日銀はなぜデフレ政策を堅持するのか?■ 2

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(わが国経済の悪化の背景について)

12 月18、19 日の会合では、わが国の経済情勢が、足もと急速に変化している背
景について、多くの委員は、@輸出の減少を起点に、生産・所得・支出の減少が
みられていること、A金融と実体経済の負の相乗作用が生じ始めていること、B
企業の業況感や消費者マインドの急速な悪化が実体経済の下押しに作用している
こと、を指摘した。そのうえで、ある委員は、これまでの景気拡大を支えてきた
自動車や電気機械の業績が、海外経済の急激な変化によって大きく悪化しており、
それが各方面に広く波及しているとの見方を示した。

こうした見方に関連し、1月の会合では、何人かの委員は、わが国が、米欧と同様、
あるいはそれ以上に景気の急速な悪化に直面しているのは、日本経済が、過去数年
、自動車等の耐久消費財や資本財を中心とするグローバルな需要の拡大を前提
とした成長メカニズムを構築してきたことが背景にあると述べた。
また、大阪や名古屋地区の景気認識が特に厳しさを増したのは、輸出関連の
製造業が、足もと大きな影響を受けていることの表れであると指摘し、今後、
関連する中堅・中小企業に波及してくる可能性に注意が必要であると述べた。

2月の会合では、実質実効為替レートでみて急速に円高が進んだことも、
わが国経済が、米欧経済より急速に悪化している背景であると指摘した。
更に、輸出関連の製造業の生産が大幅に減少する中、企業における中長期的な
成長期待に関する議論で、ある委員は、大幅な生産調整によって成長率が急落した
結果、中長期的な成長期待が下方修正され、それにより設備や雇用の調整圧力が
更に強まる可能性を指摘した。
また、何人かの委員は、足もとの設備投資の大きな落ち込みを踏まえると、企業
の成長期待が既に下振れている可能性に注意する必要があると述べた。一方、あ
る委員は、研究開発やM&Aに積極的な姿勢を示す企業経営者も多く、現時点で
は、中長期的な成長期待が下振れているとはいえないとの見方を示した。このほ
か、ある委員は、現在の産業構造を前提とすると、今後の景気回復も海外経済に
依存する面が大きく、その分わが国経済の先行きについては不確実性が高いと述
べた。