日本の格差は世界的には極小 所得格差、世界各国で拡大…IMF分析 [10/10]
【ワシントン斉藤信宏】国際通貨基金(IMF)は9日、最新の世界経済見通しのうち分析部分を公表した。
IMFはこの中で「所得の国内格差が過去20年間にわたり、ほとんどの国や地域で拡大してきた」と指摘した。
技術進歩と金融のグローバル化が格差拡大の主因と分析し、格差是正に向けて、労働者が世界経済に
適応した技能を身につけられるように教育や訓練を強化する改革が必要だとの認識を示した。
IMFは、所得格差を示す代表的な指標「ジニ係数」を使って各国・地域を比較した。その結果、
世界的な傾向として、1人当たりの所得が最貧層も含めて増加したが、富裕層の所得はそれを
上回るペースで増えていることが明らかになった。
国別では、20年前は日本並みの「平等社会」だった中国が、米国を追い越す勢いで格差を拡大させ、
英国や米国でも格差の拡大傾向が見られた。一方、日本国内の格差は世界的に見ると極めて小さいことも
明らかになった。
IMFは、グローバル化が進展する中で、貧困層の生活水準は改善されていると分析したうえで、
教育改革のほか貧困層への融資拡大や衰退産業から成長産業への労働力移動、貿易自由化の
更なる進展などが格差是正に向けて必要だと提言した。各国別の成長率など経済指標に関する
予想については、17日に公表する。
毎日新聞 2007年10月10日 10時37分