891 :
さく・え/ななし:2007/04/13(金) 03:49:34 ID:Z5simbwk
保守
9条は改憲してはならない。日本の為にならない。
日本人ではない朝鮮総連や民団でさえ、日本を心配して改憲への反対運動を行ってくれている。
私は日本人だが、「改憲すべき」などという者は、日本人として彼らに恥ずかしいと思います。
Q.中国から身を守る為、戦争に対する抑止力が必要では?
A.前提から間違っています。そもそも、中国は日本に派兵しようと思えばいつでもできました。
なぜなら、日本には9条があるため、空母や長距離ミサイル等「他国を攻撃する手段」がない。
つまり日本に戦争を仕掛けても、命令をだした幹部の命や本国の資産は9条により絶対に安全なのです。
にも関わらず、中国は、今まで攻めずにいてくれたのです。
Q.日米安保も絶対ではないのでは?
A.いえ、絶対です。
知り合いの韓国人の評論家もそう言っていますし、私も同じ考えです。
そして日米安保が絶対なら、日本を攻める国はなく、改憲の必要はありません。
しかも9条があれば、米国を守る為に戦う必要がなく、一方的に守ってもらえるのです。
Q.9条が本当に平和憲法なら、世界中で(日本以外に)1国も持とうとしないのはなぜか
A.これは、日本以外のすべての国が誤っているとも言えます。
「敵国に攻撃が届く国は攻められづらい」というのは、誤った負の考え方です。
(もっとも韓国や中国の軍に関しては、日本の右傾化阻止の為でもあるので例外ですが)
さらに日本の場合、隣国が韓国・中国・ロシアと、GDP上位の安定した国ばかりです。
【改憲】ゼンガクレン老闘士、国民投票法案廃案訴え 国会前集結 「ゲバ棒が杖になっても」
ttp://news21.2ch.net/test/read.cgi/dqnplus/1174412397/l50 【広島】憲法9条遵守を訴え 武器を持たない妖怪「ねずみ男」に扮した男が全国行脚
ttp://news22.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1175835543/l50
ほししゅ
ほちゅ
初めて覗いてみるけど、予想以上に過疎ってるな……
時間あるときに何か投下してみていいかしら
初めてて来たカキコ
897 :
896:2007/06/06(水) 22:59:04 ID:???
全部読んだ
白雪姫のリンゴって背中ドツイたら生き返るんじゃなかったっけ
あとシンデレラじゃなくてオーロラ姫なら結婚後の話もあったのにね
俺としては超展開でも歓迎するぜい
というか超展開書いてもNG言い出す人間すらいないだろ
おとぎ話ってマンガやアニメ以上にみな思い入れがあるということがわかった
投下してみます。
チクタクチクタクと奇妙な音が鳴り響く。
狼少年は池の中でガタガタと震えながら、拳銃を握り締めていた。
背後には真っ白なウサギが歯を自分の首へと添えている。
ウサギからの命令はこの音の主である大きな魔物を殺せ。さもなくば、ウサギが自分を殺すという。
身体から嫌な汗が滲んでくる。水に濡れ、冷えていた服が徐々に生温いものへと変わっていく。
どうしてこんなことになったんだ?
数分前まで高揚していた狼少年の気分は沈みきっていた。嘘を吐いても見向きもされない毎日から、銃という力を得て、狩る側に回ったはずだった。
それがどうだろう。今は後ろの脅迫者に震えながら、まだ見ぬ魔物にも怯えている。
――チクタクチクタク
音が鳴る。魔物の目印というこの音は一体どこから聞こえているのか、まるで検討がつかない。
前のようでもあるし、後ろのようでもある。そんなはずはないとわかっていても、上から聞こえているような錯覚もある。
だが、ひとつだけわかることがある。その音の主は確実に近づいているということ。
「くるぞ」
肩に乗ったウサギが言った。それと同時に眼の前の水面が爆ぜた。
それは狼少年が見たこともない生き物だった。
狼よりも大きな口。狼よりもいっぱいの牙。舌が真っ赤に染まっているのは元からなのか、それとも誰かの血によるものか。
それはウサギが例えたようにまさに魔物と言っていい存在だった。
避けられたのは運が良かっただけと云わざるを得ない。ぬかるんでいた地面に足が滑り、口が閉じるより先に狼少年の身体は水没した。
だが、事態はまったく好転などしていない。突然、水に落ちたことと未知の生物への恐怖で狼少年はパニックに陥っていた。
池の水を口に入ってくるままに飲み、灰に溜めていた空気を一気に吐き出していく。
ただそれでも生存本能が働くのか、手をバタバタともがき、地面へと近づいていった。
狼少年の腕が地面へと触れる。それを認識すると、狼少年は顔を上げた。
「っはぁぁぁ、ぐぇっ、ぐぇっ」
空気を吸うと同時に、胃の中に溜まった大量の水が吐き出される。しかし、そんなことをしている暇はない。
今は逃げることが先決だ。ウサギもいつの間にか姿を消している。
狼少年は吐きながら、両の腕で地面を掴み、池から這い上がろうとする。
身体が重い。水を吸った服はそのままオモリとなり、狼少年から力を奪う。
「あで?」
狼少年は思わず疑問の声を上げた。突然、幾分か身体が軽くなったのだ。
まるでオモリの一部分が消えてなくなったかのように。
そこでふと気付く。右足が痛い。いや、正確には右太腿が痛くて、それより下の感覚はない。
狼少年は恐る恐る後ろを振り向く。ある可能性を確認するために。
振り向いた先には先程大口を開けていた大きな魔物の姿。狼少年の息が止まる。
そして、視線を自分の右足へと向けると、そこに自分の右足は無かった。
「ギャァァァァァッ!!」
認識することで、覚醒したかのように鈍痛から激痛に変わる痛み。そして、心の奥底から際限なく溢れ出てくる恐怖。
魔物は再び口を開ける。逃げる間もなく、狼少年の左足は魔物の口へと飲み込まれた。
ブツブツと魔物の歯が狼少年の皮膚を貫き、肉へと食い込んでいく。同時に閉じられた口の圧力で左足は潰されていった。
「ッ!ッ!ッ!」
狼少年はあまりの激痛に声にならない悲鳴を上げる。それでも幸か不幸か、狼少年の意識は途切れなかった。
危機を打開するには力しかない。狼少年の手には未だに力の象徴である銃が握られている。
狼少年は魔物に向け、銃を撃った。
一発。二発。三発。
撃った弾は魔物の皮膚へと命中するが、まったく怯んだ様子はない。
だが、狼少年に今できることは撃つことだけ。指を掛け、引き金を引く。
四発。……五発?
狼少年は懸命に引き金を引くが、カチッ、カチッと音を鳴らすだけで弾は発射されない。
狼少年が気付くはずもないが、ようは弾切れである。
左足の咀嚼を終え、魔物は三度、口を開けた。
「アァァ!アァァ!アァァァァァァァァッ!!」
少年の絶叫が轟く。それが少年の口から発せられた、言葉というにはあまりにも稚拙な、最期の言葉だった。
「やはりだめだったか」
ウサギは下半身、胸部、頭、右腕、左腕とバラバラにされ、順々に食われていく狼少年の様を見て呟いた。
ウサギは魔物――時計ワニが現れた瞬間、狼少年の肩を踏み台に池から脱出していた。
その衝撃で、狼少年は足を滑らせ、結果的に即死は免れたのだが、あまり意味のないことだったようだ。
むしろ痛みと恐怖の時間が長引いただけ、狼少年にとっては不運だったと言える。
狼少年を拳銃も一緒に全て呑み込み、満足したのか、時計ワニは悠々とその場を去っていく。
銃から発射された弾は4発とも間違いなく命中していた。だが、その動きには傷を負った様子など微塵にも見られない。
「あいつをころすためにはもっときょうりょくなぶきがいるな。それにさくせんもひつようだ」
ウサギは何事か思うと、自分の支給品を回収し、ピョンピョンと跳ねながら、池から離れていった。
【E-7/池のほとり】
【ウサギ@因幡の白兎】
[装備]支給品一式。
[状態]健康
【時計ワニ@ピーターパン】
[装備]支給品一式(未開封) 腹の中にペイントガン(赤)と銃(サイレンサー)
[状態]健康・多少空腹は満たされた。でもまだ食べられる。
【狼少年:死亡】残り37人
投下終了。
とりあえず話しが繋げやすい話から書いてみました。
知らない話もありますので、読んだら今度はストーリー重視のが書けたらと思います。
あなたが神か
どれぐらいぶりの新作だ?!
内容も文句なしに面白かったしとにかくGJ!!
時計ワニが不気味で怖いがそれ以上にウサギに期待
狼少年の最期はロワらしくて読んでて怖かった
863 名前:転ばないように ◆yvSnrujrJk [sage] 投稿日:2006/07/18(火) 00:27:51 ID:???
902 名前:魔物 ◆46MP13Qo1Y [sage] 投稿日:2007/07/17(火) 23:54:54 ID:???
一年!
ちょうど一年か・・・
投下します。
勇鬼とカーレンが北へ向けて、歩き出してから数分が経った。
しかし、二人の歩みは遅く、木々が鬱蒼と茂る森の中から抜け出せずにいた。
(人間の女とはこれほどか弱気者か?)
勇鬼は先程から一向に速度を上げないカーレンを見た。
緩急のあるでこぼこした道を一歩、一歩、歩む度に確認しながら、ゆっくりと進んでいる。
鬼である勇鬼にとって、この程度の木々などは障害物の内に入らない。勇鬼一人であれば、1分と経たず、この森を脱出しているだろう。
それが出来ないのは単にカーレンの歩く速度に合わせているためだ。
鬼であり男である自分と、人間であり女であるカーレンとでは、体力に天と地ほどの開きがあっても当然だ。
最初はそう考えていた。だが、勇鬼の心には次第に不信感が溜まっていった。
(いくらなんでも遅すぎないか?……もしかしてこいつ、俺を嵌めようとしているのではあるまいな?)
カーレンの支給品は『支給品及び初期所持者全リスト』、武器ではない。袋にも武器らしいものは入っていなかった。
素手では例え不意討ちだったとしても、負ける可能性など微塵にもない。
だが、こうは考えられないだろうか。カーレンは勇鬼と出会う前に誰かと同盟を結び、自分を亡き者にするための隙を狙っていると。
自分は鬼。カーレンは人。カーレンは自分を信じるといったが、異形のものとの差をそう簡単に埋められるものなのだろうか?
カーレンが勇鬼の視線に気付く。すると、カーレンは申し訳なさそうな表情になり、勇鬼に向かって頭を下げた。
「ごめんなさい、勇鬼さん」
「いや」
勇鬼は気にするなといわんばかりに、右手を軽く振った。
改めてカーレンの声を聞くと、出会った時と同じように疑いの気持ちが失せていく。
そのためか、勇鬼はカーレンに持った不審の原因を自然と問うていた。もし、嵌めようとしているなら、警戒されるというのに。
「カーレン、お前はあまり速く歩けないようだが、何か理由があるのか?それとも、人間の女というのはそういうものなのか?」
勇気の問いにカーレンは微妙な表情をする。
微妙なというのは勇鬼が今まで見たことのない表情で、困っているような、恥ずかしがっているような。
やがてカーレンは意を決したかのように勇鬼の眼を見て、口を開いた。
「勇鬼さん。実は……私」
カーレンの両手が、橙色をしたスカートの両端へと添えられる。
そして、カーレンはゆっくりとスカートをたくし上げていく。徐々に見えていくカーレンの両足。
当然ながら、勇鬼は声を上げた。
「お前、何をやって…………!、それは……」
勇鬼の眼に映った物。カーレンの足首から下へと伸びる足の形をした木。それは義足だった。
「見ての通りです。私は欲深い人間でした。
綺麗に着飾ることに夢中になって、両親のいない私を育ててくれたお婆様を裏切ってしまったのです。
当然、そんな私には罰が下り、死ぬまで踊り続ける呪いが私の履いていた靴に掛かりました。
死にたくなかった私は役人に頼んで、自分の足首を落としてもらい、今も生きています。
でも、罰は終わっていなかったのですね。あの人が言っていることが本当なら、きっと私に罰を与えるために私はここに連れて来られたんだと思います」
あの人というのは自分たちに殺し合えと言った『雪の女王』のことだろうと勇鬼は推測する。
雪の女王は神がこの殺し合いを望んでいると言っていた。
勇鬼にとって、神とは案外身近なものだ。八百万の神が集う勇鬼の国では、神もピンからキリまでいる。
それこそ殺し合いを望む神もいるだろうという程度の認識だった。
しかし、カーレンは違う。彼女にとって、神は絶対的なものなのだろう。
その言葉には生きたいという欲求はあっても、死んでも仕方ないと、自分の死を受け入れる享受の色も見えた。
(本当に不思議な女だ)
勇鬼は慰めの言葉を掛けるべきかとも思ったが、適切な言葉が見つからない。
勇鬼が言葉に詰まるのも無理はない。大体、文化の違う相手に適切な言葉を探すなど難儀なことだ。
なので、勇鬼はこの件も保留することにした。
(とりあえず、死を享受していても生き残ろうとする意思はあるのだろう。それならば、やることは決まった)
勇鬼は跳び上がると、手ごろな大きさをした枝に掴まり、それを力づくでへし折る。
枝と共に地面へと戻る勇鬼。続いて、勇鬼は枝に爪を添え、削っていく。
鬼の爪は人間と違い、下手なナイフより硬く鋭い。木を削るのは朝飯前だ。
勇鬼は枝の尖った部分を、鋭き爪で削り取り、滑らかにしていく。あっという間に立派な杖の出来上がりだ。
「ほら、これがあれば少しはマシだろ?」
「凄いっ……ありがとうございます!」
カーレンはまたも頭を下げる。ただ今度は先程とは違い、眩しいほどの笑顔を浮かべて。
その笑顔に勇鬼はガラにもなく、照れてしまい、
「こ、今度から、そういうことは先に言え」
と、ぶっきらぼうに返すのだった。
杖を得たことで、多少移動する速度が上がった勇鬼たちは、ようやく森の出口まで歩みを進めた。
歩く速度はともかく、カーレンの体力はそれなりにはあるようで、特に疲れた様子は見えない。
地図を見る限り、森を抜けても、しばらくは平地が広がるばかりで民家のようなものは見当たらない。
少々歩くことになるため、カーレンの体力が心配だったが、これならば進んでもよさそうだ。
「火っ、火っ、火っ。駄目だー!袋の中にもティーセットの中にも火はないぞ!ヤカンもないぞ!これじゃあ紅茶は入れられないぞー!」
突然、大きな声で何事か叫ぶ声が聞こえる。
「勇鬼さん」
「ああ、聞こえた。誰だ、こんな状況で大声で喚いている奴は?」
ほおっておいて、歩みを進めるようとも思ったが、カーレンはその声が気になるようで、既に声の聞こえた方へと身体を向けている。
(行くしかなさそうだ)
勇鬼はカーレンの肩を叩くと、共に声の聞こえた方へと向かっていく。
森の中、急に開けた小さな野原に男はいた。
白髪に、深く刻まれたシワから、男はかなりの年齢であることが解る。
首には水玉の大きなリボン。羽織った薄茶色の服はそのリボンを使い、留めていた。そして、何より眼を引くのは、長く大きな帽子だ。
黒色をしたその帽子は太い筒のような形をしており、頂は平ら、縁には反り上がったつばが周りに満遍なく付属している。
帽子は彼の頭の半分を覆い隠し、まるで彼の頭の一部のようにも見えた。
とりあえず勇鬼は名前が分かるまで、帽子の男と呼称することを決める。
帽子の男は、なにやら高く積んだ枝を前にして、うんうん唸っている。
声を掛けるべきかと勇鬼が沈思していると、カーレンが先に声を掛けた。
「あの、何をしているのですか?」
その声に帽子の男は勇鬼たちに気付き、振り向く。帽子の男は二人を見ると、にやけた笑みを浮かべ、おどけた調子で話しかけてきた。
「これはこれは、またおかしな奴らが来たぞ。頭から角を生やした赤い肌の大男。帽子を被った私よりなお大きい。
もうひとりは普通そう。でも、よくよく見ればおかしな足で、おかしな奴と一緒にいる。
ここにいる奴はおかしい奴ばっかりなのかい?なら、ここは素晴らしい世界だ」
何がおかしいのか、イヒヒと笑う帽子の男に、勇鬼はイカレタ奴だと判断する。
襲ってくる気配はないが、こういう奴とは話しても無駄だ。早々に立ち去ろうと、勇鬼はカーレンを見る。
だが、カーレンはまだ会話を諦めてはいないようだった。言葉を選び、懸命に話しかける。
「何か困っているようでしたけど、私たちに何かできることはありますか?」
「困っている?ああ、困っているさ。こんな見事なティーセットがあるというのに、お湯を沸かすヤカンがない。火を起こすマッチがない。
これじゃあお茶をいれることが出来ないのさ」
「お茶を飲みたいのですか?」
こんな状況でお茶を飲みたいなど何を馬鹿なことをと、勇鬼は思うが、カーレンは真剣だった。
カーレンは自分の袋から地図と支給品及び初期所持者全リストを取り出すと何事か確認を始める。
「えーと、マッチを持っている人います。ティンカー・ベルさん。あと、火を点ける道具なら、ゲルダさんという方も持っているみたいです」
「おお、それは本当かい?それでヤカンは?ヤカンはどうなんだい?」
「持っている人はいないようですけど、地図によればここから東に行けば、民家があるようですし、そこまで行けばあるんじゃないでしょうか」
カーレンの言葉を聞いた帽子の男は大喜び、手を振り、頭を振り、全身で喜びを表現する。
「なるほど!なるほど!こりゃ、ありがたい。これでお茶が飲めるぞ」
言うが否や、帽子の男は素早く荷物をまとめると、一目散に東に向かって、走っていく。
声を書ける暇すらありはしない。あっという間に帽子の男の姿は見えなくなっていた。
「あっ、行ってしまいました。ご一緒できればと思ったんですが」
カーレンの言葉に勇鬼はため息をひとつ。
「カーレン、お前は警戒心がなさ過ぎる。あの男が何者かわからないのに、リストを取り出すのは早計だ。
これは使う奴が使えば恐ろしい道具にも成りえる。あまり見せない方がいい」
「すいません。でも、あの方も悪い感じはしませんでしたし、何か情報が得られればと思って」
悲しそうに顔を歪めるカーレン。そんな顔を見ていると、勇鬼は何故か胸がギュッと締め付けられる思いがした。
「まあいいさ。済んだことは仕方がない。最低でも一人、俺たちの他にも殺し合おうと思っていない奴がいるとわかっただけでも収穫と言えば収穫だしな」
「タイガーリリーさんです」
「うん?」
「あの人の名前です。あの人が持ってたティーセット、タイガーリリーさんの支給品って、書いてあります。
だから、たぶんあの人はタイガーリリーさんです」
なるほど、カーレンの持つリストにはそんな使い方もあるなと、勇鬼は感心する。
名前がわかれば、そいつの道具が何かをわかるのと同様に、何を持っているかが解れば、そいつが誰かということを確認することができるわけだ。
後になればなるほど、誰が何を、何を誰が持っているかなど意味がなくなる。
だが、まだ始まって間もない今なら、相手を特定する根拠としては強い。
「なるほどな。タイガーリリーは変なじーさんで、お茶が飲むことが目的で、殺し合いをするつもりはない。情報としては充分だな」
「はい。……あっ」
勇鬼は無意識にカーレンの頭を撫でていた。カーレンは頬を少し紅く染め、それを受け入れる。
勇鬼とカーレンは気付かない。帽子の男の名は『イカレ帽子屋』、既に本物のタイガーリリーとの間で、支給品の交換が成されていることを。
この小さな勘違いが、後々、意味を持ってくるのか、果たして、意味など持たないのか。それは、この時点では誰にもわからなかった。
「ところで、質問があるんだが」
「はい、なんでしょう」
「マッチとヤカンって、なんだ?」
【I―3/獣道】
【鬼(勇鬼)@桃太郎】
[装備]支給品一式、スパス12(ポンプ式ショットガン)
[状態]健康
[方針]生存優先(他者への攻撃には中立)
【カーレン@赤い靴】
[装備]支給品一式、支給品及び初期所持者全リスト、勇鬼が作った杖
[状態]健康
[方針]生存優先(他者への攻撃には消極的)
【イカレ帽子屋@不思議の国のアリス】
[装備]ティーセット@不思議の国のアリス、支給品一式
[状態]健康、狂気(もとから)
なるほど
リストがうまく話に生きてますね
連投規制がかかってましたので、改めて。
投下終了。
前回のカーレンの性格を逸脱しないように書いたつもりですが、どうでしょうか?
誤字、脱字、指摘事項があればお願いします。
あと、本当は数字を振れた方がいいのでしょうがやり方がわからないorz どなたかご教授願います。
次はガストンを調べて、おつうと雪女の話を書けたらと思います。
921 :
さく・え/ななし:2007/07/31(火) 14:22:02 ID:aaXJrGzo
ここ意外と続いてるんだね
細く長くしたたかに続いております
狼娘は俺の嫁としますが構いませんねッ!
GJ!
ネタがさっぱり出ないから協力は出来ないが、応援はしてるぜ
展開ありきな気がするけど、いいんじゃない(人いないし
「三人の私と一人のあたしと一人の俺と」
/// 1 ///
私は絶対に死なない。
私は戦いに負けない。
おかしいとか小娘とか言われる私でも、この二つのことはよおくわかっている。
その証拠に、今まで死んだことがないし、負けたことがない。
仲間のインディアンは戦いで死んでいたけど、私は酋長の娘だ、普通とは違う。
なんたって、親父たちと一緒に白人たちと戦ったり、ピーターと海賊を倒したりしてるんだ。
そんじょそこらの、大砲や拳銃なんか怖くないし、剣や槍だって怖くない。
もちろん、おごってるわけじゃない。
たしかに、石や木で戦えって言われたら、さすがの私も苦戦していたかもしれない。
謙虚な姿勢をインディアンは忘れないんだ。
でも、今は違う。
弓を持っている。。
その上、聡明なインディアンである私は矢を忘れるなんてバカじゃない。
聡明、なんて言葉を知っている私が知識も十分あることだって、負けない証拠だけど。
当然、矢だって持ってる。
ここが拳銃だけ持って弾を込め忘れる、バカな海賊とは違う。
弓があって、矢がある、つまり武器がある。
そして、戦いの中で見につけた、遠くの物や隠れている物を見通すこの目がある。
だから、
私はピーターと一緒にあの魔女も倒して、勝つ。
/// 2 ///
私はきっと死ぬ。
私は戦いに勝てない。
悪い魔女とか来ないでとか言われる私でも、この二つのことはよおくわかっている。
冬には食べ物が無くて死にそうになったし、夏には熊に襲われて死にそうになった。
人間が持っている火を噴く筒はとても怖いし、木を切り倒すギザギザの棒も怖い。
私は鳥には勝てるけど、同じ狼の大人には勝てない。
それでも、生きてこれたのは、お母さんのおかげ。
私のために、自分の食べ物をわけたり、敵を倒して、助けてくれてたお母さんのおかげ。
でも、今は違う。
お母さんはいない。
森や森の仲間たちは、私を守ってくれるけど、勝てるとは思えない。
だから、私はお母さんになる。
私とおそろいの布をかぶった女の子のお母さんになる。
そうすれば、
私はきっと強くなれる。
/// 3 ///
私はもっと生きたい。
私は戦いに関わりたくない。
汚い頭巾と一緒とか言われるあたしでも、この二つのことはよおくわかってる。
お母さんの作るシチューは美味しいし、お父さんの肩車は気持ちいい。
大砲や槍や剣を見たこともない、猟銃ぐらいしか知らない。
だから、あたしは戦いなんてしたくない。
楽しいことだけをしていたい。
でも、今は違う。
楽しいことは何にもない。
目の前の貧相な子は、片言で何言ってるのか分かりにくい上に、べたべたしてくるし。
まあ、足がちょっと動かしにくいからそれを支えてくれてるのはわかってるんだけど。
だから、私はとりあえず逃げる。
そうすれば、ぼーっとしているのよりは、生きていられる。
ああ、
私はもっと生きたい。
/// 4 ///
「はあはあ、ず、ずいぶん長い間言い合いしちゃったみたいね」
「たくさん、お話」
二人は、ずいぶん長い時間声を張り上げていたようで、声が少しかすれています。
どうやら、喧嘩、と言うにはかわいらしい口げんかをしていたようです。
ですが、お互いに言いたいことを言って納得したようで、どこか仲良さげです。
突然、赤い頭巾をかぶった少女は、カバンから何かを取り出します。
「私もあなたみたいに、不思議な道具が入っているといいな」
そういいながら、少女が取り出したものは。
「どれどれ…… これは藁?」
それは藁でした。
「な、なんで、私は藁で、あなたはそんな便利で不思議なのよ……」
赤頭巾はがっくりと肩を落としました。
しかし、すぐに立ち直り。
「それにしても、怖い魔女ねえ、まあ一応信じるけど」
「鳥、言ってる」
「とりあえず逃げましょう。海の方だと逃げ場がなくなるから、とりあえず山の方に」
「うん、私、森と一緒ぐらい、山好き」
「一緒ぐらい、じゃなくて同じぐらいね」
赤頭巾ともう一人の少女は、怖い魔女から逃げるため、山に向かうことになりました。
「ちょ、ちょっと、ペース速いってば」
「ご、ごめん、ゆっくり、歩く」
赤頭巾は怪我をしているらしく、ボロボロの服を着た少女に支えてもらいながら一、二、一、二と足を揃えて必死に歩いています。
全く、少し足を怪我したぐらいで、あんなに甘えて。
最近の小さい子はなっていません。
世の中には、もっと歩きにくい体をしていても、必死に歩いている少女だっているのに。
「あなたってさ、名前は何っていうの?」
歩きながらお話。
二人はとても楽しそうです。
「なまえ?」
「名前よ、名前」
「うー」
難しそうな顔をしながら、明らかに字が書けないし読めなさそうなは頭の聞き耳頭巾を触って。
「耳頭巾?」
「それは私と一緒で、あだ名でしょ。ニックネーム」
「あだ名……」
彼女はもう考えるのを止めたのか、また楽しそうに森の木々や赤頭巾に笑いかけます。
いったい、何がそんなに楽しいんでしょう。
山の中腹辺りで、彼女達は休憩中。
鳥が歌い、狼娘が駆け回る、いたって平和な山の風景。
これが、殺し合いの最中でなければ。
「それにしても疲れた」
「まだ、山一杯、登る」
「わかった、わかった、もう少し休憩ね
あっ、そうだ! 聞き耳頭巾の力で、水のある場所探してきてくれる?」
そう言って、赤頭巾が……狼娘に頼みごとをします。
二人とも確認とれました、赤頭巾は藁、狼娘は聞き耳頭巾ですね。
じゃあ、二人に話しかけましょう。
そう思った瞬間、平和を切り裂く声が響きました。
突然、弓矢を構えた少女、イカレ帽子屋が現れたのです。
黒い肌に鳥の羽をつけた頭、たしかにイカレてる感じです。
「な、ないです!」
「ない」
赤頭巾と狼娘は戦う意思が無いことを伝えます。
「そう、あんた達、名前は何っていうの? 答えなかったり、嘘を言ったら……」
「私は赤頭巾って呼ばれてます、本名じゃあないですけど」
「耳頭巾?」
「……頭巾、頭巾って変な名前だね、あんた達」
イカレ帽子屋の言う台詞でしょうか。
「まあいいけど……
そこのこそこそしている、名前を名乗らない二人は敵とみなしていいんだよな?」
そう言うや否や、帽子屋は矢を引き放す。
え? ち、違う、私も名前言える。
あの狼娘と違って、ちゃんと名簿に載ってる名前を言える。
私の、私の名前は
「カーレ」
名前を最後まで言えない。
口が思うように動かない。
私はもう死ぬ。
私は戦いに負けた。
/// 5 ///
失策だった。
タイガーリリーと別れた後、オオカミの声がする方向へ進むと、少女二人を発見した。
少女であるなら、すぐ接触してもよかったのだが、ダイナマイトや無反動砲などという、効果はよくわからないが、もの物しい武器を持っていられると困る。
そのため、名前か所持品のどちらか――今の所それは同意義だからだ――を確認した後、頃合を見計らって接触する、はずだった。
しかし、赤頭巾の方はすぐ危険がないことがわかったものの、狼娘の方は中々所持品も名前も明らかになっておらず、接触の機会をずるずると延ばしてしまった。
そして、見つからないように隠れての行動、イカレ帽子屋に見破られた。
それが、俺達の、いや俺の失策だった。
「よくも、やってくれたな、イカレ帽子屋」
カーレンがやられた以上、ヤツは敵だ。
まぶしい笑顔を俺に向けたカーレンはもういない。
タイガーリリーのようなおかしな奴にも優しく接するカーレンだっていない。
だから、武器を構え、ヤツに向ける。
そうすれば、カーレンの仇を取れる。
ああ、なんて腐ったゲームなんだ。
でも、ゲームとして殺人が認められている世界で、まだましだったかもしれない。
俺は今は生きている。
俺は戦いに勝ちたい。
【H-02/山の中腹】
【カーレン:死亡】残り36人
【鬼(勇鬼)@桃太郎】
[装備]支給品一式、スパス12(ポンプ式ショットガン)
[状態]健康
[方針]カーレンの仇を取る。
【赤頭巾@赤頭巾】
[装備]藁、支給品一式
[状態]右足を捻挫。山を登り疲労。
[方針]とりあえず逃げ回ろう
【狼娘@おおかみとむすめ】
[装備]聞き耳頭巾、支給品一式
[状態]健康。
[方針]赤頭巾の母になる。
【タイガーリリー@ピーターパン】
[装備]ロビン・フッドの弓@ロビン・フッド、矢筒(矢19本)、支給品一式
[状態]健康
[方針]こそこそと少女を付回す悪人を打つ。
規制とかれたので、改めて投下しました。
ピーターは無邪気で人を傷つけ
ティンクはゴーシュから短剣をころしてでも奪い取りそうな勢いだし
タイガーリリーは問答無用で射殺
これだから子供は怖い
投下もないし、書き込みもない。
もうこの企画終わってしまうん?
まだ続けていいなら実は書き込みたいw
が、果たして読み手はいるのだろうか
939 :
さく・え/ななし:2008/11/19(水) 16:03:19 ID:fb+IHvoS
おくればせながらノシ
940 :
さく・え/ななし:
UP