俺の親父は建設省(当時)の官僚だった。
毎朝、クルマが迎えに来るのが当然なんだ、と子供(俺のこと)は思っていた。
毎夕、役所の黒塗りのクルマで送られて帰ってきた。
退職後に親父が自力で建てた家(高級住宅地に40坪ほどの注文住宅)の倍以上
あるでかい官舎(高級住宅地ばかり)にいつでも住んでいたから
親父が退職後に建てた屋敷は、子供の俺には貧相なバラックとしか思えなかった。
もちろん、その「バラック」豪邸は、今の俺(零細企業勤務)には一生かかっても
絶対に建てることなんかできない。
親父は、毎夕、役所の送迎車で定時に役所を出て帰ってくるから明るいうちに
家に着く。それから広い庭にある「打ちっ放し」設備で暗くなるまで
ゴルフの打ちっ放しの練習をやっていた、毎日、毎日、毎日。
だから、俺には、親父の姿というとゴルフの練習中の姿が浮かぶ。
このスレッドに集うあんた等は、国土省官僚の生活実態なんか知らんだろう、
なぜ、こんな腐りきった条文を書けるのか、どうしても理解なんかできないだろう。
でも、俺には理解できる。
親父が本当に心配していたのは、国家や業界のことなんかじゃない。
めでたく国家公務員共済年金をもらえるようになるまで、あと何年か、
それまで本省勤務でいられるか、その後、どれほどでかいところへ天下れるか、
いくつ渡れる(再天下りのこと)か、、、、
ただ、これだけを本気で心配していると、天下り先で「本庁に顔が利く人材」として
厚遇されるようにと、無意味に許認可権限を強める腐りきった条文を書けるようになる。