日本サッカーの未来のためにヒデを総括するスレ

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  《中田が親しい記者に語った総括》〜武智幸徳@日経

 中田(29)にとっての最後のW杯はこの4年間「このままでは勝てない」と
思い続けた悪い予感が現実になった大会だった。中田はそれを変えようと
もがいては孤立感を覚え、それでもチームと自分がバランスする場所を
探し戦い続けた。選手生活に終止符を打った今、
「サッカーは11人の気持ちが一つにならないと勝てない」という単純な真理
を噛み締める。

「W杯予選をオウンゴール(オマーン戦)やロスタイムのゴール(北朝鮮戦、シンガポール戦)などで勝つ
ことで隠されていたものが全部膿みとして出た気がする」。
ドイツでの戦いを振り返ると、ついこんな言葉がでる。では、隠されていたものとは何か。

 突き詰めると、それは「甘さ」。世界レベルの戦いを想定しながら、試合でも練習でも
日常生活でも、どれだけ厳しく自分を追い込めるかということ。その厳しさに日本は欠けていた。
「僕よりうまい選手は(日本に)たくさんいる。それを出せばベスト8、ベスト4だっていけた。
でも、そうなるには、練習からフルに力を使い切る必要がある。練習で出せないものを
試合で出せるわけがないから。それすらなかなか理解してくれないジレンマがずっとあった。」
 代表の練習で一番盛り上がるのはリフティング競争のような遊びの類い。ゲーム形式では
ボール保持者に詰める足は形だけで楽にボールを持たせ、パスを回させる。セットプレー一本一本、
どれだけ実戦を想定して真剣にやっているのか疑問だった。
 それでも、一次リーグ突破の最大のポイント6/12のオーストラリア戦にはまだ「希望」があった。
 実際に戦ってみると、相手にさほど圧力は感じなかった。1トップのビドゥカに宮本・中沢・坪井の3人
で見るのは止めて、DFとボランチの間でいやらしい動きをするキューウェルに坪井が付くようにすれば、
もっと楽に試合を運べたという反省はあるが。
 後半、ヒディンク監督は75分までに3枚めの攻めのカードをすべて使い切った。その4分後にジーコ監督は
小野を投入する。中田は首をかしげていた。
「必要だったのは足の速い玉田のようなFW。向こうは焦って点を取りにきて、相手陣内ですぐ1対1で抜いてシュート
まで持っていける局面になっていた。2点目を取ってトドメを刺せるかどうかが分岐点だったから。」
 最終的には84分から92分までの間に3点を連取されての逆転負け。
「大会前にドイツにやられたのと同じ形。後半の半ば過ぎ、日本のFWが疲れてDFの裏を突けなくなったときに、
新しいFWを入れて圧力をかけ続けなかった。それで相手は前に出てきて、こちらは押されて下がることになった。
DFラインがゴールに近づくほど空中戦の負けは即失点につながるのに。」
 ラインの高さをどこに設定するかは日本の生命線だった。日本選手の特性を考えれば、攻守ともに選手間の距離
は詰めておいた方がいい。素早いパス交換とカバーリングを可能とするには陣形を間延びさせないことが大切だった。
中田がいくら仲間に説明しても「攻撃したいから、そう言うんだろうと思われていたみたい。伝え切れない僕の力不足
もあったかも知れませんが。」
 続くクロアチア戦は4バックに変更。ラインの高さも修正され、22分にGK川口がPKを止めた時は「日本に流れがある」
と感じた。FW柳沢にビックチャンスもあった。中田もミドルを積極的に打ちにいった。だが、後半はボールを取られる形
が悪くなり、カウンターでやられる危険性が高まった。
 負けたら完全に終わるが、勝ち点3も欲しい。前に出るべきか後ろに残るべきか。悩みながらの2戦目は無得点の引分け
に終わった。
 首の皮一枚でつながった6/22のブラジル戦、日本にとって初めてのナイトゲーム。「それは日本の動きを良くしたけれど
ブラジルの動きをもっと良くししましたね」。玉田のゴールで先制したが、前半終了間際のロナウドの同点ゴールで
「実質的に終わった」。
244 :2006/07/12(水) 18:49:15 ID:5mLMPVBn
 1分2敗という結果は、論理的な結果だったかも知れない。日本には足りないものが多すぎたから。例えば、
ボール奪取の問題がある。
「日本の守りは相手の前でパスカットすることが殆どない。守り方がきれいすぎる。ボールが来る前に相手の体勢を崩すとか、
前でカットできるよう間合いを詰めることをしない。」
「外国のDFはカットを狙い、できなければ待つ。日本のDFは最初から待つ。抜かれもしないが取れもせず、相手は
落ち着いてプレーできる。全員が抜かれてもボールを取りに行く気持ちがないと、W杯レヴェルではボールは取れない」。
 前でカットを狙わないDFとお行儀の良さでセットになってるのが、裏を突かないFW。
「FWが相手の裏を突くだけで相手は下がるから、こちらはその間にラインを上げられる。DFにすれば、
自分の目の前でキープしたり、裏を狙ってくるFWのほうが、中盤に引いて受けたがる(日本の)FWより怖い」。

 技術的な問題だけだろうか。W杯を見る者を一番失望させたのは、場にそぐわない精神レヴェルの低さだ。
40歳目前にして今なおW杯を夢見る三浦和良、8年前W杯で重傷を抱えながら奮闘した井原正巳や骨折しながら
走り続けた中山雅史が残してきた代表魂はいまどこにあるか。
「誰だって痛いとき、体がきついときはありますよ。でも、それらをひっくるめて管理して練習や試合で
最大限の力を出すのがプロでしょ。『具合が悪くて』なんて言ってる時点で”だからいいプレーができません”
と言い訳してるようで”嫌なんです、僕は。『だったらやるな』としか言いようがない。気持ちというと
わかりにくい−−覚悟なんですね。今の選手はプレーするときの"覚悟"が足りないと思います」。
 1997年5月日韓戦で初選出されて以来、何かと代表の中心であり続けた。「ファンやメディアからプレッシャー
のターゲットになっていたのは自分だし、その芯がなくなってどうなるか不安はある。形が崩れてしまわないかと」。
 自分は何か残せただろうか。
「ファンに対して他の選手に対して何かできたかと考えると、プレーで示せたとも思ってないし、結果も出せな
かった。でも、今後、どうすればよくなるか分かってくれるとうれしいんです」。

 確かなこと。中田が戦った77のAマッチでその精神レヴェルを疑った試合は一つもないということ。最後の戦い
となったドイツW杯でもそうだった。代表で、W杯で戦うということは、心技体でどういうレヴェルのものを求め
られか。その基準を中田が未来に向けて残したということは間違いないだろう。(武智幸徳・日経2006/07/12)
245 :2006/07/12(水) 21:13:20 ID:o6ODdQXG
>>243-244
あまりにも的確すぎる分析だなこれは。

やはり中田とその他の選手では、見えるものが違いすぎたのか。