【広島】民間登用小学校長自殺関連 パート2

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717実習生さん
野田正彰教授による分析

野田教授は、長年にわたり全国の教育現場のメンタルヘルスにかかわっている精神科医である。野田教授から慶徳校長の診断書や病気休暇願いに対する教育委員会の対応及び慶徳校長の精神的な経過について分析をお願いした。野田教授の分析は次の通りである。

@ 校長の勤務実態について

 教育委員会の報告によると、慶徳校長は、5月13日に「病院で診察を受けた結果、情緒不安定であり休ませて欲しい」と尾道市教委に申し出たと言う。私はこれを聞いて「何か隠しているのでは」と疑った。
年輩の職業人が雇用者に対して、自分自身を「情緒不安定」と言うだろうか。また、精神科専門医は「情緒不安定」といった情緒的な言葉をまず使わない。
 精神科医が診断し、その診察を根拠に本人が休みたいと申し出たのなら、診断書がでているはずである。診断書には「抑うつ状態」か「心因性うつ病」といった精神医学的用語が書かれていたはずだ。情緒不安定という一般的な言葉は、第3者がある人物を評して使う言葉である。
慶徳校長は診断書を提出したのに、尾道市教委はうやむやにして受理せず、今になって彼ら素人の言葉で「情緒不安定」と言っているのではないか。私はそんな疑問を抱いていた。
 結果、私の疑いは当たっていたといえる。広教組調査委員会の聞き取り調査では、慶徳校長が診断書を持って「休まして欲しい」と尾道市教委に出向いていること、
そのとき、説得(激励)されて休ませてもらえなかったこと、「病名」について秘密にしておくように尾道市教委から慶徳校長に指示があったことなどが明らかになった。
しかも、立場の違う複数の人間が慶徳校長から直接聞いているのである。聞き取りの内容を整理すると次のようなことであった。
718実習生さん:03/07/31 18:06 ID:0/DeH67H
 「慶徳校長は5月13日朝11時に市教委を尋ね、しんどいので病院で受診すると告げJA尾道総合病院で受診している。そのとき精神科医から『抑うつ状態、1ヶ月の休養を要す』と書かれた診断書を受け取っている。
12時40分、受診を終え、診断書を持って市教委を再訪したが、『頑張って欲しい』などと説得をされ診断書は無視された。」ところが、尾道市教委の報告書は次のように書いてある。「病院で診察を受けた結果、情緒不安定と言われ、休ませて欲しいと言われた。
尾道市教委職員は、教頭不在によって校務運営に対する不安から、弱気になっているのだと考え、支援について説明を行い、頑張っていただきたい旨を伝えたところ、理解され引き続き校務運営に努力されることになった」としている。
 ここでは「診断書」の存在についても「病名」についても隠されている。しかし、診断書の受け取りを拒否し、「うつ状態」であることを知りながら休ませなかったことは、教育委員会による人間蔑視の行為である。
そして、自らの非人間的行為を隠蔽するために、他者をおとしめようとする偽装工作(報告書)という二重の犯罪を犯していることになる。
教育委員会の犯罪行為の重大性について、もう少し触れておく。「うつ病」が過労自殺の大きな要因のひとつとなっていることは、6月10日の厚生労働省の「公務災害認定のまとめ」を見るまでもない。
「うつ病」の治療の基本は「休養と薬物療法」であるが、休養をとらないまま過重労働を継続するならば「薬物療法」は意味をなさない。精神科医から指示されれば、雇用者には「休養を与える」責任がある。
今回の教育委員会の行為は、わかりやすく言えば「肺結核で休養を要す」という診断書が出ている人を、「大したことはない、働け」と酷使し、喀血させて死に追い込んだようなものである。
719実習生さん:03/07/31 18:07 ID:0/DeH67H
 現在、うつ病に対する相談業務が大きな課題になっている。なぜならば雇用者に相談すると人事にかかわって「不利益を受ける」と言うことで相談できず、適切な処置を受けずに自殺に至るケースが多いからである。
しかし、慶徳校長は、雇用者である教育委員会に間違いなく相談したのである。
にもかかわらず適切な処置を与えられず死に追いやられたのである。教育委員会はこの責任を免れることはできない。
720実習生さん:03/07/31 18:08 ID:0/DeH67H
A 校長の自立した学校運営はあったのか

尾道市の公立小中学校の実態は、マスコミが「尾道市で、病気で休む校長・教頭・教職員が6%、全県では1%」(中国新聞 3月14日)と報じているように異常な実態であった。私はその背景を探った。
現在、尾道市は、「尾道教育プラン21」なるプロジェクト事業をすすめている。
来年度に向けて30校の小中学校全てに学校選択の自由が準備され、加えて、県教委の基礎基本定着状況調査とは別に、文部科学省の抽出学力テストの実施、また学校ごとに1校1研究を課して研究授業を義務づけている。
道徳についても全校で研究授業をするよう義務づけている。
これだけではない。文部科学省が全国で7校を指定するコミュニティースクール実験校(土堂小学校)に立候補し、民間人校長についても立候補したのである。
新学習指導要領・完全学校5日制実施に伴い、児童生徒への評価方法の変更や授業時間数確保のためのシラバスや週案の作成など、専門職として経験を積んでいるベテラン校長でさえ音を上げる状況を私は知っている。
慶徳校長は、その上に「尾道教育プラン21」なる抱えきれないほどの荷物を背負わされて高須小学校に赴任させられたのである。
もちろん民間人校長の期待も一身に背負わされた上である。県教委や尾道市教委の「メンツ」を背負わされたといった方がいいだろう。
たった2日間の事前研修で「成果を出せ」といわれた慶徳校長にとっても悲劇だが、それを引き受けなければならなかった高須小学校の教職員の悲劇でもある。
私は、高須小学校の学校運営がどうであったかを問う以前の問題がそこにあることをまず指摘しておきたい。