超高齢化社会による医療費増大をどうするか?

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20金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
【高額な医療が必ずしも最高の医療ではない】


「高額な医療が必ずしも最高の医療ではない」。これ
は「OECD図表でみる保健医療2009」の表題となっ
ている言葉ですが、この言葉のとおり、医療費と医療
の質との相関関係ははっきりとしていません。

一例を挙げます。1997年に政権の座についたイギリ
ス労働党の党首トニー・ブレアは、2000年ごろから
大胆な医療費の増額に踏み切り、2007年の退任まで
の間に、NHS(イギリスの国営医療システム)の予
算を2倍以上増加させたと言われています。

しかしながらその結果は惨憺たるもので、上述の
OECDのデータによれば、大腸がんの5年相対生存
率、「1997〜2002年」から「2002〜2007年」の上昇
率の比較では、OECD平均の約1.06%を下回る、約
1.057%。数値それ自体もOECD平均である57.4%
を大きく下回る、51.6%となってしまっています。


【OECD図表でみる保健医療2009  高額な医療が必ずしも最高の医療ではない】
http://www.oecdtokyo.org/theme/hea/2009/20091208hag.html
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またブレアは「待ち時間」にも異常にこだわったため
に、「ゲーミング」と呼ばれる不正が各所で発生しま
した。

「救急コールから8分以内の対応を求められている
ことから、より短時間で対応できたにもかかわらず、
わざと8分かけて対応した」、「救急外来の患者は4
時間以内に診療しなければならないために、患者を救
急外来に入れずに外で待たせておいた」、「救急車を病
院の外に並べて、診療待ちの時間がカウントされない
ようにした」などの不正がイギリス中で横行しました。

またプライベートと呼ばれるNHS以外の私的医療を
多用したため(これ自体は正しいと思われますが)、
「貧乏人はNHS、金持ちはプライベート」と医療の
2極化が進行しました。

ちなみにプライベートは基本的には実費(NHSは原
則無料)で運営されており、NHSより医療の質が高
いとされています(NHSの医療スタッフは、要する
に公務員ですから。その質は推して知るべし、という
ことで)。
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加えて2007年には労働党よりとされる新聞紙、ガー
ディアン紙にも、「NHSは医療制度の優良番付でヨー
ロッパ29カ国のうち17番目。治療待ち期間、がん患者
生存率、MRSA感染でスコアが悪い」「助産師や産科
医不足で母子が危険」「某病院で院内感染90人死亡」
などと書かれてしまう始末。

さらに2006年秋には、これまで伝統的に医療関係に
強いとされてきた労働党の医療政策の評価が、保守党
のそれを下回ってしまうという前代見聞の出来事ま
で起こりました。

要するにブレアの医療改革は大失敗だったのです。サ
ッチャー政権による構造改革などにより経済が成長
し、それに伴う大幅な税収増があったために、選挙対
策として医療にばらまけた、ばらまいた、というのが
実情なのでしょう。

したがって「高額な医療が、必ずしも最高の医療では
ない」というOECDの指摘は間違っていないのです。
医療費をばらまいても、医療は良くならないのです。
そして財政状況が厳しい日本だからこそ、このブレア
の失敗に学ぶべきなのです。


【OECD図表でみる保健医療2009  高額な医療が必ずしも最高の医療ではない】
http://www.oecdtokyo.org/theme/hea/2009/20091208hag.html