>>607 スタートで2頭の馬は同時に出走した。2頭は速く走りホームストレッチに並んで入っ
た。ウォーアドミラルにはチャーリーという名の騎乗が乗っていた。シービスケットが半
馬身先行していた。そしてウォーアドミラルは力が弱くなった。ウルフはポラードのア
ドバイスを思い出して、ウォーアドミラルにシービスケットの横につかせる(戻るらせる)
ことに決めた。残り千メートル(1,00?)のところで、ウォーアドミラルはシービスケットに
追いついた。最後の三百メートルで、2頭の馬は全速力を出して走っていた。ウルフはシ
ービスケットの耳に向かって叫び、自分の願いのすべてを彼に求めた。シービスケットは
それを彼に与えた。 ウォーアドミラルはシービスケットの横から後方に落ちた。ウルフは
「さよなら、チャーリー!」と叫んだが、それは競馬でよく使われる侮辱言葉となった。シ
ービスケットはこれまで競馬で聞いたこともないような大喝采に迎えられてフィニシュラ
インを跨いだ。「私がポラードのアドバイスを聞いていなかったら、私たちは勝てなかった
だろう」とウルフは言った。「私の代わりにポラードがシービスケットに乗っていればよか
ったと思います」 「もちろんだ」とスミスは言った、「でも私はポラードが君と一緒に乗っ
ていたような気がしてたよ」 シービスケットは後に「今年の馬」に選ばれた。しかしなが
ら、サンタ・アニタ・ハンディキャプで勝つという彼らの夢はまだ実現していなかった。