消費税増税 いつまで待たせるのか − 読売新聞

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76名無しさん@お腹いっぱい。
復興財源 金融資産に課税する手も
元長岡大教授(金融論・経済開発諭)早川 博之

東日本大震災の復興財源をめぐる議論が活発化している。何らかの増税が必要なことは誰しも理解
していると思う。だが、課税対象として収入や消費の「フロー」ばかりが挙げられている。果たし
てそんな発想でいいのだろうか。筆者は「ストック」、つまり一定額以上の金融資産がある世帯を
対象にした「金融資産税」も含めるべきだと考えている。

もう20年以上、日本の名目国内総生産(GDP)は伸び率がほぼゼロで、今後も急速な増加は考え
られない。フローだけに負担をかける課税のあり方は、修正せざるを得ないのではないか。

現在の日本の最大の強みは、家計部門に蓄積された、負債を差し引いても1千兆円を超す金融資産
である。3千万〜4千万円以上の資産を持つ世帯を対象にすれば、数百兆円に課税できる。例えば
最高3%、最低0.3%程度の税率で臨時税をかければ、数兆円の税収が見込まれる。

ただ、金融資産の捕捉が難しいという技術的な問題もある。すぐには実行不可能というなら、国民
番号制を早急に導入し、課税対象を固めた上で実施してもよい。

復興は緊急を要する。仮に当座は日銀引き受けで国債を発行するとしても、償還財源にこの金融資
産税を優先的にあてる基本方針を定めれば、市場の不安感を抑えることができる。そして高額納税
者には殿堂をつくって名前を記すなどして、復興への協力への感謝を国全体で表してはどうか。

国のGDPと、蓄積された資産(国富)は、川とダムのような関係にある。毎年生み出される付加
価値の総額であるGDPは川の流れだが、先細りの可能性がある。そこからさらに増税で巨額の水
をくみあげてしまえぱ、流れは一層細くなる恐れがある。

一方、流れの途中には、家計による金融資産の蓄積という大きなダムないし貯水池がある。国内で
は行き湯のない大量の水が、海外(外洋)にあふれ出ているのが現状だ。非常時には水位が多少下
がっても、この水を使うべきである。どんな家庭でも、大きな支出には毎月の収入からだけでなく、
預貯金などを取り崩して対処する。国も同じではないか。

この方法は、拡大傾向にある高齢者層と若年層の格差の是正策にも合致する。不動産などの非金融
資産にどう対処するかという問題もあるが、これは相続税や固定資産税の手直しで対応できる。

非常時には平時と異なる発想が求められる。世界が見守るなか、復興に向けた果断な政策を実行で
きることを示せれば、日本に対する世界の評価も高まるだろう。