三度柳沢さんに謝れ!!

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2411/10 ◆DbFTEctWB2
                            ∧____∧
     \         やな〜ぎさ〜わ   | ━ ┥       /
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今から2年程前・・柳沢は故郷である富山に里帰りした。



市役所を訪問し終えた柳沢は、その足で幼馴染のI子の家に向かっていた。
I子は幼い頃からの親友でサッカー好きであり、柳沢のよき理解者でもあったが、もう何年も連絡を取っていなかったのだ。
立派になった自分を見てほしかった。
家に着いた柳沢だったが、出てきたのは彼女の母親であった。
「あら、あっちゃん!?どうしたの?」
柳沢は軽くお辞儀をし、I子がいるかどうか尋ねた。

しかし返ってきたのは予想もしない言葉であった。
2422/10 ◆DbFTEctWB2 :2005/06/18(土) 22:53:18 ID:fpizp9tp
「I子・・I子はね・・・1月前癌を告知されて・・」


・・・癌?


「担当医に寿命はどれくらいか尋ねたの。そしたらね・・」


医:「あと1年は持ちます。そのあとは3年持つか5年持つかわかりません。それは、本人と家族の頑張り次第です。」


「・・って。I子もこの事は知ってるわ。」

柳沢は何も言えず黙ってしまった。少し考えた後、病院の場所を聞き面会しに行くことにした。
2433/10 ◆DbFTEctWB2 :2005/06/18(土) 22:54:07 ID:fpizp9tp
病室に入ると、I子がいた。
少しやつれただろうか。しかし、やはり昔と変わらぬ端正な顔立ちである。

「あっちゃん・・久しぶりね!」

I子ははきはきとした口調で喋った。

柳沢はI子に色んなことを話した。またI子も柳沢にこれまでのことを話した。病気のことも、、

「イタリアに行っても頑張ってね、あっちゃんがたくさん点取ってくれたら・・あたしも頑張れるかも・・」


そして柳沢はイタリアへ向かった。
2444/10 ◆DbFTEctWB2 :2005/06/18(土) 22:54:36 ID:fpizp9tp
イタリアに渡ってから1年、思うようにはいかなかった。
15試合に出場し、放ったシュートはわずか7本、得点は0。
サンプドリアでは本来のFWではなくサイド起用だった。
不本意な一年であったに違いないが、セリエAで学んだ事は多かったであろう。

シーズンの途中柳沢は婚姻届を出していた。I子からも祝福メールが届いていた。


6/29 メッシーナへの移籍が決まる。
2455/10 ◆DbFTEctWB2 :2005/06/18(土) 22:54:57 ID:fpizp9tp
メッシーナへ移った後も成績は相変わらずであった。
22試合に出場し、0得点。
しかし柳沢が落胆することはなかった。彼なりのサッカー哲学というものがあったからだ。


柳沢はI子に逢いに行くため、帰国することにした。
2466/10 ◆DbFTEctWB2 :2005/06/18(土) 22:56:15 ID:fpizp9tp
2/10#柳沢物語
247 ◆oNfo96spOg :2005/06/18(土) 22:57:45 ID:fpizp9tp
間違えたからトリップ変更
248 ◆DbFTEctWB2 :2005/06/18(土) 22:58:19 ID:HRh87Vtu
はやくしろよ
2496/10 ◆oNfo96spOg :2005/06/18(土) 22:58:35 ID:fpizp9tp
日本に着いた柳沢は、すぐに病院へ向かった。
どんな顔をして逢えばいいか・・そんな事を考えながら。


病室に着きドアを開ける。
ベッドで横になっていたI子が柳沢に微笑みかけた。
以前のように活気のある表情ではなかった。

「お帰り、それからお疲れ様・・」

柳沢は無言でI子を見つめていた。

「点・・取れなかったね・・」

I子は続けてこう話した。
「あたし、もう駄目かも・・自分のことだからよく分かるの・・すごい不安だよ・・寝て目が覚めたらもうこの世にはいないんじゃないかって」


柳沢はまだ黙っている。言葉が見つからないのだ。


「代表戦・・・次のバーレーン戦・・あたしのために点取ってくれる・・?あたしも頑張るから・・・ね」

柳沢はこくりと頷き部屋を後にした。
2507/10 ◆oNfo96spOg :2005/06/18(土) 22:59:03 ID:fpizp9tp
6/3のバーレーン戦、柳沢は素晴らしい動きで日本に勝利をもたらした。
しかしこの試合の後、彼はこう語っている。

   ∧____∧
  从━━┥キリッ
  从* ` 3´)<FWは点を取ることだけが求められる。それだけはできなくちゃいけない。
  ( 13 )



これまで「ゴールだけがFWの仕事じゃない」と、言い続けてきた男の意識が変わっていた。
それは2年間のリーグ戦で無得点という過去の記憶と、そしてあの約束が根底にあったのだ。
2518/10 ◆oNfo96spOg :2005/06/18(土) 22:59:32 ID:fpizp9tp
そして、、6/8の北朝鮮戦

柳沢は鮮やかなボレーシュートを決める。ドイツ行きを決める貴重なゴールである。
そしてそれは、I子に捧げる柳沢からのメッセージでもあった。
2529/10 ◆oNfo96spOg :2005/06/18(土) 22:59:55 ID:fpizp9tp
6/9

病院へ向かう柳沢。



しかし病室にI子はいなかった。

28歳、、若すぎる人生。

2日前亡くなったそうだ。


柳沢は人目を忍んで泣いた。ふがいない自分とI子の運命を呪いながら。
25310/10柳柳物語:2005/06/18(土) 23:00:43 ID:fpizp9tp
まるで失恋をした時のような気持ちだった。
柳沢は髪を切り、気持ちを切り替えることにした。



そして6/17、、
コンフェデ杯という大舞台でまたもゴールを決めてみせた柳沢。

<もう大丈夫、だから心配しないで>

あのゴールにはそんな意味が込められていたのかもしれない。

          〜Fin〜