S.E.S.第0話『プロローグ』

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113名無しさん@明日があるさ
0.10.「こいつら、どっから湧いてやがる?元を断たないとキリがねぇ…」
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辺りを見回すラッド。頭上には、赤黒く染まった空が、今にも落ちてきそうに広がっている。

―あの後、数刻が経った。
もう何匹倒したか分からない。倒れたゴローを守っての、たった一人の防戦が続いていた。

「ラッ・・ド・・・す・・げぇ・・・な、それ・・・。オレ・・にくれ・・・よ・・・」
「・・・バカヤロウ!分かったから喋らず黙ってろ!!それに…」ラッドの後ろから、獣が飛び掛かる。

振り向きざま、空に向かって振るったラッドの剣が、獣の体を引き裂く。
「結構疲れんだよ!次から次へと・・・さすがの俺でも、体力もたねぇ!!」

・・・辺りは、さらに暗くなっていた。
獣はどこからともなく現れ、ひっきり無しにラッド達に襲いかかってくる。

他の人達はどうなったか、誰か一人でも生き延びているだろうか、
いつまで自分もこうしていられるのか、これは悪い夢ではないのか・・・

・・・そのとき、ラッドの視線の先に、ふいに小さな人影が見えた。
「おぃ・・・!あぶね・・・」そう言い掛けたが、その人影は何も臆することなくこちらへ駆けて来る。
獣の攻撃がなぜか、当たっていない。・・・いや、正確には、『何か』に『弾かれて』いるようだ。

…ラッドの近くまで来たその少年は、まだ若い、どこにでもいる普通の少年だった。「お前、いったい・・・」ラッドはたずねた。

「僕はフィル、隣町シーマストから来ました。こいつらを倒すの、僕も手伝います」


0.10.
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