パトラッシュ 経済はもう疲れたよ…!

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15金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
★賃金と物価に関する補足 パート1 〜なぜ賃金と物価の下落は止まらなかったのか?〜

●賃金の下落はデフレ不況による労働分配率暴騰のせい

『賃金の決まり方』では、市場経済において賃金も需給バランスで決まる為、
そこから乖離した高賃金は失業を伴う賃下げで調整されるとした。

労働需要を決めるのは、企業が労働者を雇うことでより多くの儲けを得られるか
どうかであるから、収益に占める企業の取り分が大きくなるほど労働需要は増える。
これを実際のデータで確かめるには、労働分配率と失業・賃金の関係を見れば良い。

これは盲点とも言えるが、賃金が大きく下落を始めた2000年前後の日本経済は
ttp://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/shuntou/2012/shuukei_bunseki/img/zu_03_01.gif
労働分配率(ここでは名目雇用者報酬/名目国民所得)が戦後最高水準にまで到達していた。
ttp://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je08/img/08f13130.gif ※60年代の平均労働分配率は50%強、70年代は60%強である

つまり賃金と雇用の崩壊が始まったのは、急激なデフレ不況と金融危機・円高により、
収益に占める企業の取り分が急減(賃金は下がりにくい)した反動で、労働需要が激減したからだと考えられる。

●賃金上昇なき物価上昇はまずありえない

労働分配率とは収益に占める人件費であるから、同時に最終製品価格に占める人件費シェアをも概ね意味する。

成長を続ける発展途上国では、60-70年代の日本のように、設備投資を必要とする第二次産業の比率が高く、
しかも投資費用を賄う資金に乏しいため、労働者よりも資本家の取り分が多く労働分配率は低い。
しかし高度に発達した資本主義では、モノからサービスへという形で第三次産業が発達し、
これらは人手や高度な専門知識・技芸なくしては立ち行かない為、労働分配率は高くなる傾向にある。

よって70%前後という先進国の労働分配率を考えれば、賃金上昇なき物価上昇はありえず、デフレには賃金の下落が伴うこともわかる。
ttp://www5.cao.go.jp/j-j/wp/wp-je08/img/08c01070.gif