【ボンバヘ】中澤 佑二 2【アジア最強DF】

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海外移籍の話が、相手クラブと合意寸前まで進んでいた中澤佑二が一転して、横浜Mに残留する
ことを決めた。横浜Mとの契約は2009年までと異例の長期、年俸は65万ユーロ(約8800万円)だと
言う。マリノスのファンは喜んだだろうが、私は非常にガッカリしている。
年俸に関しては、移籍先の候補だったボルシアMGも1FCケルンも、同額かそれ以上を支払う用意
があった。何より2チームの監督とも中澤を「どうしても欲しい選手だ」と懸命にラブコールを送って
いた。
ケルンのラポルダーはブンデスリーガで最も近代戦術を知り尽くしている監督だ。ボルシアのケッ
ペル監督とて中澤を最初からレギュラーで使う予定だった。つまり、中澤はマーケティングのため
ではなく、実戦で使える強力な選手として期待されたのである。
来年W杯が開催されるドイツに移籍していたら、本番に向けて最高の準備を整えられた。3年前、ト
ルシエ前日本代表に見出されて以来大きく成長した彼は、更に大化けのチャンスがあったのである。
中澤は「海外でプレーしていると、日本代表のレギュラーを失うかもしれない」と不安がったようだ。
出番に恵まれなかったり、環境が変わるリスクを避けたのかもしれない。
これはお笑い草である。
彼ほどの実力者であれば、そんな心配は無用だ。海外生活の不安も関係ない。ケルンもボルシア
も、多くの日本人が居住する“リトル・トーキョー”のデュッセルドルフから至近距離。食べ物も言葉
も困らない。デュッセルからどちらのチームに出かけても、東京から横浜に行くより簡単で時間も
かからないのだ。
中澤は絶対にブンデスリーガの大海原で泳ぐべきだった。2チームとも新築なったビッグスタジアム
を持ち、毎試合5万人の大観衆で溢れかえっている。こうした環境で鍛えられれば、彼はかつての
奥寺康彦氏同様、ライン河地方の英雄になれたことだろう。
ボンバーヘッド中澤のドイツ移籍はご破算になった。彼の不安感が、この決定をもたらしたのならば
それは大きなミスに思えるし、返す返すも残念の一言に尽きる。

マーティン・ヘーゲレ 「欧州サッカー通信」  (日本経済新聞 7/4夕刊)