宮間あやちゃん 17

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その理由を考えると、ある1勝"を思い出す。所属チーム、岡山湯郷Belleで出場した、’06年全日本女子サッカー選手権の準決勝だ。
「相手は当時連覇中の、日テレ・ベレーザ"。一度も勝ったことがなかったから、嬉しかったですね。
見てる人が100人中100人、勝てるわけないと思っていたし、自分たちもそう思ってたくらいで。そういう実力以上のものが生まれる喜びは、団体競技だからこそ。
ひとりひとりの力を足して、2じゃなく3になることがあるんです」

W杯決勝もそうだったんですか?と聞くと、「そうだったら90分で勝てたと思う」と、クールに言う。
チームメイトとの絆は、なあなあ"でないからこそ、強い。何のために戦っているかを聞けば、「チームメイトのため」。
宮間はきっぱりと言う。「’09〜’10年に海外でプレーしていた時、みんなに周りを見ることだけでなく、自分がどうしたいかも大事だよ"って、よく言われたんです。
でもよく言う主張ができるようになった"っていうのではなく、自分の意思と同じように、他人の意思も大事にできるようになったというか。
自分も我慢してるんだから、キミも我慢して"から、自分はこうしたいけれど、キミはどう?"っていうスタイルになれたんです」
優勝決定の瞬間は、かつての仲間であるアメリカ選手のもとに向かい、敬意を表した。
帰国後は、マスコミのラブコールを振り切り、彼女の帰りを待つ岡山の所属チームにすぐに戻った。
そんな独自の動きを代表チームの仲間が許してくれるのは、宮間がどういう人間なのか、何を考えてそうしたのか、理解しているからなのだろう。
「自分がどういう人間なのか自覚することが、一番大変な作業じゃないですか。自分の場合?どうやって作ったんですかねぇ・・・。人間として完成なんてしてないですよ。
人は変わっていくものだと思うし、人を受け入れる力があれば、いつだって変われますよ」
流れに逆らわず、だがすっと一本通った筋はゆるぎない。それでいて自然体で、頑なさはまるでない。
さらにつけ加えるならば、笑顔は抜群の愛嬌だ。
「自分が強いなんて思わないですよ(笑)。練習が上手くいかなくてくじけた・・・"とか、よく言うし、悩むことも毎日。