【広島】民間登用小学校長自殺関連 パート2

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682実習生さん
B 民間人校長の制度について

民間人校長の制度については、県教委及び尾道市教委の最終報告にも、事前研修が2日間しかなかったことや、民間人校長への支援態勢について「不十分であった」ことを認めている。民間人校長の制度導入にかかわって、聞き取り調査で明らかになったことは次の通りである。

683_:03/07/31 00:32 ID:mZptbZeA
684実習生さん:03/07/31 00:34 ID:rgODPsEg
(ア)民間人校長は、慶徳校長自らの希望ではない

慶徳校長が、「自ら教育界での仕事を希望していたわけではなく、2002年2月くらいに広島銀行から民間人校長へとの話があった」「急に決まった」ということが明らかになった。
県教委の最終報告には、採用の条件として「公教育に情熱を持っている人」とあり、また慶徳校長との面接の中では「校長として学校経営に当たることに意欲的であった」とある。
しかし、慶徳校長が子どもと接することに悩んでいたり、「子どもはあまり好きではない」と言う発言があったことも聞き取り調査の中で出されている。
採用に当たって提出したリポートについても、自分の考えでなく「いろんな本をつなぎ合わせて書いたんだ」と言っていた。
また「私はマネジメントを期待されているけど、私にマネジメントはできない」「自分が生かせるのは高校だったかもしれない。就職とか面接とか(私が)話ができるのは高校だ」とも言っていたとのことである。
この問題について広教組は、「募集や選考のあり方」「制度導入決定までの経過」について情報開示を求めた。なぜならば、民間人校長の制度導入にかかわって、
「なぜ民間人校長の制度導入が必要なのか」「民間人校長に何を求めるのか」「研修のあり方や支援態勢のあり方」について、検討委員会などを立ち上げて専門的に議論した形跡は全くないからである。
また、教育委員会事務局での充分な準備も県教育委員会会議でも議論が尽くされた形跡はない。
公開公募とせず商工会議所に推薦を依頼して選考するという、あまりに稚拙で拙速な導入という感はぬぐえない。開示された資料(別紙資料4)は肝心な部分が全て黒塗りで見えなくしてある。
広教組調査委員会は6月16日に「異議申し立て」を行い、黒塗りしてある部分の開示を求めているが、「民間等からの校長任用に関する手続要項の制定について(伺い)」が、
1月31日に起案をされて2月7日に決裁されていることがわかった。決裁までの1週間で21人の関係県教委職員の印鑑が押印されている。
形式だけ整えた、実質トップダウンの導入であったことが明らかである。この問題については、今回の最終報告以降も調査を継続していく必要がある。
685実習生さん:03/07/31 00:34 ID:rgODPsEg
3.第三者による調査分析

山田延廣弁護士による分析

 山田弁護士は労働問題が専門であるため@校長の勤務実態と A校長の学校運営についての分析を要請した、この分析を結果をつぎのとおり掲載する。

@ 校長の勤務実態について

1、結論
  慶徳校長の自死は間違いなく人災であると判断する。
  同校長と同様に病気で倒れた2人の教頭も、また、高須小学校の教職員らも被害者であり、また、この問題は、高須小学校だけの問題ではなく広島県の教育行政全体の問題であることをまず指摘しておきたい。

686実習生さん:03/07/31 00:35 ID:rgODPsEg
2、本件事件の原因と対応すべきこと
  私が人災と判断する根拠は、慶徳校長の休暇要請を拒否したうえ、教育委員会が異常な超過勤務の実態を放置し続けたことに尽きる。
  この慶徳校長の休暇の申し出を拒否したこと、及びその精神的な影響については、後の野田教授の分析が行われるため、この超過勤務問題に重点を置いて述べる。
  前述のとおり、高須小学校の超過勤務時間は、平均で150時間を超えており、これは労働災害の認定基準をはるかに超えている。
ましてや、一時的な超過勤務でなく、年間を通してこの超過勤務が常態化していたことから異常な労働実態であったと言わなければならない。
  こうした異常な勤務状態が、健康であった2人の教頭の病気休職を生じさせ、そして、慶徳校長を死に追いやったことは否定しようもない事実である。
  県教委や尾道市教委の最終報告は、教育委員会としての支援不足や事前研修の日数に問題があったことを認めているが、異常な超過勤務に対応できずに精神的な不調を生じて休養を訴えている同校長を放置し、
1260枚に亘る報告書類(市教委によると件数で370件)の提出を要求し続けた教育委員会の責任は重大である。
  坂井教頭は、パーキングで仮眠をとり、早朝の出勤を続けていたもので、この実態は個人の生活権を奪うだけでなく、生存権まで脅かす人権問題であるといわざるを得ない。
  さらに、超過勤務の実態は、広教組調査委員会から提供された超過勤務記録簿によると教職員も月80時間を超えて常態化していることが明らかになっており、労働安全の見地から、管理職も教職員も同様に被害者の立場であるといえよう。
  本件高須小学校の問題の本質はここにあると考える。
 現在、犯人探しがゲームにように、県教委、尾道市教委や一部政治勢力は、「教職員との対立」が自死の原因であるかのように煽っているが、この問題の本質を見失うべきではなく、これを教訓として現状を改善するべきである。
  尾道市教委が慶徳校長に対して求めた360件という数多くの報告書の提出は、高須小学校だけのものではなく、全県下の公立学校に対して求められているものであって、この超過・過密勤務の労働実態は、全ての学校にも当てはまることである。
 また、病気休職者の激増や精神疾患の増加も全県的に学校現場の課題となっていることからもこれを裏付けうる。
687実習生さん:03/07/31 00:37 ID:rgODPsEg
3、過労自殺問題
  近年、全国で労働安全問題、特に過労自殺問題が注目されている。日本労働弁護団をはじめとする全国の労働弁護士グループは、すでにこの問題に真剣に取り組んでいる。
厚生労働省は、2003年6月10日、2002年度、過労が原因の脳、心臓疾患による労災認定が前年度比で2.2倍に増えたこと、
過労自殺などにつながる精神障害の労災認定も前年度よりも43%増加したことを報告し、また、心的外傷後ストレス障害や、うつ病による過労自殺が深刻な状況にあることも明らかにしている。
  私は、マスコミが今回の高須小学校の慶徳校長の自死事件と、この厚生労働省の報告とを関連づけてなぜ報道しないのか不思議でならない。
 厚生労働省は、近年わが国において、サービス残業などの超過勤務が増大している状況を踏まえ、各都道府県の労働局長に対し、2002年2月12日付厚生労働省労働基準局長名で「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」なる通知を発した。
この通知の主旨は近年の医学研究などを踏まえ、長期間にわたる長時間労働や睡眠不足による疲労の蓄積が脳・心臓疾患の発症に明らかに影響を及ぼすとし、発症前1〜6ヶ月間の超過勤務が月45時間を超えると発症との関連が徐々に強まり、
発症前、1ヶ月間の超過勤務が100時間を超えたり、それ以前の2〜6ヶ月間の超過勤務が月80時間を超えると業務と発症との関連性が強いとしている。
  このため、この通知は、上記のような超過勤務が発生した場合、産業医の面接による保健指導、健康診断の受診などを義務づけ、また、過重労働による業務上の疾病を発生させた場合には、原因究明及び再発防止を徹底するよう義務づけている。
 そして、高須小学校の勤務実態は、この厚生労働省の通知が警告した範囲をはるかに超えており、教頭2人の病気のうち一人目は脳疾患(脳内出血)で、2人目は心疾患(心筋梗塞)であることから、超過勤務との関連は疑いようもない。
688実習生さん:03/07/31 00:38 ID:rgODPsEg
4、県教委の対応状況
  さらに、私が看過できないのは、県教委がこの「厚生労働省通知」を1年間にわたって放置していたという事実である。県教委は、この通知から1年が経過し、慶徳校長の自死後の2003年4月になり、
ようやく、県立校長会と市町村教育長会の会合おいて、単に口頭でのみにより、超過勤務の縮減を呼びかけているのである。しかし、厚生労働省が示した疾患と超勤時間の関係や産業医などとの連携については口頭の説明もなされていないのである。
  当然、健康管理システムやメンタルヘルスについても何らの施策も講じられていない。
  県教委のこうした超過勤務に対する認識が、今回の高須小学校の校長や教頭そして教職員らに対し、深刻な状況を生んだのではないのか。教育委員会は、どうしてこのこの超過勤務の実態を報告書に盛り込み教訓としないのか多大な疑問が存する。
  また、繰り返しすが、マスコミが何故、この本質的な問題を指摘しないのか理解できない。
  厚生労働省の通知を無視し、慶徳校長の「うつ病」「1ヶ月の休養」の診断書を受理せず、病気休暇の申し出を拒否したうえ、「うつ病」の患者に行ってはならない「激励」を繰り返し、
その後、厚生労働省の警告した労働時間をはるかに上回る超過勤務(月平均150時間超)を11ヶ月間にわたって強制したことが、
この慶徳校長を自死に追い込んだものであり、これはこのような慶徳校長の訴えを放置し、超過勤務を要する業務を強制した県教委と尾道市教委による責任は重大であると考える。
689実習生さん:03/07/31 00:38 ID:rgODPsEg
A 校長の学校運営について

1、怪文書の存在と不当な介入
  県教委、尾道市教委が最終報告を出す以前から、内部告発を装った「怪文書」が出回った。 
そこには、前任校長と高須小学校教職員に対する誹謗中傷が書かれており、最後に「今回の事件の首謀者は広島県教職員組合高須小学校分会の○○がリーダーです」と記されていた。
 高須小学校教職員の「いじめ」によって慶徳校長が自死したという内容を、自らは匿名としながら、実名をあげて個人を誹謗中傷する行為は、明らかに名誉毀損であり、弁護士として決して放置できない問題であると考える。
  このため、私は、調査委員会のスタッフとして、怪文書に実名を掲載された当事者と会いって聞き取りを行った。
  この当事者は、慶徳校長が提出する報告書を代わって作成をするため、休日に資料を持ち帰って業務遂行をしており、これについては、当事者の家族及び他の高須小学校教職員の証言等これを裏付ける証拠が存在する。
  このため、この怪文書の作成者を名誉毀損として刑事告訴することをすすめ、検察庁へ被疑者不詳として刑事告訴の手続きを行っている。
  さらに問題なのは、こうした無責任極まりない怪文書が、公的な場である県議会文教委員会に石橋良三県会議員によって読み上げられ、これを根拠に6月4日「文教委員会調査団」と称する調査団が高須小学校へ調査へ入ったという事実である。
私は、これこそ、高須小学校の校長自死を政治的に利用した教育基本法が禁じている教育に対する不当な介入であると認められ、この事態に対して大きな危機感を抱かざるを得ない。
  そして、本来はこれを拒否するべき立場にある県教委や尾道市教委がこの介入に唯々諾々と従うだけではなく、この介入を共同して行おうとする思惑があることを指摘せざるを得ない。
690実習生さん:03/07/31 00:40 ID:rgODPsEg
2、県教委らの報告の問題点
  県教委及び尾道市教委は、5月9日に出した最終報告は、「研修不足」「支援不足」についての責任を認め、謝罪しているが、
あくまで慶徳校長の精神的な悩みは「公務運営上の支障」であるとし、「教職員との対立」を慶徳校長自死の中心的な要因にしようとしとしている。
  それは、慶徳校長の前任校長を「校長権限が制約され、適切な校務運営組織が整備されていなかったのは前任の校長の責任であり、慶徳校長の学校運営に支障をきたす一因となった」という理由で文書訓告にしていることに象徴されている。
 しかし、広教組調査委員会の調査では、慶徳校長と教職員との間に意見の食い違いは認められるものの、前任校長の処分理由である「校長権限の制約・・」の実態は全くない。
それは、県教委や尾道市教委が最終報告で、慶徳校長が職員会議において、自らが提案した通りに決定できなかったという事実自体を指摘できていないことからも明らかである。
  結局、最終報告では、本来、真相の焦点となるべき、2人の教頭が病気で倒れた原因や慶徳校長や教頭の勤務実態や仕事量についても明らかにされることはなかった。
さらに、自死の直接要因と考えられる、慶徳校長の病気休暇の申し出を認めなかった経過や、病名、診断書の存在についても明らかにされなかった。
教育委員会によって校長自死の本質にかかわる問題のすり替えが意図的に行われたのである。
 慶徳校長が就任後2ヶ月足らずで病気休暇を申し出た事や、二人の教頭が病気休職を余儀なくされた事も、偶然の出来事が重なったものでないことは誰の目からも明らかである。
それ故、県教委及び尾道市教委は、そうした真相究明を行うべきなのに、この問題を明らかにすると自らの野責任問題が浮上するため、
これをごまかすため、第三者によらない身内だけの調査委員会を設置し、「教職員との対立」が原因であるとして、これを意図的にマスコミ流して、原因をすり替えたものである。
691実習生さん:03/07/31 00:41 ID:rgODPsEg
3、文部省の是正指導について
  最後に、県教委は、今回の件においても、文部省是正指導を持ち出して、教職員組合の対応を問題化しようとしている。
  しかし、そもそもこの文部省是正指導なるものは、今回、前記怪文書を議会に持ち込んだ石橋県議が、自民党教育問題協議会会長である奥野誠亮議員に広島県の教育問題を文部省において取り上げるよう求め、この結果、
KSD事件で逮捕された村上正邦元議員と小山孝雄元議員らと連携して、文部省に調査を行わせて是正指導をなさしめたという事実がある。
  このように、石橋県議は、県教委と一部政治勢力との癒着をすすめた人物で、今日の県教委と県議会文教委員会の癒着の根底はここにあるのである。
  これが、今回の教育問題の政治的な介入を許す結果となり、広島県の教育の混迷をもたらしていることを十二分に把握するべきである。