11月の着工統計を分析してみる
まずは住宅着工戸数だが、初の人も多いと思うのでまず予備知識
建築基準法6条で建物は1〜4号と類別される。特に4号建築とそれ以外で分けて考えられることが多い
4号建築:木造2階 鉄骨or鉄筋コンクリートの平屋で200u以下の住宅
1〜3号建築:それを超える建物
ここで4号建築は確認申請手続きに構造計算書を付けなくて良いなど申請が非常に簡略になっている
このほかに3号建築で大手住宅メーカーが建てる型式認定のプレファブ住宅も4号建築並みに手続きが簡略化されている
また、今回の改正で新設された2重審査を行う適合判定(適判)は4号以外の一定規模以上の建物に適用される
分量的に4号建築≒木造なので木造とそれ以外の住宅戸数の推移を比較してみる
木造 鉄骨 鉄筋コンクリート 鉄骨鉄筋コンクリート ()内は前年同月比%
7月 37,609 (-23.0) 14,960 (-20.6) 28,012 (-22.2) 1,015 (-64.2)
8月 32,901 (-34.4) 11,244 (-38.0) 18,052 (-54.6) 784 (-72.8)
9月 37,917 (-23.2) 11,912 (-37.8) 12,301 (-69.9) 770 (-72.9)
10月 45,930 (. -5.5) 15,030 (-29.1) 15,248 (-64.9) 600 (-88.0)
11月 47,686 (. -4.5) 18,241 (-17.4) 17,538 (-55.2) 604 (-84.8)
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46,342 18,770 38,932 2,877 ←H18年度月平均
木造は微減状態のまま横ばいで一部で期待されていた反動増は無し。鉄骨は一応回復、鉄筋コンクリートはマシにはなったが
相変わらず半分以下、鉄骨鉄筋コンクリートは-85%のまま回復の兆し無しな状態
また、鉄骨のプレファブ分を差し引いた結果は
鉄骨全体 うちプレファブ 残
7月 14,960 (-20.6) 8,707 (-24.3) 6,253 (-14.7)
8月 11,244 (-38.0) 7,295 (-33.4) 3,949 (-44.9)
9月 11,912 (-37.8) 9,076 (-18.8) 2,836 (-64.5)
10月 15,030 (-29.1). 11,140 (. -7.5) 3,890 (-57.6)
11月 18,241 (-17.4). 12,439 (. -4.0) 5,802 (-36.4)
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ようやく半減状態から脱出したという状態である
440 :
金持ち名無しさん、貧乏名無しさん:2008/01/09(水) 01:36:27
高層系が狙い撃ちって事?
次に非住居を含めた着工床面積を見てみる、
全建築物の着工床面積1,282万u(-20.3%)
居住用 732万u(-25.7%減) 非居住用 512万u(-7.6%)と ←注:発表資料の数値は統計データと相違あり
非住居系を中心に回復しているように見える
住居 非住居 | 木造 木造以外 単位:千u()内は前年同月比%
7月 7,325 (-23.7) 5,101 (-21.2) 4,334 (-24.2) 8,093 (-21.9)
8月 5,969 (-41.8) 3,847 (-42.5) 3,924 (-33.0) 5,892 (-46.9)
9月 6,192 (-39.0) 2,970 (-53.7) 4,416 (-22.3) 4,746 (-56.4)
10月 7,198 (-29.6) 3,837 (-34.8) 5,013 (. -7.8) 6,022 (-43.6)
11月 7,377 (-26.7) 5,439 (. -9.6) 5,006 (. -7.6) 7,811 (-26.7)
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9,625 6,009 5,329 10,306 ←H18年度月平均
ここで工場と店舗の推移を見てみる
[ 工 場 ] [店舗]
棟数 面積(千u) 1棟あたりの面積(u) / 棟数 面積(千u) 1棟あたりの面積(u)
7月 1,033 901 (-34.5%) 881 948 881 (. -9.9) 930
8月 626 646 (-57.1%) 1,032 597 404 (-46.3) 676
9月 570 399 (-74.9%) 700 662 425 (-52.7) 642
10月 708 1,098 (. -5.6%) 1,551 777 381 (-47.7) 491
11月 839 906 (-26.9%) 1,080 920 1,986 (+82.1) 2,159
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1,237 1,311 1059 1,044 940 900 ←H18年度月平均
工場は10月同様にシャープの工場の着工分があると推測されるが、一方で店舗が+82.1%増と
極端な面積増加が見られ、一棟あたりの面積も極端に大きくなっている。
これは平成19年11月30日に施工された都市計画法の改正により郊外の大型ショッピングモールの建設が
困難になることに伴う駆け込み着工である。
http://www.kentsu.co.jp/kanagawa/news/p03113.html 上記の要因を取り除いた実質の着工面積を推測してみる
シャープが着工した建物が11月は10棟あると仮定し残りの工場が平均を先月同様床面積900uとすると
(839-20)×900 = 746,100 → 746(千u) : シャープ工場を除いた着工面積
906 - 746 = 160(千u) : シャープ工場推定分
また、郊外型のショッピングモールの平均床面積を100,000uとして県別の着工床面積をたよりに11月に15棟
着工されたと仮定し、実質の店舗の着工床面積を推定すると。
12×100 = 1,200(千u) : 駆け込み分推定面積
1,986 - 1,200 = 786(千u): 実態の推定面積
以上からシャープの工場と都市計画法改正の駆け込み分を差し引いた統計は以下の様になる
[ 工 場 ] [店舗]
棟数 面積(千u) / 棟数 面積(千u)
7月 1,033 901 (-34.5%) 948 881 (. -9.9)
8月 626 646 (-57.1%) 597 404 (-46.3)
9月 570 399 (-74.9%) 662 425 (-52.7)
10月 689 619 (-47.8%) 777 381 (-47.7)
11月 829 746 (-40.9%) 908 786 (-22.1)
工場は棟数が若干増えた分微増、店舗は-22%まで回復と言ったところか
また、シャープ工場と都市計画法改正の駆け込みを除いた着工床面積は以下のようになる
住居 非住居 | 木造 木造以外 単位:千u()内は前年同月比%
7月 7,325 (-23.7) 5,101 (-21.2) 4,334 (-24.2) 8,093 (-21.9)
8月 5,969 (-41.8) 3,847 (-42.5) 3,924 (-33.0) 5,892 (-46.9)
9月 6,192 (-39.0) 2,970 (-53.7) 4,416 (-22.3) 4,746 (-56.4)
10月 7,198 (-29.6) 3,358 (-42.9) 5,013 (. -7.8) 5,543 (-48.1)
11月 7,377 (-26.7) 4,079 (-26.4) 5,006 (. -7.6) 6,451 (-39.3)
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9,625 6,009 5,329 10,306 ←H18年度月平均
非木造がようやく4割減まで戻ってきたと状態であるが、非木造には前述のように手続きが簡易なプレファブ住宅が含まれている
平均床面積を120uと仮定しプレファブ住宅を除いた木造以外の着工は以下のようになる
プレファブ住宅の推定床面積: 12,439(棟) x 120(u) = 1,492,680(u) → 1,493(千u)
非木造計 うちプレファブ プレファブ除非木造
7月 8,093 1,167 6,926
8月 5,892 894 4,998 (-48.6)
9月 4,746 1,111 3,635 (-61.7)
10月 5,543 1,382 4,161 (-54.7)
11月 6,451 1,493 4,958 (-45.6)
非木造建物の着工実態は10月より若干持ち直しているものの、未だ半減に近い状態のままといえる。
最後にシャープ工場と都市計画法改正の駆け込み分を引いた実質の総合建築着工面積は。
建築着工面積 単位:千u()内は前年同月比%
7月 12,426 (-22.7%)
8月. 9,816 (-42.1%)
9月. 9,162 (-44.7%)
10月 10,556 (-34.5%)
11月 11,456 (-28.8%)
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15,6345 ←H18年度月平均
総じて少しずつ回復はしているものの、歩みは遅く実態が急激に回復の見込みは薄いと言える
建築着工統計調査(平成19年11月分)
http://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/kencha.htm 分析がどんどん長くなっていく・・・
申し訳ないが、確認申請の分析と今年度の展望はまた後日ということで