第111回 4月15日放送
「家電革命 トロンの衝撃」
携帯電話、デジタルカメラ、カーナビゲーション。
日本が世界をリードする多くの製品を動かす基本ソフトがある。
トロン。世界で最も使われている基本ソフトの一つである。
昭和59年、トロンを考案したのは一人の日本人学者だった。
東京大学の坂村健。パソコンから家電まであらゆるもの動かせるよう設計した。
「基本ソフトは情報化社会の基盤。空気や水と同じ」
と考えた坂村は、トロンの仕様書をなんと全世界のメーカーに無料で公開。
たちまち内外140社が集まりプロジェクトが結成された。
大手メーカーは次々とトロンで動くパソコンを試作。
誰でも簡単に使える分かり易さと軽快な動きで評判となった。
しかし、平成元年、そこに超大国アメリカが立ちはだかった。
日本に対し、小中学校で使うパソコンの規格をトロンに決めるなと迫ってきたのである。
自動車やVTRで日本に圧倒され巨額の貿易赤字を抱えたアメリカは、
輸入制限や報復関税の制裁措置をちらつかせていた。
メーカーは次々とトロン・パソコンから撤退を余儀なくされた。
まもなく世界市場を制したのはウィンドウズだった。]
パソコンの心臓部を握られた日本メーカーの利益率は低下し、
基本ソフトを持たない弱さを痛感させられる。
http://www.nhk.or.jp/projectx/111/