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名無しさん@1周年:
克服の12回目に入ろう。前回、自己受容の低い人格が形成されていくプロセス
を説明した。しかし、ここで、親だって人間だから子育てに間違いがあって当然
ではないか、というような疑問をいう人もいるだろう。そういう人は、親子関係
の問題がひとつの場面から発生すると誤解していることが多い。重要なポイント
なので、今回はその点を説明しよう。
前回は、自己受容の低い子供が成人して劣等感が強い人間になってしまった
ケースを学んだわけだが、今回はその人が親になったときのことを考えて
みよう。自分のありままを受け入れることのできない人間というのは、どういう
子育てをするのだろうか。
自分を人と比べては劣等感を感じているくらいだから、他の人にたいしても
ありのままの姿を受け入れるだけの素地がない。ましてや、自分の子供となると
ある種自分の分身でもあるため、どれほど気をつけても、自分にたいして行って
いた否定の態度(劣等感)を、自分の子供に向けてしてしまう。
つまり、その子供が他の子供とくらべて、ちょっと困った言動をすると、つい
必要以上に叱ってしまう。子供のちょっとしたマイナス面をみるだけで、
必要以上に失望の表情をさらしてしまう。
そう。自分が親からされて傷ついたまさにその行動を、自分の子供にたいしても
してしまうのである。そうして、その子供も自分と同じように自己受容の低い
劣等感の強い人間に育ててしまうのである。
すなわち、子供というのは、親の人格上の問題をストレートに引き継いでしまう
危険が大きいのである。ひとつの間違った対応を親がしてしまったかどうかでは
なく、子育て全体ににじみ出てしまうある種の傾向を親がもっていることに
よって、問題が発生するのだ。
そういう意味で、子育てとは一切テクニックが通用するものではなく、自分が
抱えている人格上の問題を克服しないでいることは、親子関係を通じて次世代に
問題を押し付けることになるでのある。