もっとも、残業代請求の時効期間が過ぎてしまった場合でも、会社と交渉してみることで、会社が労働者に対して残業代未
払いがあることを認めれば、消滅時効援用が許されなくなります。
また、使用者に対する不法行為に基づく損害賠償請求として、時効消滅した残業代の請求が認められた事例もあります(広
島高裁判決平成19.9.4判タ1259号262頁)。
退職した後であっても、労働者は遡って2年間の残業代を請求することができます。
未払い残業代の遅延損害金は、通常、年6%ですが、退職時に未払い残業代があった場合には、労働者は退職日の翌日
から支払をする日までの期間について、年14.6%の遅延損害金を請求することができます(賃金の支払の確保等に関する
法律6条1項)。
使用者が残業代を支払わなかった場合、裁判所は、労働者の請求により、その未払と同額の付加金の支払を命じることが
できますから、労働者としては、これも請求することができます。ただし、付加金の支払を命じるかどうかは裁判所の裁量にな
りますから、未払いの事情も勘案された上で、その一部のみが認められたり、全く認められないこともあります。
付加金の請求も違反のあった時から2年以内にする必要があります。
付加金に対しては判決が確定した日の翌日から年5%の遅延損害金を請求できます。
http://www.ichigaya-law.jp/article/14245273.html