米国はどこへいくのか−。中間選挙は、その方向性を示すものとして注目された。
結論から言えば、オバマ大統領の米国は漂流と混迷の度を深め、「内憂外患」の
政治環境は厳しさを増すだろう。
「チェンジ」を掲げ、国民の希望と期待を背に就任したオバマ氏の約6年間は、
「決められない政治」への転落の軌跡であった。
その最大の要因は、オバマ氏の指導力の欠如であり、米国社会の分裂という
基本構造を背景にした、2大政党による対立の先鋭化だった。オバマ氏は
国民の「内向き」志向と歩調を合わせ、外交・安保政策の“足かせ”とも
なってきた。
そうした指導力の欠如と「決められない政治」に、中間選挙で国民が
「ノー」を突きつけたといえる。
「決められない政治」を、議会における闘争の力学という観点だけからいえば、
オバマ氏のリベラルな政策に対する反動として、10年の中間選挙で共和党が
下院の過半数を奪還し、議会に「ねじれ」が生じたことは見逃せない。
そして今回、共和党が上下両院で主導権を握り、「ねじれ」が解消された
ことで、政権と議会が真正面から対峙(たいじ)する構造へと変容した。
オバマ氏の残り任期の約2年間は、膠着(こうちゃく)状態が続くだろう。
オバマ氏の不人気が分裂を増幅させながら、「決められない政治」と政権の
レームダック(死に体)化に、拍車がかかることは間違いない。政治に対する
国民の不満も、高まっていくことが予想される。
http://www.iza.ne.jp/kiji/world/news/141105/wor14110518150026-n1.html