251 :
氏名トルツメ:2006/02/24(金) 00:14:57
「ねぇ、あなた。本当に見たの?」 背中の後ろから声がした。
その声はとても平坦なもので、それは彼女が怒っていることを意味した。
僕はまた校正漏れをしたようである。
しかも今日は木曜日で、満月で、おまけに紀伊国屋の定休日だ。
こんな日は悪いことが起こるに決まっている。いつもそうなんだ。
僕はなるべく、不思議そうな顔をして振り向いて答える
「それなら羊の奴がやっていたよ」
こういうときは羊男の名前を出すべきなんだ。
それが彼の役目で、意味なのだから。
252 :
氏名トルツメ:2006/03/11(土) 00:52:06
age
253 :
氏名トルツメ:2006/03/11(土) 17:55:29
なんだって僕がそんなことをしなければならないんだい?
羊男の名前を出したって、校正漏れがどうにかなるなんてこれっぽっちも望みが無いのに。
「やれやれ」
羊男の名前をだしたとたん、営業がやってくるに決まっている。
営業が軽口を流しているとでもいうのだろうか。
たぶん乱表計器がまぎれこむのだろう。
誰にも止められないのかもしれない。
本気で現実的対処をしない限り。
校正などほとんど必要なくしようとしているのに、
ややこしくしたがる人がいる。
それでも簡単なわけが無い。
相手がどうでてくるかなんて、本当に知っているのかい。
はっきり言おうか。いつも年上故に正確な判断がつかなくなっているのだろうが。
あのひとすらも信じられない事のようだが。
三歳児もオバタリアンも確信犯で、先にしっていたぶん見切っている。
みきられていると言っているのよ!
未熟なだけだと思っているから、いつまでたっても計算が合わないのでしょうね。
友達になりたいだけと、
無理な事実がある限り、排除したいという思惑の違い。
羊男は無理な事実をなくすか、ごまかせば何とかなると考えているのかもしれないけど、
とんでもない。
利害関係の一致すら認めようとはしない事実。
そしてそんな事をすれば、無理な事実が立場を変えるでしょう。
はたして羊男には現実に負けない哲学があったのだろうか。
もうとっくに、考えの極地である反社会的行為をきちんと処理出来る(仮)社会にいることに適応出来るのだろうか。
考えの世界と、現実の世界が別だと思っているフシがある。
現実の世界にまで出てしまった症状は、
知り合いだろうが、家族だろうが、然るべき場所に任せるべきではないのだろうか。
なにおとこであろうとも、そんな個人的判断をする権利は無い。
それはだれもが心中思っている。当人以外は。
真実の理解は行動を伴なわないか。
そしてね、校正は個人の責任というわけでもないのよ。
金の動きはどうであれ、社会的責任なのよ。
100点が当たり前なのよ。
どうして個人で抱え込むの。
趣味人は止めないと言ったわね。
学校では90点も取ればいい方でしょうよ。
それでは小型ロケットすら飛ばないでしょうね。
彼は個人の実力が知りたいのかもしれない。
だけど、社会が、それぞれの業界が必要としているものはそうじゃない。
言っていること、わかります ?
プロ宣言しなさい。しなくても、ある程度の年齢がいくと、そうとしか見てはくれない。
角つきあわせて、社会に出していいものか、手段は適当か、多方面から検証すべきだと思う。
現実的に。時間、場所も同時に。
地→至
そして、時流は不適切だ。
なぜなら、問題点が、彼と同じ問題点があるから。
校正が不可能?
ますます不可能にしているのは、ただひとり。
それでも皆は"幸せ"になりたいと思っている事を信じない、ただひとり。
260 :
氏名トルツメ:2006/03/16(木) 23:10:38
「何だってオイラが校正なんかするんだい?
一度だってやったこと無いんだ。誰もオイラに任せないじゃないか」
羊男は小さく、震えた声でつぶやいた。
きっと柳の枝のムチを思い出しているのだろう。
僕は少しは悪かったかな、と思ったが、もう後には引けなくなっていた。
「じゃあ、君は誰がやったと思う?
まさか、やみくろがやっただなんて言い出さないでくれよ」
261 :
氏名トルツメ:2006/04/23(日) 16:54:21
なんだって?
262 :
氏名トルツメ:2006/04/24(月) 22:28:07
なんだって、いつもやみくろの仕業にするんだい。
僕は言いたかったけど、もちろん黙っていた。
263 :
氏名トルツメ:2006/04/25(火) 23:52:53
僕は印刷所に連絡することにした。
悪いニュースは、早く伝える方がいい。
彼等のところにかかってくる電話は、大抵が悪いニュースだ。
入稿の遅れ、原稿の差し替え、写真の差し替え、などなど。
数えれば切りがないのである。
「かわいそうな印刷屋さん」メイがいたなら、どんなにいいだろう。
アタシは外に向かっての校正を言っているのではなかった。
たぶん、そんなのはもっと後だろう。
自分が成すべき岐路のいっぽ。
沢山の心のもりから見つけ出した踏み出すべき最初の一歩を後送りにして、
他山の路の整備ばかりやっていたのではなかったか.....。
それはビル街のよそよそしい顔にも似て.....。
彼は自分のちからをなにか勘違いしているようにもみえる。
自分という無限の心情世界を変えたとき、
何十億分の一だけ世界はかわる。
其れはすべきだし、それしかできないことだし、しなくっちゃいけない事だと思うの。
彼はほんとうに誰かと対話してきたのだろうか......
アタシは、距離に於ける(ただ近いというだけの)会話もあると思うの。
説明するよりもたぶんもっと多くの声なき対話がながれてゆく...。
彼は側に情報交換だけと思い、あるいは一方的に与える為にだけおもむく。
普通のヒトはそうはしない。
いや、いまはほんとうにそれだけをしているのかもしれない。
だけどちゃんと何か心の対話をしている人達が集まっているし、
それしかできないんじゃないかとも思い始めている。
彼はマクロにまで降りてゆき、一ミリの境界線を電子顕微鏡の眼で見る....。
そこには境界なんてないではないか。
アタシはいう。
この鉛筆の色は濃い ?
彼はいつまでたっても応えようとはしない。
春になればヤナギもやさしい綿毛を風になびかせるだろう。
対話とは距離でもあることがわかれば、
彼はねこやなぎを経済的観点からしか見ない人達を側にはおかなかっただろう。
もういちど、春の色の変化を見つけるためだけに庭にうえてみて......。
ここにはギムナジウムはない。
利用し尽くすことのないボンクラどもが住んでいた。
.
.
正体は枯れすすきか柳の枝。
それは彼もわかっていたはず...。
恐怖心をほんとに恐怖の人達と会う事で克服しようとしている....。at@ejrt
そうじゃないの。形のあるものならばさわってみて。
匂いの色を感じてみて。
みなはススキは薄だとしか思わない。
心の眼でヤナギがネコヤナギと一緒にみえるようになってから対話が始まる。
アタシも詳しい事はわからない。
ごめんなさい、こんなこと......
薄暗いバーであったなら、二時間もあれば伝えられたはずなのに.....。
>一度だってやったこと無いんだ。誰もオイラに任せないじゃないか
...ですって ??
あれ以上ハデな校正を誰がしたっていうのよ。
アタシも校正をしてみるわ。 . .
浮浪者になるべくしてなったひとたちに甘い恩を売っておいたって、
意外に思うか、人生ふっとぶか、自尊心を保つ為にアホかと思うだけよ。
他国でも証明されているでしょう ?
だからアタシは社会には期待しないわ。希望はするけど。
だからひとりよりはふたり....そう思っているだけだわ。
神様は現状復帰せざるをえなかっただけ.....
まあ、これも彼が言った事だからホントはどうだかわからないけど....
アナタもアタシに校正ぐらいまかせなさいよ。
まかせることが出来ないかぎり、まかせてはくれないでしょうね。
検証結果のじじつとして....
よ く ば り ...(
私を守ってはくれなかったのね、メイは言った。
個人としての眼で見ているのに、その意思すら示さなかった。
方法は変えるべきではなかったのよ。
不完全だっただけ。
正義はボウリョクに負けるの ?
だったら始めなければよかったのに...
何も出来なかったから、残るのは恨みだけ。
そうよ。恨みを残さない為に、何らかの行動に出たの ?
すでに恨まない為の行動なら許されている世界で、
それ以上の世界が必要なの ?
それ以上勝手な世界観をぶち立てるのならば、
破防法云々といわれている人達と同じに見られても仕方が無いわね。
逆でも同じよ。
インフレをおこすもの。
だからってどうすればいいのかはわからない。
だから黙って見ているしかし方が無いけど、他人の善し悪しはよく見えるものよ。
だからってその立場になれる人は多いわけじゃない。
そんな手間があるぐらいなら、眼を正しく持ち続ける方がいい...。
ところで、恨みをいくら貯めたって、理想世界はこないわよ。
行動出来る立場にある一部の人たちはね。
動かすのは他人じゃないて自分自身。
名のある人たちはね。
ところで、完全犯罪はできないからね。
この感じが外れる事を願うわ。
でも、はずれないとわかったから...
具体的提案も、多分はずれないわ。
何故か反対する人達がいるけれど。
それだって、かれが認めれば、仕方なしに認めたのよ。
タイミングは何度も外したけれどもね。
大げさに考えているけど、
要は、人格的に信頼出来ない人、有言実行が出来ない人に舵取りを任せる程
社会はお人好しでも、賭けをする気もないってことかしらね...。
彼は今、社会をお人好しで、かけに乗ってくれる社会にしようとしている。
いまや誰もが思っている事よ。口に出さないだけで。
何故出さないか知っているの ?
過去の遺産をよくまぁこれだけ食いつぶしたか、騙されたかしたものね。
未来を任せられる ?
宇宙の大金鉱でも捜すつもり?
ちやほやしてくれるのは、そこにないのがわかっていて、だまそうという人だけよ。
そんな大それた事をするはずが無いと思っているのでしょ。
ほんとに上御得意様ですこと。
やることはいっぱいあったのに.....
先ず、手ぐすね引いている連中を寄せ付けないする策だけでも大仕事よ。
ひとの人生なんてかまっている暇なんて何処から出てくるのかしら....
無理矢理うばいとったものは、あぶく銭として消えていくだけでしょう。
社会としても、いやになるほど見せつけられたはずなのよ。
イメージが元になるのなら、そのイメージをこのままでは私はあげない。
彼もまた、長い説明をしたものね。
............................それで ?
完全にしろ、不完全にしろ、犯罪自体は不完全だから、
陰謀はダメね。
そんなことすればするほど力が弱まるっていう事実だけが有るわけだから。
あまり悪女の深情け的なことばかりやって同じ穴ぼこに落っこちないでちょうだいね。
ま、そんなヘマはしないと思うけれど。
そんなことより、パンジーは植えるべきかどうかの議論でもしている方が有意義ってものよ。
sage
279 :
氏名トルツメ:2006/07/06(木) 17:27:56
"○| ̄ト_
280 :
氏名トルツメ:2006/07/17(月) 12:46:24
印刷業界は過酷な業界だ。
低賃金や重労働のおかげで大半の人が転職を考える。
30年も働けば伝説になるほどだ。
「たとえ今日誰が退職したとしても俺たちは悲しまない。」
印刷会社営業の物静かな男はそう言った。
「僕たちはこの業界で働いているうちに稼いでおくのさ。
後で後悔しないようにね。」
「先取りして稼いでおくってわけだね。」
「君たちの使う言葉はよくわからないな。」と彼は首を振った。
「本当にそんなに稼げるのかい?」と僕は訊ねてみた。
「そうでもしなければ、」と彼は言った。
「印刷業界は悲しみで埋まってしまう。」
281 :
荒川 栄和特殊紙工(田村):2006/11/30(木) 00:58:08
仕事が無い・・・鬱だ・・・・
そうだよな。俺は働かないで金持ちになる事だけしか考えてないんだから・・・
それじゃ人は付いてこないよな・・・・・
職安には日給月給って書いてあるけど、時給でボーナスもほとんど無いからな・・・・
8月に入った人も「あまりの給料の安さ」ですぐやめたもんな・・・・
社員は1分でも遅刻するとどなりちらす!」けど、俺ら社長と専務は10時に出社して応接間でゆっくりモーニングコーヒーを飲む優雅な生活は譲れないからな。
でも従業員をコキ使って、豪邸買って子供は名門校で、安定した老後だ!!
ラベルジャパンを潰すぞ!
. . : : : :: : : :: : ::: :: : :::: :: ::: ::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
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Λ_Λ . . . .: : : ::: : :: ::::::::: :::::::::::::::::::::::::::::
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . . .: : : :::::: :::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .:: :.: ::: . :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l . :. :. .:: : :: :: :::::::: : ::::::::::::::::::
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ
その日の午後も、僕は双子たちと校正を続けた。
机の上には、二校、三校、四校と永遠に続くと思われる校正紙が
あきらめたように山積みになっていた。
「ねえ、今、何校目?」双子の一人が聞いた。
「2043校目くらいじゃないか?」
そういうと鼠は、あきらめたとように、その日五本目のタバコに火をつけた。
僕等が4,080校目の校正をしていると、
双子の一人が僕に聞いた。
「ねぇ、一体いつまで校正するの?」
僕はだまって双子の眼を見つめた。
そこにはまるで、この作業にも、当然終わりがあり、
校正を終えた僕らは、天にも昇る気持ちで、このオフィスを後にして、
その後、未来永劫こんな作業は二度としなくても、いいというような約束が
必ず誰かから与えられるという儚い気持ちが、そこにはあった。
けれども、僕は知っていた。
僕らが校正すればするほど、校正は
増え上がり、依頼主は、ますます校正依頼を出すことを。
形がないものには、終わりがない。
終わりがないものには、形がない。
ただそれだけのことだ。
2007年だ。
誰がどう聞いても2007年でしかない。
ここにきて、もう三年が経ってしまった。
本当だったら〜、なんて言ったらいけないことは、百も承知だ。
でもね、人間現実だけじゃ生きていけない。
もちろん、事実の上にしか明日は築けない事も、良く知っている。
でもね、もうだめなんだ。疲れたよ。
285 :
氏名トルツメ:2007/06/09(土) 10:44:13
age
286 :
氏名トルツメ:2007/08/04(土) 20:35:07
昨日、新米の営業が持ってきたのは、客観的無意味な仕事だった。
クライアントの方がデザインしたものを出せという。さらによく聞いてみると
一太郎ファイル指定だった。やれやれ。
オーケー、まあいい。これがDTPというものなのだ。
一太郎のファイルは一太郎のファイルでしかない。そしてそれを
組み直すのは僕だ。
僕はふと思った。今夜も徹夜だろう。もう何日家に帰って
いないんだろう。『家に帰っていない?』
薄れゆく意識の中、新米の営業の顔が
交差していく中で音楽が聞こえてくる。
2007年のとある一日。BGMはradioheadのアンセム…・・
一人しかいない部屋で言葉を発する。
「さあ2CHだ!僕には2CHがある」
その言葉は発すると同時に
世界の暗闇に吸い込まれていった。
…まだやれる… そう、僕にはまだやれる。
そうつぶやくと僕は外のコンビニエンスストア
に足を向けた。
287 :
氏名トルツメ:2007/11/02(金) 10:47:00
村上春樹、昔読んでたなあ
age
「予定が変更された」と聞き覚えのある声が言った。
「教授の具合が急に悪くなったんだ。もう余り時間がない。だから君のタイム・リミットも繰り上げられる」
「どれくらい」
「一ヶ月。それ以上は待てない。一ヶ月たってもデータの異常値がなくならなければ、君はおしまいだ。君が戻るべき場所はもうどこにもない」
一ヶ月、と僕は頭の中で考えてみた。
しかし僕の頭の中では時間の観念が取り返しのつかないくらい混乱していた。
一ヶ月でも二ヶ月でもたいした違いがないように思えた。そもそも一行のバグを探し出すのに一般的にどれくらいの時間がかかるかという基準がないのだから仕方がない。
「よくここの場所がわかりましたね」と僕は言ってみた。
「我々には大抵のことはわかる」と男は言った。
「バグの場所以外はね」と僕は言った。
「そういうことだ」と男は言った。
(村上春樹 的 研究生活)
290 :
氏名トルツメ:2008/02/23(土) 09:37:52
やれやれ
291 :
氏名トルツメ:2008/03/17(月) 09:59:22
やれやれ
292 :
氏名トルツメ:2008/03/24(月) 14:06:06
「やれやれ」溜息をつきながらカレンダーを見た。
取り返しようのない二ヶ月の日々が過ぎていた。
一ヶ月過ぎても二ヶ月過ぎても連絡はなかった。僕は懸命にバグの場所を探していた。
しかし、見つからなかった。
まだ、間に合うのか、もう手遅れなのか、僕が生きているのか、死んでいるのか、
それすら定かではなかった。
293 :
氏名トルツメ:2008/03/24(月) 15:19:45
Cool に アゲ !
294 :
氏名トルツメ:2008/05/06(火) 11:26:40
あげ
, -‐- 、/´;.;.< /
/;.;.;.;.;.;.ミ彡;.;.;.;.;ヽ _ノ うはwwwwwwwwwwwwwww
1;.;.;.川;;|キ;.l.;l;.ト `ヽ
|;.;.;ノノ=ノu =トト| /
‐- fr|| ( 。u〈。 ).h. -‐ _ノ ロットイン 986 wwwwwwwwwwwwwww
-‐ lヒ||u三r_ 」三 レ' ‐- `ヽ
||∨rゥ‐ゥ‐ゥ、 | /
リ 丶ー‐一', '
, ‐r――r| `-'-'イr―‐r-、
rnf^h | |―‐-、 ,r| | rf^hn
`'`'`'`' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄``'`'`'ヽ、
/ /| | \
296 :
氏名トルツメ:2008/08/11(月) 10:30:45
きょうもアダーチは肥溜に落ちたのであった。
297 :
氏名トルツメ:2008/09/04(木) 15:21:09
「昔、DTPの仕事をやってたこともあるんです。」
彼女は両手をテーブルの上に揃え、指先を見ながら話し始めた。
まるで爪に台詞が書いてあって、それを読み上げてるみたいに。
「小さい広告会社でした。同族経営の。」
僕はカップにコーヒーを注ぎ、テーブルに並べ、
棚にあったクッキーも一緒に出してみた。
「でも私。疲れちゃって。向いてなかったんですね。ああいうの。」
「ああいうのって?」僕は分かっていた。けど、聞いてみた。
「全部です。毎日同じ繰り返し。文字を打ち込んで並べて。見比べて。
ひとつも間違っちゃいけない。それに。」
僕はその続きを待った。しばらくの間。それはかなりの時間だったと思う。
しかし彼女はそれっきり何も話してはくれなかった。
コマンドSをしないまま作業を進め、誰かがコンセントに引っかかって
データがパァになることがある。今日の彼女はそんな感じなんだろう。
「分かるよ。君は耐えられなかった。耐えるべきではなかった。」
彼女は僕を見上げ、一度だけ深くまばたきをした。
その瞬間、僕はこう思ったんだ。 彼 女 は 僕 と 寝 た が っ て い る
298 :
氏名トルツメ:2009/06/15(月) 17:53:07
1Q86出版記念あげ
299 :
氏名トルツメ:2009/07/12(日) 01:04:09
やれやれ、また修正が入った。
一体僕らはいつまでこんな日々を過ごすんだろう。
何も多くを望んでいるわけじゃない。
ただよく晴れた昼下がりにパスタを茹でてシャツにアイロンをかけたいだけなのに。
300 :
氏名トルツメ:
300