【総合】「財政政策で景気回復」を論じるスレ

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603金持ち名無しさん、貧乏名無しさん
>>600
流動性の罠(リカードの中立命題)の下では、民間資金でファイナンスした財政支出の乗数は0、
日銀資金でファイナンスした財政支出の乗数は1となる。
前者は流動性の罠の状態だと財政政策は無効になることを示しており、
財政支出をするなら最低限資金を日銀からファイナンスする必要があるわけだ。
そしてその場合の乗数はぴったり1だから、この方法でデフレギャップを解消するためには
ギャップと同額の支出および日銀のファイナンスが必要になる。
そして、日本はこの流動性の罠にきわめて近い状態にあるから、支出規模の見積もりは
だいたいこれと同じになる。

一方、流動性の罠の状態(“リカードの中立命題が成立している状態”と同値)を脱出するには、
経済の期間構造に働きかけて、ある時点の財政支出をその将来時点の財政支出がいつも上回る
ようにしないといけない。
しかし、それは財政支出をするのとは逆向き(むしろ現時点の財政支出を絞れるだけ絞る方向)の
政策であり、また財政は初期の支出が大きければ大きいほど持続性(サステナビリティ)が
弱くなっていくから、財政政策には不向きであり、そのパラドキシカルな性質からして
財政政策では流動性の罠を脱出することは不可能だともいえる。

すると、財政政策主導案では流動性の罠を前提とした先の、全額を日銀にファイナンスさせて
(もちろん不胎化で帳消しにさせない)の乗数1の支出をすることになるが、
打ち切ると元の木阿弥になってしまうから、将来のいつかの時点でマネタイズ
(および期間構造への働きかけ)をやり直さなければならない。
だから、“日銀ファイナンス財政支出で景気回復”案の場合、「打ち切り」「やり直し」を、いつ、
どのタイミングで行い、それらの影響はどうなるのかについても明示して計画を立てる必要がある。

※流動性の罠については、クルーグマンの“It's baaack”を参照のこと。