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★司法による日本の差別的な解雇規制……正社員を守る解雇規制の判例[週刊エコノミスト 2008/07/01]
◆裁判所「正規を解雇するなら、残業を減らせ、配転しろ、パートや派遣を先に首切れ!」
■整理解雇法理
 これは石油ショック後に確立したもの。企業の経済的事情により、正規労働者を解雇する場合、
@人員整理の必要性、A解雇回避努力、B解雇者選定基準、C労使協議――という《整理解雇4要件》を満たすことを求めている。
■司法が雇用形態による差別を奨励
 問題はAで、ここでは「時間外労働の削減」「配置転換による雇用維持」「非正規労働者の雇い止め」の3つが、解雇を回避するためにとるべき努力義務として要求されている。
▼「時間外労働の削減」…『恒常的な時間外労働の存在を、司法が正当化』している面がある。
▼「配置転換による雇用維持」…『家庭責任を負うために配転に応じられない女性労働者への差別を、司法が正当化』している面がある。
▼「非正規労働者の雇い止め」…何よりも非正規労働者の雇い止めを「解雇回避努力」として評価するような法理は、『それ自体が雇用形態による差別を奨励』している。
■EUの常識
 『客観的理由がなく正当な理由なき解雇でも、解雇無効と判断されても、使用者は復職拒否・雇用終了し、金銭補償で解決可能。
 整理解雇は、解雇を前提として労使協議という手続きを要求するにとどまる。
 解雇規制の緩和とは逆に、有期契約の更新規制は厳格で、回数(0〜3回)・総期間(約3年)超えると無期へ』
■高裁レベルの東洋酸素事件
 日本の解雇規制の特徴は、『一般の解雇よりも、企業の経済状況に原因する整理解雇をより厳しく規制しようとする』ところにある。
 その象徴ともいうべき《整理解雇4要件》を定式化したのが「東洋酸素事件」。
 そして、これがより規制の少ない有期雇用へ、さらには派遣労働へ、という企業の逃避行動を促し、結果的に正規と非正規の格差を生み出す一つの要因となってきた。
◆『日本をダメにした10の裁判』[新書](日本経済新聞出版社)
 第一章 正社員を守って増える非正社員の皮肉――東洋酸素事件
 その判決に異議あり!  「正社員になれない若者の増加も、企業と政治の癒着も、ムダな公共事業も、産科の崩壊も」……その原因に誤った裁判があった。
>>589
■日本はそろそろ底辺労働者保護の財源のあり方の選択を国民に迫るべき時期。
「日本は“限られた財源”を、底辺労働者の保護に使うべきか?企業の代わりに正社員の保護に使うべきか?」と。
 どちらが道かはわかるだろう。
■『労働分配率の問題を改善しない限り、貧困・ワーキングプアの問題は改善されない。今の賃金体系を維持しかつワーキングプアの問題を改善することなんて無理だ。』
 この視点で問題を考えていかない限り、改善されることは難しいのは間違いない。
 「正規の年収を下げ、そのぶん正規雇用を増やす」 こうした議論ができるか?実現できるか?
 40・50代の年功序列型の高給取りの人達が本当に仕事・能力に見合っているのか?


★階層が固定化される、正規のみ保護する現行の法制度…チャレンジ不可能な「希望なき社会」
■日本において、『国際的に見て既に高い』人件費を増やせる環境にはなく、短期的には配分を変えるしかない。
 『大企業で減らすべきなのは、パフォーマンスの低い貰いすぎ中高年の人件費であり、それが氷河期世代の新規雇用に回るような政策が必要。』
 経営者はそうしたいが、国の法制度が阻止している。
■この問題を解決するには、下記3つの政策をセットで同時に実施すべき。
 1:労働条件不利益変更[降格・賃下げ]と解雇法制[金銭解雇]の規制緩和(連合の既得権改革)
 2:「“企業内”同一労働・同一賃金」の法制化+最低賃金引き上げ(経団連の既得権改革)
 3:やる気ある非正規社員に対する教育訓練の提供[英国の様に大学でのキャリアアップ再教育の無料化] +企業への雇用インセンティブ(財源問題につき、道路族ほかの既得権改革)
■『派遣法改正によって働き方の多様化が進んだこと自体は大筋で正しい』が、結局、『正社員のイスが空かない限り、派遣社員は一生、正社員になれない』。
 非常に法的に難しい「労働条件の不利益変更(降格・賃下げ)」と「一定の条件下での解雇(金銭解雇)」が可能にならない限り、再チャレンジは不可能だ。
■参考
◆『激論!新しい貧困とニッポン!』氷河期世代を救い、労働市場を正常化する政策提言[MyNewsJapan 渡邉正裕 2008/05/06] http://news.livedoor.com/article/detail/3640600/