■ 少子化対策こそ、最高の公共事業 ■

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493金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
経済教室 人口減少と世代間格差(上) 日経2011.3.11
子どもに投票権を与えよ
両親の行使で改革を 高齢者重視から大胆転換
ポール・ドメイン(米人口評議会特別研究員)
 Paul Domeny プリンストン大博士(経済学)。専門は人口問題

ポイント
・複数の子どもを持つと費用便益で不利に
・子どもを持つことを支援する予算配分を
・従来の少子化対策は効果なく抜本策が必要

(略

 人口転換は、経済や社会の近代化に伴う現象である。経済・社会が近代化すると、死亡率が下がる。
一方、、近代化以前の出生率は社会の存続のため高水準にあり、近代化後もそれがしばらく続くので、
低い死亡率と高い出生率の組み合わせにより人口が急増する。すると出生率が下がって、人口暴走を
防ぐ。繁栄する社会は、必ずこの人口調整を経験する。(略)

(略)国連の予想によれば、日本の人口は2050年に1億170万人となり、40年間で2530万人の減少となる。
 この過程で、人口は次第に高齢化する。1950年には、60歳以上が全人口に占める割合は9%未満だった。
それが今日では30%をいくらか上回っており、2050年には44%を超える見通しだ。子どもが占める割合の
推移と比べたとき、両者の対照は衝撃的である。1950年には、15歳以下の子どもが全人口に占める割合
は35%を上回っていた。今日ではわずかに13%を超える程度で、しかもなお減り続けている。
(略)

 経済的に繁栄している欧州の国の一部は、出生率が人口を維持できる水準を下回っている(ただし
日本よりはるかに小幅である)にもかかわらず、差し迫った人口減少にうまく対処している。これは
大量の移民を受け入れているからだ。文化的・民族的に根深い影響は避けられないものの、米国でも
欧州でも移民の同化はおおむねうまく進んでいるようだ。だが日本の場合、歴史的背景からしても、
人口問題に対するこのような解決策を大方の国民は望まないと考えられる。
 移民の増加を望まないならば、日本の人口問題に対する処方箋は、出生率を引き上げることしかない。
494493:2011/03/25(金) 01:32:19.82
 政府や著名人が若い世代に子どもを持つよう奨励するのは、まずもってうまくいかない。第1次・
第2次世界大戦の戦間期に西欧で出生率が低下したとき、そうした奨励策を試みて実証済みである。
先進国では夫婦が望まなければ子どもは生れない。子どもの誕生は、それが第1子であれ、第2子、
あるいは第3子であれ、子どもがもたらす便益と両親が負担する費用や義務とを暗黙のうちに注意深く
計算した結果なのである。
 過去40年にわたり世界のすべての先進国では、この費用便益計算の条件が、子どもを持つこと、
より正確には2人以上の子どもを持つことに不利になる方向へと変化してきた。子育てに伴う費用が、
直接的な費用であれ機会費用(とくに女性の場合の逸失賃金や昇進機会の縮小など)であれ、
かさむようになったからである。そのうえ多くの国では、所得や富の分配において若者が不利益を被り、
世代間格差が生じている。これは制度設計が高齢者に並外れて手厚くなっていることの裏返しであり、
この問題は一層深刻化している。日本はまさにこうした変化を経てきたのであり、いまその重大な結果
を提出していると言えよう。
 近代福祉国家は過去半世紀にさまざまな政策を導入した。(略)
 欧州と日本の例から判断する限り、こうした支援スキームの効果は限定的だが、これは予算配分が
不十分であるためと考えられる。もっと多額の予算を投じれば、必然的に世代間の所得移転が大幅に
調整され、効果が上がるはずだ。だが政治の場では、このような追加的な予算配分は人気がない。
こうした考え方の修正、もっと言えば、政治を支配するルールの大胆な改革が望まれる。

(略)
495493:2011/03/25(金) 01:33:14.22
 第一に、現在国政への参加を認められていない層、つまり子どもたちに投票権を与える方向で、
選挙改革をすべきではないか。社会の長期的存続は、若い世代にとって、はるか先の22世紀まで自らに
関わる問題である。子どもの投票権は、たとえば女の子の権利は母親が、男の子の権利は父親が行使
するというふうに、保護者である両親が行使すればよい。こうすれば、将来への関与の期間が短い
高齢者が有権者の過半数近くを占めるという現在の選挙結果を、いくらかでも是正できるだろう。
かつてリー・クワンユー元シンガポール首相が指摘したとおり、民主主義において「一人一票」は
絶対のルールではない。
 第二に、国の労働力人口にとって生産的なメンバー(子どもたち)を育ててくれた両親に対し、
その功労を認め、追加的な年金受給資格を与えて報いる方法はないだろうか。(略)
 第三に、多くの若者は子どもを持たないか、持っても1人にとどめるという選択をしている。(略)
その一方で、急激な人口減を防ぐには、かなりの割合の若者にたくさんの子どもを育ててもらわねば
ならない。だが、3人か4人の子どもを育てるのは大変な仕事であり、両親のどちらかがかかりきりになる
必要が出てくる。となれば、大金持ちならともかく、ふつうの世帯にとって金銭的犠牲は大きく、
子どもたちも物質的に恵まれない環境で育つことになりかねない。こうした世帯には、育児に専念する人
が社会に出て働いた場合に得られるだけの報酬を与えるべきではないだろうか。
 第四、移民の流入制限を望み、人口に影響を与えない程度の高度な専門職に移民を限定しているような
社会では、市民奉仕部隊のような制度の創設を検討してはどうか。そして20代半ばの成人に男女とも
参加を義務づける。免除の特権は子どものいる既婚者にのみ与えてはどうだろう。

(以下略