日本郵政の西川善文社長の再任に鳩山総務相が反対姿勢を強め、波紋を広げている。
人事の認可権を持つ総務相が判断するのは当然とする擁護論がある一方、批判も多い。総務相の発言も「閣僚を罷免されても反対を貫く」とエスカレートしている。
これでは議論が拡散するばかりだ。議論に政局的な思惑が重なると事の本質を見失いかねない。
総務相への批判で多いのが「民間の決定に政治が介入すべきではない」というものだ。だが、日本郵政は政府が全株式を保有する特殊会社だ。業務内容に疑義があるのに何も口を挟まないようでは、かえって問題だろう。
「郵政民営化を後退させる」という指摘も、論理に飛躍がある。総務相は「社長交代は民営化推進のため」と繰り返している。
この問題の核心は、「かんぽの宿」をオリックスに売却しようとした手続きに不明朗な部分があったことだ。
総務省の調査で、重要事項が口頭で伝達されていたなど数多くの不備が明るみに出ている。日本郵政が設置した第三者検討委員会も文書管理の杜撰(ずさん)さなどを列挙し、「著しく不適切」と断じた。
西川社長の再任を支持する人たちは、これらの調査で違法行為がはっきりしなかったことを理由に挙げるが、違法行為の有無とは別に、経営者としての責任は厳然として残る。
民主党など野党3党が「売却額が不当に廉価だった」として西川社長を刑事告発し、東京地検が受理している。違法性の有無は今後の捜査を見守ればよい。
ほかにも障害者向け割引制度を悪用した不正ダイレクトメール事件や、簡易生命保険金の不払い調査を放置した問題など、不祥事が次々と発覚している。普通の企業なら、経営者は引責辞任に追い込まれているところだ。
総務省の業務改善命令にも、日本郵政は回答していない。そんな段階で西川社長再任の人事案を決めたのは、手順としておかしいのではないか。人事案は自発的に白紙に戻すのが筋だろう。
業務改善命令に対する回答を急ぐのも当然のことである。
回答は、総務省から指摘された様々な疑問点にきちんと答えているか。実効性の上がる再発防止策が含まれているか。何より、実質株主である国民の納得を得られる内容となっているか――。
回答を見て、議論を整理し直すべきだ。
(2009年6月6日01時38分 読売新聞)
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