132 :
名無しさん@明日があるさ:
俺は突然の転勤命令を戸惑いながら受け止め、
少ない休日を繕って荷造りをしていた。
「東京を離れ、人生経験も含めて外を見て来い、そして、また大きくなって戻って来い。」
これが4年間世話になった上司の餞の言葉だった。
「後は全部運送屋に任せればいいや。」
俺は疲れた体一つと乗りなれた愛車で新天地名古屋へ向かった。
東京から離れるのは何か都落ちしたような気持ちもあったが、俺はまだ若い。
上司の言葉を胸に東名を走った。ひたすらに・・
浜松を抜け、再び周囲は山並みとなる。
小一時間ほど走っただろうか。 小さな街並みがポツン ポツンと見える。
そろそろ着くのかな?と思い、時計に目をやった。
突然視界に飛び込んで来た街。
俺は名古屋に入ったと確信した。
異様なビルの雰囲気。
ビルに書かれた不気味な字体の宣伝。
何か変だぞ?と俺は車中で漠然と感じ取った。
窓は締め切って、エンジン音のみの車中で・・
133 :
名無しさん@明日があるさ:2006/09/16(土) 00:27:01
迷路のような道と、不親切な標識を頼りに迷いながら走り
会社が用意した借り上げの寮に着くと、
3日ほど経ったサバの死体のような目の女子高生が俺を凝視していた。
しかも今時膝下のスカートを履き、髪の毛もボサボサなのに妙に自信ありげな不愉快な風貌・・・・
背筋にいままで感じたことのない信号がかけめぐる。
そして少女は俺が部屋に入るまで瞬き一つせずに凝視し続けていた。
おかしい。 何が起こっているのだ?
誰か不幸があったのか?事件か?
と俺は考えた。
一日が過ぎ、アパートの住民とすれ違う。
俺は挨拶を交わした。 「この度は・・・・」
そこまで言ったとき、名古屋人が遮るように、いや、被せるように言った。
「おたくえらい田舎から来たんやね。車に横浜って書いてあるがね。良かったがね。名古屋に来れて〜。」
と、表現できないほどの不愉快な笑みを浮かべて口もロクに開けずに言ったのだ。
「何が起こったんだ?? 今のは日本語か?いや、意味は分かるから日本語だ。なんだ?この違和感は・・・
田舎??何がどうなった?俺は外国に来たのか?」
しばしパニック状態になった。
俺の車はアパートからは視界に入らない、少し離れた駐車場に止めてある。
そこには40台ほどの車があるのである。