加地13

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「やっぱり地味がいい」 日本代表MF 加地 亮 朝日新聞朝刊

「加地は地味だ」という評価は僕の耳にも入ってくる。そう言われるのは結構悪くない。
「右サイドは別の人でもいいんじゃない?」という評価にも「はい、誰か違う人を使って
下さい」という感じだ。
確かに僕のプレーは見た目が派手派ではない。シュートを決めるわけでもない。
でも、ボールに直接関わっていない場面での動きをしっかり繰り返すことで、周りが
生きてくることがある。サッカーには、そういう役割を担う選手が必要だと思う。
例えば、右サイドでMF小笠原がボールを持っていたとする。そこで僕がオーバー
ラップすれば、小笠原をマークしている相手DFの位置は僕のほうにずれる。小笠原
はどうなるか。相手のマークが緩くなり、視野が広がって余裕ができる。センタリングも
あげられるし、中にドリブルで切りこむこともできる。
そうやって味方を助ける一方、相手DFが僕についてこなければ、小笠原が僕にパス
を出す選択も生まれる。僕の動き一つで選択肢は一機に増える。でも、オーバーラップ
せずに小笠原の後ろに立っていると小笠原はきっちりマークされ、自由にできない。
だから僕のサイドでいかに2対1の局面を早く作るかが重要だ。小笠原に球が渡る直前
には、2、3メートル後ろにいたい。そして、トラップした時にはもう横にいるのがベストだ。
その後、僕のパスが出てくるか出てこないかは問題ではない。
好きなのはそういうプレー。目立ち過ぎると、あまりいいことはない。いい時は周囲から
持ち上げられるだけ持ち上げられ、悪い時にはガーンと落とされるから。
やっぱり地味がいい。