着工統計分析続き
次に非住居を含めた着工床面積を見てみる
全体.. | 住居 非住居. | 木造 木造以外 単位:千u()内は前年同月比%
7月 12,426 (-22.7) | 7,325 (-23.7) 5,101 (-21.2) | 4,334 (-24.2) 8,093 (-21.9)
8月. 9,816 (-42.1) | 5,969 (-41.8) 3,847 (-42.5) | 3,924 (-33.0) 5,892 (-46.9)
9月. 9,162 (-44.7) | 6,192 (-39.0) 2,970 (-53.7) | 4,416 (-22.3) 4,746 (-56.4)
10月 11,035 (-31.5) | 7,198 (-29.6) 3,837 (-34.8) | 5,013 (. -7.8) 6,022 (-43.6)
11月 12,816 (-20.3) | 7,377 (-26.7) 5,439 (. -9.6) | 5,006 (. -7.6) 7,811 (-26.7)
12月 13,505 (-13.8) | 7,518 (-20.4) 5,987 (. -3.9) | 4,852 (. -4.0) 8,652 (-18.5)
1月 11,759 (-10.3) | 7,290 (. -8.4) 4,469 (-13.2) | 4,193 (. -3.3) 7,566 (-13.8)
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15,635 9,625 6,009 . 5,329 10,306 ←H18年度月平均
全体は前年同月比べースで減少幅が縮小したものの、先月比では13%程少なくなっている。設計・審査とも相変わらず
フル稼働しているのにもかかわらず絶対的な床面積は前年同月比-31.5%を記録した昨年10月並みの水準である。
実際H18年度月平均と比較すると-25.8%になる。
また、注目してもらいたいのが、非住居の床面積が先月比、前年同月比とも減少していることだ。
分母となる昨年1月の実績がすくないことも合わせれば、報道されている回復したというのは住宅が先行していて、
このスレッドで度々話題になったように住宅以外が置き去りにされつつある状況と言える。
ここで工場と店舗の推移を見てみる
[ 工 場 ] [店舗]
棟数 面積(千u) 1棟あたりの面積(u) / 棟数 面積(千u) 1棟あたりの面積(u)
7月 1,033 901 (-34.5%) 881 948 881 (. -9.9) 930
8月 626 646 (-57.1%) 1,032 597 404 (-46.3) 676
9月 570 399 (-74.9%) 700 662 425 (-52.7) 642
10月 708 1,098 (. -5.6%) 1,551 777 381 (-47.7) 491
11月 839 906 (-26.9%) 1,080 920 1,986 (+82.1) 2,159
12月 863 997 (-24.6%) 1,155 820 2,132 (+73.8) 2,600
1月 820 728 (-21.3%) 888 892 910 ( 3.0) 1,020
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1,237 1,311 1059 1,044 940 900 ←H18年度月平均
工場は特例で確認が降りたS社の特需が終った模様である。昨年同月が少ないので1月着工面積をH18年度
月平均と比較すると-44.5%となる。先般増築の扱いが緩和されたのだが、それでもこの水準で止まっている。
店舗については面積ベースでほぼ昨年の水準になっている。ショッピングモールがらみでまだ若干の残り火があるか?
また、業種別で製造業の着工面積を見ると
棟数 面積(千u) 1棟あたりの面積(u)
7月 1,392 1,075 (-31.9%) 955
8月 843 760 (-56.3%) 772
9月 790 450 (-74.2%) 901
10月 981 1,199 (-14.3%) 569
11月 1,157 983 (-24.1%) 1,222
12月 1,227 1,258 (-15.6%) 850
1月 1,156 820 (-32.8%) 1,025
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1,677 1,453 709 ←H18年度月平均
床面積の減少が少々気になる。H18年度月平均と比べると-43.6%
設備投資に影響が出なければいいが・・・
総合すると、
例年1月は建築の着工については閑散期でありそのため前年同月比ベースでは減少幅が小さくなり
一見順調に回復している様に見える。しかし建築設計及び確認申請がフル稼働して停滞分の案件を必死に
進めているにも関わらず、先月と比較するとむしろ減少している。年始休みで実働日数が少ないこと、気候の
関係で着工に不向きなことを差し引いても現状は横ばいと見るのが適当といえる。
また、住宅以外の回復が遅れており特に好景気(?)にもかかわらず工場・製造業の着工が減少しておりこれが
不安要素と言える。
参考資料
建築着工統計調査
http://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/kencha.htm
確認件数の統計について分析
国土交通省は報道発表資料で確認件数が増加していることを繰り返し強調しているが、
確認件数合計 1〜3号建築 うち適判 4号建築 ()内は昨年同月比、
7月 36,552 (-39.4%). 9,924 (-49.6%) 1 (-99.9%) 26,628 (-34.5%) 適判のみ月当たり需要(5,800件)比
8月 46,359 (-24.5%) 11,261 (-43.8%). 52 (-99.1%) 35,098 (-15.2%)
9月 42,414 (-27.5%) 10,576 (-45.2%) 208 (-96.4%) 31,838 (-18.9%)
10月 53,218 (-11.1%) 14,987 (-25.2%) 873 (-84.9%) 38,231 (. -4.0%)
11月 51,545 (-. 9.6%) 15,616 (-17.7%) 1,430 (-75.3%) 35,929 (. -5.5%)
12月 49,320 (-11.5%) 15,986 (-17.6%) 1,686 (-70.9%) 33,334 (. -8.2%)
1月 38,108 (. -4.5%) 12,520 (. -7.8%) 1,539 (-73.5%) 25,588 ( 2.8%)
国土交通省は確認件数の減少幅が一桁台に改善(最近の国交省は建築に関して回復と改善を連呼する)と言っているが
見ての通り件数そのものは先月比-22.7%で、3ヶ月連続して減少している。前述の様に改正直後の大幅減から立ち直ろうと
それこそ不眠不休で設計をし、審査をしているのにもかかわらずである。
内訳を見ると1〜3号及び4号建築が先月比で等しく20%台で減少している。また順調に伸びていた(?)適判物件も再び一転
減少に転じている。申請件数も同様なのでもうこれは建築設計のキャパシティについて構造的な上限に達しており、
特に構造設計の担い手の減少により、再度悪化の危険性も孕んでいるのではないかという懸念もある。
また適判物件の申請件数と降り件数を比較すると以下の様になる。
適判件数 (単位:件)
申請 降り 申請中
6月 1 0 1
7月. 66 1 . 66
8月 390 . 52 404
9月 830 208 1,026
10月 1,728 873 1,881
11月 1,833 1,430 2,284
12月 1,853 1,686 2,451
1月 1,698 1,539 2,610
前述の通り降り件数どころか申請件数も減少している。構造設計者は正月返上で働いていた方も多くいたのだが、
それでもこお状態である。2月の確認件数の結果次第ではより深刻な事態が浮き彫りになるかも知れない。
参考資料
最近の建築確認件数等の状況について
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/07/070229_3_.html
468 :
216,220 ◆P1.zKyhcCI :2008/03/26(水) 23:33:38
07年度住宅着工戸数の見込みも見てみよう
07年度4〜1月の累計実績は 868,645戸(前年同期間の-20.9%)
残り2ヶ月だが、2,3月がそれぞれ1月並みの8.7万戸で推移したとすると
戸数 (前年同月比)
4〜1月 868,645 (-20.9%)
. 2月. 87,000 (. -0.4%)
. 3月. 87,000 (-12.6%)
. 計 1,042,645 (-18.9%)
とりあえず、100万戸割れは回避出来そうな情勢であるが、1月の確認申請の減少ぶりからして
まだ予断を許さない状況である。
国交省は今年に構造一級建築士と言う新しい資格を創設するが、それでさらに構造設計者を絞り込むつもりらしい。
また、本スレ及び関連スレで散々指摘されている素人な指摘しか出来ない適合判定員がフリーパスで資格が与えられる。
あまり想像したくないが、建築基準法改正に続く大混乱が発生する危険がある。