公助から自助へ − 生活保護受給者に本気の「自立支援」を
1 :
名無しさん@お腹いっぱい。:
生活保護は、他に生きる方法がないときの最後の安全網だ。それに対する視線が厳しい。
来年度予算の要求にあたり、政府は「最大限の効率化」を図るように名指しした。
だが、単に削ろうとすれば、かつての「母子加算廃止」のように、声を上げにくい人にし
わ寄せがいく。自治体が窓口で申請を受け付けない、そんなことが起きるおそれもある。
保護費が大きくなるのを本気で防ぐには、貧困におちいった人の自立を助ける、地道な努
力しかない。そこに、予算をはじめ、社会の資源が適切に投じられるべきだ。
生活保護をめぐる社会の雰囲気は、特定の出来事をきっかけに大きく揺れる。
2007年に北九州市で、生活保護が打ち切りになった男性が「おにぎり食べたい」と書
き残して餓死した。この時は、行政のあり方が指弾された。
今年は、タレントの母親が保護を受けていたことが引き金となり、「受給者バッシング」
が強まっている。
全体からみた金額は小さくとも、不正受給は人々の怒りを増幅する。資産や所得、医療の
適切さの点検は必要だ。
だが、いま一番問題なのは、雇用の悪化により、「まだ若くて働けるが、生活に困ってい
る人」が増えていることだ。
「働けるから」といって放っておけば、心身を病んでしまうことも多い。「誰が見ても働
けない」状態になってから生活保護に入れても、今度はそこから働けるようになるまでの
時間がかかる。悪循環だ。
困っている人を「救うかどうか」の判断は、個人の価値観にもよるので、線引きが難しい。
だが「自立を支援する」ことへの異論はないはずだ。
早めに、ていねいに対策をとれば費用対効果は高い。
たとえば横浜市では昨年度、約2億円かけて就労支援の専門員を48人置いた。その結果、
2千人近くが職に就き、保護費を8億5千万円減らした。
経済効果の不明な道路をつくるより、よほど役に立つ。
自治体が「働ける人は、早期に自立してもらえる」という自信を持ち、生活保護を「入り
やすく、出やすい」制度にする。そんな好循環をつくりたい。
問題は、こうした自立支援の事業を支える財源が不安定なことだ。政府はいま、来年から
7カ年の計画で「生活支援戦略」を考えている。公共事業で「国土強靱(きょうじん)化」
するより、ずっとまっとうで、社会を強くするお金の使い方だろう。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208250567.html
給付付き控除―就労支援へ検討を急げ
消費増税に伴う低所得者対策の一つとして、「給付付き税額控除」の検討が民主党などで
始まった。
所得税を減免(控除)して支援することを基本に、納税額が少なくて控除しきれない人に
は残額を給付する。これが代表的な仕組みだ。所得が課税最低限に及ばず、もともと納税
していない人には給付だけを行う。
税制の一部である控除と社会保障の給付を一体で考えるべきだ、との視点に基づく。
日本では、税制を仕切る財務省と社会保障を担当する厚生労働省の縦割りのため、制度間
の矛盾や効果の乏しい対策が少なくない。省庁の垣根を越えた取り組みとして、給付付き
控除の検討を急ぐべきだ。
消費税には、所得の少ない人ほど負担割合が高くなる「逆進性」がある。これをどうやっ
てやわらげるか、政府は2段階で対策を考えている。
2014〜15年に段階的に消費税率を引き上げる際には「簡素な給付」を行う。対象者
や期間を絞って現金を戻す案が有力だ。15年度以降に、より本格的な対策をとる。その
一つとして給付付き控除があがっている。
海外で、付加価値税(日本の消費税に相当)の負担軽減策としているのはカナダぐらい。
子育て支援策のほか、目立つのは就労促進策としての位置づけで、米国や英国、フランス
などが導入済みだ。
年金や生活保護には給付額を物価に連動させる仕組みがあり、消費増税で物価が上がれば
反映される。本格対策は、こうした「安全網」の対象にならない低所得・無所得者を中心
にすえるべきだろう。
非正規労働や無職の人たちがしっかりした職に就き、より多くの所得が得られるよう後押
しするために、給付付き控除を使えないか。
米国は、所得が増えたからといって給付額をすぐには減らさず、一定の所得までは給付額
も並行して増やし、その後少しずつ減らしていく仕組みにしている。働く意欲を起こす工
夫として参考になろう。
ただ、給付付き控除の導入には、課題が山積している。
まず、対象者の所得をしっかりつかむことが必要だ。15年の導入を目指し、国会で法案
が審議中の「マイナンバー」(社会保障と税の共通番号)が不可欠だが、それをどう活用
していくか。生活保護や失業保険など、既存の制度とも整合性をとらなければならない。
幅広い検討が必要になる。時間を浪費している余裕はない。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201208270634.html
3 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2012/09/23(日) 03:33:41.70 ID:YtGb/7tjO
だからこの自助を国民に押し付ける前にやることがある。まるっきり逆だよ。
生活保護改革 自立促す就労支援に本腰を(10月4日付・読売社説)
生活保護の受給者は、211万人と過去最多を更新し、今年度の給付額は3兆7000億円にのぼると見込まれる。
政府は、生活困窮者の自立支援に本腰を入れるべきだ。
厚生労働省は、就労支援に力点を置いた初の生活困窮者政策案をまとめた。年内に「生活支援戦略」として策定し、
来年の通常国会で関連法案を提出する方針だ。
生活保護受給者の中には、働けるにもかかわらず、職のない現役世代が約30万人いる。受給者に占める割合は、
過去10年で2倍以上に増えた。
背景には、景気低迷の長期化がうかがえる。雇用保険に未加入の非正規雇用者が増えたことの影響が大きいと言え
よう。
厚労省案では、自治体や企業などと連携して、軽作業の労働体験の場を提供する。生活リズムを取り戻させて、安
定的な就労につなげる狙いがある。
生活保護受給中に就労で得た収入の一部を積み立て、保護から脱した時にまとめて受け取る制度も提案した。現在
は、収入があると保護費が削られるからだ。
こうした勤労意欲を促進する仕組みの導入は欠かせない。
住居の確保も重要な支援である。家賃は、自治体が直接払う現物給付とする方向だ。家賃滞納の恐れがなくなり、
大家が安心して貸すことが期待できよう。
受給者の自立を促す一方で、低所得者が生活保護受給に至らないよう支援することが大切だ。
生活保護受給者の25%は、その親も受給していたとの報告がある。親から子への「貧困の連鎖」を断ち切らねば
ならない。
中卒、高校中退の人も多く、一般家庭との教育格差は否めない。教育への公的支出が少ないことが一つの要因とも
指摘される。
厚労省案によると、民間との連携で、家庭や地域の事情に応じて補習塾を開くなど、子どもたちの学習を支援する。
お笑いタレントの母親が生活保護を受けていた問題もあり、扶養義務のある親族が扶養を断った際には、その理由
の説明を求めることにしたのは当然だ。
無論、生活保護費の不正受給対策も徹底する必要がある。
ただ、受給者のうち、最も増えているのは高齢者だ。急速な高齢化と、低年金者の増加による。基礎年金だけの受
給者は、平均額が月4万9000円に過ぎない。
生活保護制度の改革は雇用、教育、年金などの分野も合わせて包括的に進めなければならない。
(2012年10月4日01時39分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121003-OYT1T01524.htm
社説:社会保障 「自助」か「公助」「共助」か
毎日新聞 2012年11月19日 02時30分
超高齢化・少子化対策は政治が火急に取り組むべき課題である。日本の人口は05年に戦後初めて前年
を下回り、10年以降は加速度的な減少局面に入った。経済や社会全体の地盤を揺るがせる人口減少に
突入して初めての総選挙でもある。持続可能な社会保障をどう構築するかは重要な争点だ。
税と社会保障の一体改革で民主・自民・公明の3党合意は成立したが、中長期的な将来ビジョンの策定
はこれからが本番だ。錯綜(さくそう)し続けた社会保障改革論議の中から重要な理念の違いが浮かび
上がっている。
◇弱まる自立の基盤
芸能人の親が生活保護を受けていたことをきっかけに自民党は生活保護行政を批判し、保護費の1割削
減を盛り込んだ社会保障改革案を打ち出した。自分の生活は自分自身や家族による助け合いで支える
「自助・自立」を基本とした改革である。それ以前から子ども手当を「子どもを育てるのは親の責任」
と批判、最低保障年金にも反対するなど、民主党の社会保障政策を批判してきた。
一方の民主党は最低保障年金の創設、後期高齢者医療制度の廃止、障害者自立支援法の廃止などを掲げ
て09年総選挙で勝利した。小泉純一郎政権時代に社会保障費の自然増を毎年2200億円削減したこ
とに端を発する「弱者切り捨て」批判を丸ごと取り込んだマニフェストを政権交代の原動力にしたのだ。
鳩山由紀夫政権は子ども手当、生活保護の母子加算復活、肝炎対策など弱者に手厚い政策を次々に実行
したが、財源が思うように捻出できずに挫折する。それぞれの政策の整合性に欠け、目指すべき社会の
全体像や理念も明確だったとは言い難い。自民党の自助路線とは異なるが、真の意味で「公助」と言え
るものかどうかは議論の余地があるだろう。
日本維新の会やみんなの党などの第三極も経済を優先し社会保障費を抑制する「自助」路線に沿った政
策を掲げている。生活保護を必要とする人は増え続け、受給総額も3兆円を超える。経済的に自立でき
る職に就けず、親の年金で生活したり、ひきこもったりしている若者も多い。ただでさえ現役世代の人
口は減り続けているのに、このままでは社会の活力は失われ、社会保障の地盤沈下は加速するばかりだ。
働ける人は働いて自力で生活できる社会を目指すのは当然である。
ただ、問題は「自立・自助」をしたくてもその基盤が失われていることだ。年金制度や介護保険がなか
った時代は、老いた親は同居する家族が面倒を見るのが当たり前だった。3世代が同居する大家族だか
ら可能でもあったのだ。扶養する家族の生活費を稼ぐ父親は終身雇用の正社員が普通だった。親戚や近
隣住民による支え合いもあった。そのいずれもが弱くなり失われているところに現状の深刻さがある。
孤立して生活苦にあえいでいる人に「自立・自助」を求めるだけでなく、むしろ自立のための基盤を強
化する政策が必要なのだ。目先のコスト削減のための自立論、古い時代の家族のあり方を尊ぶ観念的な
家族主義を唱えるだけでは本質的な解決に迫れないだろう。
◇家族機能の回復を
少子化の主な原因は晩婚化と産む子どもの数の減少だ。経済的な理由で結婚や出産が遅れる人、生涯独
身の人は年々増えている。半世紀前には日本の家族は平均5人程度で構成されていたが、核家族化が進
み、さらに独居や高齢夫婦だけの世帯が増えた結果、現在は2.46人になった。東京だけ見ると1.
99人だ。これでは家族相互の支え合いにどれだけ期待できるだろうか。
まずは若年層の雇用対策と生活支援、子どもを産み育てられるように保育サービスの拡充と女性が子ど
もを産んでも働き続けられるための雇用環境の改善を優先すべきだ。子ども手当は当初案から様変わり
したが、子育て世帯の経済支援は重要だ。民主党政権下で進められた若年者雇用や子育て政策は「自立・
自助」の基盤を強化するために必要な政策である。バラマキではなく明確な将来ビジョンを掲げ、照準
を絞った「公助」が求められているのだ。
「政府は自分で生活できない人を救うべきか」を聞いた国際比較調査がある。救うべきだと思わない人
は英国、ドイツ、中国が7〜9%なのに対し、米国は28%。ところが日本はもっと多くて38%だ。
実際、税と保険料を合わせた国民負担率は先進国の中で日本は低い。他人のための負担を嫌う国民なの
だろうか。
しかし、東日本大震災の現場で自らを犠牲にして他人を救う被災者の姿は世界に感動を広げた。義援金
はいまだに寄せられ続けており、総額は3000億円を超える。政府を介した「公助」には懐疑的でも、
住民同士が支え合う「共助」を好む国民性なのかもしれない。高齢化といっても健康で意欲も才能もあ
る65歳以上が大勢おり、個人金融資産も1500兆円。「共助」の余地は大きい。各党は「共助」を
進めていくための政策も競い合うべきだ。
http://mainichi.jp/opinion/news/20121119k0000m070117000c.html
7 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2012/11/23(金) 20:09:14.84 ID:/+EjZV4y0
医者ですが不況で地方経済は破綻しています。
生活保護受けなくて
わずかな収入でも、税金払って、自活しながら
カネなくて病院に通えず、慢性疾患をどんどん悪く
してる患者さんが大勢います。
血圧190でも、糖尿でHbA1cが9でも、カネが無くて
通院が続けられないのです。
生活保護者が、税金を一銭も払わず、医療になんの制限も無く、
無料で医療が受けられているのは、とんでもない悪平等です。
憲法における、生存権の異常な不平等です。
どこの国が儲かるんだろうな
(°∀°)
社会保障政策 逃げずに「痛み」も求めよ
2012.11.25 03:16
いつまで「大衆迎合」の政治を続けるのか。衆院選に向けた各党の論戦からは社会保障制度の拡充策ばかり目立つ。
消費税増税が決まり、当面の安定財源確保にめどがついたとはいえ、支払い能力に応じて負担する仕組みに改めな
ければ、制度は早晩維持できなくなる。
いま問われているのは、急速な高齢化によって膨れあがる年金や医療・介護費用をどのように抑制してゆくかだ。
各党は、高齢者を含めたすべての世代に理解を得て、痛みを求めることから逃げてはならない。
「大衆迎合」の代表例が、本来の年金支給額よりも2・5%高止まりしている「特例水準」の解消を1年先送りし
たことだ。民主、自民、公明の3党は衆院解散直前に法律を成立させた。衆院選で高齢有権者の反発を懸念したた
めとされるが、これだけで約1兆円の過払いとなった。
政権公約でも、自民党は「自助・自立」を掲げながら、医療費の負担軽減や子育て支援策の無償化などの政策がず
らりと並ぶ。民主党も、巨額な財源を必要とする最低保障年金といった非現実的な政策に固執している。
サービスを拡充するには、さらなる財源が必要だ。そうでなくとも、社会保障費は医療技術の革新もあって毎年1
兆円規模で膨らむ。行政改革や経済成長だけではとても追いつかない。
解決策として思い切って社会保障サービスに切り込まない限り、消費税の再増税など新たな負担増は避けられない。
ところが「国民の生活が第一」などは、消費税増税の阻止を掲げている。日本維新の会は消費税の地方税化を唱え
る。財源をどうやって賄うつもりなのか。
社会保障・税一体改革では、70〜74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げや、デフレ下で年金額を下げる自
動調整の仕組み、年金の支給開始年齢の引き上げなど、国民に痛みを求める改革はことごとく棚上げされた。衆院
選こそ、各党が「逃げられない課題」を訴え、解決への道を有権者に選択してもらう機会であるはずだ。
ここまで、社会保障政策の論戦が低調なことも心配だ。今後30年間、日本の高齢者数は一貫して増え続ける。改
革を足踏みさせれば国が立ちゆかなくなることを、国民も認識すべきだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121125/plc12112503170002-n1.htm
社会保障 持続可能な制度へ論戦深めよ(11月26日付・読売社説)
◇年金などの給付抑制が不可欠だ
持続可能な社会保障制度・簓う築くか、各党は現実的な政策を競い合うべきだ。
少子高齢化が急速に進む。1人の高齢者を2・4人の現役世代で支える今の「騎馬戦型」社会は、30年後には
1人を1・3人で支える「肩車型」社会になる。このままでは社会保障制度は早晩行き詰まるだろう。
◆一体改革の意義説明を◆
増え続ける社会保障支出を賄い、財政を再建するため、民主、自民、公明の3党は消費税率の引き上げを柱とす
る社会保障と税の一体改革関連法を成立させた。
だが、国民の生活が第一などは消費増税の撤回を掲げている。・維新の会は「消費税で社会保障を賄うのは不
可」としているが、疑問だ。民自公3党は、衆院選で改革の意義を丁寧に訴える必要がある。
懸念されるのは、各政党が選挙戦で有権者の歓心を買おうと、社会保障給付の拡充や負担軽減ばかりを唱えがち
になることだ。
漫然と給付を拡大するなら、際限なく消費増税を続けなければならない。
社会保障給付の抑制策を提示することは、政治の責任である。
年金給付を抑制するため、臨時国会で、改正国民年金法が成立したことは評価できる。2・5%の過払いとなっ
ている給付が、ようやく本来の水準に戻される。
年金財政の安定には、人口や賃金の変動に合わせて、年金水準をさらに引き下げる必要がある。
労働力人口の減少や、不況に伴う賃金水準の低下で、年金保険料を納める現役世代の負担は重くなる一方だ。保
険料や税の負担に比べ、給付が若い世代ほど少なくなる「世代間格差」が拡大し、制度の維持は難しくなる。
急増する非正規労働者に対する厚生年金の適用拡大や、低年金・無年金者対策についても論じてもらいたい。
民主党は年金制度を抜本的に見直そうと「最低保障年金」の創設を提唱している。だが、民主党が従来「月7万
円」としてきた給付額を税財源で賄うと、消費税をさらに最大6・2%引き上げる必要があり、実現性に乏しい。
今回の衆院選の政権公約(マニフェスト)原案に給付額の記載がないのは、こうした批判を意識したためだろう。
◆危機的な健康保険財政◆
一方、自民、公明両党は現行制度の維持を主張しているが、そのための具体策は十分ではない。
各党は、年金の将来像と制度の改善策を示すべきだ。
団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けて、医療や介護の需要は増大する。在宅医療・介護
サービスの拡充や、介護施設の整備は急務と言える。
民主党は、後期高齢者医療制度を廃止し、75歳以上の高齢者は国民健康保険に移行することを主張している。
だが、この制度は既に定着しており、廃止の必要性は希薄だ。
自民党は「現行制度が基本」としているが、改めるべき点はあろう。高齢者医療への巨額の拠出金で、協会けん
ぽなどの健康保険財政が危機に陥っている。
各党は制度の見直しに、もっと知恵を絞る必要がある。
70〜74歳の医療費の窓口負担を1割に抑える特例措置をやめ、法律の規定通り2割負担に引き上げることも
懸案だ。
複数の医療機関の受診や検査、投薬の重複、急増する調剤費など医療費の適正化も求められる。
介護サービスは、現在は要介護状態ほど重くない要支援者も対象になっているが、今後は自己負担の引き上げや
重度の要介護者への重点給付が検討課題になろう。
少子化対策にも力を入れなければならない。1人の女性が産む子供の数を示す合計特殊出生率は、11年に1・
39と低水準だ。
社会保障と税の一体改革で、消費増税分のうち7000億円を子育て支援に充てることになっている。それでも
欧州諸国に比べ依然少ない少子化対策費をどう確保するか、という観点も重要だ。
◆国民会議の役割は重い◆
近く設置される社会保障制度改革国民会議が果たす役割は小さくない。信頼できる社会保障体制の構築を議論し、
給付の抑制策をまとめる必要がある。
社会保障制度は安定したものでなければ、国民の不安は解消しない。どの政党が政権についても、制度を維持し
ながら、状況の変化に応じて修正を加えていくべきである。それを念頭に、建設的な論戦を展開してもらいたい。
(2012年11月26日01時20分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121125-OYT1T00894.htm
財政再建 具体的な財源提示を
公示まであと1週間に迫った今回の衆院選は、デフレが長期化する中、低迷する日本経済をどう立て直すかが大
きな争点の一つだ。経済政策のテーマ別に、論戦への期待と新政権が取り組むべき課題について有識者に間いた。
◇
2020年代は「団塊の世代」が75歳を超え、これまで経験したことのない高齢化時代を迎える。そうなる前に
打つべき手を打つ必要がある。10年代後半に、どういう財政健全化の道筋を立てていくか、これからの(衆院議
員の)任期4年間は、日本の経済・社会にとって非常に重要になる。
政府は20年度に「プライマリーバランス」(基礎的財政収支、財政再建の指標)を黒字化する目標を立てている
が、どういう方法で実現するのか。社会保障の給付が伸びるのは明らかだ。そのまま伸ぱすなら、別の予算削減
や、社会保険料、消費税のさらなる負担増をお願いしないといけない。
ところが、景況感か悪化しているため、各党の政策は華々しいほどバラマキ型だ。歳出抑制、予算効率化、歳入
確保といった議論が手薄なのが心配だ。財源を国債に頼る議論も多い。しかし、いつまでも低金利が続くと考え
るべきではない。防災や減災を目的にした公約も多いが、はじめに全体の投資額を決めるのは順番が違う。50年
の日本の人口分布を見据え、優先順位をつけ、投資を積み上げる発想が欠かせない。
民主党は前回09年の衆院選で、「予算を組み替えれぱお金が出てくる」と言った。しかし、お金は出てこなかっ
た。多くの公約も実現しなかった。有権者はこれに懲りている。有権者が判断できるように、各党は具体的な財
源を示すべきだ。
例えば、自民党は政権公約に、公務員人件費の削減や生活保護の見直しを盛り込んでいるが、歳出削減の規模と
しては足りない。消費税率引き上げに反対する政党も、増税なしで、どう財政再建できるのか、道筋を示す必要
がある。
増え続ける社会保障責を抑えるには、高齢者の医療費などの自己負担を引き上げることが避けられない。衆院選
で各党は「若い人ばかりに負担を押しつけるわけにいかない」と正直に話し、負担を増やすことに理解を求める
べきだ。また、生活保護は受給者の半分が高齢者だ。どこまでを生活保護、どこまでを年金で支えるのか、国民
的な議輪が必要で、選挙戦の争点にしてもらいたい。(聞き手 山本貴徳)
(2012年11月27日03時04分 読売新聞)
社会保障政策 逃げずに「痛み」も求めよ
2012.11.25 03:16
いつまで「大衆迎合」の政治を続けるのか。衆院選に向けた各党の論戦からは社会保障制度の拡充策ばかり目立つ。
消費税増税が決まり、当面の安定財源確保にめどがついたとはいえ、支払い能力に応じて負担する仕組みに改めな
ければ、制度は早晩維持できなくなる。
いま問われているのは、急速な高齢化によって膨れあがる年金や医療・介護費用をどのように抑制してゆくかだ。
各党は、高齢者を含めたすべての世代に理解を得て、痛みを求めることから逃げてはならない。
「大衆迎合」の代表例が、本来の年金支給額よりも2・5%高止まりしている「特例水準」の解消を1年先送りし
たことだ。民主、自民、公明の3党は衆院解散直前に法律を成立させた。衆院選で高齢有権者の反発を懸念したため
とされるが、これだけで約1兆円の過払いとなった。
政権公約でも、自民党は「自助・自立」を掲げながら、医療費の負担軽減や子育て支援策の無償化などの政策がず
らりと並ぶ。民主党も、巨額な財源を必要とする最低保障年金といった非現実的な政策に固執している。
サービスを拡充するには、さらなる財源が必要だ。そうでなくとも、社会保障費は医療技術の革新もあって毎年1
兆円規模で膨らむ。行政改革や経済成長だけではとても追いつかない。
解決策として思い切って社会保障サービスに切り込まない限り、消費税の再増税など新たな負担増は避けられない。
ところが「国民の生活が第一」などは、消費税増税の阻止を掲げている。日本維新の会は消費税の地方税化を唱え
る。財源をどうやって賄うつもりなのか。
社会保障・税一体改革では、70〜74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げや、デフレ下で年金額を下げる自
動調整の仕組み、年金の支給開始年齢の引き上げなど、国民に痛みを求める改革はことごとく棚上げされた。衆院選
こそ、各党が「逃げられない課題」を訴え、解決への道を有権者に選択してもらう機会であるはずだ。
ここまで、社会保障政策の論戦が低調なことも心配だ。今後30年間、日本の高齢者数は一貫して増え続ける。改
革を足踏みさせれば国が立ちゆかなくなることを、国民も認識すべきだ。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121125/plc12112503170002-n1.htm
医療・年金の高負担から若者を救え
2012/11/27付
医療・年金制度の最大の問題点は若い人ほど保険料や税負担が重く、将来の給付水準は高齢者に比べて恵まれて
いない世代間格差だ。各党は衆院選でこの格差をどう緩和するかを競うべきだ。それが医療・年金制度への国民の
信頼を取り戻す近道と考えるからだ。
しかし国政選挙の投票率は高齢層が若者層より高いこともあり、与野党ともに高齢者の負担引き上げや給付抑制
を真正面から打ち出そうとしていない。
高齢者医療に税投入を
改革を先延ばしすれば制度の持続性は損なわれ、近い将来さらに大きな負担を国民各層に強いることになる。欧
州の債務危機をみるまでもなく、それは明らかだ。
医療改革の課題は高齢者医療の財源確保だ。年13兆円(2012年度)の75歳以上の給付費のうち、約半分は公費で
支えているが、その大半は国債を発行して負担を先送りしている。4割は企業の健康保険組合などの保険料、1割
は高齢者の保険料で賄っている。
大企業の社員らが加入する全国約1400の健保組合をみると、保険料収入の46%は高齢者の医療費に召し上げられ
ている。民主党政権は、財政難の中小企業が主体の協会けんぽを支援するために企業健保に新たな負担を求める制
度を導入した。これによって企業健保の財政は急速に悪化し、約9割が赤字に陥った。
このままでは健保組合の存続が危ぶまれる。各党は現役世代の負担を和らげる策をもっと積極的に示してほしい。
民主党は75歳以上を対象とする「後期高齢者医療制度」(後期制度)の廃止を旗印にするが、財源問題を解決す
ることにもっと力を注ぐべきだ。たとえば社会保障・税一体改革による消費税率の引き上げで増える税収を、高齢
者医療にどう配分するのか、根本から考え直すべきではないか。
自民党は「消費税収を後期制度の公費負担拡大に充てる」と政権公約に明記した。病気やケガをする確率が若い
人より高い後期高齢者の医療費は、保険料より税財源で賄う方が理にかなっていることを考えると、この方向は正
しい。
民主、自民両党への注文は特例で1割に据え置いている70†74歳の窓口負担を本則の2割にすることだ。08年の
制度導入時に1割への据†置きを決めたのは、当時の自公政権であり、民主党政権もそれを漫然と踏襲してきた。
野田政権は13年4月から5年かけて2割にする方針だが、逼迫する保険財政を考えると悠長なことをしている余
裕はない。来年4月に全対象者を2割にすべきだ。
年金改革も世代間格差の緩和が重要な論点になる。
民主党が一貫して政権公約にしてきた最低保障年金と所得比例年金との組み合わせ案は、いまだに財源調達や所
得把握の具体策に不明確な点がある。いつまでも曖昧な設計で選挙戦に臨むのは許されない。再三にわたり私たち
が指摘してきた疑問点を拭ってほしい。
自公両党は04年の年金改革のうたい文句「百年安心プラン」を謙虚に反省すべきだ。04年の改革は実質的な給付
水準を毎年、小刻みに切り下げる仕組みが売り物だが、実際は一度も発動していない。この制度欠陥をただすには
高齢者に痛みを求める努力から逃げるわけにはいくまい。
国民会議で議論深めよ
世代間格差を緩和するという点で、日本維新の会が維新八策に年金の財政構造を積立方式に移行させる案を示し
たのは目を引く。今の賦課方式は、現役世代が払う保険料の引退世代への移転が基本だが、積立方式は現役時代に
自ら「貯蓄」しておくやり方だ。少子化や長寿化に強い。
ただし積立方式に移行させる過程では、賦課方式の年金が抱えている数百兆円単位の積立不足を埋める必要があ
る。積立方式が理想だと考える識者は多いが、この穴埋め負担が障害になり、実現性に乏しいと指摘されてきた。
説得力ある移行策を示してほしい。
政府が設ける社会保障制度改革国民会議の委員は、民主党と自民、公明両党の推薦をふまえて人選した。選挙戦
の中で立ち上げ、議論を委ねるからには、与野党ともに互いの改革案の欠点をあげつらうのは自重すべきだ。
持続性が高く、若者の信頼を呼び戻す方向性を共有し、改革に取り組んでもらいたい。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO48856700X21C12A1EA1000/
社説:国民会議 「最強」ならではの議論を
毎日新聞 2012年11月28日 02時30分
税と社会保障一体改革は野田佳彦政権の数少ない成果の一つと言えるだろう。しかし、年金や医療の主要
な改革はほとんど手つかずのままで、社会保障制度改革国民会議に先送りされた。その国民会議のメンバ
ー15人が発表された。わが国の社会保障の将来像を示し、実現可能な処方箋を示してほしい。
民自公の3党合意は、年金、医療、介護、少子化の4分野について国民会議で審議し、それを踏まえて必
要な法制上の措置を1年以内に実施することを定めた。当初は委員に日本医師会などの業界団体や国会議
員を含めることも検討されたが、会長に予定されている清家篤慶応義塾塾長をはじめ大学教員を中心とし
た有識者だけで構成された。「最強の布陣を念頭に置いた」(岡田克也副総理)といい、民主党の政策に
批判的な委員も含まれている。「持続可能な社会保障制度の確立を総合的かつ集中的に推進する」が国民
会議の目的だ。業界の利害が絡んだ各論に陥りがちな要素を除いた点でも人選は評価できる。
いくつか注文をしたい。年金をめぐっては政治家だけでなく経済学者の間でも破綻説から安泰説まで意見
が分かれる。「年金はすでに破綻している」と言われると不安は一気に高まるが、冷静に見るとデータ
(根拠)を明示せず、あるいは都合のよいデータをつまみ食いして自説を展開しているものがある。難解
な数理計算が一般国民による妥当性の判断の妨げにもなっている。
一方、年金記録問題などの不祥事を起こしてきた厚生労働省が「年金は破綻しない」と言っても信じられ
ない人は多いだろう。野党時代には声高に破綻論を主張した民主党幹部が政権に就くとこぞって「破綻し
ていない」に変わったことも混乱に輪をかけている。国民会議では根拠のあるデータを基に各説の信頼性
や妥当性について徹底検証し、国民にわかりやすく説明してほしい。
「総合的かつ集中的に推進」するためには4分野ごとの見直しだけでなく、各分野にまたがる問題の調整
や統合を大胆に進めることも必要だ。高齢者医療と介護の連携や役割分担、無年金・低年金と生活困窮者
対策(生活保護)の整理などは縦割り行政の下ではなかなか進まない課題だ。国民会議ならではの大局観
に立った改革案を示してもらいたい。
少子高齢化と財政状況の厳しさを考えれば、負担増や給付減の改革は避けられない。国民が納得できるか、
それとも現実離れした甘い公約になびいてしまうかは、国民会議の議論にかかっている。これ以上、社会
保障への不信や不安を政争の具にしてはならない。
http://mainichi.jp/opinion/news/20121128k0000m070111000c.html
社保国民会議 具体的な抑制案まとめよ
2012.11.29 03:19
「社会保障制度改革国民会議」の委員がようやく決まり、30日に初会合が開かれる。
国民会議に求められる使命は、人口の高齢化に伴い膨らみ続ける年金や医療・介護費用について、
具体的な抑制策をまとめることだ。消費税増税によって財源確保が一息つくとはいえ、社会保障費に
切り込まなければ、将来的に制度は維持できなくなる。
団塊世代が引退し、社会保障財政は厳しい局面を迎える。会議のメンバーには、会長に選出予定の
清家篤慶応義塾長はじめ学識経験者らが選ばれたが、もはや「議論のための議論」の段階は終わり、
政策を実行に移す段階に入ったという厳しい認識をもって臨んでもらいたい。
気掛かりなのは、各政党が衆院選を控えて国民に負担を求めることに口をつぐみ、サービス拡充策
を訴えていることだ。万が一にも、国民会議が「政治的思惑」に翻弄され、結論をあいまいにするこ
とがあってはならない。
国民会議は社会保障・税一体改革関連法に基づき設置される組織で、与野党は出される結論を最大
限尊重しなければならない。メンバーは大局に立って今後の日本が進むべき道をしっかり示し、むし
ろ与野党の議論をリードする役割を担ってほしい。
とはいえ、与えられた時間は多くない。関連法は社会保障制度の抜本改革について「国民会議で議
論して1年以内に法制上の措置を講じる」と定めているためだ。来年の通常国会に法案提出できるよ
う結論を得るには、最低保障年金や後期高齢者医療制度廃止といった非現実的な政策の是非を一から
議論する余裕などない。
改革のメニューについては、歴代政権下の有識者会議で、おおむね出尽くしている。その中から何
を選択し、導入にあたって生じる問題点をどう解決するかが問われる。生産的な議論にこそ時間を割
き、積極的に解決策を探ってゆくことが肝要である。
社会保障を取り巻く状況は厳しい。不安定な雇用環境に置かれた人も増え、勤労世代への負担は限
界に達しつつある。
高齢者も含め、支払い能力に応じた負担を求めなければ世代間の不公平感は広がるばかりだ。政府
は具体的にどこまでのサービスを提供すべきなのか、タブー視しない議論が必要となる。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121129/plc12112903200003-n1.htm
社会保障会議 制度の安定に負担を求めよ(12月2日付・読売社説)
国民生活の安心を確保するために、議論を尽くさねばならない。
今後の社会保障のあり方を検討する社会保障制度改革国民会議がスタートした。会長の清家篤・慶応義塾長は
「専門家として論理的な議論をしたい」と強調した。
来年8月の設置期限までに、少子高齢化でほころびが目立つ制度を持続可能な仕組みにする方策を打ち出すこと
が重要である。
膨らみ続ける社会保障給付費に対し、財源の社会保険料や税収は低迷している。給付と負担のバランスが崩れて
いることが、制度の危機につながっている。不足分を補う国の借金は増える一方だ。
国民会議は「国民負担の増大を抑制しつつ」必要なサービスを確保する方針だ。だが、国民に公平で相応の負担
を求めなくては、制度は維持できまい。
例えば70〜74歳の医療費の窓口負担率は、法定では2割なのに、1割に抑えられている。前後の年代に比べ
て自己負担が軽く、不公平が生じている。すみやかに2割負担に引き上げるべきである。
給付の抑制も避けられない。年金保険料を納める現役世代の賃金水準の低下に合わせ、年金給付を引き下げる必
要がある。
少子化対策も急務だ。
フランス、スウェーデンなど少子化を改善させた国々に比べ、日本の子育て支援支出は国内総生産(GDP)比
で3分の1に満たない。保育サービスの拡充など効果的な政策や、財源を確保する方策を追求すべきだ。
国民会議の検討項目は医療、介護、年金、少子化の4分野だが、雇用対策も忘れてはならない。低賃金のうえ、
社会保険が適用されない非正規雇用の待遇改善などが検討課題になろう。
国民会議の結論を得て、具体的な政策に結び付けるためには、民主、自民、公明3党の協力体制が欠かせない。
民主党は、最低保障年金の創設や後期高齢者医療制度の廃止を主張しているが、現実味に乏しく、自公両党は反
対している。衆院選後、国民会議と並行して政党間協議を行い、決着するべきだ。
日本維新の会は現在の賦課方式の年金制度を積み立て方式に改めると主張し、日本未来の党は最低保障年金の創
設を訴えている。
実現性は疑問だが、衆院選の結果次第では、国民会議に影響を与える可能性もある。
どの政党も、社会保障制度を安定させながら維持していくことの重要性を認識すべきだ。
(2012年12月2日01時04分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121201-OYT1T01188.htm
障害者は死ね ヤクザは生きろ
社説:衆院選・社会保障 抑制策も逃げずに語れ
毎日新聞 2012年12月05日 02時32分
毎年借金でやり繰りしてきた分の清算と保育の充実が「一体改革」の成果で、社会保障の立て直しはこれか
らが本番だ。都市部の猛烈な高齢化と現役世代の人口減少が危機の核心である。改革の方向性とスピード感
が各党に問われている。
雨漏りやすきま風のために改修を繰り返してきた古い家に私たちは住んでいる。年金や医療の制度改革を考
えるたびにそう思う。建て替えるだけの金はなく、頑丈な改修をするほどその重みで地盤沈下が進む。古さ
や見栄えの悪さには目をつぶり、まずは地盤強化を図るべきだ。少子化対策、働く女性の支援、若年者雇用
の策など社会を支える側(地盤)を強くしなければならない。
民主党のマニフェストは「チルドレン・ファースト」など少子化・子育て支援を重視した政策を前面に掲げ
た。公明党も「若者雇用担当大臣」の設置、「中間的就労」の推進などを優先課題に位置づける。いずれも
地盤強化を重視する姿勢を鮮明に打ち出した点が評価できる。ただし、実現するためには消費増税分(5%)
とは別に財源確保が必要なのだが、両党とも明確には示していない。
地盤対策だけでなく、高齢化で重量を増す家をスリムにすることも必要だ。自民党は多世代同居の促進、年
少扶養控除の復活など家族を中心にした「自立・自助」を強調し、生活保護費の見直しなど厳しい政策をあ
えて打ち出した。民主党との方向性の違いは明確で、有権者にとって貴重な争点となろう。
一方、民自公3党が回避する課題を取り上げたのが日本維新の会だ。年金支給開始年齢の引き上げ、医療費
自己負担割合の一律化、年金目的相続税の創設などを「政策実例」で示した。経済的な余裕のある高齢者に
は応分の負担をしてもらう必要があることは以前から指摘されてきたが、選挙では高齢層ほど投票率が高い
こともあって各党ともなかなか手を付けられなかった。
維新の公約は説明が極めて少なく、実現可能性もよくわからないが、65歳を過ぎても働ける人には年金を
支給しない、余裕のある高齢者は医療費の自己負担を3割にする、相続税も増税する−−ということなのだ
ろう。トップの人気やイメージよりも、維新の各候補者はこうした政策を有権者にきちんと説明すべきだ。
高齢層の有権者に占める割合はどんどん高くなる。この国の将来のため高齢者には自らに厳しい政策も選ん
でもらわないといけない。それができてこそ、維新の名にふさわしい改革と言えるだろう。
http://mainichi.jp/opinion/news/20121205k0000m070129000c.html
生活保護改革もっと語れ
2012/12/8付
衆院選で生活保護の制度改革を訴える政党が少ないのは、なぜなのか。
保護を受けている人は全国で213万人を超え、2012年度の給付総額は3兆7千億円に達する見通しだ。
高齢化の影響もあるが、問題は働き盛りの受給者が増え続け、自立も進んでいないことだ。
受給者は保険料や病院の窓口での負担が免除されているほか、家賃や生活費にあたる給付が支給されて
いる。最低賃金より支給額が高い地域もある。だが保護から抜けた途端、負担がのしかかる。
各党の政権公約ではこうした働く意欲が揺らぐ要素を取り除く政策がほとんど見あたらない。
目を引くのは自民党が政権公約に掲げた「生活保護の給付水準の10%引き下げ」だけだ。保護に頼らな
いで働いている低所得層の生活水準と整合性をとるという意味で、この方向は正しい。
ただ、給付総額のほぼ半分を占めるのは受給者にかかる医療費である。ここにメスを入れない限り、真
の改革は進まない。
日本維新の会は、維新八策には「医療扶助の自己負担制の導入」と明記していたが、公約ではその文言
がなくなった。民主、自民両党とも、窓口での自己負担については及び腰だ。受給者が病院窓口で一部で
も負担するようになれば、病院側も本人も意識が変わり、過剰な投薬や診療に歯止めがかかるはずだ。
受給者にかかる医療費の抑制策として、自民党は公約に「後発薬の使用義務化」「診療報酬明細書の電
子化によるチェック機能の強化」といった項目を並べたのに対し、民主党も「後発薬の使用促進」を掲げ
た。だが、これらは国民全体を対象にした医療費抑制策であって、生活保護の受給者だけに適用するのは
おかしい。
生活保護は本来、高齢や傷病などで暮らしに困っている人のための最後の安全網である。制度を維持す
るためにも、働ける受給者の自立を促す抜本的な改革が要る。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO49324370Y2A201C1EA1000/
年金制度 甘い公約では改革が進まない(12月12日付・読売社説)
少子高齢化で危機的状況に陥った年金制度をどう維持するのか。
各政党の政権公約は給付の拡充をうたったものが目につき、具体策に乏しい。
高齢人口の増加に伴い、年金給付額の膨張が続いている。一方、労働力人口の減少や景気
低迷による賃金下落で、財源の保険料収入は伸びない。
こうした状況にもかかわらず、自民党は、現行の年金制度を基本に低年金者へ「福祉的給
付」の上乗せの必要性を強調している。
3分の1から2分の1に引き上げられた基礎年金の国庫負担割合については、消費税を財
源に確実に恒久化することも公約している。
それならば同時に、高所得者の基礎年金にも低所得者と同様の割合で税を使っている現状
も見直すべきだろう。
民主党や日本未来の党は、さらに財源を要する「最低保障年金」の創設を唱え、公明党も
低年金者への年金加算を主張している。
新たな負担を求めずに給付を拡充するだけでは、年金財源の不足分を補う税金投入は増え
る一方であり、無責任だ。
将来世代へのツケ回しとなり、高齢者と若者の世代間格差が拡大する。これでは早晩、制
度が破綻するのではないか。
年金制度の安定に欠かせないのは、給付の抑制である。
その点で、日本維新の会が「高齢者雇用の創出を図って、年金支給開始年齢引き上げ」を
掲げたことや、みんなの党が「高所得高齢者への年金支給減額の検討」を打ち出したのは
評価できる。
一方で、両党が「年金制度の積み立て方式への移行」を唱えているのは疑問だ。
現行の年金制度は、現役世代が納めた保険料を高齢者の年金に充てる賦課方式だ。積み立
て方式に移行する場合、現役世代は高齢者のための保険料と、自分の老後に備えた積み立
てという二重の負担を強いられ、現実的ではない。
維新の会は「年金目的特別相続税」の創設を提唱しているが、現在必要な年金財源には到
底足りない。消費増税分を社会保障に充てることも否定しており、どう財源を賄うのか説
明不足と言える。
年金財政の安定のため、見直すべき課題は多い。
2004年に、現役世代の人口減少に合わせ、年金水準を引き下げる仕組みが導入された
が、一度も発動されていない。早期の実施が求められよう。
(2012年12月12日01時22分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121211-OYT1T01570.htm
総選挙・税制改革―豊かな人への課税を
消費税をめぐって、民主、自民、公明の3党は5%の税率を2段階で10%へ引き上げ、
その税収を社会保障にあてる法律を成立させた。
他の政党の多くは、消費増税の凍結や撤回を訴える。だが、高齢化で膨らみ続ける社会保
障の財源をどう手当てするのか。筋の通った説明がなければ「無責任」のそしりを免れな
い。
民、自、公3党も、消費増税の決定で一仕事終えた気になってもらっては困る。
自公政権時代から政府が掲げる「2020年度には基礎的な財政収支の赤字をなくす」と
いう目標の達成は、10%への消費増税でも困難だ。
税収が自然に増えるよう、経済の活性化に努めるのは当然だが、今後も増税を検討してい
かざるをえない。税制の全体像をもっと語らねばならない。
待ったなしなのは、消費増税に伴う「ひずみ」の是正だ。
消費税には、食料品や日用品の支出割合が高い低所得層ほど税負担が重くなる「逆進性」
がある。3党はそれを和らげる具体案を決めないまま選挙戦に入った。早急に詰めてほし
い。
さらに問題なのは、3党が所得税と相続税の見直しを棚上げしたことだ。
広く薄く課税する消費税は世代を超えて国民全体が負担し、税収も安定しているため、皆
で支え合う社会保障の財源にふさわしい。
一方で、所得や資産が多い人により多くの負担を求める「再分配」も、税制の重要な役割
である。財政の厳しさも踏まえれば、所得税や相続税の強化は欠かせない。
政府・民主党は、所得税で現行40%の最高税率を45%にする案を、相続税では課税対
象から差し引ける控除を縮小しつつ税率を全体的に引き上げる案を示したが、自民党が反
対し、先送りされたままだ。
3党には「さらなる負担増の話などできない」との空気が根強い。景気は後退色を強めて
おり、「消費増税だけで手いっぱい」との声も多い。
しかし、消費税率を上げる以上、豊かな人により多くの負担を求めるのは当然である。そ
うした姿勢を示すことは、消費増税への国民の理解を深めることにもつながるはずだ。
働く現役層の生活が厳しくなっていることを考えると、とくに相続税の課税強化に力点を
置くべきだろう。
亡くなった人の4%余りでしか納税されていない現状を改め、もっと広く、より多くの負
担を求めていく必要がある。
http://www.asahi.com/paper/editorial20121212.html
総選挙・くらし―公約の先にあるもの
社会保障や雇用など、くらしに密着した政策で政党や候補者を選びたい――。
そう考えている有権者も多いだろう。
3年前、政権をうかがう民主党が年金や高齢者医療の抜本改革、子ども手当といった
大仕掛けの政策を打ち出したのに比べると、今回は大きな争点にはなっていない。
しかし、各党の公約を子細に読んでいけば、文言の先にある社会像と課題が浮かんで
くるはずだ。
自民党や日本維新の会は、自助を重視する。社会保障を抑制し、雇用規制は緩和の方
向性が色濃い。
たとえば、自民は「生活保護の見直し(国費ベース8千億円)」で歳出削減を図る。
素直に読めば、生活保護に投じられる年間の国費2兆8千億円を、4分の1以上カッ
トすることになる。不正受給への厳格な対処でどうにかなるレベルの額ではない。
生活保護が増えているといっても、絶対数では60歳以上が過半数を占める。自民は
「給付水準の原則1割カット」を掲げるが、仕事につくのが難しい年齢層の人たちを
どうするか。
給付カットは、生活保護を受けず、懸命に働いてぎりぎりの生活を送る人々にも影響
することにも思いを巡らしたい。
就学援助や国民健康保険の窓口負担の減免といった基準も、生活保護と連動して厳し
くなる可能性が高いからだ。
雇用では、維新が「市場メカニズムを重視した最低賃金制度への改革」を主張する
(当初は「最低賃金制の廃止」)。
雇用創出が目的だが、どんな仕事が生まれるだろう。かつて外国人研修生は最初の1
年間、最低賃金制の対象外で、低賃金・単純労働が横行した。
あわせて掲げる「税による最低所得保障」で、どこまで賃金を補えるだろうか。
維新と同じく競争を重視しながら、最低賃金の段階的なアップを求めるみんなの党と
比べるのも参考になろう。
一方、民主、未来、公明、共産、社民の各党は濃淡はあれ、共助や公助を重視する。
ただ、社会保障は手厚く、負担は小さくという図式は成り立たないのに、魔法の杖で
もあるかのような公約が目立つ。
手厚い給付には負担増が避けられないと、有権者自ら公約を読み替えて、その社会を
イメージしてはどうだろう。
自分たちのくらしが政治でどう変わるのか。有権者の想像力も、また問われている。
http://www.asahi.com/paper/editorial20121214.html
世界で一番成功した社会主義国家が日本
24 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2012/12/25(火) 03:34:11.13 ID:WdvdaZ8O0
日本の社会主義国家は大失敗して景気低迷なんだよな
共産党は医療福祉制度を押し進めてくれる政党です。
子供や老人や若者に優しい政党です。
環境保善にも力を入れている政党です。
26 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2012/12/30(日) 10:22:31.74 ID:UMJyAlWe0
社説:社会保障政策 医療・介護の改革を急げ
毎日新聞 2012年12月24日 02時31分
有権者の投票行動にどのくらい影響を与えたのかわからないが、今回の総選挙は「自立・自助」の自民
党、「公助」路線の民主党という社会保障の理念をめぐる明確な争点があった。自民が圧勝したことで、
民主の金看板だった「最低保障年金」創設、「後期高齢者医療制度」抜本改革の挫折が決定的になった。
もともと民主の社会保障政策は財源の裏付けがなく、実際に制度設計してみると現役世代に過重なしわ
寄せがくることも判明した。野田政権の「中間層を分厚くする」という方針とも矛盾するものであり、白
紙に戻すのは当然だろう。ただ、これらの政策はさまざまな社会的格差、貧困層の広がりに対する国民の
不満を受けて掲げたものであり、その課題は今なお残っている。新政権がどのように取り組むのか注目し
たい。
自民の公約で際立っているのが生活保護の1割削減だ。民主のバラマキとの違いを鮮明にし、責任政党
として持続可能な社会保障のために厳しい政策を掲げた意味は小さくない。ただ、孤立や貧困に陥ってい
る人に自立・自助を求めるだけでは、格差はますます広がり、貧困層はさらに苦境に追い込まれるだろう。
高齢者で生活保護を受給している人の割合はほかの世代に比べて著しく高い。働くことができず、家族も
いない高齢の貧困層をどうするのか、財源も含めて具体的に示すべきだ。
子ども手当導入に伴って廃止された年少扶養控除の復活や多世代同居を進めるともいう。戦後、大家族
から核家族へ、さらに独居や夫婦2人だけの世帯が増えてきた。都市に人口が集中し働く女性の増加に伴
って人々のライフスタイルも変化してきた。伝統的な家族主義を志向する政策と現代人の意識はどのよう
に折り合っていくのだろうか。社会を支える側を立て直す点では、子育てや少子化対策は最重要の課題で
もある。
税と社会保障の一体改革に基づき、消費税は社会保障に全額を使うという方針は歓迎したい。一体改革
では手が付けられなかったのが医療と介護だ。高齢になるほど疾病にかかる人は多くなり、1人当たりの
医療費も高くなる。来年は最も人口が多い団塊世代の大半が高齢者の仲間入りをする。専門ごとに細分化
している医療の供給体制を抜本的に変え、介護福祉との役割分担を大胆に進めないといけない。高齢者の
生活の質がおざなりになったのでは、何のための負担増かわからない。
終末期をどのように過ごすのかはとりわけ重要だ。終末期を迎える人は年々増えていく。みとりの体制
を充実させるとともに、私たち自身も深く考えないといけない。国民的課題として取り組むべきである。
http://mainichi.jp/opinion/news/20121224k0000m070095000c.html
健保財政悪化 医療費負担の世代格差是正を(12月25日付・読売社説)
サラリーマンが加入する健康保険の財政が悪化し、保険料の上昇を招いている。高齢者医療への巨額の
支出が原因だ。これ以上重い負担を現役世代に求めるのは避けるべきだ。
65歳以上の高齢者の医療費は、高齢者自身の保険料や窓口負担のほか、公費と健保組合などからの拠
出金で賄われている。その拠出金が、2008年にスタートした高齢者医療制度で急増したため、多く
の健保は赤字に転落した。
財政難から、健保は労使で負担する保険料を上げざるを得ない。中小企業の従業員が加入する協会けん
ぽでは従来の8・2%から10%に、大企業の健保組合も7%台から平均8・3%に上昇した。
団塊世代が今年から65歳にさしかかり、高齢者の医療費は今後さらに増えるだろう。保険料率は際限
なく上昇する恐れがある。
企業経営の重荷になる上に、賃金の手取りが減り、景気や消費に悪影響を与えかねない。
それを防ぐには、高齢者にも応分の負担を求めざるを得まい。
70〜74歳の医療費の窓口負担は法定では2割なのに、1割に抑えられている。75歳以上を対象に
した後期高齢者医療制度の導入に際し、当時の民主党の鳩山幹事長らが「うば捨て山」と酷評し、政争
に利用したことの反動である。
費用の多くを現役世代が賄う制度であり、的外れの批判だったが、福田内閣は高齢者の反発を恐れ、7
0〜74歳の負担を75歳以上並みに抑える特例措置をとった。
この特例を廃し、本来の2割負担に引き上げるべきだ。1割となっている75歳以上の窓口負担の引き
上げも検討課題になろう。
重要なのは、増え続ける医療費の伸びを抑えることだ。
複数の病気を抱える高齢者は、多くの専門医にかかり、受診や検査、投薬の重複が目立つ。
各医療機関の患者情報を一元的に管理し、無駄をなくすべきだ。共通番号制度(マイナンバー)の導入
を急いでもらいたい。様々な病気を診る「総合医」育成も、重複受診の解消に欠かせない。
価格の安いジェネリック医薬品(後発薬)の使用を原則とし、薬剤費の抑制を図る必要もある。
政権に復帰する自民、公明両党の公約には「小児医療費の無料化を検討」など医療費増大につながる内
容が目についた。これでは制度の維持が困難にならないか。
高齢者人口の増加で、高齢者医療に公費投入を増やすのは不可避だろう。財源確保のため、消費増税を
着実に進めねばならない。
(2012年12月25日01時17分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121224-OYT1T01032.htm
社会保障政策 全世代で応分の負担が必要だ(12月31日付・読売社説)
◆活力回復へ少子化に歯止めを◆
急速な少子高齢化で、年金、医療、介護など社会保障制度の維持に黄信号がともっている。
将来への不安から、消費を控えて貯蓄に回そうとする心理が、景気低迷にもつながっている。安倍内閣は、
社会保障制度に対する信頼の回復を急がねばならない。
最優先すべきは、消費税率の引き上げを柱とする社会保障と税の一体改革を着実に進めることだ。消費増
税分は、基礎年金や医療などの財源に充てられる。制度を維持していくための大きな一歩になるだろう。
◆改革は長期的な視点で◆
無論、これだけでは不十分だ。将来を見据えた長期的な改革として、少子化対策が重要である。
これまでの日本の社会保障は、年金額などで高齢者に手厚い反面、少子化対策が貧弱だった。
社会保障と税の一体改革によって、消費増税分13兆5000億円のうち、7000億円が子育て支援策
の財源となる。それでも、フランスやスウェーデンなど、少子化の克服に成功した国々に比べると相当見
劣りする。
日本は、1人の女性が産む子供の数を示す合計特殊出生率が1・39で、先進国では最低のレベルだ。出
生率の低下で、人口は今後50年間に3割以上も減り、100年後には3分の1の規模に縮むと予測され
ている。
少子化に歯止めがかからなければ、労働力人口が減少し、現役世代の社会保障費負担は重くなる。経済成
長にもマイナスで、社会の活力をそぐことにもなる。
出産を機に退職を余儀なくされる女性が多い現状を改善したい。失職への不安が、出産をためらう一因だ。
保育サービスの拡充や育児休業中の所得保障の強化など、安心して働き続けられる環境を整えることが急
務だろう。
安倍首相は記者会見で、女性が活躍し、子供を産み育てやすい国を作っていくことが政権の責務だと強調
した。3年3か月で少子化相が計10人も入れ替わった民主党政権を反面教師とし、強力に少子化対策を
進めてもらいたい。
少子化と並び、非正規雇用の増大も社会保障を危うくしている。パート、契約社員などの非正規労働者は
1800万人を超え、被用者の35%に達した。
◆非正規雇用対策が課題◆
非正規労働者については、年金、医療、雇用など社会保険を適用していない企業が多い。社会保険料の徴
収対象でない労働者の増加は、保険料収入で成り立つ社会保障制度の根幹を揺るがす。
失業や病気が生活困窮に直結し、将来は無年金・低年金になる恐れも強い。
非正規労働者は、リストラの対象にもなりやすい。経済的な理由で結婚が難しく、30歳代男性の既婚者
の割合は正社員の半分ほどにとどまる。それが少子化を加速させる悪循環を招いている。
非正規労働者に対する厚生年金など社会保険の適用拡大や、正社員との賃金格差の是正は大きな課題であ
る。
田村厚生労働相が記者会見で、経済再生のため「雇用についてもしっかり対応したい」と述べたのは妥当
だ。非正規労働者の処遇改善にも積極的に取り組んでもらいたい。
社会保障制度を持続可能にするには、若者から高齢者まで、世代を問わず、能力に応じて負担することも
求められる。特に見直しが必要なのは、年金税制である。
公的年金は税額控除が大きく、年金生活者の納税額は、同じ収入の勤労所得者に比べて大幅に少ない。年
金課税を強化し、現役世代との格差を是正すべきだ。
問題はそれだけではない。70〜74歳の医療費の窓口負担は、法定では2割のところ、1割に抑えられ
ている。その結果、前後の年代に比べ、収入に占める負担額の割合が小さい。本来の2割負担に引き上げ
ることが求められる。
◆給付の抑制も不可避◆
介護サービスは現在、比較的症状が軽い要支援者でも、自己負担率は重度の要介護者と同じ1割だ。今後
は負担率の引き上げも検討課題になる。
給付の抑制も避けられない。
公的年金には、賃金や物価の変動率より年金の伸び率を低く抑える仕組みが2004年に導入されたが、
一度も発動されていない。早期に実施する必要がある。
ただ、年金生活者の所得格差も大きく、生活費を基礎年金だけに頼る低年金の高齢者も少なくない。消費
増税の際、生活必需品の軽減税率を導入するなど、低所得者対策が欠かせない。
(2012年12月31日01時15分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20121230-OYT1T00799.htm
選挙目当ての医療費据え置きを憂う
2013/1/9付
安倍政権は本気で医療改革をやる気があるのか。自民、公明両党は、特例で1割に据え置かれ
ている70〜74歳の医療費の病院窓口での負担を本則の2割に引き上げる時期について、2013年4
月からの実施の見送りを決めた。
若者より投票率の高い高齢者にかかわる改革は今夏の参院選後に先延ばしし、選挙への影響を
抑えるのが狙いとみられる。この特例を維持するために、毎年度、約2千億円の補正予算を計上
してきたが、12年度も盛り込む方針だ。
私たちはこの特例を廃し、全対象者を法定の2割負担にすべきだと一貫して主張してきた。そ
の場しのぎの先延ばしを繰り返しても、勤労世代やその雇用主、将来を担う若者が強いられる負
担を重くするだけだからだ。
医療費の窓口負担は現在、就学前までは2割、69歳までが3割、70代前半が2割、75歳以上は
1割と法律で定められている。だが、70代前半の窓口負担だけは1割に据え置かれ、6年目に入
る。
70代前半の窓口負担を1割から2割に引き上げることは06年に成立した医療制度改革法で決ま
っていた。だが、直後の参院選で大敗した当時の自公政権が高齢者の反発を恐れ、08年度の施行
直前になって引き上げを凍結。民主党政権もこれを踏襲してきた。
法律を成立させたのが自公政権であるにもかかわらず、またもや逃げるのは無責任だ。先延ば
しすれば、将来さらに大きな痛みを強いられる可能性があることを、多くの国民がすでに気づい
ている。
厚生労働省は低所得者を対象から外し、今年4月から5年かけて段階的に、70代前半の窓口負
担を2割に引き上げる見直し案を審議会に提示している。本来は4月に全対象者の負担を一斉に
2割にすべきだが、百歩譲って、同省の案を実施した場合の方が、国民から理解が得られるはず
だ。
少子高齢化と厳しい財政状況を考えれば、負担増と給付減はもはや避けられない。働く人の給
与は1990年代後半から減り続けている。高齢者世帯の間でも所得や資産の格差が広がっている。
将来、窓口負担は年齢で区別するのでなく、生活が苦しい人は軽減し、余裕のある人には応分
の負担を求める方向で改革を進めてはどうか。3党合意で設けた社会保障制度改革国民会議での
議論はもちろん必要だが、抜本的な改革シナリオを示すのは政治の責任だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50409790Z00C13A1EA1000/
諮問会議始動 歳出抑制に果敢な姿勢を
2013.1.11 03:25
安倍晋三政権で経済財政政策の司令塔となる経済財政諮問会議の議論が始まった。民主党政権下
では休眠状態にあり、約3年半ぶりの開催だ。
会合で安倍首相は、デフレ脱却に向けた2%の物価上昇目標設定など政府と日銀の連携を改めて
訴え、中長期的な経済財政運営の指針となる「骨太の方針」を6月をめどにまとめるよう指示し
た。
官邸主導の経済政策運営を目指す首相が、諮問会議の復活で日本経済最大の課題である脱デフレ
を強調したのは当然である。白川方明日銀総裁もメンバーだ。政府と日銀がしっかりと認識を共
有できる場となるよう強く求めたい。
ただ、諮問会議にはもう一つ重要な役割がある。かつてこの会議をフル活用した小泉純一郎政権
のように、大胆な構造改革の道筋を示すことだ。規制の緩和・撤廃などは民間に活力を与え、日
本経済の成長力を引き上げる。
脱デフレには大胆な金融緩和と同時に、思い切った財政出動が必要だ。だが、その場合も、国の
借金残高が国内総生産(GDP)の約2倍と危機的状況にあることは常に念頭に置かねばならな
い。
歳出歳入構造を抜本的に見直すとともに成長を実現する。それこそが持続可能な財政を維持する
絶対条件だ。金融政策、財政政策と並び「脱デフレへの三本の矢」の一つとされる成長戦略は、
日本経済再生本部とその傘下の産業競争力会議が策定する。土台となる考え方や方向性は「骨太
の方針」にしっかりと書き込むべきだ。
歳出改革で重要なのは社会保障費の切り込みだ。小泉政権下の諮問会議がまとめた「骨太の方針
2006」では、毎年1兆円にもなる社会保障費の自然増分を一部抑制する方針が示され、民主
党政権が撤廃するまで続いた。
それで十分だったわけではないが、歳出抑制に果敢な姿勢を見せることが、財政への信認につな
がる。諮問会議は、自民、公明、民主の3党合意に基づく社会保障制度改革国民会議の議論をリ
ードすることも求められている。
「骨太の方針」がまとまるのは今夏の参院選直前になる。民主党政権が定めた「政策経費71兆
円以下、新規国債発行44兆円以下」に代わる具体的な財政規律も含め、どこまで改革に踏み込
めるか。その成否は安倍首相の指導力にかかっている。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130111/fnc13011103260000-n1.htm
高齢者医療 いつまで「優遇」するのか
2013.1.14 03:16
高齢者への「過度な優遇」を廃さなければ、社会保障制度は早晩維持できなくなるだろう。
安倍晋三政権が、70†74歳の医療費窓口負担の2割への引き上げを見送り、来年度も1割に
据え置く特例措置の継続を決めたことは、危機感が欠如していると言わざるを得ない。
夏の参院選で高齢有権者の反発を避けたいとの思惑があったようだが、高齢者にも支払い能力に
応じて負担してもらう仕組みに改めなければならないことは分かっていたはずだ。痛みを伴う政
策から逃げず、国民に理解を求めていくことこそ、政権与党の取るべき姿勢ではなかったのか。
社会保障改革で政府・与党の最大の使命は、高齢化で急速に増え続ける年金、医療・介護費用の
抑制に道筋をつけることだ。据え置きには約2千億円が必要とされ、改革逆行もはなはだしい。
そもそも、2割への引き上げは小泉純一郎政権時の医療制度改革関連法で平成20年に実施が決
まっていた宿題だ。今回の据え置きは政府・与党の判断だけで決定された。新政権による社会保
障費への切り込みに向けた試金石でもあっただけに、極めて残念だ。
懸念されるのは、高齢者への過度の配慮を続けることで、若い世代の不公平感が強まることだ。
高齢者の医療費は本人の負担以外に、勤労世代の保険料や税金で支えられている。高齢者の窓口
負担を抑えれば、それだけ若い世代へのしわ寄せが大きくなる。
既に高齢者医療への巨額な支出によってサラリーマンの健康保険は財政が悪化した。保険料引き
上げを余儀なくされ、解散に追い込まれる健保組合も相次いでいる。「取りやすいところから取
る」といった安易な負担の押しつけは直ちにやめるべきだ。
若い世代に年金支給開始年齢引き上げなど将来の負担増や給付抑制を求めるにも、現在の高齢者
にも分担を求めなければ、到底理解は得られまい。勤労世代の負担も限界に達しつつある。社会
保障改革を成功させるには、全ての世代が少しずつ我慢し、譲り合いの精神を持つことが不可欠
だ。
社会保障制度改革国民会議の議論もまもなく再開される。
安倍首相には、選挙が近付くたびに痛みを伴う改革を先送りしてきた「大衆迎合」の政治と決別
する覚悟をみせてもらいたい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130114/plc13011403160003-n1.htm
税制改正は個人の活力をそがないように
2013/1/16付
自民、公明両党が2015年1月から、所得税と相続税の最高税率を引き上げることで合意した。
富裕層の課税強化で経済格差の拡大に一定の歯止めをかけ、14年度からの消費増税に対する低所
得層の不満を和らげるのが狙いだ。
格差が広がっているのは確かであり、社会保障制度の改革を中心に所得再分配のあり方を見直
す時期にきている。しかし所得税の増税については慎重な検討が要る。個人の活力をそがぬよう、
細心の注意を払ってほしい。
消費税率を5%から10%に引き上げると、所得が少ない人の負担が相対的に重くなる。こうし
た低所得層との公平性を保つため、富裕層の課税強化を併せて検討することが法律で決まってい
た。
自民、公明両党はこれを踏まえ、所得税の最高税率を40%から45%、相続税の最高税率を50%
から55%に引き上げる方針を固めた。民主党との3党協議を経て、13年度税制改正に盛り込む方
向だ。
所得の高い人により多くの負担を求める所得税の役割は欠かせない。総合的な観点から適正な
課税のあり方を考える必要がある。
だが所得税と住民税を合わせた最高税率が55%と、課税所得の半分を超えてしまうのはどうか。
勤労や起業の意欲をそぎかねないとの指摘も出ている。新たな税率の適用対象は今後詰めるが、
増税の影響を極力抑えるのが望ましい。
民主党政権下の12年度税制改正では、年収の高いサラリーマンの給与所得控除に上限を設けた。
負担能力があって所得税を取りやすいという理由で、富裕層だけに負担を強いるのは疑問が残る。
東日本大震災の復興費を賄う所得税の増税が今月から始まった。こうした点にも配慮しながら、
所得税の改正を進めてほしい。
ただ日本の財政を立て直すにはある程度の税収を確保せざるを得ない。資産を持つ人に一定の
負担を求める相続税の課税強化はやむを得ないだろう。高齢者の金融資産を子や孫に移し、消費
や住宅投資を促すような贈与税減税と合わせて実施するなら意味があろう。
自民、公明両党は相続税の最高税率引き上げだけでなく、相続財産から差し引ける「基礎控除」
の縮小も検討している。その際には地価の高い都市部の住民の負担が重くなりすぎないよう注意
すべきだ。中小企業のオーナーが後継者に事業を引き継がせる際の妨げにならないような配慮も
必要だ。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50638530W3A110C1EA1000/
社説:大型補正予算 「負担は後で」は無責任
毎日新聞 2013年01月16日 02時32分
この政権は財政再建に取り組む気があるのか。そう問わずにはいられない12年度補正予算であ
る。緊急経済対策の実施などに必要な予算措置だが、財源の約6割を借金に頼ったため、今年度
の新規国債発行額は、44兆円の目標を8兆円も超過した。将来の返済負担がまた増える。
財政再建を「中長期的にはしっかりやる」と安倍政権は主張する。だが、借金を大胆に上積みす
る政権が、どうしたら数年後の再建目標を達成できるのか、不可思議だ。
財政再建への真剣さを疑う代表例が、70〜74歳の高齢者が病院の窓口で負担する割合を1割
から2割に引き上げる措置の凍結継続だろう。補正予算には、4月から1年据え置くための費用
として、約2000億円が計上された。
現役世代の負担と高齢者の受益とのバランスを改善させるため、70代前半の負担増を決めたの
は自公政権である。06年のことで、08年4月から実施することになっていた。それが07年
の参院選惨敗を受け、高齢者の反発を恐れた当時の政権が施行直前になって凍結を決めたのだ。
以来、1年限りの「特例措置」が毎年、繰り返されてきた。
これで6回目である。政府がまとめた緊急経済対策の中で、負担増見送りは「安心できる医療体
制構築」の項目にある。いつから法律通りの2割とするかについては、「早期に結論を得る」と
あるだけだ。
次善の策も検討された。新たに70歳になる人から2割を適用し、5年かけて対象者すべてを2
割負担とする案である。これなら69歳時の3割負担より重くならず、抵抗も小さいだろうと考
えられた。
だが安倍政権は、それさえ採用しなかった。減税や補助金といったアメは参院選前、負担増はそ
の後で、というのでは、あまりにも無責任で不誠実だ。来年4月には消費税率の引き上げも予定
されるが、「負担が重なる」として再度、先送りとならないだろうか。そうこうするうち、受益
者人口が増え、若い世代の負担はますます膨らむ。安心の医療体制とは到底言い難い。
安倍政権は財政再建にも取り組むと言う。基礎的財政収支を20年度に黒字化するといった目標
は維持したいとしている。しかし、自ら決めた高齢者医療の負担増すら実施できずに、どうして
7年先の高い目標が達成できるというのだろう。
達成に自信があるなら、6月の「骨太の方針」を待たず、13年度予算の編成に合わせ、具体的
な財政再建工程を示すべきだ。過去2番目の大規模補正予算を、発足から約2週間で決められた
政権だ。できないはずはない。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130116k0000m070109000c.html
生活保護費 支給基準の適正化が必要だ(1月17日付・読売社説)
厚生労働省の社会保障審議会が、生活保護費の検証結果を公表した。
生活保護のうち、食費など生活費を賄う生活扶助の支給額が、一般の低所得世帯の生活費支出を
上回る逆転現象が一部に起きていた。
背景には、デフレ下で一般の賃金水準が低下したことがある。生活扶助の基準は、原油価格の高
騰などを考慮し、2004年度の引き下げ後は据え置かれてきた。
国民の公平感を損なわないためにも、生活保護費の適正化は必要だ。所得水準の低下に応じ、保
護費の引き下げはやむを得ない。
ただし、高齢者世帯への支給額については、生活保護を受けていない低所得者の生活費より低い
との結果だった。一律に保護費を引き下げるべきではないだろう。
留意すべきなのは、生活保護の基準が最低賃金などに連動している点だ。生活保護費の引き下げ
が、最低賃金を低い水準にとどめる事態は避けねばならない。
生活保護に頼ることなく、懸命に働いている人たちへの配慮が求められよう。
長引く不況で、生活保護の受給者は急増している。本来は働ける世代が生活保護を受けるように
なる例が目立つのは問題である。経済的に困窮した人たちの自立を後押しする施策も重要だ。
厚労省の審議会は、生活困窮者への就労支援策もまとめた。
生活困窮者は、生活保護を受給していないものの、低所得で生活保護に追い込まれる可能性があ
る人たちだ。これまで行政の目が届きにくかったケースへの支援策を打ち出したことは評価でき
る。
新たな就労支援の一つが「中間的就労」だ。対人関係を築くのが苦手なために、すぐには就労で
きない人を対象とする。介護施設での介護補助や清掃、リサイクル活動への参加などで訓練を積
み、本格的な就労につなげるという。
現在は一部の自治体や施設に限定されている職業訓練の場を広げていくことも大切だ。
住居の確保は欠かせない。離職によって社員寮などから退去を余儀なくされ、住まいを失う人は
少なくない。
求職活動を行うことを条件に家賃を補助する住宅手当が、臨時の予算措置として2009年から
導入された。この支給を受けた人の半数以上が再就職できた。手当を恒久制度化してはどうか。
自民、公明両党の連立政権合意では、生活保護受給者の就労支援を進めることも明記している。
着実に進めてもらいたい。
(2013年1月17日00時34分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130116-OYT1T01450.htm
働く意欲を失わせない生活保護へ改革を
2013/1/17付
厚生労働省が2013年度から生活保護の支給水準を引き下げる方向で与党と本格調整に入った。
自民党も10%減額を衆院選で公約しており、具体的な引き下げ幅は13年度予算編成のなかで月内
にも決定される見通しだ。
引き下げが検討されているのは生活保護費全体の約35%を占める食費や光熱・水道費などの基
準額だ。同省の検証結果では、現在支給されている基準額は保護を受けていない一般の低所得世
帯の生活費に比べて、夫婦と子供2人の4人世帯で月約2万7千円(14.2%)多かった。
支給水準の引き下げには生活困窮者の支援団体などからの反対が強い。だが、高齢の受給者な
どへの影響を配慮しつつ、働き盛りの受給者への支給額を適正な水準に見直すことは急務だ。保
護を受けて暮らすより、働く方が損になる仕組みがある限り、働ける受給者の自立が進まないか
らだ。
長引く不況で生活保護の受給者は今や213万人を超え、12年度の給付総額は3兆7千億円に上る
見込みだ。働けるのに受給している人はこのうち約40万人と推定される。就職して生活保護から
脱した人はごくわずかだ。
重要なのは、生活保護を受けている人が就労意欲を持てる仕組みを整えることだ。最低賃金で
働く人の手取り収入が保護の支給水準を下回る地域では、支給額の引き下げがこの逆転現象の解
消にもつながる。受給者が働く意欲を持ちやすくなる。
本当に生活保護が必要な人だけが受給できる仕組みにすることで、制度の持続性が高まる。
保護費全体のほぼ半分を占める医療費の抑制にも取り組まなければならない。受給者は病院窓
口での自己負担がないが、一部でも負担するようになれば病院側の意識も変わり、過剰な投薬な
どに歯止めがかかるはずだ。
支給水準の見直しとあわせて厚労省が示した生活困窮者対策案には、生活保護を受けていない
人でも、就労や住宅などの相談ができる窓口を全国に設ける施策が盛り込まれた。
雇用情勢が厳しいなかで不安定な立場の非正規労働者として働く人は多い。病気やけがをきっ
かけに職を失い、生活保護を申請する例も少なくない。早い段階でこうした人たちの相談にのる
支援策は保護に頼る人を減らすうえで効果があるだろう。
http://www.nikkei.com/article/DGXDZO50676210X10C13A1EA1000/
生活保護改革 就労支援に全力を傾けよ
2013.1.19 03:09
生活保護改革において最優先すべきは、働く能力のある人たちを確実に就労へと導くことだ。
厚生労働省の審議会が改革案をまとめた。その法制化に向け、政府・与党の議論が本格化する。
安倍晋三政権は雇用創出を含め、実効性のある就労支援策を早急に具体化しなければならない。
生活保護費は、受給者が増大して平成24年度に3・7兆円に上る見通しだ。高齢化の進行でや
むを得ない面もあるが、本当に必要な人のみが利用する制度にしていかなければ、やがて行き詰
まる。
見過ごせないのが、雇用環境の悪化に伴い、働き盛りの受給者数が急激に伸びていることだ。ひ
とたび受給者になると、そこから抜け出すのは容易ではない。リストラで住まいを失ったり、学
校卒業後も就労経験がなかったりして、就職が難しい例も少なくない。
勤労世代の就労意欲、機会を高めるために、あらゆる政策手段を講じることが重要となる。
例えば、働く受給者のために行政が収入分の一部を積み立てて生活保護の脱却後に支給するとい
う、審議会が打ち出した制度などは、有効な手立てとなろう。
社会人としての経験が乏しい人などに、訓練期間として簡易な作業から始めてもらうのも、一つ
のやり方だろう。着手できるものから順次、実現してもらいたい。
就労支援と同時に取り組まなければならないのが信頼の確保だ。詐欺的行為である不正受給は論
外だが、就業できるのに生活保護に「安住」し続ける人たちも、大目に見るわけにはいかない。
不正受給に厳罰で臨むことはもちろん、こうした甘えの構造も断ち切っていく必要がある。
食費など「生活扶助」の支給額が、低所得世帯の生活費に比べて高止まりしている「逆転現象」
が一部で生じていることも分かり、田村憲久厚労相が来年度からの支給水準引き下げを明言した。
当然である。高齢受給者や他制度への影響に配慮しながら、適正な水準に改めるべきだ。
生活保護は国民の血税で成り立っている。「働く方が損」となれば、不公平感が広がるばかりか、
受給者の自立も進まなくなる。その子供まで受給者となれば、貧困の連鎖を引き起こしかねない。
政府・与党には、くれぐれも制度の本質を見失わない改革議論を期待したい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130119/plc13011903090007-n1.htm
25年度予算編成 財政規律に危機感共有を
2013.1.22 03:14
危機の度合いを強める日本の財政状況をこれ以上、悪化させてはならない。財政再建は国民に
とって「対岸」の問題ではないのだ。
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)がまとめた平成25年度予算編成のあり方に関する報
告書は、切迫感をもって財政健全化を訴えている。
現時点で日本経済の最大かつ緊急の課題が、デフレ脱却であることに議論の余地はない。
しかし、国の借金残高が国内総生産(GDP)の2倍を超える状況は、脱デフレや成長戦略の
実現で改善できる水準ではないのも事実だ。国債暴落などの危機回避の最後の砦(とりで)と
もいえる「財政規律の維持」を、毎年度の予算編成でどう具体的な歳出抑制に反映させるかが
問われている。
最大の焦点となるのは、社会保障費だ。24年度の社会保障給付費は約110兆円で2年度の
約47兆円の約2倍、国庫負担も2倍強に増えている。この間、社会保障以外の政策的経費が
微減になっていることを考えると、その深刻さは際立っている。
少子高齢化の進行をにらむと、引き上げが決まった消費税を社会保障財源に充てるとしても、
給付見直しなどでメスを入れない限り国庫負担は増え続ける。
財政審の報告書はギリシャなどを例に、財政危機に陥ると行政サービスのカットなどで国民生
活に大きな打撃を与えると指摘した。それは社会保障給付の大幅削減や負担の急増を意味する。
最も影響を受けるのは、高齢者や低所得者といった本来社会保障で守られるべき人たちなのだ。
社会保障に限らず、国民に痛みを強いる歳出抑制は先送りされがちだ。しかし、財政問題は
「将来へのつけ回し」だけでなく、今の生活をも破壊しかねない。国民全体が危機感を共有し
たうえで議論すべきである。
先週閣議決定された24年度補正予算案は景気底割れ回避を優先し規模が大きくなった。だか
らこそ、25年度予算では歳出抑制とのバランスが厳しく問われる。
財政出動を金融緩和、成長戦略と並ぶ「脱デフレの三本の矢」とする安倍晋三政権も、財政へ
の危機感は強い。25年度予算編成にあたって「引き締まった内容にしてほしい」と指示した
安倍首相と、それを受けた麻生太郎財務相の指導力を期待したい。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130122/plc13012203140002-n1.htm
39 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/02/02(土) 07:09:52.42 ID:T1qdC6BK0
地裁が泣いた -認知症母殺害事件初公判-
京都認知症母殺害心中未遂事件
京都市伏見区桂川河川敷で2月1日、無職片桐康晴被告が、 認知症の母親を殺害して無理心中を図ったとみられる事件の初公判が19日に行われた。
事件内容は認知症の母親の介護で生活苦に陥り、母と相談の上で殺害したというもの。
片桐被告は母を殺害した後、自分も自殺を図ったが発見され一命を取り留めたとの事。
片桐被告は両親と3人暮らしだったが、95年に父が死亡。その頃から、母に認知症の症状が出始め、一人で介護した。
母は05年4月ごろから昼夜が逆転。徘徊で警察に保護されるなど症状が進行した。
片桐被告は休職してデイケアを利用したが介護負担は軽減せず、9月に退職。
生活保護は、失業給付金などを理由に認められなかった。
介護と両立する仕事は見つからず、12月に失業保険の給付がストップ。カードローンの借り出しも限度額に達し、デイケア費やアパート代が払えなくなり、 06年1月31日に心中を決意した。
「最後の親孝行に」
片桐被告はこの日、車椅子の母を連れて京都市内を観光し、2月1日早朝、同市伏見区桂川河川敷の遊歩道で
「もう生きられへん。此処で終わりやで。」などと言うと、母は
「そうか、あかんか。康晴、一緒やで」と答えた。片桐被告が
「すまんな」と謝ると、母は
「こっちに来い」と呼び、片桐被告が母の額にくっつけると、母は
「康晴はわしの子や。わしがやったる」と言った。
この言葉を聞いて、片桐被告は殺害を決意。母の首を絞めて殺し、 自分も包丁で首を切って自殺を図った。
冒頭陳述の間、片桐被告は背筋を伸ばして上を向いていた。肩を震わせ、 眼鏡を外して右腕で涙をぬぐう場面もあった。
裁判では検察官が片桐被告が献身的な介護の末に失職等を経て追い詰められていく過程を供述。
殺害時の2人のやりとりや、
「母の命を奪ったが、もう一度母の子に生まれたい」という供述も紹介。
目を赤くした東尾裁判官が言葉を詰まらせ、刑務官も涙をこらえるようにまばたきするなど、法廷は静まり返った。
(2006/04 毎日新聞紙面より)
難病対策 患者を支える体制が必要だ(1月28日付・読売社説)
難病と闘う患者を支える仕組みを整えることが重要である。
厚生労働省の厚生科学審議会は、難病の診療体制や患者への支援策の提言をまとめた。厚労省
は具体化のための法整備を目指す。
難病は、患者数が少なく、原因不明で治療法が確立していない病気を指す。長期にわたり生活
への支障が生じる。全体で5000〜7000種類に上るとされる。
このうち、診断基準が明確で、医療費負担が重い筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソ
ン病など56疾患が医療費の助成対象になっている。
提言の柱は、医療費の助成を見直し、対象の病気を300程度に拡大することだ。
56疾患以外にも、重い医療費の負担を強いられる難病患者が少なくないことを考慮した。助
成を受けていない病気の患者との不公平の解消を図ることは、妥当と言えるだろう。
さらに提言は、医療費が無料となっている重症患者からも、所得に応じて自己負担を求めた。
助成対象者が増え、財政負担が年1200億円を超えた事情がある。
財源確保に知恵を絞る必要があるが、より多くの患者を援助するには、医療費助成の給付水準
を引き下げることはやむを得まい。
提言では、多様な分野の専門医がいる大学病院などを、難病医療の拠点病院として新たに指定
することも求めている。難病治療には神経内科、循環器科など多くの診療科の連携が必要なた
めだ。
重要なのは、難病患者が確実に専門医の診断を受けられる体制を構築することである。拠点病
院に専門医を適切に配置することが欠かせない。
難病は患者数が少ないために、診療経験の豊富な専門医も限られる。正しい診断を受けるまで、
何年も様々な医療機関を訪ね歩く患者は少なくない。
専門医がいる医療機関の情報をデータベース化し、患者が検索できるようにしてはどうか。
最初に診療する医師は、自身が専門医でなくても、的確に専門医を紹介することが求められる。
一般の医師が難病への知識と理解を深めることが大切だ。
提言は、難病研究の強化も打ち出した。病気のメカニズムを解明するための遺伝子解析や、再
生医療技術を活用した新しい治療法の研究を推進する。
多くの患者が待ち望んでいる病気の原因究明や新薬開発に、官民で力を入れてもらいたい。
(2013年1月28日01時07分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130127-OYT1T00830.htm
社説:生活保護削減 きめ細かい支援が必要
毎日新聞 2013年01月29日 02時30分
生活保護の基準が下げられることになった。働いても年収200万円に届かない「ワーキング
プア」が勤労者全体の2割以上となる中、人気タレントの親族の受給問題などをめぐって生活
保護への風当たりは強まっていた。今回の見直しは選挙公約で1割削減を掲げた自民党の強い
意向に沿ったものだ。ただ、生活保護基準はさまざまな制度と連動する。特に子育て中の低所
得者層に深刻な影響が及ばないよう細心の注意を払うべきだ。
厚生労働省は生活保護を受けていない低所得世帯の消費実態を調査し、同じ家族構成の生活保
護世帯への支出額と比較した。その結果、子どものいる世帯では生活保護を受けていない世帯
の消費支出の方が少なかった。こうした検証結果を参考にして都市部と町村部、年齢別、単身
や夫婦と子ども世帯、母子世帯などに分けて、生活保護のうち月々の日常生活費に相当する
「生活扶助」の基準額が示された。
政府案によると減額は13年度から3年間で総額740億円(約7.3%)に及ぶ。特に引き
下げ額が多いのは都市部の子育て世帯で、40代夫婦と子ども2人の世帯で月額2万円引き下
げられる。母子世帯も減額される。最も受給者数が多い高齢の単身世帯はほとんど変わらず、
むしろ微増のケースもある。
懸念されるのは生活保護基準が最低賃金をはじめ、地方税非課税基準、社会保険料、保育料な
どと連動していることだ。生活保護を受けずに働いて得た収入でなんとか最低限の生活をして
いる人々がしわ寄せを受ける恐れがある。低所得世帯の小中学生に学用品や制服代、修学旅行
費などを支給する「就学援助」は現在150万人以上が対象となっている。将来の社会を支え
る子どもたちへの影響は最小限にとどめたい。
減額される子育て世帯に対しては職業訓練や就労機会の確保、保育所利用の促進など、働いて
収入を増やすための支援が不可欠だ。生活保護を減らすだけでは困窮家庭が増えていくばかり
だ。住居や健康面の支援なども含め、自立に向けたきめ細かい支援が必要だ。
生活保護費の約半分を占める医療扶助については具体的な見直しが手つかずのままだ。医療機
関による過剰診療・投薬をチェックする方法、自己負担のあり方などについて議論は尽くされ
ているだろうか。
厳しい雇用状況が続く中、生活保護受給者は210万人を超え、保護費総額も4兆円に迫ろう
としている。何らかの歯止め策が必要なことは言をまたないが、生活困窮の実態の改善を同時
に進めなければ本質的な解決にはならないだろう。
http://mainichi.jp/opinion/news/20130129k0000m070098000c.html
新年度予算案 「2.7%成長」達成が責務だ
2013.1.30 03:20
■財政再建の道筋も明確にせよ
安倍晋三政権の経済政策の具現化である平成25年度予算案が閣議決定された。一般会計総額
は92兆6千億円だ。日本経済の喫緊かつ最大の課題であるデフレ克服に向け、先に編成した
総額13兆円を超える24年度補正予算に続く積極的な「一手」である。
強調したいのは、25年度の政府経済見通しである実質2・5%成長、物価変動を加味した名
目2・7%成長の重みだ。16年ぶりに名目が実質を上回るとしたこの政府見通しは、物価上
昇を見込んだものであり、政府のデフレ脱却への決意表明でもあるのだ。
≪「三本の矢」で総力戦を≫
安倍政権は当初予算を補正予算と合わせて「15カ月予算」と位置づけた。補正予算で踏み出
したデフレ脱却に向けた歩みを着実にすることで、政府経済見通しを是が非でも達成せねばな
らない。
当初予算案には東日本大震災の復興加速策とともに、研究開発、医療やインフラ輸出といった
分野で、税制と一体となって企業の活力を引き出す経済再生策が盛り込まれている。こうした
施策が期待通りの政策効果をあげることが重要なのはいうまでもない。
補正予算編成にあたり麻生太郎財務相は民主党政権が定めた「国債発行44兆円以下」の枠に
こだわらないと宣言、実際に24年度の国債発行額は52兆円に膨らんだ。
25年度当初予算案の中身で市場が日本の財政規律が緩んだと判断すれば、債務危機に陥った
ギリシャなどと同様に国債価格が下落する恐れがあった。
これに対して安倍政権は「平成32(2020)年度で基礎的財政収支の黒字化」の目標堅持
を明言した。当初予算編成では、国債発行額を前年度よりも約1兆4千億円減らして税収より
も少なくした。収入以上の借金をしない予算編成は4年ぶりだ。
このことは、野放図な歳出拡大路線を懸念した市場へのメッセージになったといえよう。
ただ、それも政府経済見通しの達成に依存していることを忘れてはならない。25年度の税収
見通しと国債発行額の差はわずかだ。成長率が見通しを下回ると税収も下ぶれし、収入と借金
が逆転する可能性は大きい。
しかも、名目2・7%成長は民間シンクタンクの予測と比べると高めの数値になっている。こ
れについて政府は緊急経済対策の効果を加味したと説明しているが、綱渡りであるのは変わり
ない。
このハードルを越えるには安倍首相がいう脱デフレへの「三本の矢」の効果発揮が不可欠にな
る。補正予算案の早期成立と執行による財政出動、日銀の物価上昇率2%の目標実現に向けた
金融緩和、成長戦略の策定と実行など、文字通り政官民一体となった総力戦が求められよう。
≪防衛費の増額は当然だ≫
同時に、国の借金が国内総生産の約2倍という危機的状況を考えると、財政健全化計画を急ぎ
策定して、明確な歳出抑制の基準を国民に示さねばならない。
歳出にどう切り込むかも大きな課題だ。今回、社会保障関係費では生活保護給付額が3年間で
670億円削減される。抵抗の大きかった地方公務員給与削減などで地方交付税交付金を約2
千億円減額したのは評価できる。
歳出抑制の観点からみると、これで十分ではない。特に高齢化が進行し、急膨張する社会保障
関係費の伸びの抑制は急務だ。先送りされた高齢者医療費の自己負担を1割から2割にする措
置の確実な実施はもちろん、社会保障制度改革国民会議の議論などを通じて、制度見直しにど
こまで踏み込むかが問われる。
こうした厳しい財政事情の中で防衛費が400億円増となった。11年ぶりの増額であり、南
西方面の警戒監視、島嶼(とうしょ)防衛の強化を明確にした。十分とはいえないにせよ、沖
縄県・尖閣諸島への領空・領海侵犯を繰り返す中国に対する安倍政権の基本姿勢を示すことは
できたのではないか。
今回の予算案は政権復帰後、短期間で編成したという事情がある。今後も安倍政権は、経済再
生と財政再建の両立という困難な道を歩くことになる。効果が期待できない公共事業の拡大な
ど懸念材料はなお多いだけに、経済財政諮問会議が6月をめどにまとめる財政運営の指針「骨
太の方針」で、その明確な道筋を示さなければならない。
http://sankei.jp.msn.com/politics/news/130130/plc13013003210007-n1.htm
2013年2月3日(日)付
生活保護削減―歯止めはどこなのか
憲法にうたわれた「最低限度の生活」が際限なく切り下げられるのではないか。そんな懸
念さえ抱く。
政府が新年度から、生活保護予算を削減する方針を決めた。生活費にあたる「生活扶助」
を3年かけて、実質的に6・5%減らす。
今の制度が始まった1950年以来、引き下げは03年度(0・9%減)と04年度(0・
2%減)の2回だけ。今回の引き下げ幅はたいへん大きい。
削減する670億円のうち580億円は、08年から11年までの物価下落(デフレ)分
を反映させたという。
奇妙な話である。
厚生労働省は、一般の低所得世帯の消費実態と比べ、生活扶助が多すぎたり少なすぎたり
しないよう、検証したはずだ。
審議会の専門家が公開の会合を13回重ね、「生活扶助は子どものいる夫婦世帯では高め、
高齢単身世帯は低め」といった結果を公表したではないか。
この通りに基準を見直して減る予算は90億円。ところが、その6倍以上の金額がデフレ
を理由に削減される。
生活保護費を適正な水準にする必要はある。だが、そもそも年金とは違い、生活保護には
物価の変動を反映させるルールはない。デフレ要因は、「給付水準の原則1割カット」を
掲げる自民党の意向で、急きょ持ち出された理屈にすぎない。
まず専門家による実証的な検討をすべきだ。それなしに、政治判断だけで生活保護に切り
込むのは拙速である。一方で、高齢者医療の窓口負担軽減には1900億円も使うのだ。
安倍政権の目標である2%の物価上昇が実現したら、生活保護は引き上げるのだろうか。
今回、明らかになったのは、生活保護の引き下げに明確な歯止めが存在しないことだ。
経済が成長し、保護水準が引き上げられてきた時代には、憲法25条が保障する「健康で
文化的な最低限度の生活」とは何かを、考え抜く必要性は薄かったかもしれない。
生活保護の歴史で確認できる「最低限度の生活」の定義は、戦争の傷痕が残るころの「日
常生活で寝起きが可能な程度の栄養所要量を充足すること」だけとの研究もある。
しかし、時代は変わった。
同じ社会に生きる人すべてに保障すべき「最低限度の生活」とは何か――。
高齢化と雇用の不安定化が進む日本で、私たちが安心して暮らすために、この問いの重み
は増している。
http://digital.asahi.com/articles/TKY201302020412.html
障害者 真の社会参加
社会保障部次長 林真奈美
「白雪の詩」というせっけんを数年前から愛用している。洗顔も入浴もこれ一つ。せっ
けん素材以外は一切含まず、きめ細かでたっぷりした泡が心地いい。表示は「台所用」
だが、インターネットの美容サイトで人気ランキングの常連だ。特大サイズ2個入りで
263円(税込み)と価格も手頃。大手ドラッグストアなどでも取り扱う。
製造元の有限会社「ねば塾」(長野県佐久市)は、障害者が働く場として設立され、社
員50人の半数が知的・精神障害者だ。行政の補助金は受けず、約150種類のせっけん
を作って年間2億円超を売り上げる。
障害のある社員も最低賃金を保証され、平均月収8、9万円。彼らが活躍できるよう、
工程の大半が手作業だ。収益の残りは社員が住むグループホームの整備に充てる。「真
の障害者福祉とは、保護や施しではなく、能力を生かして働き、その収入で暮らせる環
境を作ること」。社長の笠原慎一さん(61)の信念だ。
笠原さんは障害者施設の職員だった1978年、「社会で働きたい」と望む重度知的障
害の入所者2人を引き取り、ねば塾を開設。当初は3人で土木作業会社に勤めたが、入
所希望者が増え、職場確保のためせっけん作りに転じた。何年も赤字続きだったが、老
舗メーカー社長の指導を得て品質向上を追究した結果、ネット上で評判になり、全国に
販路が広がった。今ではメーカー約100社からの受託生産も手がける。
障害者が作ったと知らない利用者も多いはず。それが障害者にとって本当の「社会参加」
なのだと思う。
(2013年2月11日03時01分読売新聞)
自賠責保険 合理化努力を値上げの前提に(2月17日付・読売社説)
ドライバーに負担増を求めるのなら、問題点を洗い出し、透明で合理的な制度に見直す
取り組みが欠かせない。
自動車保有者に加入が義務付けられている自動車損害賠償責任(自賠責)保険の保険料
が4月から平均13・5%引き上げられる。2011年度の11・7%アップに続く大幅
値上げである。
収支悪化が引き上げの理由だ。12年度末の累積赤字は5000億円超に達する。08
年度に保険料を大幅に値下げして保険料収入が減る一方、交通事故の死傷者への保険金支
払いが増加した。
自賠責の目的は、事故被害者の救済にある。収支を改善しなければ制度を維持できず、
保険料の値上げはやむを得まい。
ただ、交通事故の発生件数と死傷者数が減少し続けているのに、保険金支払いが高止ま
りしていることが懸念される。
事故統計に含まれない軽傷者の請求の増加や、損保会社の査定が任意保険に比べて甘く
なりがちな事情が背景にあるのだろう。
自賠責の運営は民間の損保会社が担っている。国土交通省や金融庁などが連携し、保険
金支払いが適正に行われているかどうかを検証する体制を整えるべきだ。
重度後遺障害者の救済事業などに充てるため、保険料の運用益をためた積立金の扱いも
問題だ。
積立金は、国交省が特別会計で管理している。財政難の穴埋めを狙って、積立金のうち
約1兆円が1994〜95年度に一般会計に繰り入れられた。返済期限は度々延期され、
現在も約6000億円が戻されていない。
積立金の残高は2000億円程度まで減少し、最近は運用益だけでは費用をまかなえず、
積立金を取り崩している。
被害者支援の原資となる積立金の流用は、自賠責の趣旨に合わない。財務省と国交省は、
18年度までに全額返済するという約束を確実に実行してもらいたい。
国、損保会社、JA共済が積立金の運用益で実施している被害者支援や事故防止対策の
事業もチェックする必要がある。
被害者支援は重要だが、ドクターヘリ普及策など3者の重複が目立つ。国が一般会計で
手当てすべき事業や損保が社会貢献として行うべき事業も多い。必要性と効率性を精査す
ることが肝要だ。
事故を回避する自動ブレーキを装備した安全性能の高い車両には保険料を優遇するなど、
今後は時代に合わせて全体の制度設計を検討することも求められよう。
(2013年2月17日01時26分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130216-OYT1T01009.htm
46 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2013/04/27(土) 02:03:17.60 ID:fJuNGAv20
今、日本国内では、「戦争」が勃発している。その「戦争」とは、「女性」対「男性」の戦いである。
この「戦争」を仕掛けてきたのは女性であり、「女性は差別されてきた」あるいは「女性は差別されている」
などと称して、「聖戦」気取りで、際限のない「女権拡大」を目指している。
一方、男性にとって、この「戦争」は、自分たちの(当たり前の)権利を守る防衛戦である。
もし、あなたも、「今、内戦が起こっている」との認識をお持ちであれば、是非、私らの「戦い」に
参加していただきたい。この「戦い」は、むしろ、私ら(男性)にとっての「聖戦」である。
http://blogs.yahoo.co.jp/sabetsu5555
47 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2014/03/02(日) 18:47:06.06 ID:z99XQiip0
女のセックスは命を燃やすことで女性的な魅力を増して
男を誘惑する、っていういわばドーピングみたいなもんだろ
それによって女の幸せ、っつーか結婚や出産みたいな
種としてのゴールに辿りつくならいくらでもヤればいいと思うけど
そんな見通しもないのにヤりまくってたらいずれ燃やすほどのリソースがなくなって
女としての(男に訴えかける)魅力が減衰していくのは自明の理だな
そうなったらあとは男の生殖的な欲求以外の部分に訴えかけていくしかもうどうしようもない
48 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2014/03/02(日) 21:04:19.43 ID:0HW6CM7V0
うーん
49 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2014/03/02(日) 21:48:02.34 ID:7kFQEzLfO
職安で100%雇う企業を集め選ばせれば良い
最低賃金で確保出来るなら雇う企業は出る
50 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2014/03/03(月) 15:43:58.42 ID:xjGjYUjA0
51 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2014/03/03(月) 16:41:11.81 ID:+avLwtADO
家族が扶養する様になったら
毎日働けと言われるな
自立して働く
当たり前だろ
52 :
名無しさん@お腹いっぱい。:2015/02/02(月) 04:46:06.50 ID:fNneknX4O
住宅扶助2割引き下げ
ジェネリック薬強制
外国人生活保護廃止