだ。忠太の仲間達
だった「ピンク」「青」「緑」など、カラフルに毛を染められたねずみ達
は次々に売られて、人間の家に行ってしまった。忠太だけが辛くも脱走に
成功し、空腹で行き倒れているところを今の母親に助けられたのだった。
「はぁ、今日もまたいじめられるのかなぁ?嫌だなぁ……」
忠太はため息をつきながら、それでも学校へ向かって重い足取りで
歩いていった。
43 :
2-2:02/05/09 17:30 ID:???
第二幕
やがて、いつも留吉にいじめられる空き地に差し掛かった。
「……今日は待ち伏せしていないかな?大丈夫かな?……」
塀の影から、恐る恐る覗こうと身を乗り出した時……
「貴様!絶対に食ってやる!そこを動くな!」
留吉の叫び声である。忠太は慌てて首を引っ込めた。
「あぁ、見つかったぁ。しかも、なんか不機嫌そうだぞ。」
忠太は、これから行われるであろう数々のいじめを想像し
恐怖に打ち震えた。
「止めたほうが身の為だぜ、ねずみの坊や。」
「うるせぇ!ミミズなんかに舐められてたまるかってんだ!」
なんだか様子が変である。どうやら、留吉の相手は自分ではないようだ。
忠太は覚悟を決め、恐る恐る首を伸ばした。
44 :
2-3:02/05/09 17:40 ID:???
第三幕
空き地の真ん中、積み上げられた土管の前に、二人は少し離れて
対峙していた。小学生とは思えぬ、あの留吉の体。見ただけで、
背中に寒いものが走る忠太だった。留吉の対峙する相手のほうに
目をやると、そこに立っていたのは、なんと一匹のミミズであった。
見たところ至って普通のミミズ。それを、あの巨大な体の留吉が
いまにも飛び掛かりそうな気勢で、威嚇しているのである。
「てめぇ、覚悟しやがれ!」留吉が叫び、飛び掛かった次の瞬間、
「ぐぁ!」うめき声と共に崩れ落ちたのは、なんと留吉のほうであった。
「なんだ?いったい何がおきたんだ?」忠太は、たった今目の前で
起こった出来事が信じられず、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「だから言っただろ。世界は広いんだ。自分の物差しで全てが測れる
と思ったら、大間違いだぜ坊や。」
身長こそ半分程度の違いしかないが、体重で言えば何十倍、いや
何百倍と違う相手である留吉を、一瞬で倒してしまったミミズが
クールにそう言った。
「か、カッコイイ……」惚れ惚れと見ていた忠太だが、やがて
あることに気が付いた。
45 :
2-4:02/05/09 17:59 ID:???
第四幕
土管の陰、マンホールの蓋が少し持ち上がり、そこから黒い影がゆっくり
留吉に向かって伸びていき、やがて留吉の体に吸い込まれるように消えて
行ったのだ。
「なんだったんだ?今のは……」忠太が思ったその時、たった今まで
気絶してたかに見えた留吉がムクッと起き上がった。その目が怪しく光る。
ミミズのほうはといえば、油断して背中を向けている為、まったく気付いて
いない様子。
「あ、危ない!」
留吉がミミズに襲い掛かったその瞬間、思わず忠太は飛び出していた。
ミミズを突き飛ばし、留吉の一撃をもろに受ける。やられた。
「坊や!大丈夫か!くそ、こんなところに潜んでいたのか。くそっ
油断したぜ」
薄れ行く意識の中で、忠太は見た。大きな体が、更に倍ほどの大きさに
なった留吉を、やはり一撃で倒すミミズの姿を
46 :
2-5:02/05/09 18:45 ID:???
第五幕
やがて気が付いた忠太は、事のいきさつをミミズ(名をワームと言う)
から聴いた。遥か東のあるところで、モグラの大国とミミズの大国の
戦争があった。辛くもミミズが勝利を収めたが、モグラ大王の怨念が
黒い影となり、近くのネズミ王国の国王に取り付いてしまったのだ。
モグラ大王の怨念の取り付いたネズミ大王は、不思議な術を使い
瞬く間にミミズ王国を滅ぼしてしまったそうだ。
「ミミズ王以下、側近の数名は命からがら逃げ出したが、その後も
近隣のネズミの国を次々に乗っ取り、その魔の手はついにこの近辺にも
及び始めたらしい。早く伝説の武器と伝説の勇者を見つけ出し、モーグル
大王の亡霊を倒さなければ、大変な事になる。その、伝説の武器と
勇者を、俺は探しているのさ。」ワームはそう説明した。
「伝説の勇者って?」忠太は、今まで聴いた事も無いスケールの
大きな話に、恐怖と共に少し心踊るものがあった。
「うん、伝説によると、怨念による魔力に憑依された動物は、同じ
種類の動物でないと倒せないそうだ。そして、その勇者は他の者達とは
ちょっと外見が違うらしい。」
「外見が違う?」
「動物の種類に関わらず、勇者となる者の姿はオレンジ色に輝いて……」
言いかけて、ワームは思わず息を呑んだ。目の前にいるあどけない少年
の姿。それはまさしく伝説に伝えられた勇者の姿そのものだったからだ。
47 :
2-6:02/05/09 18:52 ID:???
最終幕
忠太は決意した。
自分が勇者として成長し、モグラ大王モーグルを倒す事が世界を、
自分の育ったこの町を救う事になるのだ。元々、臆病ではあるが
正義感は人一倍強い忠太。
「二度と帰れない旅になるかもしれんぞ。いいのか?」
ワームの言葉に大きくうなずく忠太。
伝説の武器を求めて、二人の旅は今始まった。
To Be Continue.
ブクマク
49 :
3-1:02/05/09 19:59 ID:???
インターホンの音で目が覚めた。時計を見るともう昼になろうとしている。
ベッドからもぞもぞと起きだして、寝癖を直しながらドアを開ける。
「あら、いま起きたの?」
「あ。綾子さん・・・」
廊下には少し呆れ顔で、お隣の奥さんが立っていた。なかなか仕事が見つからず、
昼間からごろごろしているおれに同情してくれるのか、何かと世話を焼いてくれる。
「おすそわけしようと思って」
シチューが入っているらしいタッパを受け取りながら、机の引出しの中に入っている
写真のことを思い出し、胸が高鳴った。
50 :
3-2:02/05/09 19:59 ID:???
あの写真・・・。
「いつもすみません」
ぺこりと頭を下げる。
「いいのいいの。うちの人は仕事が忙しいから、めったにわたしの
料理なんて食べてくれないんだもの」
冗談めかして言う彼女の眩しいような笑顔を見て、心を決めた。
「・・・あの、少しあがっていきませんか」
「え?」
「お見せしたいものがあるんです」
51 :
3-3:02/05/09 20:00 ID:???
綾子さんは一瞬訝しげな顔をしたが、
「・・・それじゃお邪魔しようかしら」
と玄関にあがり廊下をすたすたと歩いていく。
男の一人暮らしの部屋にあがるのに、抵抗は
ないのだろうか・・・?
「ちょっと散らかってますけど」
慌ててテーブルの周りを片付けた。
綾子さんは部屋を見回しながら、
「やっぱり男の人の一人暮らしはダメね」
と苦笑している。
「いまお茶いれますから」
机の引出しから“あの写真”をそっと取り出し、
キッチンへ。二人分のコーヒーを用意して
部屋に戻り、カップと一緒に写真を差し出した。
「あら、何?」
写真を一瞥した綾子さんの顔が、耳まで赤くなるのがわかった。
52 :
3-4:02/05/09 20:00 ID:???
写真には綾子さんが写っている。彼女の左手は服の下の胸に
右手はスカートのなか。
「こ、これ・・・」
「偶然撮れたんですよ」
驚いた表情でこちらを見上げる彼女の唇に唇を重ねる。
「いやっ」
逃げようとする彼女の手をおさえ、
「この写真は二人だけの秘密にしましょう」
そう耳元で呟く。
「わかったわ」
再び唇を重ねた。
彼女の柔らかな肉体を抱いた。
夢のような時間だった。
けだるい午後の日差しのなかで呟く。
「すみません、でも、以前から、奥さんのこと・・・」
「わたしもよ」
「え!?」
驚かされるのは、こんどはこちらの番のようだった。
「あんな写真、偶然撮れると思う?」
そういって彼女は悪戯っぽく微笑んだのだった。
了
あっしゅく
55 :
4-1:02/05/10 10:34 ID:???
雨の降る夕方、俺は家の前で呆けていた。
買い物の帰り、無防備なときに振り出しされてしまい、
俺はすっかり濡れ鼠になっていた。
隣のドアが開き、深野さん――だったと思う――が顔を覗かせた。
「あら」
「あ、どうも」
間の抜けた挨拶をしてしまった。
それに、ぼさっと突っ立っている自分の様を想像し、ばつが悪く、愛想笑いでごまかした。
「……? 岸田君よね。どうしたの? ずぶ濡れで」
「あ、いや、鍵を失くしちゃって」
「……あぁ、じゃ、彼女が帰ってくるの待ってるんだ」
彼女は笑った。
「ええ……」
「でも外寒いでしょ。うちで待ってたら?」
「あ、いや、結構です。ご迷惑ですし……」
と、彼女は俺の手をとった。
はっとしてその手を見る。真白で、長細い指。指輪が目に入った。
「いいのよ。今、うち、誰もいないし」
引っ張られるまま、俺は彼女の家に入った。
押し切られ、強引に、断れぬまま――云い訳の言葉は追いつかない。
俺は単に、好奇心に負けたのだ。
起こるはずもないのに、どこかで期待していたことが現実になる。
すぐ醒める夢でも、少し見させて欲しかった。
それが……あれほど長い夢になろうとは……。
56 :
4-2:02/05/10 10:35 ID:???
「そこ座って待っててね、タオル持ってくるから」
「すいません……」
俺はごわごわのジーパンで、恐縮しながら椅子に座った。
深野さんの人となりは、よく知らなかった。
隣に住んでいる若いおねぇさん……同棲している彼女とも、そんな程度にしか話題にしなかった。
名前だってさっき、表札でこっそり再確認したくらいだ。
部屋を見回す。思ったよりも殺風景な。色彩と云えば壁にかかったカレンダーくらいか。
「彼女、帰り遅いのー?」
戸の向こうで声をあげる。
「いや、今日は早めに帰るらしいです」
「そっか。はい、タオル。今コーヒー淹れるね」
「あ、どうも」
あ、どうも。こんな気の抜けた返事しか出来ない。俺は確かに緊張している。
雨音は強くなる。
「こないだ岸田君ゴミ出ししてたね。感心だね」
俺の横顔を見ながら彼女は云った。
「いや、まぁ代わりばんこにやってるだけですから」
「そっかー。若いっていいわねー」
「冗談。深野さんまだ……」
「ふふ……結構歳よ」
彼女は笑った。俺も笑った。24の俺と、5つ以上離れているようには見えない。
57 :
4-3:02/05/10 10:35 ID:???
話の接ぎ穂がなくなって、無言のまま2度もカップに口をつけられず、俺は訊いた。
「旦那さんとかは……」
「ん? 私? いるわよ、一応」
「あ、そうですか……」
「見たことないわよね。滅多に帰ってこないもの」
彼女の視線は宙を舞う。
「……前は岸田君達みたいだったんだろうなぁ……私達」
うっかり変なことを聞いただろうか。俺はそのまま縮こまった。
振り返って彼女は云う。
「見てると羨ましくなっちゃう」
「そうですか? でも喧嘩ばかりですよ」
「あはは。そうね。時々聴こえてくるわ」
「あ、いや、恥ずかしいですね」
「そういうときはどっちが譲るの?」
「……僕ですかね……押しきられて」
「そうね。岸田君優しそうだもの」
彼女は俺をじっと見た。
「岸田君が彼氏だったらなぁ……」
俺の頭の中でその台詞が何度か往復した。
妄想通りの展開に、どう動いていいか分からない。雨音も聴こえない。
すると、彼女は立ち上がって、俺の後ろに周り、そっと俺に抱きついてきた。
その時、廊下で靴音が、鍵を回す音が聞こえた。ドアが閉まる。
隣だ。彼女が帰ってきた。俺は、溜まりかねて、声を出した。
「あの……」
彼女は強く抱きつく。
「帰っちゃう?」
咄嗟に俺は二人を天秤にかけた。正しくないことをしようとしているのは確かだ。
隣の部屋からかすかに、慌しい物音が聞こえ、また鍵を閉める音が聞こえた。
俺はそれをじっと聞いていた。彼女はまた出かけたのだ。多分鍵はポストの中……。
「ちょっとだけ……いいよね?」
俺はその甘ったるい声に、完全に負けた。
58 :
4-4:02/05/10 10:36 ID:???
携帯のベルにびくつく。
束の間のまどろみは打ち消され、俺はジーパンから携帯を取り出し、慌ててベッドを立った。
「もしもし」
『今何処? まだ仕事?』
「あ、あぁ……いや、今、家……の近く」
『よかった。鍵見つけたんだ。今ちょっと友達と飲んでるんだ。シンもこっち来る?』
俺は深野さんを振り返った。
こっちをじっと見ている。口は枕に隠れ、本当の表情は見えない。
「いや……そうだな、うん……行くよ」
『じゃ川崎まで来て。そしたら電話して。じゃね』
元々電波も悪かったようで、こっちが最後の返事をする前に電話は切れた。
「……呼ばれちゃったね」
俺は何も答えず、立ったまま服を着はじめる。
とてもばつが悪かった。途中で背中を向ける。
シーツの擦れる音がし、彼女が向き直ったか、立ち上がったかしたことが分かった。
今の俺は後悔で一杯だった。
呼び止めて欲しくもないし、肩に触れられるのさえ怖かった。
俺は着替え終わると、そっと云った。
「じゃ……」
「気にしなくて、いいからね?」
そのまま無言で部屋を出て、自分の家で渇いた服に着替えて街に出た。
電車の中で、あったことを思い返す。云い訳を考える。シミュレーションを繰り返す。
今日は休みだということを彼女は忘れていたようだ。だからすぐに電話しなかったんだ。
俺は買い物に出かけて、雨の間本屋か何処かで時間を潰した。
彼女の決して来ないところ。ゲーセンにでもしておくか。何しても破綻はない。
そして彼女の声を思い返す。
「気にしなくて、いいからね?」
寂しいような。残念なような。そんな風に聴こえてくる。
俺がそう望んでいる。望めば、いつでも、手に入る。頭の中で誰かがそう云っている。
59 :
4-5:02/05/10 10:37 ID:???
いつしか俺は、快楽にどっぷり浸かっていた。
まるっきりの二重生活だ。
どうやら彼女のシフトが代わり、土曜日はいつも俺一人になった。
俺が云わなくても、アヤカ――今俺はそう呼んでいた――はすっかりそれを知っていた。
いつでも彼女が俺に声をかけ、俺が断らないことで、事の了解になっていた。
俺だって何も知らない子供じゃないし、恋人との中に不満があったわけじゃない。
けれどアヤカとの事は、それを超えたものを俺に与えた。
裏切りの快感だとかを理由にする奴がいるが、
俺は単純に、それまでの想像以上の快感があったから、そうしただけだ。
俺は「どっちに転んでもOKじゃないか」と考えていた。
もし恋人にばれたとしても、アヤカがいるから構わない。
その旦那は長期の出張か何かで、当分帰ってこないらしい。
俺は安全だ。俺から、全部が取り上げられることはない。そう思い込んでいた。
60 :
4-6:02/05/10 10:37 ID:???
ところが。ある日。
丁度その最中に、”俺達の” ドアが開いた。
二人は振り返った。誰かが入ってきている。そうだ。それは一人しかいない。
俺は跳ね起きたが、それでそのあと何かできるというわけでもない。
二人とも、隠れ場所を探すのも状況の説明を捻り出すのも間に合わないまま、
彼は部屋の戸を開いた。
固まる 3人。
彼はじっと二人を見ていた。俺達は互いを見ることもできなかった。
それこそ永遠のようだった。多分本当に数分間、3人はそのままでいたんだろう。
最初に口を開いたのは、彼女の旦那だった。
「何だ?」
まずは、それだけだった。
多分彼は、全部分かっている。
それでいて、もうそれしか、妻にかけるべき言葉が無かったのだろう。
そのあと、怒涛のように言葉が続いた。
「何してるんだ? おい! お前ら!!」
アヤカが身じろぐ。俺はなだめようと立ち上がりかける。しかし言葉が見つからない。
「何とか云え!」
こんなことなど、経験したことがない。当たり前だ。どうしたらいい?
突然彼はドアの向こうに消え、俺は無意識に追おうとした。
何かの物音がして、それが何かを判断する前に、彼が俺の前に飛び込んだ。
冷たい感触が俺を突き通す。
「うぁっ……」
俺はへたり込む。白い絨毯が間近になる。多分、少し悲劇に酔っていた。
手元を見、血が付いているのを知って醒める。抑えていた腹から血がしとど漏れる。
61 :
4-6:02/05/10 10:38 ID:???
彼は俺の背後に踏み込んでいる。彼女の叫び声が聞こえてくる。
もう俺は相手にされていない。
「馬鹿野郎!」
彼女に向けられる怒号を耳にしながら、俺は這い出した。
これが、本当に死ぬ傷なのか、分からない。俺は知らない。
ただとにかく気が遠くなる。吐き気がする。
このまま俺の中身が全部流れ出す気さえする。
今はとにかく助かりたい。その一心だ。
ドアの前で半身立ち上がり、鍵の開いたノブを回して押し開いた。
そこでまた倒れこむ。隣の俺の部屋まで、相当遠い。
声も出せそうに無い。しかし実は半分は、こんなことで注目されたくない保身さえまだある。
開いたドアの陰から、靴音が聞こえる。誰かが来た。
物見高い近所のおばちゃんでもいい、とりあえず助けを乞おう。
ドアの陰から、近づく彼女の足が飛び出した。
俺はその靴をよく知っている。
見上げられない。見上げられない。
このまま助かっていいものやら、
寧ろこのまま彼女と眼を合わせないままおさらばした方がいいやら分からなかった。
俺は自分の腹を見た。玄関は血に染まっている。
全てを思い返す。こんな死に方で満足できない。当たり前だ。
今俺は、愛に殉じて死ぬわけじゃない。
多分情けなくも涙を流していただろう。俺は何も云わず、彼女を見上げた。
間を置いて、彼女は一言こう云った。
「そうなんだ」
そして彼女は淡々と電話をかけた。旦那の声は止んでいた。
結局は誰も死ななかったが、当然のごとく誰も仲直りしなかった。
俺は大して重症ではなく、それでますます彼女に見せる顔が無かった。
やってしまったことの後悔よりも、泣いたことの方が恥ずかしかった。
またやるかと云われたら No と答えるが、またしようと云われたらちょっと断りきれない。
その辺が多分、一番俺のよくわかってないところだ。
― おしまい ―
うむ
いいね。
本スレが死に掛けてる
豆
rtg
偵察
沈んだ
両方とも
どうすべ本スレ新だ
エセは地下好きだna
81 :
ntibrk007113.adsl.ppp.infoweb.ne.jp:02/05/15 23:20 ID:cyGeiVsI