小沢民主党幹事長が、天皇陛下と習近平・中国国家副主席との会見問題で、羽毛田信吾宮内庁長官を厳しく批判した。
天皇と外国要人との会見は、天皇陛下の健康上の理由から、過密日程を避けるため、1か月前までに宮内庁に申し入れる
という慣行がある。
鳩山首相が今回、その特例として会見を実現したことは、何の問題もないと、小沢氏は記者会見で訴えようとしたのだろう。
小沢氏は、1か月ルールについて「宮内庁の役人が作ったから金科玉条で絶対だなんてばかな話があるか」と断じた。
今回の経緯を公表した羽毛田氏について「どうしても反対なら辞表を提出した後に言うべきだ」と強調した。
職責を果たそうとする官僚を頭ごなしに非難すれば、官僚の使命感や意欲はそがれてしまう。極めて不穏当な発言だ。
羽毛田氏が「辞めるつもりはない」と辞任を否定したのは当然のことだ。
問題は、それだけではない。
小沢氏は「天皇陛下の国事行為は内閣の助言と承認で行われる」と憲法を持ち出し、天皇の政治利用にはあたらないと反論した。
外国要人との会見は、国会の召集など憲法に定められた国事行為そのものではなく、これに準じた「公的行為」とされる。
無論、公的行為も内閣が責任を負うわけだが、問題の本質は、国民統合の象徴である天皇の行為に政治的中立を疑わせる
ことがあってはならないということだ。
小沢氏は、「天皇陛下ご自身に聞いてみたら『会いましょう』と必ずおっしゃると思う」とも語った。
天皇の判断に言及することも不見識と言わざるを得ない。
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20091215-OYT1T01450.htm