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助教授:
一枚の絵、一冊の本、一つの曲。
自分が通過してきた過去が、今はしおりとなり目次となり、部屋に飾られている。
それらは当時の私自身の心象風景、そして過ごした時代の逆光を浴びて、
幽(かす)かに輝く。
シラーは「時の歩みは3重である。未来はためらいつつ近づき、現在は
矢のように速く飛び去り、過去は永久に静かに立っている。」と言った。
思い出のしおりは私の部屋に、生活空間のいたる所に、在る。
静かに立ってはいないが、棚に並んでこちらを見ている。
手にとることのできる過去に、私は囲まれている。