>>49 富士吉田署は二人の救出の対策を練ったが、迷路のような構造のため捜索は難航。同夜十一時すぎになって、
同県警機動隊のアクアラング隊員二人が、同池に潜水、捜索活動を始めた。しかし、二人を発見できず約十分間で
捜索打ち切り。十七日に改めて、県警や地元の関係者が捜索の方法を検討することにした。
テレビ朝日広報部によると、森さんらは、「アフタヌーンショー」の「富士山特集」の中のコーナーの一つ、
「八海めぐり」の撮影に出かけた。同広報部は、「忍野村の協力でロケを進めていた。この村の自然の美しさを
紹介するのが目的だったが、テレビ朝日には、水中撮影の専門家がいなかったため、二、三カット水中の湧水を
撮って欲しいと森さんに依頼した」と話している。
森さんは、ダイバー歴二十五年のベテラン、島田さんも八年のダイバー歴。取材の役割は、森さんがカメラ撮影、
島田さんがライトをつけて撮影を補助することになっていた。森さんと島田さんの間も、二人と地上との間の命綱も
つけていなかった。
忍野八海は富士山の伏流水が湧水となってできた八つの池からなっているもので「八海めぐり」の霊場として有名。
昭和九年に国の天然記念物に指定された。
今回のようなケーブダイビング(洞くつ潜水)の場合、命綱をつけ、潜水経験のある人が陸上でガイドロープを操作、
ロープをゆるめたり引っ張ったりしてダイバーの動きを知るのが常識になっているが、森さんらは命綱をつけていなかった。
>>49-50 読売新聞でも同様に報じられていますが、毎日にない情報としてこんなのが。
1987.07.17 読売新聞東京朝刊 27頁
潜水する際、見物していた地元のダイバーが「命綱がないと危険だ」とアドバイスしたが、
二人は「洞くつの入り口付近をのぞいてくるだけだから」と言い残し、命綱をつけないで潜ったという。
忍野八海を調査したことのある山梨大学・西宮克彦教授(地質学)は「湧池は水温が低いうえ、底面は
軟らかな珪藻土(けいそうど)ですぐ白濁し、視界が悪くなる。所どころに水のわき出し口や横穴もあり、
一般の池や湖のつもりで潜るとかなり危険だ」と話している。