「ふんどしの日にようこそ」−長崎のふんどし専門店盛況
2014年02月14日
2月14日は日本ふんどし協会が制定する「ふんどしの日」。
長崎の観光地にある小さなふんどし専門店「TeRAYA」(長崎市大浦町)はふんどしを求める老若男女で終日にぎわった。
同店がある大浦町は旧外国人居留地。
旧英国領事館跡やオランダ坂沿いにある旧フランス領事館の東山手甲十三番館、
グラバー園、孔子廟などが徒歩圏内に点在する。
店主の「かのこゆり」(本名=岩崎由美さん)さんは会社員として3社を渡り歩いた経験を持つが
「自分が本当にやるべきことが何かあるはず」と感じて悶々(もんもん)と過ごしていた。
転機が訪れたのは昨年5月、生まれて初めて「ふんどし」を体験した時。
履いた直後は「どこがいいのだろう?」と何も感じなかった。
しかし翌日、それまで普通に履いてきた下着を身に付けた直後に異変が起きた。
「太もものゴムが痛い、痛い」と感じて再びふんどしに履き替えた。「数日後にはおなかもへこみ、体が軽くなった。
体調もすこぶる良好で『これはすごい』と激しく衝撃を受けた」と振り返る。
それ以来、ふんどしのことしか考えられなくなったかのこさん。「ふんどし専門店」を探し求めたがいくら探しても見つからなかった。
「これは自分で専門店を開業するしかない」と思いつめ、
バカにされるのを覚悟して親しい友人に思い切って相談した。
友人は「ふんどし作家を2人知っているから紹介するよ」と答えた。「こんなことは普通ありえない。神様がやれと言っている」と確信した。
開業資金を相談するため金融機関の窓口に飛び込み「ふんどし専門店を開きたい」と夢中になって思いをぶつけた。
担当者から「落ち着いて。窓口でふんどし、ふんどしと連呼されては困ります」と応接室に通された。
その後「日本ふんどし協会」は昨年11月にオープンした同店を全国で唯一の「ふんどしセレクトショップ」として公認。
同店は「ふんどし育児」などの書籍も扱う。
店名のテラはラテン語で地球や大地という意味で
「大地に両足をつけたまま履くことができる下着はふんどしだけ」という言葉に感銘を受けて命名した。
小文字の「e」は女性のかわいらしさを表現しているという。
長崎ランタンフェスティバル最終日と重なったこの日、
かのこさんは店頭に立ち「ふんどしの日にようこそ」と来店客一人一人を満面の笑顔で迎えた。
群馬から旅行で訪れた大学生カップルは「面白そうだったので立ち寄った。
ふんどしがこんなにカラフルだとは思わなかった」と目を丸くした。
長崎市在住の男性常連客は「10代からふんどしを愛用している。
今でも自作するが結構大変。専門店が近くに出来てうれしいのでたびたび来る」と数点を買い求めた。
仕事帰りに訪れた女性は「ブログで初めて店を知った。
ふんどしの日なので大切な人への贈り物を相談したい」と男性に人気のふんどしをかのこさんに選んでもらい、
うれしそうに商品を抱いて帰った。
レジの横にはさりげなく「実用新案登録証」が掲げられている。
「ふんどしの営業許可証と勘違いされる」と笑うその書類は、
かのこさんが発明した女性用ふんどし「Sonata」(価格=5,250円)のもの。
昨年12月に特許庁に登録された。
発明のきっかけを「ふんどし生活をしてみたい女性が、
どうしても踏み切れない共通の悩みを解決してあげたかった」と振り返る。
共通の悩みとは男性との交際中にふんどし姿の女性を見た時の男性の反応。
女性同士でふんどしの話をすると異口同音に多くの女性が悩んでいた。
ふんどしに対する思いが強い女性ほど悩みは深刻だという。
商品名には「男性に『そなた、近う寄れ』と言われてもためらうことなく近づけるように」との思いを込めた。
綿100パーセントでとても柔らかく、基本的な「越中ふんどし」とショーツに近い
「もっこふんどし」の要素をミックス。
ひもの結び方が3種類あり用途で選べる。
「パテンレースのフェミニンなデザインで仕上げたので、ためらうどころか男性の目を釘付けにできる」と意気込む。
他のふんどしに比べ価格は高めだが、男性から女性へのプレゼントとしてよく売れているという。
「本来は女性の悩みから生まれたものだが、ひょうたんから駒」とほほ笑むかのこさん。
「相手の男性も一緒に楽しめるので、ぜひ勝負の時に使ってほしい」とも。
同店は2月18日まで東京・小田急百貨店新宿店で開かれている世界初の「ふんどしの日フェア」にも参加している。
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