>>472(続き)
羨望とは
「他人の勢力下にあるものを所有したいという欲望」であり、
嫉妬jalousieとは
「自分自身の所有物をもち続けようとするときの邪推深い気づかい」である。
テレンバッハHは嫉妬が働いている場合は
「私が私のものであると思っている何かの喪失の恐れがある」のに対して、
ねたみは「常に一次的に他人のものである何かに向いている」のである。
半田は
「愛し愛される仲であった甲と乙両者のうち仮に乙が第三者である丙と愛情を
交わすようになるのを知れば甲には嫉妬が生じ、
一方甲と乙との相思相愛である姿を第三者である丙が見た場合、
丙には羨望のあまり猜忌の情が生じる」という。
フリートマン、M. も、ねたみNeidは
「我々自身が得たいと強く願っているある価値を、
ある他人がもっているか獲得したことについての怒りの混じった悔しがり」
である、としている。
嫉妬の定義は難しいが、各研究者の意見をつきまぜてとりあえず、
「自分のものであると思っている何かを、
ある競争者の存在によって失うのではないかという恐れに基づいて、
その可能性を排除したいという衝動と結びついた苦痛な情念である」
とすることもできる。