【ヨーロッパほか】☆★海外ステージ関連2★☆

このエントリーをはてなブックマークに追加
115110
それでは1幕から順番にレポ。

1幕 プロローグ

指揮者が入ってくると、いきなり"Illusionen"のイントロが流れて幕が開く。
セットは東宝でおなじみの床の円盤のみ。
ブレーメの舞台は間口・奥行き共に狭いので(だぶん四季の秋ぐらい)、あまりガランとした印象はない。
「人間はイリュージョンで生きている」とか歌いながら、マントを飛ばしたり、ステッキを使った手品をする。
衣装は舞台最後まで同じで、黒の当時の貴族の服装。頭は黒のロン毛の鬘。
歩き回る時にはステッキをついている。

"Illusionen"を歌い終わったところで、ボーマルシェが登場。
「あなたはイタリアの錬金術師じゃないですか?」というボーマルシェに
カリオストロが今の時間と年と日を尋ねて、ボーマルシェが1775年5月5日と答えると、
カリオストロが「大きな革命から14年前。紳士淑女のみなさん、到着しました。」と言う。

向こうで買ってきた台本のプロローグのところは、
「カリオストロ伯爵ことジュゼッペ・バルサモは世界的に有名な錬金術師で、
痩せた詐欺師で、時を越えた司会者として観客に挨拶する。
ルイ16世の世界をこちらへ呼び寄せるように魔法を使う。」
と書いてあり、ドイツ版MAはカリオストロが現代の観客にフランス革命を見せるという設定らしい。
このあたり、エリザベートのプロローグでルキーニが100年前を再現させるのと似てない?
東宝版でボーマルシェがやっていた大部分がカリオストロに統合されてるので、
カリオストロは、革命の黒幕兼狂言回しという結構忙しい役になってる。

"Illusionen(幻)"は東宝版プロローグと入れ替わった新曲。
「幻の黄金を求めて」の方は、完全に歌詞が変わって別のところで出てくる。
台本とCDと違ってて、CDの1番の歌詞と2番の歌詞の間に、台本では7行ほど別の歌詞がある。
でも実際の舞台で、この7行は無かった気がする。
CDでは2番のサビの部分が1番のリピートだが、台本ではリピートせずにCDの変調した後の歌詞になる。
実際の舞台では台本と同じだったと思う。
116110:2009/03/15(日) 01:55:34 ID:/JUStdEj
1幕1場 パリの通り

背景はパリの路地。貧民が何人かうろついている。
エポニーヌもどきの格好をしたマルグリットがスミレを売り歩き、
ボーマルシェにMAという王妃と同じイニシャルだと言われるのは東宝と一緒。
"Hunger/Veilchen(空腹/すみれ)=東宝「もう無くすものはない」"

「9年前にストラスブールで〜」も一緒。
"Warum Sie, warum nicht ich?(なぜ彼女、なぜ私ではない?)=東宝「なぜ」"
偽コインを掴まされ、パレ・ロワイヤルに追いかけるのも一緒。


今日はここまで。
こんな感じで何日かに渡ってのレポになると思うので、暫くお付き合いください。
117名無しさん@公演中:2009/03/15(日) 11:59:10 ID:pqwCKi8/
dd
のんびりやってって下さい
日本版ではいまいちはっきりしなかったカリオストロの位置付けがちゃんとしてて良さそうだ
118110:2009/03/16(月) 01:20:26 ID:vTqdDcOv
""内はその場面で使われる曲名で、()内はその訳。東宝版と同じ曲の場合は=後に曲名を書いてます。
プロローグの補足。プロローグの最後にカリオストロが蝋燭に火を灯す。
エピローグの歌詞の中で、蝋燭のともし火が意味を持ってくる。

1幕2場 パレ・ロワイヤル

オルレアン公の宮殿での舞踏会。
フェルセンと踊るマリー・アントワネットを見て、貴族達がいろいろ噂するのは一緒だが、
曲が東宝版の「ご覧、王妃を」と似てるけど、もっとゴージャスな感じの曲に変わってる。
コーラスは東宝のは地声っぽいが、ブレーメンのは完全にオペラ。綺麗に揃ってて迫力があった。
"Seht sie an!(彼女を見ろ)"

マルグリットが乱入。マリー・アントワネットにパンが無いと訴え、
ポリニャック夫人(台本では。実際の舞台では誰が言ったか分からない)が
「Sie haben kein Brot? Sollen sie doch Kuchen essen?」
続けてアンサンブルの貴族達が
「Wenn es kein Brot gibt, warum essen sie dann nicht Kuchen? Ha,Ha,Ha,Ha」
パンが無ければ、なぜケーキを食べないの?クーヘン!クーヘン!クーヘン!
と、マルグリットに迫る。ここも東宝とは別の曲。
"Kuchen, Kuchen!(ケーキ!ケーキ!)"

マリーが「ケーキは無いけどシャンパンならある」とマルグリットにシャンパンを浴びせて、
新曲の"Langweilen will ich mich nicht!(私は退屈したくない)"
「私は今を楽しみたい。未来なんてどうでもいい。」と歌いながら
ショックのあまりうずくまって動けないマルグリットを完全無視して、貴族達とはしゃぐ。

シャンパンかけとかこのあたりのシーンは、公式のトレーラーで見れるよ。
ttp://www.youtube.com/watch?v=Qd6Z_mVfuig
119110:2009/03/16(月) 01:22:07 ID:vTqdDcOv
2場の続き

衣装は、マリーは青のロココ調なドレスを着てたが、女性アンサンブルのドレスはすっきりしたデザイン。
男性アンサンブルは、普通の黒の燕尾服に白のフリルいっぱいのブラウス。経費削減か?
鬘はロココ調で顔に化粧をしてるが、衣装のせいで19世紀中〜後期の舞踏会っぽい。
男性が黒で統一(オルレアンもフェルゼンも黒)してるので、女性のドレスの色が映えて華やかに見える。

セットは宮殿の壁の書割が数枚。
金の装飾が年月が経ってるっぽく煤けていたり、大理石っぽく色がまだらになってたりと芸が細かく
宮殿の本物の壁っぽく見える。
装飾とか窓枠とか凹凸をつけて三次元にしてあるので、ライトが当ると陰影ができて豪華に見える。
ドイツMAのセットは大掛かりなものはなく、かなりシンプルなものばかりだったが、
こういう細かいところが作りこんであるので、チープさはほとんど感じなかった。
120110:2009/03/16(月) 01:25:58 ID:vTqdDcOv
1幕3場 パリの通り

再び1場のパリの路地に戻って、マルグリットの
"Blind vom Licht(光のせいで見えない)=東宝「100万のキャンドル」"

歌うマルグリットの後ろで、貧民が数人歩いていて
いきなり二人の子供を連れた母親が倒れて、そのまま死ぬ。
急にパタッと倒れるのがコントのようで、かなり間抜け。
台本では老人が倒れてる女性にかがみ込み、動かないのを知って肩を震わせ立ち去る→マルグリット登場になっている。
台本どおりの方が良かったのに。

フェルゼンがやってきて、マルグリットに王妃の名において謝りたいと言い、償いとして金を渡し、
「あなたは正義を求めてる。あなたには誇りがある」と語りかけるが、
マルグリットは金を拒んで立ち去る。
"Du siehst klarer(あなたはより澄んだものを見ている)"
メロディは確か100万のキャンドルだったと思う。
121110:2009/03/16(月) 01:29:37 ID:vTqdDcOv
1幕4場 ヴェルサイユの王妃の私室

仕立て屋のローズと理髪師のレオナールに、マリーがシャンパンをかけた話を自慢し、
ベメールとチュルゴーとランバル夫人が尋ねてくるのは一緒。
"So wundervoll wie sie! (彼女のように素晴らしく)=東宝「完璧な王妃」"

ルイ16世がやってきて、部屋の真ん中に置かれたケーキのクリームを指ですくい舐める。
ルイはチュルゴーからの願いで王妃に節約を説くが、マリーは聞こうとせずに途中で嘘泣きする。
なだめるルイに「片足づつ違う靴を履いてる」と指摘し、ルイが慌てて部屋を出て行く。
東宝版ではルイだけが歌ってマリーが怒鳴ってたが、ドイツ版ではマリーも歌ってる。
"Ich will dich nicht storen(私はあなたの邪魔をしたくない)=東宝「不器用な王」"

マリーは泣きまねをしたり、床に寝転んだりと子供っぽい。
甘やかされ放題で大人になってしまった、わがままなセレブという感じ。
ルイは顔は間抜けな化粧をしていたが、史実と違ってスタイルが抜群に良かった。
(ルイ役のTimさんはレベッカでマキシムのセカンドをやっていた)
レオナール役のOliverさんは、来日エリザでケンペン男爵とルドルフのセカンドをやっていた人で、
パンフレットにも大阪と東京のエリザベートに出演と書かれていた。

今日はここまで。
122名無しさん@公演中:2009/03/16(月) 02:56:57 ID:JTbJUqde
あなたが誰だかわかっちゃった
123名無しさん@公演中:2009/03/16(月) 23:28:06 ID:ye2m5+15
>>110
興味深く読ませてもらってます。
続きを楽しみにしています。
124110:2009/03/17(火) 01:58:38 ID:cNqlg3/x
1幕5場 ホテル・オルレアン前の道

3場で死んだ母親の遺体にすがる二人の子供の傍で、アニエスが歌っている。
"Still, still(静かに、静かに)=東宝「流れ星のかなた」"
歌詞が変わってる。まとめると、
「静かに、あなたの心の痛みを感じて天使が泣いてる。彼はあなたの心を見ている。
 あなたは孤独ではない。彼は言う、全ては良くなる。」

マルグリットがやってきて、アニエスとの再会を喜び一緒に歌う。

アニエスが、マルグリットが修道院を追い出された経緯について語る。
マルグリットの父親の使いが、規則正しく教育費を届けていた。
それはウィーンからやってきて、封筒に皇帝の紋章が入っていた。
父親はウィーンの宮廷の人間だと聞いた。
マルグリットが11歳の時に金が届かなくなったので、修道院はマルグリットを置かないことを決定した。
それは1765年で、オーストリアの皇帝が死んだ年だった。

カリオストロがラパン夫人を連れてやってきて、マルグリットを見る。
カリオストロがラパン夫人に彼女を雇うことを勧め、「磨けば上玉」「王妃に似てる」と相談する。
カリオストロがマルグリットに、ラパン夫人がお前にチャンスをやるから来いと誘いかける。
アニエスが、ここは売春宿であなたを売春婦にしようとしていると止めるが、
カリオストロが、ここは売春宿ではなく、高貴な男性との出会いの場だと言う。
ラパン夫人が、部屋と食事は無料。稼ぎの4分の1があなたの儲けと言う。
マルグリットは部屋が持てると惹かれるが、アニエスが止める。
よく考えなさいと言って、ラパン夫人とカリオストロがホテルに入っていく。

悪魔の誘いだと言うアニエスに、マルグリットは言う。
飢え死にしないために物乞いの生活をしなければならない。そして泥屑同然に扱われる。
売春婦も見下されるが、少しは儲けがある。もうすみれを売る生活を続けたくない。
125110:2009/03/17(火) 02:03:35 ID:cNqlg3/x
5場つづき

大きい赤いカーテンが垂れ下がり、ホテルの中へと場面が切り替わる。
ラパン夫人と娼婦たちが歌う。
"Gib ihnen alles was sie woll´n!(望むなら彼女の全てをあげる)"=東宝「お望み叶えて」

途中でマルグリットが入ってきて、ラパン夫人が娼婦達に彼女を紹介する。
そしてマルグリットを着替えさせるためにカーテンの裏に連れて行かせる。

赤いドレスに着替えたマルグリットが出てきて鏡を見て、「本当に私?」と言う。
ラパン夫人は綺麗だと褒め、そのドレスはあげると言う。
オルレアン公がやってきて、マルグリットを魅力的だと言う。
カリオストロが二人目のマリー・アントワネットと言い、オルレアン公も似てると同意する。

アニエスは来日エリザでエリザベートのセカンドだったMaikeさん。マリー・アントワネットのセカンドにもなってる。
凛として強さを感じさせる声だった。
ラパン夫人は聴き応えのあるパワフルボイス。この曲がCDに入ってないのがとても残念。
ラパン夫人の衣装は1940〜50年代っぽい真っ赤なスーツ。

ラパン夫人の名台詞はなくなってしまったが、話の流れがかなり整理されたと思う。
今日はここまで。
126名無しさん@公演中:2009/03/17(火) 09:31:19 ID:v8/cb/jM
110さんに質問させて下さい
来月観に行こうかと思っているのですが
チケットって当日でも買えますか?
すみません・・、どんな感じか教えてもらえると助かります
127110:2009/03/18(水) 01:51:31 ID:1WW7fotY
自分は平日に行ったが、1階が半分しか埋まってなく、2階が10人いるかどうかってぐらいのガラガラで、
5月までもつのかと正直心配になった。
好評判のおかげで客入りはましになってきていてるようだが、それでもまだ余裕で当日買えると思う。
心配なら公式サイトで空席状況が判るので、
かなり埋まってきているようなら早めに劇場に行くなり、ネットで購入したらどうだろう。

公式での空席状況の見方は、このURLから
ttp://www.ma-bremen.de/cgi-bin/oe2edit.cgi?site=003001&language=de
右にある"Ticket bestellen"の"Datum"をプルダウンして希望の日を選び、
"Zur Bestellung"をクリック。さらに"Start"をクリックで、座席表が出てくる。
色が付いてるのが空いてる席。劇場の窓口も同じ画面を見ていた。

入口入った正面の階段の踊り場に、その日のキャスト表がある。
チケット無しでもそこまでは行けるので、先にキャストを確認してから買うこともできる。
128110:2009/03/18(水) 01:53:14 ID:1WW7fotY
5場のさらにつづき

オルレアン公とマルグリットの二人だけになる。
オルレアン公は目的のためなら手段を選ばないと野心を語り、マルグリットを口説く。
マルグリットはオルレアン公を拒んで離れようとするが、最後には拒まずオルレアン公に後ろから抱きしめられる。
そして仮面舞踏会に行くぞと、仮面を手渡される。
"Weil ich besser bin(私の方が良いのだから)"=東宝「私こそがふさわしい」
歌詞はマルグリットへの語りかけになっている。

オルレアン公はこの場面では野心を吐いているが、その他ではクールでエレガントなダンディ。
冷静冷酷で計算高い野心家、正統派二枚目悪役という感じ。

*****************************************
6場 パリのオペラ座

舞台セットはオペラ座の桟敷席を模した二階建てになってて、上段に仮面が並んでいる。
下段の柱の間を通って、仮面で顔を隠したマリー・アントワネットとフェルゼン、貴族達が
列をなして舞台奥から前方へと移動し、踊る。
マルグリットとオルレアン公も加わる。マリーとマルグリットは全く同じ赤いドレス。
4人がそれぞれ「なぜこんあ運命に生まれてしまったのだろう。自由になれるなら。」と歌う。
"Wenn(もしも)"=東宝「もしも」

マリーがフェルゼンにペンダント型のアミュレットを見せる。
マリーの父の物で「Tu, was dich gluecklich macht (あなたに幸運を)」と書いてあり、
フェルゼンがそれに「Dolore Fortiter(苦しみはは強さに)」という印を見つける。

今日はここまで
129名無しさん@公演中:2009/03/18(水) 02:42:02 ID:7AyznBPC
ウィーンのルドルフもガラガラだそうだ。
130110:2009/03/19(木) 02:03:34 ID:LgRdR3qS
1幕7場 王の鍛冶工房

ギヨタン博士とルイがギロチンについて話をしているのは一緒。
"Doktor Guillotins Erfindung(ギヨタン博士の発明)"=東宝「ギロチン」

マリーがやってきてギロチンに触れる。
するとフラスコを持ったカリオストロが現れ、
「拳、罵り、歌声、暴力、恨み、嘲り、「人殺し」の叫び。人波の中には処刑台!
 断頭台は落ち、群集は金切り声をあげる。血だらけのかごのなかに、王とお前の首!」
と歌って消える。
(床の回転盤に載って、下手奥からルイとマリーの前を通って、上手奥にへと移動)
"Fauste, Fluche(拳、罵り)"
東宝「ギロチン」のカリオストロの部分を少し変えた曲。前述の公式トレーラーで聴ける。

マリーは怯えて、ギロチンを運び出してと叫ぶ。
131110:2009/03/19(木) 02:06:57 ID:LgRdR3qS
1幕8場 パリ シテ島の広場

台本では2年経っている。
ボーマルシェがマリーを嘲笑したかなり卑猥な歌劇を上演していて、群集が一緒に歌っている。
アニエスとマルグリットがそれを見ている。
"An einem Sonntag(ある日曜日に)"=東宝「オーストリア女」

アニエスは、こんな悪意のある歌を一緒に歌っては駄目と言うが、
マルグリットは、この歌は間違っていない。王妃はフランスの恥と答える。
憲兵がラパン夫人を連れてきて、売春斡旋の罪で王妃の名により公開鞭打ちの刑に処すと言う。
マルグリットと群集は死んでしまうとやめさせようとするが、ラパン夫人の刑は続けられる。
刑の後、死にかけているラパン夫人を抱き起こしながら、マルグリットが「もう泣かない」と歌いだす。
死んだラパン夫人をアニエスに預け、群集と共に拳を振り上げて歌う。
"Ich weine nicht mehr(私はもう泣かない)"=東宝「心の声」
もう泣かずに立ち向かおうという大意は一緒だが、
「天は空っぽで、天使は我々を見捨てた」と、神に対しての疑問も少し含んでいる。

マルグリットが、「ラパン夫人がいなければ、自分はまだ貧民街に住んでいた。
彼女は私を助けてくれた唯一の人だった。なぜ神は助けてくれなかったのか?」とアニエスに問う。

マルグリットは、ラパン夫人に掛けられていた布を手にして歌う。
「誰に罪があるのか判った。殺したのはマリー・アントワネット。この血染めの布とともに彼女の前へ進もう。」
"Margrids Schwur(マルグリットの誓い)"メロディはたしか100万のキャンドルだったと思う。

フェルゼンが一連の様子を見ている。

今日はここまで。
132126:2009/03/20(金) 07:40:17 ID:NRp8g0J4
110さん ありがとうございます
平日予定ですし、当日行って購入したいと思います!
133110:2009/03/21(土) 01:25:24 ID:Vodlk8xT
1幕9場 ヴェルサイユのトリアノンの庭

セットは細い木が数本だけ。その貧相な木立の間でマリーがフェルゼンを待つ。
「媚び諂う人々ばかりの中で、彼だけは私の幸せを願ってくれている。
 私が何も言わなくても、私の目の中にあるものを読み取ってくれる。」
"Die Frau die er liebt(彼が愛する女性)"新曲

フェルゼンがやってきて、「アメリカに行く」「行かないで」の流れは一緒
"Gefuhl und Verstand(感情と理性)"=東宝「すべてはあなたに」

マリーがフェルゼンに6場に登場したアミュレットを渡そうとするが、
フェルゼンはあなたが持っていた方がいいと返す。
フェルゼンは国民の声に耳を傾けるようマリーに忠告して去る。

マリーの衣装は白のシュミーズ・ドレスで、首にアミュレットを下げている。
フェルゼンは青い軍服。背が高く恰幅が良く髭があるので熊っぽい。
しかし歌いだすと声は若々しいので、王妃と同じ年の青年貴族らしく見えてくる。
純粋にマリーを愛し心配しているのが伝わってくる誠実的な態度で、
マリーがだからこそ心から信頼を寄せているという事に説得力があった。
マリーは東宝と同じく、フェルゼンのことはアクセルと呼んでる。
134110:2009/03/21(土) 01:31:52 ID:Vodlk8xT
1幕10場 カリオストロの実験室

カリオストロが錬金術の実験をしているところに、オルレアン公がやってくる。
金を渡し、マリー・アントワネットを陥れるための毒=陰謀を用意して欲しいと頼む。
カリオストロはこんな毒はどうかと、陰謀のプランを語りだす。

東宝版ではボーマルシェが長々と説明していた首飾り事件が、一曲にまとめられている。
その曲が"Gold und Gift(金と毒)"。メロディは「幻の黄金を求めて」と全く同じ。
「風が起きる、闇が光る、奇跡が生まれる」の部分は
「Rohan ist sein Name, Er liebt diese Dame, doch liebt er auch sein Renomme」
(ロアンがその名。彼はこの女が好き。しかし彼は名声も好き)
という具合に歌詞が変わってる。

歌詞に合わせてベメールやロアン大司教やラ・モット夫人が登場する。
途中曲がストップして、ロアンが「王妃に会わせて欲しい」と言い、ラ・モット夫人が「できません」と答える。
オルレアン公がマルグリットを替え玉に使うことを提案する。
王妃に化けたマルグリットが登場し、ロアンから首飾りを受け取る。

曲が再開。カリオストロとオルレアンで「幻の黄金」でサビにあたる部分を一緒に歌う。
「その王妃は偽物だ。でも贅沢癖と噂の王妃を誰が信じるだろう。この詐欺は毒となる。」

この場面のどこの部分だったかで、カリオストロがドレスを着た首なしのマネキンに、
首のかわりに赤い薔薇を飾る。
135110:2009/03/21(土) 01:35:05 ID:Vodlk8xT
1幕11場 ヴェルサイユの鏡の間

着飾った貴族達があらわれ、背景に大きな鏡が付いた壁が下りてくる。
前場から舞台に残っていたカリオストロ伯爵は、そのまま貴族達の中に混じる。

1785年8月15日被昇天の日。東宝版と同じだが、ボーマルシェが歌ってたパートはカリオストロが歌う。
"Ein Tag, den man niemals mehr vergisst(その日を決して忘れない)"=東宝「なんというセレモニー」

ロアンに「あの女に渡した」と言われ、紛れ込んでいたマルグリットが出てきて、
「私の名はマルグリット・アルノー。私はマリー・アントワネットを殺人の罪で告発する」と言い、
ラパン夫人の血を吸った赤い布を、マリーに投げつける。

舞台下手に衛兵に捕まったマルグリット、上手にマリー、その間にカリオストロが進み出て、
マリー、マルグリット、カリオストロ、アンサンブルが、「幻の黄金」のメロディでそれぞれ歌う。
マリー「何も無いお前に何ができる。私はマリー・アントワネット。フランスの王妃。」
マルグリット「私はあなたを憎み軽蔑する。あなたは血筋からそれを持っている。私たちの怒りを怖れろ。この血であなたを裁く。」
カリオストロ「罪と愛、愚行と高慢、侮辱と憎悪。混ざり合って爆発的なスキャンダルになる。」
カリオストロの「Skandal!」で火花が飛ぶ。

マリーは真っ白で大きく広がったドレス。ルイは白い豹柄のファー付きの豪華な青いマント。
マルグリットは8幕から黄緑色のシンプルなデザインのワンピースを着ている。
136110:2009/03/21(土) 01:37:49 ID:Vodlk8xT
以上で1幕終わり。
台詞は台本のを参考にしてるので、もしかしたら実際の舞台では変更になってた所があるかもしれない。
2幕のレポは来週になるが、今みたいな調子で続けてもよいかな?

1幕は1時間20分ぐらい。20分ほど休憩があって、2幕も1時間20分ほど。
20時開演で、終わってクロークでコートを受け取って時計を見たら23時をまわっていた。
売店ではパンフレットとハイライトCDと台本と、分厚いマリーアントワネットの伝記本を売っていた。
袋はもらえない。
137名無しさん@公演中:2009/03/21(土) 09:58:47 ID:OyGHTKkt
読み応えのあるレポサンクス
このままでよろしく
138名無しさん@公演中:2009/03/24(火) 09:13:22 ID:xwpjkqjt
アントワープのエリザがはじまりました。以下のニュースの中で一部紹介されています
(2番目のニュースです)...行きたいな.....:
http://www.atv.be/v3/newsdetail.aspx?mid=&id=11748
139名無しさん@公演中:2009/03/24(火) 10:30:51 ID:EiWs8s5u
110さんレポの続き待ってます!
140名無しさん@公演中:2009/03/24(火) 16:48:15 ID:8FB35qss
私は来月行ってくる。110さんのレポはとても参考になります。
141110:2009/03/25(水) 01:51:32 ID:Ue6R9JVe
さらっと2幕を始めようと思ったんだが、アニエスの歌が意味深で真面目に翻訳中。
この曲がこの作品のテーマのような気がしてきた。
たぶん明日か明後日にはレポ再開する。
142110:2009/03/26(木) 02:56:46 ID:+75I6e//
2幕1場 パリ高等法院前の階段

台本では1786年になっている。
無罪を勝ち取ったロアンとマルグリットが群集に喜び迎えられるのは一緒。
東宝版で王妃を倒せと煽るのをボーマルシェとオルレアン公が担当しているが、
ドイツ版ではボーマルシェの部分もオルレアン公が担当。
"Ein Recht, das Recht ist(この正しさこそ正義)"=東宝「正義の鐘よ」

王妃打倒に燃えるマルグリットに憎しみは良くないとアニエスは諭すが、マルグリットは聞かずに行ってしまう。
一人残ったアニエスが歌う。
 神の世界は恐れと闇の中に傾き、力と苦しみが人々を残酷にするのが現実。
 神は介入しない。でも私達を見ている。神は私たちがする事を知り、そして許す。
 神は私達の疑問や悲しみを知っている。神は手を差し伸べてはくれない。
 神は行き着く先を自分で見出す力を与える。
 私たちは泣き、笑い、夢を見、目覚める。その時傍らには神がいる。
"Gott sieht uns zu(神は私達を見ている)"=東宝「神は愛してくださる」
訳したものの、あまり自信がない。
143110:2009/03/26(木) 02:57:53 ID:+75I6e//
2幕2場 ヴェルサイユ宮殿のバルコニー

1789年5月5日。確か舞台上部にも年月日が表示された。
床の円盤の上にバルコニーが拵えてあって、円盤の動きで向きが180度変わる。
マリーとルイが立っていて、三部会やオルレアン公の事を話しているのは同じだが、
バックコーラスは三部会開催を祝う歌声。お祝いらしい明るい曲に変わっていた。
"Ein historischer Tag(歴史的な日)"=東宝の「三部会のパレード」に当たる曲

王太子は登場せず、ランバル夫人がその死を伝えるだけ。
舞台上手に東宝版にあった二階の窓のようなセットがあり、
そこにオルレアン公とロベスピエールが現れ、王に三部会に来るよう求める。
ルイが君達の中には父親はいないのかと言い、マリーが"Still,still"のメロディで
「私の息子は死んでしまった。王太子、フランスの未来」と歌いだすが、
ロベスピエールが「陛下違います。フランスの未来は通りを行進しています。」と遮る。
144110:2009/03/26(木) 03:00:22 ID:+75I6e//
2幕3場 セーヌの岸辺

確か幕が下りて、その手前でカリオストロが歌ったと思う。
1789年の6月の球戯場の誓い、7月のバスティーユ襲撃を要領よく歌で説明した後、
「変化-それは人生と錬金術の目標。黄金から生まれた力は愛憎と自由な無秩序を生み出す。
 最初は雲の帯だったが、稲妻となり、世界は炎に包まれる。」
"Siebzehnhundertneunundachzig(1789)"
メロディは東宝「運命の年」を大きくアレンジしたか、似た感じの新曲だったように思う。

「平等、団結、自由」のコーラス。

幕が上がって、女性アンサンブルが舞台前方に並んで洗濯。マルグリットがヴェルサイユへの行進を訴える。
それを傍らで見ていたオルレアン公とカリオストロが、世界は演説では変えられないと言い、
オルレアン公がヴェルサイユに行進すれば金を払うと女達を集める。
カリオストロが貧困と飢餓は貪欲さを作ると歌い、金を拾い集める女達をあざ笑う。
"Frau´n von Paris(パリの女達)"=東宝「金が決め手」

オルレアン公とカリオストロが行進のリーダーにマルグリットを指名。
マルグリットは一瞬悩んで、行列の先頭に立つ。

今日はここまで
145110:2009/03/29(日) 01:18:51 ID:dwryRcJO
2幕4場 ヴェルサイユのマリー・アントワネットの書斎

舞台上は小さな机のみ。マリーが机に向かってフェルゼンへの手紙を書いている。
 私は疑いと敵意の目を向けられているのを感じる。
 私は若さのあまり人を疑うことを知らなかった。
 今すべては私に背を向け、私は陰謀と偽りに囲まれている。
 唯一正直な方、私は一緒に暮らすことができない人を愛している。
 遠く離れていても私に近い人、私を私の過ちで判断しない人。 

マリーの後ろの壁に背後霊のようにフェルゼンが浮かび、途中からデュエットになる。
台本では手紙を手に持っていると書いてあるが、持っていたかどうだか覚えてない。
 離れていても、私はあなたの近くにいる。
 悲しまないで、あなたの中には誇りと強さがある。
 私はあなたを忘れることができない。あなたを愛してる。
"Das Einzige, was richtig ist(唯一正直な方)"=東宝「愛したことだけが」
歌の最後は音を上げて終わるので爽快感がある。

舞台後方にパリの女達が横に並び、足踏みしながら徐々に前へと進んでくる。
撃退するか逃げるかといったルイとマリーのやりとりは同じ。
女装したオルレアン公が"Packt sie euch!(彼らを襲え)"と扇動する。
マルグリットが飛び出して、
「間違ってる。改めなければ。私たちは人間らしい生活を求めてる。でも殺人はだめ。」
と歌い、それにかぶせてアンサンブルが
「決して弱気になるな。今私たちには力がある。ただ自分に忠実であれ。」と歌う。
"Moerder sind wir nicht!(私たちは殺人はしない)"=東宝「何かが間違ってる」
146110:2009/03/29(日) 01:20:19 ID:dwryRcJO
2幕5場 アクセル・フォン・フェルゼンの営舎

1789年11月9日フランス・ヴァランシエンヌ
舞台には旅行鞄の載った小さな粗末なベッドが一つ。

軍服を着たフェルゼンが歌う。
 私はなぜあなたに出会ったのだろうと問い続けていた。
 耐え切れずに逃げ出してしまった。
 今あなたには危険が迫っている。
 私はあなたを救えるのだから、私はここにいる。
"Weil ich dich retten kann(私はあなたを救えるのだから)"
メロディは"Wenn"か"Gefuhl und Verstand"を使っていたように思う。

鞄を手にフェルゼンが退場する。
147110:2009/03/29(日) 01:24:15 ID:dwryRcJO
2幕6場 ローズ・ベルタンの「Grand Mogol」

作品中で一番大きなセット。巨大な真っ赤な鉄網に品物がぶら下がってる。
ベメールとローズとレオナールが、パリのトレンドについて話している。
レオナールが突き飛ばされたり壁にぶつかったりと、体を張った演技で笑いを取っていた。
東宝版ではボーマルシェが客としてやってくるが、
ドイツ版はオルレアン公がやってきてギロチンの有無を尋ねる。
ベメールとローズとレオナールがパリで流行のカットについて歌うのと一緒に、
オルレアン公は「自分は変化に合わせていく。だから『パリ風の切り方』は魅力的だ。」と歌う。
"Der Pariser Schnitt(パリ風のカット)"=東宝「パリ情報」
148110:2009/03/29(日) 01:25:55 ID:dwryRcJO
2幕7場 パリの聖ジャック・ドミニコ会修道院

セットなし。椅子を持ったジャコバン党の男達が出てきて、持ってきた椅子に座る。
オルレアン公とカリオストロも加わる。
国王達が他国軍を呼ぶことを懸念するジャコバン党員に、
マルグリットをスパイとして送り込む事をカリオストロが提案する。
男に化けてもぐりこんでいたマルグリットが立ち上がり、スパイになることを了解する。
"Terrorherrschaft(恐怖政治)"=東宝「恐怖政治」
149110:2009/03/29(日) 01:30:09 ID:dwryRcJO
2幕8場 モンタージュ:ヴァレンヌへの逃亡

大きな窓の書割。その前で地味なドレスを着たマリーと王子が話している。
侍女となったマルグリットがやってきて、フェルゼンが来たことを告げる。
王子とマルグリットを行かせ二人きりになった後、フェルゼンが逃亡計画を話す。
"Gefuhl und Verstand"のリプライズ

舞台が暗くなってスモーク。床の円盤の上に馬車の模型が乗ってるのは東宝と同じ。
台本には、カリオストロは舞台上の馬車に魔法をかける。夜の靄の中でゆっくりと円が回る、となっている。

カリオストロ1人でがヴァレンヌへの逃亡の顛末を歌う。
"Die Flucht nach Varennes(ヴァレンヌへの逃亡)"
メロディは"Gold und Gift"を使ってる。

気の向くまま休憩を取るので計画が台無しとか、
田舎で自分の肖像の入った金貨を使うなとか
"Merde!(糞ったれ)"とか、軽やかに歌いながらコミカルに動くので、
かなり笑いが起きていた。
歌の最後で下手側床の円盤の外に立ち、胸元から右手で黄色の小旗を素早く取り出す。
そのまま右手を横に伸ばすと、円盤に乗って回っていた馬車がちょうど旗の手前の位置にきていて
旗の前でぴたっと止まる。旗と馬車のタイミングが絶妙で、かなり洒落た演出に思えた。

サーチライトが舞台上を走り、舞台奥から走り出てきた国王一家を照らす。
マリーが「こちらの方はフランス国王。私はマリー・アントワネット。あなた方の王妃です。」と言うと、
「あなた方は国民の捕虜だ」とエベールの声が言う。
150110:2009/03/29(日) 01:37:46 ID:dwryRcJO
2幕9場 タンプル塔の中

ルイが舞台上の馬車を取り上げて王子にあげ、歌いだす。
 私の躊躇が私達をここに来させてしまった。
 神は私に合わない役目をお与えになった。
 なぜ私は私ではないものであらねばならないのだろう。
 私は王ではなく、鍛冶屋か錠前屋になりたかった。
 そうであれば、私達は裕福ではないが幸福で満足な人生を送れただろう。
"Warum muss ich sein, was ich nicht bin?(なぜ私は私ではないものであらねばならないのだろう)"
=東宝「もしも鍛冶屋なら」
東宝版の歌詞は子を思う父の心境が強いが、ドイツ版歌詞は運命への恨み節が強いように思う。

マリーはルイが馬車をあげてる時に、床にうつ伏せに倒れる。
そしてルイが歌ってる間中、うつ伏せのまま手紙を書いている。
タンプルにも机と椅子ぐらいあるだろう。床に伏せる意味不明。演出家大丈夫か?

ランバル夫人が外に出る。
外に出たがる王子をなだめるためにマリーが"Still, still"を歌いだし、マルグリットも合わせて歌いだす。
マリーがアルザス地方の童謡だと言い、そして独り言のように父がよく歌ってくれたと言う。
マルグリットは自分には父がいないと言う。
マリーがフェルゼン宛の手紙を、"Une lettre d'amour"と言って渡す。
マルグリットが窓の外(実際は客席)を覗き、にランバル夫人の首の事を伝える。
マリーが、人間じゃない、けだものと叫ぶ。
マルグリットが、あなた達は長い間私達をけだものとして扱ってきたと言う。
151110:2009/04/02(木) 00:21:22 ID:6Bv25HMN
2幕10場 パリ・タンプル塔への道

舞台両脇の仮設花道から、オルレアン公と民衆が生首を突き刺した棒や旗を掲げて登場。
アニエスが首を指して、神が殺人を犯したあなた達を罰せられるでしょうと言う。
オルレアン公がこのシスターは貴族だと言い、剣を持った若い女がアニエスを殺そうとする。
マルグリットが寸前に止めに入って、オルレアン公と民衆は去る。
"Vorwarts, Bruder!(進め、同志よ!)"=東宝「我らは兄弟」
アンサンブルは東宝のようなわざと嫌な感じの声を出してない。

マルグリットがアニエスに何故彼らに襲われたか問うた時にフェルゼンが現れ、
マルグリットに自分に渡すものがないか尋ねる。
マルグリットは革命の敵のために伝令になるのは嫌なので、議会に渡すと言う。
フェルゼンはマルグリットに君は恋したことがないのかと言うが、この手紙はきっと政治的なものだと言って断る。
アニエスが仲裁に入って手紙を読む。外国への派兵の要請の手紙。
マルグリットは反逆だ死刑だと言って手紙を持って去り、アニエスが追いかける。
"Der Brief(手紙)"

フェルゼンが歌う。
 あなたは王妃として誇り高いままだ。私はあなたの勇気を称賛する。
 しかしあなたの行いは全て裏目に出ている。
 私は益々あなたを愛してるのに、あなたは手の届かない王妃のまま。
 この苦難もあなたを変えることはできず、あなたをより大きくしている。
 世界はあなたの事を知らない。私はあなたを破滅させることを認めない。
 私が生きている限り、私は昼も夜もあなたのためだけにいる。
 もし二人とも死ななければならない時が来れば、その時私達は永遠に一緒にいられるだろう。
"Ich liebe dich mehr denn je(私はより一層あなたを愛してる)"
メロディは東宝「なぜ、あなたは王妃なのか」と同じだが、歌詞の中身がポジティブに変わってる。
東宝版にあった嗚咽と最後の台詞もなし。歌い方もポジティブで、最後の音も高く上げる。
152110:2009/04/02(木) 00:22:09 ID:6Bv25HMN
2幕11場 タンプルの小室

フェルゼンと入れ替わりでカリオストロが登場。台本では1793年1月21日。
歌いながら、右手で小さなボールを何回か上へ投げるような仕草。
ボールを床に置き、服からティーを出して床に刺すふりをして、
その上にボールをのせるふりをする。
ステッキをクラブのように握り、狙いを定めてからステッキを思いっきり振って
ティーの上のボールを打つ。

ゴルフのティーショットの真似をしながら歌う内容はかなり欝。
 フランスは共和国になった。
 王を王座から追い出し監獄に閉じ込めたが、完全に無害にするために、
 やむをえず彼の名前も挙げ、家族は彼から引き離された。
 人はより良い世界を作ろうという幻で生きている。
 大きな事を成すときには生贄も許す。殺人を犯すとき、人間は繁栄する。
"Illusionen-Reprise" リプライズのとおり、メロディーはプロローグの"Illusionen"と同じ。

そのまま続けて1幕7場の"Fauste, Fluche(拳、罵り)"を歌う。
1幕は最後が「der Kopf vom Koenig und von dir!(王とお前の首)」だったのが、
ここでは「Koenig(王)」までで歌うのやめ、最後の「und von dir(そしてお前)」の部分を歌わないまま退場する。
153110:2009/04/02(木) 00:24:49 ID:6Bv25HMN
11場続き

マリーと子供達とマルグリットが、カリオストロが去る前に登場。
マリーは真っ白な髪を結わずに長く下ろしてる。服は黒っぽいロングワンピース。子供達を寝かしつけている。
マルグリットが「王は悪い人ではなかった」と言い、マリーが「あなたが彼にナイフを届けた」言う。
マルグリットはまだ手紙を持っていると言い、あなたに渡すものがあると、
修道士に化けていたフェルゼンをマリーに会わせる。
フェルゼンが「全て良くなります。あなたを自由にします」と言って、
夜警を買収し偽装旅券の用意していること、デュムーリエが革命鎮圧のために軍を動かしていること、
子供は置いていかなければならない事を説明する。
マリーは子供と残ると言う。
フェルゼンは、子供と離れるのは一時的だと説得するが、
マリーは「私には子供が全て、それ以上に価値のあるものはない。王妃は逃げません」と答える。
マルグリットがフェルゼンに急いで去るように言い、マリーは「お元気で、アクセル」と言う。
フェルゼンが「またお会います」と言い、マリーが「お願い、嘘はつかないで」と言う。

フェルゼンが退場し、ロベスピエールとオルレアン公が入ってきて、王子を連れていこうとする。
マリーは「子供には私が必要だ、連れて行かないで」と抵抗する。
マルグリットも、「子供には母親が必要だ、なぜこんな無慈悲な事をするのか、心はないのか」と、
ロベスピエール達に食ってかかる。
ロベスピエール達は、「マリーがまだ王子を世継ぎと見ているので、その計画を頓挫させるためだ」
と言い、王子を連れて行く。
マルグリットは「こんな事正しくない」と言う。
舞台中央に崩れ落ちたマリーは、「私は全てを失った。私に残ったのは苦しみと怒りだけ。私を殺して!」と歌う。
"Jetzt hab ich fast alles verloren(今私は全てを失った)"
=東宝「すべてはあなたのために」&「王子を引き離せ」

今日はここまで。今週中には最後まで終わらせる。
154110:2009/04/03(金) 02:49:55 ID:dPgSoMKw
2幕12場 パリ高等法院の大広間

1793年10月15日
前場から舞台中央にしゃがみこんでいるマリーだけにライトがあたる。後方は幕。
音は鳴らず静まり返った中で、マリーがゆっくりと幽霊のように立ち上がる。
正面を向いて真っ直ぐ立った時に音楽が流れ始め、後ろの幕が上がる。
舞台横一杯に3メートルほどの高さの壁。その壁に横一直線にベンチが取り付けられていて、
そこにロベスピエールと民衆達が座っている。
その手前、舞台両端に証人台があり、上手に検事、下手にマルグリットが立つ。
声だけの裁判官がマリーを詰問する。裁判官のボリュームが大きすぎて、音が割れた。
検事がマルグリットに手紙を預からなかったかと尋ねるが、マルグリットは答えない。

民衆が歌う。
 彼女を罰せよ。我らの貧困を彼女はこう嘲った。
 「パンが無ければ、ケーキを食べればいい」
 それだけで彼女は死に値する。我らは死に、彼女は楽しく過ごしていた。
 我らは彼女の首が欲しい!
"Das Tribunal(法廷)"=東宝「その首をはねろ」の前半

再び手紙を受け取ったか尋ねられるが、マルグリットは受け取っていないと答える。
壁の上からエベールが顔を出し、彼女は八歳の息子と淫らな事をしていたと告発する。
マルグリットは、エベールがマリーに刑を負わせるために嘘をついてると訴える。
マルグリットはエベールに、私はあなたによって私自身を恥じると言う。
裁判官がマリーに弁明するよう言う。
155110:2009/04/03(金) 02:53:53 ID:dPgSoMKw
12場続き

マリーが弱々しく歌いだす。
 謂れなき汚名は私をとてもぞっとさせる。すべての母親がそれによってとても深く傷つく。
 子供を苦しめるなんて言語道断。嘘を教えることは許しがたい。
 私の息子は彼らに吹き込まれて口真似をしているだけ。
 あなたたちが汚物を私に浴びせるならば、マリー・アントワネットはあなたたちの前に屈せずに立つ。
 今、そしてここで、私は私自身を判決する。
 苦しみの発端は完全に私のせい。
 私はあなたたちの前に立つに値する。私は慈悲を請わない。
 私を憎みなさい、私を虐待しなさい、私を殺しなさい。
 私の子供たちだけは私を必要とする。あなたたちのために、私は泣く。
 私の息子、あなたは私に約束しなければならない。
 決して復讐を試みないことを。正面を見据え、私を思って泣かないで!

最後は泣き声になりながら強く訴える。
立ち上がってマリーを責めていた女性達が、マリーの訴えを聞いて座っていく。

エベールが、無駄話だ!お前にはギロチンが待っていると言い、民衆が再びマリーの首をと歌いだす。
エベールと検察が民衆の歌に重ねて歌う。
 何があってもマリーは有罪だ。我々は彼女の笛に合わせて踊ったという理由だけで国王を罰した。
さらにマルグリットが重ねて歌う。
 私は彼女と戦った。私は彼女の傲慢と無知を憎んだ。
 しかしここで行われていることは、正義を伴わず、ただ復讐のためだけ。
 あなた達はそれによって革命と泥の中の我々の高い理想を引っ張っている。
 何故?何のために? 彼女を静かに過ごさせてあげて!
"Erst im Leid bin ich ganz ich(苦しみの発端は完全に私のせい)"=東宝「その首をはねろ」の後半

今日はここまで。次で終わり。
156110:2009/04/04(土) 20:15:01 ID:I8jZQyuB
2幕13場 パリ、革命広場

舞台の真ん中に、ダブルベッドほどの広さの木製の板の台。
奥が高く手前が低くなっていて、高くなってる方に血の染みがついてる。
舞台後方に上方が窓になった灰色の壁。窓から民衆が見下ろしている。

カリオストロ、オルレアン公、ロベスピエールが歌いながら舞台に登場し、
台を囲むように、それぞれ下手奥、上手奥、下手やや端に立つ。
カリオストロ「神を信じる時、人間は獣である。自由は彼らの宝であり破綻でもある。」
オルレアン公「自由は無制限への可能性だ。」
ロベスピエール「自由は残酷になる勇気を求める。」

アニエスとマルグリットが下手の花道から登場する。
アニエスが、軽薄な芝居のような死だと言い、
マルグリットに、「あなたは既に疑われてる、同情すればギロチン台に送られる
距離を保ち、何も言わず、目を向けないようにしなさい。」と注意する。
マルグリットは、「なぜ私が悲しむのか?地面に伏した私を彼女は笑った。
私は彼女に少しも同情しない、彼女は私に同情しなかった。」と言う。
157110:2009/04/04(土) 20:21:01 ID:I8jZQyuB
13場つづき

上手の花道から、マリーを乗せた大八車が登場する。
白いボンネットを被り、白い寝巻きのような服を着ている。
民衆が猫が威嚇するようなシャーという声を発する。
大八車を降りたマリーは、舞台中央の板の前へ進む。
民衆が「自由は生きる!圧政は死ぬ!自由!平等!友愛!」とコーラス。
赤い帽子を被った監視人がマリーを突き飛ばす。
"Es lebe die Freiheit(自由は生きる)"=東宝「その時がきた」

マルグリットが倒れたマリーに駆け寄って手を差し出し、マリーがその手を握る。
マリーが首からアミュレットを外し、マルグリットに渡す。
「持っていきなさい、マルグリット。父からのものです。」
マルグリットはマリーを抱きしめようとするが、マリーが止める。
"Das Amulett(護符)" 歌なしで「Still, still」のメロディーがバックに流れる

マリーが頭に被っていたボンネットを取り、短く刈られた白髪を撫で付ける。
板の台の上に上がり、頭を高い方にして仰向けに横たわり、腕を真横に広げる。
舞台上から板の幅より少し大き目のギロチンの刃が、台を隠すようにゆっくり下りてくる下りてくる。
音楽だけで、東宝版にあった民衆の不快なうめき声はなし。
それでも嫌な気分になたのか、少し客席がざわついた。
刃が下りきって暗転。刃の部分に 16.10.1793 12:15 という白い文字が浮かぶ。
下手手前にいたマルグリットが泣き崩れる。
158110:2009/04/04(土) 20:28:34 ID:I8jZQyuB
2幕14場 修道院の小室そしてフィナーレ

台本上ではフェルゼンがいるのはスウェーデンの修道院の小室になっているが、
13場のセットのまま、ギロチンの裏から上手側にフェルゼンが登場して歌いだす。
 私はあなたを救うために努力したが、あなたは逃亡しようとはしなかった。
 あなたは誇りと勇気で運命を受け入れ、今、死があなたを自由にした。
 私達の周りのキャンドルの灯火は消えた。
 私達がどこへ行くか誰も知らない。
 しかし全ての苦しみの先で、私達は再会するでしょう。

舞台が明るくなり、ギロチンの刃が上がる。
板の上にはマリーの着ていた服だけが残されている。
服はマリーが処刑される時と同じように腕を広げて置かれている。
フェルゼンが歌っている途中からアンサンブルも歌いだす。
 ここに彼女の血が流れた。彼女の死は良いことを成した。
 彼女の破滅は勇気をもたらした。我々は自由だ。

フェルゼンとアンサンブルが「私達の周りのキャンドル」とリピートするのと一緒に、マルグリットが歌う。
マルグリットの傍にアニエスが付き添う。
 神の天使は私達に孤独を残した。
 私は許すことを学んだ。
 憎しみと苦しみの先で、私達は再会するでしょう。

マルグリットとフェルゼンが
 そこでは、私達は生きていた時よりも近くにいるでしょう。
全員で
 自由に。
"Jenseits aller Schmerzen(全ての苦しみの先)" メロディは"Blind vom Licht"と同じ。

オルレアン公が赤い帽子の監視人に取り押さえられる。
カリオストロが一輪の赤い薔薇を、板の上の服の頭にあたる位置に置く。