遅くなったが負け惜しみの10月の着工統計を分析してみる
初の人も多いと思うのでまず予備知識
建築基準法6条で建物は1〜4号と類別される。特に4号建築とそれ以外で分けて考えられることが多い
4号建築:木造2階 鉄骨or鉄筋コンクリートの平屋で200u以下の住宅
1〜3号建築:それを超える建物
ここで4号建築は確認申請手続きに構造計算書を付けなくて良いなど申請が非常に簡略になっている
このほかに3号建築で大手住宅メーカーが建てる型式認定のプレファブ住宅も4号建築並みに手続きが簡略化されている
また、今回の改正で新設された2重審査を行う適合判定(適判)は4号以外の一定規模以上の建物に適用される
分量的に4号建築≒木造なので木造とそれ以外の住宅戸数の推移を比較してみる
木造 鉄骨 鉄筋コンクリート 鉄骨鉄筋コンクリート ()内は前年同月比%
7月 37,609 (-23.0) 14,960 (-20.6) 28,012 (-22.2) 1,015 (-64.2)
8月 32,901 (-34.4) 11,244 (-38.0) 18,052 (-54.6) 784 (-72.8)
9月 37,917 (-23.2) 11,912 (-37.8) 12,301 (-69.9) 770 (-72.9)
10月 45,930 (. -5.5) 15,030 (-29.1) 15,248 (-64.9) 600 (-88.0)
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46,342 18,770 38,932 2,877 ←H18年度月平均
回復しているのは木造と鉄骨だけで、鉄筋コンクリートの着工は7割減から微増、鉄骨鉄筋コンクリートはさらに悪化して9割減に近い
また、鉄骨も例によってプレファブ分を差し引くと・・・
鉄骨全体 うちプレファブ 残
7月 14,960 (-20.6) 8,707 (-24.3) 6,253
8月 11,244 (-38.0) 7,295 (-33.4) 3,949
9月 11,912 (-37.8) 9,076 (-18.8) 2,836 (-64.5)
10月 15,030 (-29.1). 11,140 (. -7.5) 3,890 (-57.6)
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やはり回復の大半は手続きが簡単な大手ハウスメーカープレファブ住宅の分が大半で普通の鉄骨は相変わらず半分以下の水準である
次に非住居を含めた着工床面積を見てみる、住居と非住居 木造と木造以外を比べてみる
住居 非住居 | 木造 木造以外 単位:千u()内は前年同月比%
7月 7,325 (-23.7) 5,101 (-21.2) 4,334 (-24.2) 8,093 (-21.9)
8月 5,969 (-41.8) 3,847 (-42.5) 3,924 (-33.0) 5,892 (-46.9)
9月 6,192 (-39.0) 2,970 (-53.7) 4,416 (-22.3) 4,746 (-56.4)
10月 7,198 (-29.6) 3,837 (-34.8) 5,013 (. -7.8) 6,022 (-43.6)
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9,625 6,009 5,329 10,306 ←H18年度月平均
一見非住居も回復しているように見えるがここで工場の推移を見てみる
着工棟数 面積(千u) 1棟あたりの面積(u)
7月 1,033 901 (-34.5%) 881
8月 626 646 (-57.1%) 1,032
9月 570 399 (-74.9%) 700
10月 708 1,098 (. -5.6%) 1,551
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1,237 1,311 1059 ←H18年度月平均
棟数は若干しか回復していないのに、面積だけが急激に回復している。
これは10月に堺のシャープの次世代液晶工場が着工したためで、瞬間的に上がった状態である。
他の使途別の10月統計を見ると
着工棟数 面積(千u)
事務所 880 380 (-32.1%)
.店 舗 777 381 (-47.7%)
.倉 庫 1,143 271 (-67.4%)
と9月より若干持ち直した程度にとどまっている。また、店舗倉庫の1棟あたりの面積が18年度平均の半分になっており、
着工できているのは小規模な建物に偏っている状況である。
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10月分の私の予測は大きく外れてしまったが原因は4号建築とハウスメーカーの型式認定の確認降り件数の水準が
8月、9月実績の-20%程度に止まると予想に反し10月確認件数が昨年より微減程度に回復し、それがダイレクトに
着工戸数に反映された点が大きい、土木・建築板で再確認したところ4号建築の確認はだいぶスムーズになったと報告
されているので、私の調査不足だった。
あと、マンションの着工戸数も-71.1%と低水準だが、適判対象物件の10月確認件数が需要のー85%よりはかなり多い
のが原因は分からない。
あと国土交通省は10月になって確認申請の確認件数が全般に大きく増加していると発表しているが、
確認件数合計 1〜3号建築 うち適判 4号建築 ()内は昨年同月比、
7月 36,552 (-39.4%) 9,924 (-49.6%) 1 (-99.9%) 26,628 (-34.5%) 適判のみ月当たり需要(5,800件)比
8月 46,359 (-24.5%). 11,261 (-43.8%). 52 (-99.1%) 35,098 (-15.2%)
9月 42,414 (-27.5%). 10,576 (-45.2%) 208 (-96.4%) 31,838 (-18.9%)
10月 53,218 (-11.1%). 14,987 (-25.2%) 873 (-84.9%) 38,231 (. -4.0%)
先ず2重チェックを行う適判物件が大幅に増加したといっても限りなく0に近い数値から15%程度になっただけである
また、10月の1〜3号建築から木質を除くプレファブを引ひいた水準は
1〜3号建築 木質除プレファブ プレファフを゙除く1〜3号
14,987 - 11,516 = 3,471 (-54.2%)
プレファブ以外は未だ昨年実績の半分以下で9月→10月の1〜3号建築増加分もほとんどプレファブ住宅によるものといえる
回復しているのは基本的に手続きの簡略な4号建築とハウスメーカーのプレファブ住宅だけで相変わらず半分以下しか
回っておらず、適判のかかる大規模物件は未だ−85%という低水準な状況といえる。
間違ってももうすぐ回復するような状況ではないといえよう。
参考資料
建築着工統計調査(平成19年10月分)
http://www.mlit.go.jp/toukeijouhou/chojou/kencha.htm 最近の建築確認件数等の状況について
http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha07/07/071130_3_.html
株板の住人も10%から20%へと、建築で起きた対岸の火事が自分の所へも飛び火して初めて某冬芝所属団体の影響を感じ始めたようだ。
追加です
シャープの工場は規模が非常に大きく誘致した自治体の体面などの理由で異例の早さで確認が降りて着工しているため
この部分を除いておかないと正確な状況を把握できない。
http://building-pc.cocolog-nifty.com/map/2007/08/post_fb6c.html シャープの工場の概要は↑等で敷地面積127万u(38.5万坪)等は分かっているが細かい建物の棟数や面積は不明な
ため、分かっている統計数値から推測する。
シャープが着工した建物が20棟あると仮定し残りの工場が平均床面積900uとすると
(708-20)×900 = 619,200 → 619(千u) 1,098 - 619 = 479(千u)
以上からシャープの工場分を差し引いた10月の統計は以下の様になる
工場
着工棟数 面積(千u) 1棟あたりの面積(u)
7月 1,033 901 (-34.5%)
8月 626 646 (-57.1%)
9月 570 399 (-74.9%)
10月 689 619 (-47.8%)
9月よりは上向いている程度といえる
238 :
216,220 ◆P1.zKyhcCI :2007/12/16(日) 01:29:17
シャープの工場推定値を除いた非住居と非木造の統計は
住居 非住居 | 木造 木造以外 単位:千u()内は前年同月比%
7月 7,325 (-23.7) 5,101 (-21.2) 4,334 (-24.2) 8,093 (-21.9)
8月 5,969 (-41.8) 3,847 (-42.5) 3,924 (-33.0) 5,892 (-46.9)
9月 6,192 (-39.0) 2,970 (-53.7) 4,416 (-22.3) 4,746 (-56.4)
10月 7,198 (-29.6) 3,358 (-42.9) 5,013 (. -7.8) 5,543 (-48.1)
非住居、非木造のそれぞれの着工は9月よりは回復したものの、依然8月と同水準で半減に近い状態である。
さらに非木造には前述のように手続きが簡易なプレファブ住宅が含まれているのでこれの平均床面積を120uと仮定し
プレファブ住宅を除いた木造以外の着工は以下のようになる
非木造計 うちプレファブ プレファブ除非木造
7月 8,093 1,167 6,926
8月 5,892 894 4,998 (-48.6)
9月 4,746 1,111 3,635 (-61.7)
10月 5,543 1,382 4,161 (-54.7)
これで回復基調というのはちょっとお花畑な見解と言えよう。
あと、4号建築+プレファブ住宅以外でも10月は9月に比べれば若干持ち直しているが、これは建築士と審査機関が
不眠不休で取り組んだ結果であり、国土交通省の取った対策の効果ではないと言っておこう