http://news.yahoo.co.jp/headlines/mai/010502/dom/15300000_maidome077.html <あいさつをABC評価>Cだと留年 福岡の私立高校(毎日新聞)
あいさつができないと留年――。福岡工大付属城東高校(福岡市東区、正司園(しょうじぞの)博行校長、生徒1720人)は4月から、生徒のあいさつの態度をABC3段階で評価し、成績通知書に書き込むことにした。最低のCを取った生徒は卒業や進級が認められない。学校側は「あいさつは生活態度の基本。問題行動が目に見えて減った」と言うが、生徒からは「成績にするのはどうか」と疑問視する声も出て、論議を呼んでいる。
高校の説明では、評価の対象は(1)(あいさつのために)立ち止まるか(2)声の大きさ(3)おじぎの角度で、それぞれA「すばらしくできる」、B「まあまあできる」、C「まだまだ」の3段階で評価する。
担任と各教科担当の教諭計10〜12人が毎月、生徒を査定。各教諭がA=5点、B=3点、C=1点をつけ、その平均値が4・0点以上ならばA、3・0点以上をB、3・0未満をCとし、前後期それぞれの成績通知書に記す。好成績者の多いクラスは表彰する。各月の平均値が年間を通して3点未満の生徒は留年とする。1〜3月に試験導入した際にはCの生徒はいなかったという。生徒指導主事の山下浩基教諭は「教科の点がよいだけでは困る。生活態度を評価し、総合的に人をつくるのが狙い。生徒は全員納得してくれたと思う」と話す。
生徒からは「あいさつをきっかけに先生とよく話すようになった」(2年女子)、「あいさつはいいこと」(同)と評価がある一方で、「留年なんて脅しだと思うけど、気になる」(同)、「成績が気になるのであいさつをするようになった」(3年男子)、「いやです」(同)といった声もある。ある学校関係者は「生徒の態度がぎこちない。社会に出てから心配だ」と疑問を投げかける。
正司園校長は「生徒たちはあいさつができているが、さらにきちんとしてもらおうと導入した」と話している。
これについて、文部科学省教育課程課は「そういうことをやっている学校は把握していない。あいさつができないという一点で卒業・進級させないとしたら不適切だと思う」と話している。 【青島顕、山田宏太郎】
秦政春・大阪大大学院人間科学研究所教授(教育社会学)の話 尊敬や信頼感を示すあいさつが強制で形がい化し、要領よく先生の前でぺこぺこする生徒を生み出す恐れがある。それ以上に、点数化や卒業の要件にする根拠があいまいで、制度として行き過ぎだと思う。