うわの空・藤志郎一座2

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551名無しさん@公演中
芝居のことをいろいろ話していたら、若い女店員さんが
「唐沢先生ですよね……? 私、Uにいた川久保です」
と声をかけてきた。
「にゃんこか?」
とこっちも驚愕。
私はあの劇団では彼女とは一緒だったことはない。
私が参加するのとすれ違いに退団していった。
劇団内では、彼女の話題はタブーであるかのように一切出なかった。
しかし、私があの劇団に一時とはいえ熱烈に入れ込んだのは、
彼女が重要な役で出ていた、あそこの公演『サヨナラ』を
観たからである(牧沙織やみずしな孝之や小林三十郎も、あの芝居を
観て参加を決心したと聞く。何故か再演からは、彼女の役は削られて
しまった。あの役どころがないと平板な話になってしまうのだが)。
言わば、私の人生に大きな関係を持つ子なのである。

そのことを言うと、
「私、あそことはちょっとよくない切れ方しちゃって」
「僕もよくない切れ方したけど、切れたことはよかったと思ってる。
……で、今も芝居やってるの?」
「はい、続けてます」
「そうか、やってるのか。よかった! 本当によかった!」
とか会話した。偶然入った店でこういう出会いがある。
何か見えない糸みたいなものはあるんじゃないか、とさえ思える。
彼女がやめた後、彼女の代わりみたいなことをつとめていた子も
やめ、そして私がやめた。いずれのときにも円満なやめ方ではなかった。
私がやめたあと、いろいろと周辺の人から情報が伝わってきて、
彼女のやめたときのエピソードなども聞いて、心を痛めていただけに
元気な姿を見ることが出来て、本当に嬉しかった。