OECDの対日勧告
OECD(経済協力開発機構)は日本における労働市場の二極化について、度々、これを是正するよう求めている。
2006年の対日審査報告書では、「格差問題」に一章が費やされている。
日本は従来、所得の不平等度が少ない社会と見られてきたが、「最近は所得格差が拡大している」と警告している。
その理由として、日本は解雇に関する法制が未整備で、正社員の解雇が困難な点をあげている。
「正規雇用への保護が手厚すぎる」がために、企業は非正規雇用への依存を強める結果となり、
「所得の低い非正規雇用者の増大から、所得格差が拡大した」と指摘した。「日本はもはや平等な国ではない」と締めくくっている。
以降も連年、同様の指摘が行われているが、その骨子は「日本はOECD加盟国のなかで実質的には最も解雇規制がきびしい国の一つである」
「正社員の解雇規制が強すぎる、すなわち一度雇ったら解雇や賃下げが困難であるがゆえに、企業に正規雇用のインセンティブを失わせている」というものである。
2008年には、特に若年層における失業や貧困の拡大を問題視し、「Japan could do more to help young people find stable jobs
(日本は若者が安定した仕事につけるよう、もっとやれることがある)」と題した報告書を発表。
その中で「正規・非正規間の保護のギャップを埋めて、賃金や手当の格差を是正せよ。すなわち、有期、パート、
派遣労働者の雇用保護と社会保障適用を強化するとともに、正規雇用の雇用保護を緩和せよ」と勧告を行っている。