エレクトロニカ制作の勉強をしたい 第2章:宇宙編

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37名無しサンプリング@48kHz
まあ、最初から情報が蓄積された耳で音楽を聴ける人なんていないし、
だからこそ音楽との出会いは衝撃的的であったりするわけだけど。
音楽そのものに興味がわいてくると、いま話題になっている作家の作品だけじゃなくて
音楽の歴史を遡及するようにたくさんのCDを聴いていくようになるでしょう。
そうすると、すべての作家は過去の作品のエッセンスを引き継いだ上で自分の作品を作っている
っていうことに気がつく。これは映画も文学も哲学も科学も全部同じですね。
現代音楽がミニマリズムに到達して終焉を迎えた事実がある以上、「新しい音楽」なんていうのは
もうそうそう出てこないのは明らかなんです。つまり音楽の歴史全体の形がある程度ハッキリしてきた、
今風に言い換えるとデータベース化されてきたということになると思います。
現在の作品はデータベースと化した過去の音楽からの引用の束として存在することになり、リスナーはその
引用の組み合わせ方に作家性を感じることになる。まあ、これはいささかクリエイター寄りの把握の仕方
になるかもしれません。「聴いてて面白い、それ以外の解釈が必要?」という意見はもっともですが、
先程触れたように、純粋に音楽というものへの興味から遡及的に聴いていくことで、
自然と気がつくようになるということです。批評家になりたくて音楽を聴く人など稀でしょうからね。

そういう「耳」でオウテカなりを聴けば、どの部分が引用的でどの部分が彼等のオリジナルな部分なのか
が判断できるように思います。たいていは引用の組み合わせの妙が「オリジナリティ−」という言葉
で表現されることが多いような気がしますが、やはりいくつかは独自のものであると判断せざるを得ない部分が
あります、そこを見つけるのが個人的には楽しいのです。判断に個人差があるのはもちろんです。
38名無しサンプリング@48kHz:04/03/27 02:59 ID:IN1CaVAD
オウテカが叩かれているのでくり返しオウテカを例にとっていますが、先き程も述べたように世の中に投げ出された
作品はリスナーに鑑賞された後、データベースとして収納されていきます。オウテカの仕事に共感した人は
そのエッセンスを叩き台に、あたらしい解釈を作品化する、そしてそれもまたデータベース化される、そういった円環運動
の元でしか耳を貸すべき面白い作品は生まれてこないと思いますし、げんに今までもそうだったでしょう。

テクノの歴史だけでなく音楽そのものの歴史を一身に背負いゴールに突入してしまったかのようにも受け取れるオウテカの
態度が一部のリスナーから鼻をつままれる原因でしょう、ぼくはそれほど気にならないのですが。
(OvalとかNotoらへんはまたコンテクストが違うのでおいておきます)

電気グルーブに関しては、ラジオの方面で面白かったので嫌いではありません。
レイハラカミは個人的にはどうでもいい、が叩かれる程でもないと思う。
aphexとautechreとbocを比較し、順位をつけて、他人にその正当性を認めさせようとする行為は意味が無いです。
それぞれ違うもんだし、好きか嫌いかでしかない。共感できるというのはその作品が発生したデータベースを共有できている
ということ、ヒップホップ風味が受け入れられやすいのはそういうことです。
だからフツウの人とは違う音楽遍歴を持つ人、つまり個性的なデータベースを持つ人が作る作品は面白いことが多いのです。
39名無しサンプリング@48kHz:04/03/27 02:59 ID:IN1CaVAD
作品から入ってAutechreの仕事に特殊性を認めた人と、雑誌Faderなどが行うイメージ操作、レッテル貼りによる
事前に与えられた特殊性を事実確認的に作品中に認めていった人ではなにが違うのか。
前者の場合、音そのものに特殊性の起源を認めている、すなわちそれを説明する必要もなければ可能でもないことが分かっている。
後者の場合、雑誌より与えられた「Max」や「自動生成」などという胡散臭いシンボルを作品の中に自己投影的に見い出す確認作業をもって、
作品を理解したと誤解する、自分の脳みそを「Fader化」しただけ。この違いです。

後者は自分固有の作品体験が無い為に、自己の作品理解の「正当性」を他人とのシンボル交換の間に、シンボルの交換可能性に
見い出そうとするのである。つまり「Max」や「Supercollider」、その総体としての「Autechre」という固有名たちはポケモンカードを
交換するかのようにやり取りされていくわけです。エレクトロニカ@2chというチロリン村の中だけで通用する貨幣。
持つものから持たざる者へとポケモンカードが一巡すると、やがて出てくる

「はっ、自分には必要がなかった。なんでこんなもん集めていたんだろう。くっそー、だまされたぞー!!」

というバカなりに自覚的な集団がいる。いままではエレクトロニカマンセーだった事実と現在の私はなんの関連もございませんとばかりに
誹謗中傷活動を展開する工作員として転職することになる。そう、チロリン村はドラクエでいう「転職の神殿」でもあったわけです。
そして彼等は新たな物語を求めて旅に出るのでした。

2度と帰ってこないで下さいね。