週刊エコノミスト [ 2010年05月11日号]
日米英「同時破産」/膨大な借金と始まった「悪い金利上昇」
http://www.excite.co.jp/News/magazine/MAG42/20100426/455/ ・・・「経常黒字が増えたにもかかわらず日本経済は疲弊した」というのが、三國事務所代表取締
役、三國陽夫氏の見立てだ。
日本は、対米輸出で手に入れた輸出代金を米国債などに投資してドル資産のまま保有し続け
た結果、日本国内には円資金が行き渡らず、デフレ圧力がかかった。内需も活発化しなかった。
逆に米国内には金融緩和効果をもたらし、消費を拡大させる状況を作ってしまった。「経常黒字を
ドル資産で保有したまま、円安誘導やデフレ対策の金融緩和を続けても、それは穴の開いた
バケツに水を注ぐのと同じ。今回の米住宅バブルの一端を日本のゼロ金利や量的緩和政策が
担ったと言われても仕方がない」と三國氏は語る。
週刊エコノミスト [ 2010年05月11日号]
「日米英」同時破綻/円高・金利上昇を恐れず「黒字亡国」からの脱却急げ
http://www.excite.co.jp/News/magazine/MAG42/20100426/461/ 日本は米国に輸出した代金を回収していないのに等しい――。25年、社債格付けをしてきた私が、
国の収支を企業の財務分析の手法で分析して得た結論だ。
(中略)
このようにして1970年代以降、日本は輸出が輸入を上回る貿易黒字状態が続いた。この状態で
ドルを円に交換しようとすれば、円高になる。外需依存の日本は、円高になれば不利だということで
ドルのまま保有し、このドル資金で銀行や政府は米国債などを購入し、輸出で獲得した代金を米国
に還流させたのだ。こうして日本が海外に蓄積した対外純資産は2008年末時点で226兆円にも
達する。その大半がドル資産だ。
ドル資産のまま保有するのは、企業が売掛金を回収せずにただ働きをしていることと同じだ。代金
を回収しないと企業は資金繰りに困る。国も同じで、本来あるはずの国内(円)資金が不足気味に
なり、デフレ圧力がかかる。企業業績が好調の割には国内にお金が行き渡らないため、消費も喚起
されず内需が盛り上がらず不況の要因をつくってきた。
バーナンキFRB(米連邦準備制度理事会)議長は、かつてこうした日本の状況を見て円を刷りまくっ
てばら撒けばインフレになると提案した。日銀はそうしたこともあってかゼロ金利、さらには量的緩和
に踏み切り円を大量に供給したが、その大量の円は円キャリートレード(低利の円で資金を調達して
高金利のドルなどに投資すること)によって、米国に流れた。それが米国の住宅バブルの一端を
担い、日本の内需はそれほど盛り上がらなかった。
(中略)
しかし、もうそろそろ黒字が増えるほど日本経済が疲弊する「黒字亡国」から脱却すべきだ。
(後略)