伊藤教信者の集い

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357名無しさん@英語勉強中
「英文解釈教室」は名著だが、一部誤訳もあるね。7.3.9に次のような文がある。

It was my teacher's genius, her quick sympathy, her loving tact which made the first years of my education so beautiful.
It was because she realized the right moment to impart knowledge that made it so pleasant and acceptable to me.

伊藤先生は、この二番目の文は強調構文ではないと説明しているが、これは強調構文だと思う。
because ... knowledge が副詞節であるのに、that以下が完全な文になっていないのが伊藤先生の根拠で、それは確かに学校文法的には正しい。

しかし、実際の英語では because 節は名詞節のごとく扱われることもある。例えば The reason is because S V という言い方は口語ではまったく普通だし、学術論文でも見かける。
(ここでは because 以下が補語になっているので、that S V とするのが一応正しいと思われる。)

また、Just because S V doesn't mean S V という言い方は、口語では非常に一般的で、かなりフォーマルな文章でも同様の構文は見かける。
(文法的に正しい形に直すなら、これは The mere fact that S V doesn't mean that S V とでもなるだろう。)

だとすると、7.3.9の二番目の文も、筆者としては because 節が名詞節であるかのような意識を持ちつつ強調構文 cleft sentence のつもりで書いていると考えるのが妥当だろう。
つまり、文法的に正しい形に直すと、次の文になるような意味を念頭において書いていると思われる。

It was the fact that she realized the right moment to impart knowledge that made it so pleasant and acceptable to me.

このほうが意味の上でも自然な解釈であり、一方伊藤先生の解釈ではかなり不自然な意味になると思う。