長年にわたって整備が続けられた鳥取自動車道の全線開通まで、1カ月を切った。
開通予定の3月23日からは、鳥取市と近畿・山陽方面が高速道路で直結。新たな動脈による移動距離の短縮は、人や物の流れに大きな変化をもたらすと想定されるだけに、
地域の活性化につながってほしいと沿線では期待感が高まっている。
今回開通するのは、岡山県美作市の大原−同県西粟倉村の西粟倉インターチェンジ(IC)間の8・8キロ。
2009年3月に鳥取県内区間が全線開通してから、国交省鳥取河川国道事務所がまとめた整備効果によると、南北軸の交通量が増加し、平日の大型車交通量は
10年と比較して12年には約12%増えて物流も増加。沿線の観光施設の入り込み客数が増加傾向にあるなどの変化があった。全線開通で一層の波及効果が期待されている。
◆ビジネスチャンス◆
鳥取青年会議所時代から整備運動に携わってきたという安田精工(鳥取市南栄町)の安田晴雄社長(68)。四半世紀を費やした歴史的な節目に
「やっと全線開通を実感できる。積年の夢だっただけに計り知れない効果がある」と期待を寄せる。
県東部地区は大手電機メーカーの事業再編で雇用不安が増大。地域経済の冷え込みは厳しい。「ビジネスにとってこんなチャンスはない。
無料で通行できるし、山陰と山陽・近畿との双方向で効果がある。人的交流や物流はアクセスによって変化するので、しっかりと打って出たい」と、
今まで以上に積極的な事業展開を見据える。
兵庫県姫路市の姫路商工会議所機械金属工業部会は、鳥取商工会議所工業部会と定期的に交流を続けている。
姫路から考えると、鳥取はベッドタウンとしても位置付けられ、全線開通でビジネスチャンスが大きく広がると見込む。
◆情報発信に躍起◆
移動距離の短縮は、地域のイメージアップや観光などにも波及する。しかし、高速道で直結されると途中の見どころが素通りされてしまうという懸念は拭えない。
各自治体はイベントを通して沿線の魅力を発信しようと奮闘している。
鳥取市は同月24日に市民会館で記念フォーラムを計画、全線開通と無料区間であることなどをアピール。東部地区と岡山県内の観光施設を巡るスタンプラリーも実施中だ。
西粟倉村は、同月17日に今回の開通区間を歩くウオーキング、サイクリングの大会を予定。同村産業観光課は「道路の開通は村にとって有史以来の出来事。
イベントを楽しんでもらうと同時に、鳥取道を使って関西や鳥取県からどんどん来てほしい」と願う。
ソース:日本海新聞
http://www.nnn.co.jp/news/130227/20130227008.html http://www.nnn.co.jp/news/130227/images/IP130226TAN000103000_0002_C.jpg